大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所 昭和58年(ラ)66号 決定 1984年2月20日

抗告人

志賀重之烝

抗告人

志賀功

右両名訴訟代理人弁護士

成田篤郎

相手方

平信用金庫

右代表者代表理事

坂本昌蔵

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人らの負担とする。

理由

一本件抗告の趣旨は、「原決定を取り消し更に相当の裁判を求める。」というのであり、その理由の要旨は「本件競売開始決定の基本となつた根抵当権は、その証書である根抵当権設定契約書、保証約定書、信用金庫取引約定書等の抗告人ら名義の部分がいずれも偽造にかかるものであつて、抗告人らは右根抵当権を設定した事実がなく、不存在であり、その設定登記も原因を欠いて無効なものであるから、原決定は取り消されるべきである。」というのである。

二しかし、執行異議の申立についての裁判に対しては、民事執行法一〇条一項、一一条一項、一二条一項の各規定に照らし、同法一二条一項の裁判に対する場合のほかは抗告の申立をすることができないものと解されるところ、原決定は競売開始決定の取消を求める申立を却下した裁判であつて、右法条の場合に該当しないから、これに対して抗告を申し立てることは許されない筋合であり、本件抗告は不適法であるというべきである。

よつて、本件抗告を却下し、抗告費用の負担につき、民事訴訟法九五条、八九条、九三条一項を適用して主文のとおり決定する。

(眞船孝允 伊藤豊治 富塚圭介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例