仙台高等裁判所秋田支部 平成3年(行コ)2号 判決 1993年9月27日
秋田県南秋田郡大潟村西二丁目二番地の一四
控訴人
菅原芳昭
同郡大潟村西二丁目二番地の三二
控訴人
鈴木教示
同郡大潟村西二丁目二番地の二九
控訴人
田村武
同郡大潟村西二丁目二番地の二四
控訴人
郷津公子
右四名訴訟代理人弁護士
金野繁
秋田市土崎港中央六丁目九番一三号
被控訴人
秋田北税務署長 古川勇人
右指定代理人
小林元二
同
阿部洋一
同
渡辺義雄
同
菅弘美
同
清水一男
同
西村浩昭
同
藤倉泰光
同
庄司勉
同
大沼長四郎
主文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人がなした原判決別表一記載の各更正処分のうち、同別表二「申告額」欄記載の各総所得金額及び納付すべき税額を超える部分をいずれも取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二事案の概要
事案の概要は、原判決の「事実及び理由」中「第二事案の概要」記載のとおりであるから、これを引用する。
第三争点に対する当裁判所の判断
本件につき更に審究した結果、当裁判所も、本件負担金等元金は、その実質において控訴人らが各配分を受けた農地の対価の性格を有し、農業用固定資産の取得価額に算入されるべき支出に該るものでこれが所得金額の計算上必要経費に算入されるものではなく、また、本件負担金等に本件土地改良通達の適用はないと解するから、これと前提を異にする控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断するものであるが、その理由は、次のとおり改めるほか原判決の「事実及び理由」中、「第三争点に対する判断」と同一であるから、これを引用する。
一 原判決五枚目裏一行目の「一九号」の後に、「、同法施行令六条」を、同四行目「され」の後に「(なお、同法施行令七条一項の規定上、右の支出は、操延資産の範囲から除かれていると解される。)」をそれぞれ挿入する。
二 同七枚目表五行目の「、流下水路など」を「(流下水路を含む。)等」と、同九行目「又は」を「、」とそれぞれ改め、同行「公道との取付道路、」及び同一〇行目「雨水の調整池、」をいずれも削除する。
三 同七枚目裏末行「後輩地」を「後背地」、同九枚目裏末行「一一月一三日」を「一二月一二日」、同一〇枚目表六行目「施工令」を「施行令」とそれぞれ訂正する。
四 同一一枚目裏六行目「そもそも」のあとに「中央干拓地内の道路は、幹線道路を含めて本件農地造成工事に必要不可欠であったほか、主として毎年の収穫物運搬及び大型農業用機械の通行等を予定して造成されたものであることが認められる(乙第四二号証)ところ、特に幹線道路は周辺市町村との連絡を兼ね、入植者達の農業経済に地域的流通性をもたらし、その生産活動の維持、増進に役立っているものであることはこれを推測するに難しくはないから、これは直接その土地の効用を形成する施設と認めるに妨げなく、その費用は土地の取得価額に算入されるべきものであり、すなわち」を加える。
五 同一三枚目表八行目の次に、改行して
「4 控訴人らは、本件負担金等元金が本件農地の取得価額として取り扱われるとするならば、それは税法上の規定に基づかない課税を認めることに帰し、憲法八四条の租税法律主義に違反する旨主張するが、右は、ひつきよう、本件負担金等元金を操延資産として認めず、農地取得の対価とすることの税務処理上の不当性をいうにあるものと解されるところ、本件負担金等元金が、その実態に照らし、農地の取得価額であると解すべきことは上来説示のとおりであるから、これが所得金額の計算上必要経費に算入しない取扱いをしたとしても、何ら誤りはなく、したがって右主張は採用しない。」
を挿入し、同九行目の番号「4」を削除してその文章の冒頭に「次に、」を付加する。
六 同一四枚目裏四行目の「乙第三一」を「乙第四〇」と、同六行目「現在」以下八行目「認められない。」までを「その後、その是正方が検討された結果、平成二年分以降の住民税申告に係る農業所得を算出するに当たり、国営福島潟建設事業地元負担金の各年度ごとの償還金額のうち元金部分を除外した利子相当部分を必要経費に算入する扱いに改められ、本件負担金等と同様の取扱いがなされるに至ったことが認められる。」とそれぞれ改める。
七 同一六枚目裏六行目の「全徐」を「全叙」と訂正する。
第四結論
よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれをいずれも棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条一項を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 武藤冬士己 裁判官 和田戈夫 裁判官 佐藤明)