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仙台高等裁判所秋田支部 平成5年(行コ)3号 判決 1998年6月29日

秋田市寺内字蛭根八五番地の四

控訴人

協同組合秋田第一製パン

右代表者清算人

高島長助

右訴訟代理人弁護士

渡辺春己

秋田市中通五丁目五番二号

被控訴人

秋田南税務署長 秋山林樹

右指定代理人

黒津英明

栗野金順

佐藤攻

安宅敏也

関谷久

泉利夫

小坂義博

阿部修

主文

一  原判決を以下のとおり変更する。

二  控訴人の本件訴えのうち、被控訴人が昭和五八年八月一七日控訴人に対してした法人税更正処分のうち土地譲渡利益に対する部分を除く部分(ただし、昭和六一年四月三〇日付けの審査裁決により減額された部分を除く。)の取消しを求める訴え及び被控訴人が同日控訴人に対してした重加算税の賦課決定処分(ただし、昭和五八年一二月二〇日付けの異議決定及び昭和六一年四月三〇日付けの審査裁決により減額された部分を除く。)の取消しを求める訴えをいずれも却下する。

三  控訴人のその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、第一、二審とも、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人が、昭和五八年八月一七日控訴人に対してした法人税更正処分のうち、土地譲渡利益に対する部分を除く部分、及び、昭和五八年一二月二五日控訴人に対してした法人税再更正処分のうち、土地譲渡利益に対する部分を除く部分(ただし、いずれも昭和六一年四月三〇日付けの審査裁決により減額された部分を除く。)を取り消す。

三  被控訴人が、昭和五八年八月一七日控訴人に対してした重加算税の賦課決定(ただし、昭和五八年一二月二〇日付けの異議決定及び昭和六一年四月三〇日付けの審査裁決により減額された部分を除く。)及び昭和五八年一二月二五日控訴人に対してした過少申告加算税の賦課決定(ただし、昭和六一年四月三〇日付けの審査裁決により減額された部分を除く。)を取り消す。

第二事案の概要

一  争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実(なお、末尾に証拠の記載のないものは争いのない事実である。)

1  当事者等

(一) 控訴人は、昭和三九年四月六日、中小企業等協同組合法に基き、秋田市内の製パン業者らによって設立された、パン類の共同生産と学校給食用パン類の共同加工を目的とする協同組合であるが、昭和五五年四月一日に解散し、現在、清算手続中である。

(二) 控訴人は、前記設立後、秋田市寺内字蛭根八五番地の土地(以下「本件土地」という。)を購入して工場(以下「本件建物」という。)を建設し、昭和四〇年に創業を開始したが、当初、控訴人が生産したパンを各組合員らが販売したところ、各組合員の販路が重複していたため、業務遂行上も非効率的であり、また、経営のうえからも非経済的であった。そこで、控訴人代表者が秋田県中小企業団体中央会に相談したところ、控訴人の生産したパンの販売のために控訴人とは別個の会社を設立し、右会社の経営については控訴人が応援していくことなどの指導がなされた。(甲一三二、原審証人吉田昭治、原審控訴人代表者本人)

(三) その結果、控訴人組合員ないしはその子弟の出資により、昭和四〇年七月二三日、秋田第一パン販売株式会社(以下「販売会社」という。)が設立されたが、経営不振のために、昭和五五年二月一五日株主総会で解散の決議がなされ、昭和五六年五月一五日、清算が決了し消滅した。

(四) 控訴人代表者である高島長助(以下「高島」という。)は、控訴人設立当時からの組合員であり、昭和四二年以降は控訴人の理事や代表理事を勤める一方で、販売会社設立当初からその取締役に就任し、さらに昭和四九年には代表取締役に就任して以後解散に至るまでその地位にあり、右解散に際して清算人となった者である。(甲一三二、原審控訴人代表本人)

吉田昭治(以下「吉田」という。)は、控訴人設立当初からの組合員兼理事であり、販売会社設立当初からの取締役であった吉田良之助の子であるが、昭和四〇年七月ころ、父の死亡に伴って、控訴人の組合員及び監事となり、その後も解散に至るまで控訴人の監事ないしは理事を努めるなどする一方、遅くとも昭和四二年には、販売会社の監査役の就任し、昭和四三年には取締役に就任し、以後解散に至るまでその地位にあり、右解散に際して代表清算人となった者である。(甲一三二、原審証人吉田昭治)

相原次郎(以下「相原」という。)は、昭和四四年に販売会社の取締役の就任し、以後解散にいたるまでその地位にあり、右解散に際して清算人となった者である。(甲一〇の六、一〇の四四)

2  控訴人等による販売会社の債務の保証等及びその支払い

(一)(1) 控訴人は、昭和四九年一一月一二日、販売会社と株式会社秋田銀行(以下「秋田銀行」という。)との間の継続的取引によって生ずる債務を担保するために、本件土地建物に極度額二〇〇〇万円の根底当権を設定し、さらに、昭和五三年一一月二日、本件土地建物に、新たに極度額三〇〇〇万円の根抵当権を設立した。(甲二四の一及び三)

(2) 販売会社は、同年八月二八日、秋田銀行から、事務所新築及び出店のための経費として、二〇〇〇万円を借り入れ、高島及び吉田は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田銀行に対する債務を連帯保証した。(甲二五の一)

(3) 販売会社は、同年一〇月二六日、秋田銀行から、出店のための経費として一〇〇〇万円を借り入れたが、高島及び吉田は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田銀行の対する債務を連帯保証人した。(甲二五の二)

(二)(1) 販売会社は、昭和五〇年七月一六日、中小企業金融公庫(以下「金融公庫」という。)から、設備資金として三五〇〇万円を借り入れ、控訴人及び高島は、右消費貸借契約に基づく販売会社の金融公庫に対する債務を連帯保証した。(甲三九の一の一)

控訴人は、右同日、右消費貸借契約に基づく販売会社の金融公庫に対する債務を担保するために、本件土地建物に抵当権を設定した。(甲三八の一)

(2) 販売会社は、昭和五一年八月一七日、金融公庫から、機械購入資金として一三〇〇万円を借り入れ、控訴人及び高島は、右消費貸借契約に基づく販売会社の金融公庫に対する債務を連帯保証した。(甲三九の二の一)

控訴人は、右同日、右同日、右消費貸借契約に基づく販売会社の金融公庫に対する債務を担保するために、本件土地建物に抵当権を設定した。(甲三八の二)

(3) 販売会社は、同年一一月五日、金融公庫から、出店のための資金として一〇〇〇万円を借り入れ、控訴人及び高島は、右消費貸借契約に基づく販売会社の金融公庫に対する債務を連帯保証人した。(甲三九の三の一)

控訴人は、右同日、右消費貸借契約に基づく販売会社の金融公庫に対する債務を担保するために、本件土地建物に抵当権を設定した。(甲三八の三)

(4) 販売会社は、昭和五四年五月一五日、金融公庫から、秋田県信用保証協会の保証付で、長期運転資金として四〇〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島、吉田及び相原は、右消費貸借契約に基づく販売会社の金融公庫に対する債務を連帯保証した。(甲三九の四の一)

控訴人は、右に先立つ同月一〇日、秋田県信用保証協会の販売会社に対する求償権を担保するために本件土地建物に極度額四八〇〇万円の根抵当権を設定した。(甲一一の一、弁論の全趣旨)

(三)(1) 控訴人は、昭和五一年一二月一五日、販売会社と商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)との間の継続的取引によって生ずる債務を担保するために本件土地建物に極度額四〇〇〇万円の根抵当権を設定した。なお、右極度額は、昭和五二年七月、七〇〇〇万円に変更された。(甲二九の一、二)

(2) 販売会社は、昭和五二年七月一四日、商工中金から、設備資金として三五〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島及び吉田は、右消費貸借契約に基づく販売会社の商工中金に対する債務を連帯保証した。(甲三〇の一)

(3) 販売会社は、昭和五三年八月四日、商工中金から設備資金及び運転資金として二〇〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島及び吉田は、右消費貸借契約に基づく販売会社の商工中金に対する債務を連帯保証した。(甲三〇の二)

(4) 販売会社は、昭和五四年九月二六日、商工中金から、運転資金として一〇〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島及び吉田は、右消費貸借契約に基づく販売会社の商工中金に対する債務を連帯保証した。(甲三〇の三)

(四)(1) 販売会社は、昭和五三年六月七日、株式会社秋田相互銀行(以下「秋田相互銀行」という。)から、運転資金として三〇〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島、吉田及び相原は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田相互銀行に対する債務を連帯保証し、控訴人は、右同日、控訴人と秋田相互銀行との間の継続的取引によって生じる債務を担保するために本件土地建物に極度額三〇〇〇万円根抵当権を設定した。(甲五〇、五一の一の一)

(2) 販売会社は、昭和五四年二月二六日、秋田相互銀行から、運転資金として一八〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島、吉田及び相原は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田相互銀行に対する債務を連帯保証した。(甲五一、五一の二の一)

(3) 販売会社は、同年一〇月一日、秋田相互銀行から、運転資金として七〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島、吉田及び相原は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田相互銀行に対する債務を連帯保証した。(甲五一の三)

(五)(1) 販売会社は、昭和五三年一〇月二六日、秋田信用金庫(以下「秋田信金」という。)から、設備資金として一五〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島及び相原は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田信金に対する債務を連帯保証し、控訴人は、右同日、販売会社と秋田信金との間に継続的取引から生じる債務を担保するために、控訴人所有の秋田市寺内蛭根九八番二の土地を含む三筆の土地に極度額一八〇〇万円の根抵当権を設定した。(甲四四の一、四五の一の一)

(2) 販売会社は、昭和五四年一〇月二九日、秋田信金から、原材料仕入資金として七〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島、吉田及び相原は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田信金に対する債務を連帯保証した。(甲四五の二の二)

(3) 販売会社は、同年一二月二九日、秋田信金から、運転資金として五〇〇万円を借り入れ、控訴人、高島、吉田及び相原は、右消費貸借契約に基づく販売会社の秋田信金に対する債務を連帯保証した。(甲四六)

(六) 販売会社は、昭和五四年一二月二八日、株式会社たけや製パン(以下「たけや製パン」という。)から、運転資金として一二〇〇万円を借り入れ、控訴人及び高島は、右消費貸借契約に基づく販売会社のたけや製パンに対する債務を連帯保証した。(甲七〇の一)

(七) 控訴人は、前記のとおり清算手続に入った後の、昭和五五年四月一〇日、前記(一)ないし(四)記載の取引によって発生していた販売会社の債務を以下(1)ないし(4)記載のとおり支払った。さらに、控訴人は、同月一一日、前記(五)及び(六)記載の取引によって発生していた販売会社の債務を以下(5)及び(6)記載のとおり支払ったが、右各弁済金について、右各債務の連帯保証人となっていた高島、吉田及び相原に対して、一切求償をしていない(右各弁済行為を、以下「第一弁済行為」という。)。

(1) 秋田銀行に対する債務二一一〇万五二七七円

(2) 金融公庫に対する債務五四〇二万円(このうち、控訴人及び高島が連帯保証人している債務が一四〇二万円、控訴人、高島、吉田及び相原が連帯保証している債務が四〇〇〇万円)

(3) 商工中金に対する債務四三三〇万円

(4) 秋田相互銀行に対する債務二四九五万七九八五円

(5) 秋田信金に対する債務一四六〇万円(このうち、控訴人、高島及び吉田が連帯保証している債務が八二〇万円、控訴人、高島、吉田及び相原が連帯保証している債務が六四〇万円)

(6) たけや製パンに対する債務六六九万二三〇八円

(八) 控訴人は、右(七)のほかにも、清算中に、控訴人自身が連帯保証人にも物上保証人にもなっていない販売会社の第三者に対する債務合計五六七六万八〇〇〇円を、以下のとおり支払った(右各弁済行為を、以下「第二弁済行為」という。)。なお、支払日は、(1)が昭和五五年四月一〇日、(2)ないし(8)が同月一一日、(9)が同年五月一二日であり、(1)、(2)、(6)及び(9)の各債務については、高島及び吉田が販売会社の連帯保証人となっていた。

(1) 株式会社秋田グランドリースに対する債務九九三万三八〇〇円

(2) 秋田県に対する債務六〇〇万円

(3) 秋田県菓子工業組合に対する債務一四万九〇〇〇円

(4) 高島に対する債務三〇〇万円

(5) 新屋農業協同組合に対する債務八〇〇万円

(6) 秋田相互銀行に対する債務一〇〇万円

(7) 秋田銀行に対する債務二〇〇万円

(8) 鎌田錬太郎に対する債務一一〇〇万円

(9) 日通商事株式会社に対する債務一五六八万五二〇〇円

3  課税処分の経過等

(一) 控訴人は、昭和五六年三月九日、被控訴人に対して、清算所得金額及び納付すべき税額をいずれも零円として、右解散に伴う法人税の確定申告(以下「本件確定申告」という。)をした。

(二) 被控訴人は、昭和五八年八月一七日、控訴人の清算中の残余財産の一部分配による清算中の予納額について、清算所得金額を七四万一七六八円、課税土地譲渡利益金額を二〇一六万三〇〇〇円、納付すべき法人税額を四一八万八二〇〇円とし、重加算税額を一四六万五八〇〇円とする、決定及び賦課決定をした。

(三) 被控訴人は、昭和五八年八月一七日、本件確定申告に対し、清算所得金額を二億五三九三万二五七〇円、課税土地譲渡利益金額を二〇一六万三〇〇〇円、納付すべき法人税額を五三一七万〇一〇〇円とし重加算税額を一五九五万一〇〇〇円とする、更正(以下「本件更正処分」という。)及び賦課決定(以下「第一賦課決定処分」という。)をした。

(四) 控訴人は、昭和五八年九月二一日、前記(二)の決定及び賦課決定に対する異議申立てをなし、被控訴人は、異議審理庁として、同年一二月二〇日、右決定及び賦課決定を全部取り消す旨の決定をした。

(五) 控訴人は、同年九月二一日、前記(三)の本件更正処分及び第一賦課決定処分に対する異議申立をなし、被控訴人は、異議審理庁として、同年一二月二〇日、本件更正処分に対する異議を棄却し、第一賦課決定処分に対する異議については、過少申告加算税二六五万八五〇〇円を超える部分を取り消す旨の決定(以下「本件異議決定」という。)をした。

(六) 被控訴人は、同年一二月二五日、控訴人の清算所得金額を二億五〇四三万二五七〇円、課税土地譲渡利益金額を二〇一六万三〇〇〇円、納付すべき法人税額を五六六二万三三〇〇円とし、過少申告加算税を二八三万一一〇〇円とする。再更正(以下「本件再更正処分」という。)及び賦課決定(以下「第二賦課決定処分」という。)をした。

(七) 控訴人は、本件異議決定に対して審査請求をし、同審査手続において本件再更正処分も併合審理され、国税不服審判所長は、昭和六一年四月三〇日、控訴人の清算所得金額を一億六六二八万七九九〇円、課税土地譲渡利益金額を二〇一六万三〇〇〇円、納付すべき法人税額を三八九五万二八〇〇円とし、過少申告加算税を一九四万七五〇〇円とする、審査裁決(以下「本件裁決」という。)をした。

(八) 本件更正処分、本件異議決定、本件再更正処分及び本件裁決は、いずれも、控訴人が清算中に支出した金額のうち、第一弁済行為にかかる金額については、弁済した債務の連帯保証人もしくは物上保証人である控訴人と控訴人以外の連帯保証人(高島、吉田及び相原)の各負担部分が平等であり、控訴人は右連帯保証人に対して負担部分に応じた求償件の行使が可能であるのに、控訴人は右求償権を放棄したという前提のもとに、右求償権行使が可能な金額合計一億一二二七万八一五八円(その詳細は、別表記載のとおり)について、当時の法人税法(以下、単に「法」という。)三七条に規定する寄付金(以下、単に「寄付金」という。)であると認定し、さらに、第二弁済行為にかかる金額五六七六万八〇〇〇円についても、全額寄付金であると認定したうえで、なされたものである。

4  本件法人税算定の基礎となる数額

控訴人の残余財産の価額は、少なくとも、二〇〇万一二六四円(残余財産確定日における財産の価額六四円及び残余財産確定日以前に既に分配した金額二〇〇万一二〇〇円の合計)を下らない。

控訴人の清算所得を計算するにあたって残余財産から控除されるべき出資金の額は七二〇万円であり、同様に、控除されるべき利益積立金の額は一五五七万〇二三二円であり、課税土地譲渡利益金額は、二〇一六万三〇〇〇円である。

二  争点

1  本件訴えの適法性

(一) 控訴人

本件訴えはすべて適法である。

(二) 被控訴人

本件再更正処分は、本件更正処分の課税額を増額した、いわゆる「増額再更正処分」であるから、控訴人は、本件再更正処分の取消しを求めれば足りる。したがって、本件訴えのうち、少なくとも、本件更正処分の取消しを求める部分は不適法である。

2  本件再更正処分(ただし、本件裁決により減額された部分を除く。)及び第二賦課決定処分(ただし、本件裁決により減額された部分を除く。)の適法性

具体的には、本件支出が寄付金に該当するか否か。該当するとして、本件支出が法九五条一項ただし書の場合に該当するか。

(一) 控訴人

(1) 控訴人と販売会社とは、販売会社の設立の目的、双方の人的、物的な構成からみて一体関係にあったのであり、本来、販売会社の負担する債務については控訴人に最終的な弁済の責任があり、販売会社の債権者もそのように考えていた。

(2) 右のような販売会社の債務に対する控訴人の最終責任は、昭和四三年八月一八日ころ、控訴人の全組合員によって決議され、さらに昭和四九年三月一三日、控訴人理事会においても右決議が確認され、昭和五四年一二月二〇日、控訴人の全理事の合意により確認され、昭和五五年二月七日の控訴人理事会においても確認されており、右に述べた理事ないしは全理事の合意により、遅くとも昭和五五年二月七日までには、控訴人において、販売会社の債務に対する控訴人の最終責任が決議されているものというべきである。

(3) 以上によれば、控訴人と販売会社の間では、販売会社が取引によって負うこととなるすべての債務について最終的には控訴人が責任を負うという一種類の履行引受の合意が成立しているのみならず、控訴人と控訴人及び販売会社の役員であった高島、吉田及び相原(右三名を以下「高島ら」という。)との間でも、販売会社の債務については、すべて控訴人が責任を負い、販売会社の債務について高島らが連帯保証した場合でも、高島らの負担部分が零であることを合意していたものというべきである。

(4) 右によれば、控訴人が第一弁済行為及び第二弁済行為をなしたのは、いずれも販売会社及び高島らとの右合意に基づく義務を履行したものにすぎず、第一弁済行為にかかる弁済金については、控訴人は、そもそも高島らに対して、控訴人及び高島らの各自の負担部分が平等であることを前提とした求償債権など有しないのであり、したがって、高島らに対して求償権を行使することなど法律上できなかったものであって、右求償しなかった行為(以下「本件不請求行為」という。)及び第二弁済行為にかかる金額は、いずれも寄付金に該当しないというべきである。仮に、右合意が認められないとしても、本件不請求行為及び第二弁済行為(以下「本件各負担行為」という。)は、販売会社と実質的に一体である控訴人においてその負担をしなければ、今後より大きな損失を蒙ることが社会通念上明らかであると認められるためにやむを得ずなしたものであるから、法人税基本通達九―四―一の趣旨や近時の住専処理に際しての通達の趣旨に照らしても、寄付金に該当しないことは明らかである。

以上によれば、本件不請求行為により控訴人が本来高島らに行使できるはずの求償権を放棄したとして、各保証債務についての高島らと控訴人の負担部分が均一であるとの前提で、右高島らの負担部分に相当する金額について控訴人が求償権を放棄したものと認定し、右金額に相当する一億一二二七万八一五八円及び本件第二弁済に相当する価額五六七六万八〇〇〇円の合計一億六九〇四万六一五八円について、寄付金として残余財産の価額に算入して控訴人の清算所得を計算し、これを前提に法人税を算定した本件更正処分及び本件再更正処分は違法であり、取消しを免れない。本件更正処分及び本件再更正処分が違法である以上、右各処分によってなされた納付すべき法人税額を前提にして重加算税もしくは過少申告加算税の賦課を決定した第一賦課決定処分及び第二賦課決定処分もまた違法であり、取り消されるべきである。

仮に、本件各負担行為にかかる金額が寄付金に該当するとしても、本件各負担行為は、控訴人の清算業務の遂行上必要と認められるものであり、法九五条一項だだし書により、残余財産の価額に含めることはできないし、また、本件各負担行為は、控訴人において、その負担をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが、社会通念上明らかであったためにやむを得ずになしたもんであり、これにつき相当な理由があるから、法人税基本通達九―四―一の趣旨に照らして、右行為にかかる金額を寄付金の額に含めることは許されないから、以上によれば、いずれにしろ、本件更正処分及び本件再更正処分(ただし、いずれも本件裁決により減額された部分を除く。)並に第一賦課決定処分及び第二賦課決定処分は、すべて違法である。

(二) 被控訴人

被控訴人は、本件各負担行為にかかる金額につき法三七条所定の「寄付金」と認定し、これを残余財産の価額に含めたうえで、控訴人の清算所得を算定し、これに所定の税率を乗じて、納付すべき法人税額を算出して本件再更正処分をなしたものであり、本件再更正処分には何ら違法はない。また、被控訴人は、右本件再更正処分における法人税額を基礎として過少申告加算税を算出して第二賦課決定処分をなしたのであり、第二賦課決定処分には何ら違法な点はない。

控訴人と販売会社の実質関係から、販売会社の債務について控訴人が前面的に最終責任を負うべきであるとの控訴人の主張は争い、控訴人主張のような合意の成立は否認する。仮に、右合意が成立したとしても、右合意は、控訴人の販売会社ないしは高島らに対する贈与もしくは無償供与と評価されるべきものであるから、本件各負担行為が右合意に基づいてなされたとしても、これらが、「寄付金」となることは変わらない。

第三争点に対する判断

一  本件訴えの適法性について

1  控訴人は、本件更正処分についても取消しの利益があると主張するが、本件更正処分によって更正された納付すべき法人税額については、その後の本件再更正処分により、差引法人税額こそ七三万五〇〇〇円減少しているが、土地譲渡利益金に対する税額四〇三万二六〇〇円が賦課されたことにより、全体として三四五万三二〇〇円増額したいわゆる増額再更正がなされており、これにより右再更正以前の更正、決定等は、増額再更正の処分内容としてこれに吸収されて一体となったと解されるから、本件の法人税課税処分に不服のある控訴人としては、本件再更正処分の取消しを求めれば足りるのであって、控訴人には、もはや本件更正処分の取消しを求める法律上の利益はないというべきである。

以上によれば、控訴人の本件更正処分の取消しを求める訴えは不適法であり、却下されるべきである。なお、控訴人は、本件更正処分によってなされた課税標準の額は、本件再更正処分によって減額されているから、本件再更正処分は減額再更正である旨主張するが、本件再更正処分によって納税すべき税額は増額されているのであるから、控訴人の権利利益の保護のためには、本件再更正処分の取消し請求のみを認めれば足りるのであって、控訴人の主張は理由がない。

2  原判決は、第一賦課決定処分の取消しを求める訴えを適法とし、第二賦課決定処分の取消しを求める訴えを不適法であるとしているが、過少申告加算税、重加算税などの加算税は、本税が確定された後に、右確定された本税をもとに算出されるものであるから、加算税の賦課決定処分取消しの訴えの利益は、本税についての更正処分等の訴えの利益に付随するものというべきである。

前記のとおり、本件再更正処分により増額再更正がなされた結果、控訴人としては、本件再更正処分の取消しを求める利益はあるが、本件更正処分の取消しを求める利益はなくなっているのであるから、控訴人としては、本件再更正処分に基づいてなされた第二賦課決定処分のみについて取消しを求めれば足りるのであり、本件更正処分に基づいてなされた第一賦課決定処分については取消しを求める利益はないというべきである。

以上によれば、控訴人の第二賦課決定処分の取消しを求める訴えは適法であるが、第一賦課決定処分の取消しを求める訴えは不適法であり、却下されるべきである。

二  本件再更正処分及び第二賦課決定処分(ただし、いずれも本件裁決により減額された部分を除く。)の適法性について

1  第二弁済行為にかかる金額について

前記第二の一で認定したところによれば、第二弁済行為は、右弁済にかかる各債務の債権者と控訴人の間に何ら法律関係がなく、したがって、法律上控訴人には何らの支払義務がないにもかかわらずなされたものであることが明らかであり、法律上は、控訴人の販売会社に対する無償供与として、法三七条所定の「寄付金」に該当することが明らかである。

控訴人は、控訴人と販売会社の実質関係からして、何らの合意がなくとも控訴人が販売会社の債務について最終責任を負うことは当然であり、また、現に、控訴人と販売会社の間では、販売会社の債務について控訴人が最終責任を負うことが合意されていたから、第二弁済行為にかかる支出は法三七条所定の「寄付金」に該当しない、と主張する。

しかしながら、控訴人と販売会社の実質関係からして、何らかの合意がなくとも控訴人が販売会社の債務について最終責任を負うとの控訴人の主張が理由がないこと、さらに、右控訴人の主張する合意を認めるに足りないことは、原判決がその理由中(原判決一一枚目裏一行目から一六枚目表五行目まで、二一枚目表一行目から二八枚目表四行目まで)において、正当に述べるとおりであり、当審における証拠調べの結果によっても、右認定判断は左右されないというべきである。

控訴人の主張する合意は、要するに、販売会社成立の経緯やその営業の実態などの販売会社と控訴人との実質関係を根拠にして、法律上全く別の人格である販売会社と控訴人の間において、販売会社の負担する債務について、個々の取引を特定せず、また金額も限定せずに、抽象的包括的にすべて最終的に控訴人が負担することが合意されていたというものであるが、右合意の意味するものは、結局、債務負担の側面でのみ販売会社と控訴人とが別人格であることを否定し、その側面では販売会社と控訴人とは実質的に同一人格であるというに等しいものであると解されるが、そのような合意がなされることと、控訴人と別人格である販売会社が設立されることとは全く矛盾することであるから、現に控訴人とは別人格の販売会社が設立されている以上、法的な拘束力を持つものとして右のような合意がなされることは、およそあり得ないことであるというべきであるし、仮にそのような合意が真実なされたとしても、そのような合意は、まさに、都合の良い場面ごとに、法人格を主張したり、法人格を否認したりするに等しいものであって、法人格の濫用というべきものであり、そのような合意の効力を第三者に主張することは許されないというべきである。また、本件全証拠によるも、販売会社において、控訴人が販売会社の債務につき最終的な責任を負うことに対して、何らかの対価の提供もしくは利益供与をしていたことを認めるに足りる証拠はない。してみると、前記販売会社の債務のすべてについて控訴人が負担するとの合意が真実なされたとすれば、右合意は、控訴人から販売会社に対する包括的な贈与もしくは無償供与であると解するほかないから、第二弁済行為が、右控訴人の主張する合意に基づくものであったとしても、これが寄付金に該当することは明らかである。

控訴人は、第二弁済行為にかかる金額が寄付金に該当するとしても、第二弁済行為は、控訴人の清算業務の遂行に必要なものであるから、法九五条一項ただし書により、清算に必要な経費として清算所得には含まれないものであると主張するが、控訴人自身に法律上支払義務のない販売会社の第三者に対する債務を控訴人が弁済することが、控訴人自身の清算業遂行に必要であるとは通常は考えられないから、これを必要経費であるとする控訴人の側において、必要経費であることを具体的に立証する必要があると解すべきところ、本件全証拠によるも、第二弁済行為が控訴の清算業務の遂行に必要であったことを認めるに足りないから、結局、経費ではなかったものというほかない。なお、控訴人は、控訴人と販売会社とは実質的に一体であったから、控訴人が販売会社の債務を支払うことが必要であった旨主張するが、控訴人と販売会社は、法律上別人格であり、しかも、親子会社のように資本提携があったわけでもないから、それぞれの法人の残余財産の清算は、それぞれの資産の範囲内で適正に行われるべきが当然であって、控訴人の主張は理由がない。

控訴人は、第二弁済行為による金員の負担行為は、法人税基本通達九―四―一の場合に該当するから、寄付金に該当しないと主張するが、控訴人が右の負担をしなければ今後より大きな損失を蒙るなどの事情も認められない本件が右通達の予定する場合に該当しないことは明らかである。

以上によれば、被控訴人が、本件再更正処分において、第二弁済行為にかかる金額について寄付金と認めたことは、いずれにしろ、結果として正当であったというべきである。

2  本件不請求行為にかかる金額について

前記第二の一で認定した事実経過によれば、控訴人は、特段の事情のない限り、本件不請求行為にかかる金額について、右各債務の相連帯保証人である高島らに対して、その負担部分に応じた求償をなし得るのであり、右負担部分は特段の合意のない限りは、各自平等となるものであるところ、控訴人は、右金額について、高島らに対して、求償権の行使を一切していないことが明らかである。

被控訴人は、右控訴人の態度(本件不請求行為)をもって、高島らに対する負担部分に応じた求償の放棄であると認定し、高島らに対して右負担部分に相当する価額の贈与ないしは無償供与がなされたものとして、右価額を「寄付金」と認定したうえで、本件再更正処分をなしている。

控訴人は、控訴人と販売会社及び高島らとの関係に照らして、販売会社の債務は最終的には控訴人が責任を負うのが当然であり、右各関係者でもその旨の合意がなされていたから、高島らの負担部分は零であり、そもそも控訴人には高島らに対する求償権はないと主張する。しかしながら、そもそも、控訴人と販売会社の間において、販売会社の債務についてすべて控訴人が最終的に責任を負うとの合意がなされたことを認めるに足りないことは前記のとおりである。

なお、販売会社の連帯保証人ないしは物上保証人である控訴人と高島らの間において、各自の負担部分について特段の合意がなされることはありうることではあるものの、高島らは、いずれも販売会社の役員であって、販売会社の経営責任を負うべき立場にあり、販売会社の経営状況いかんによって直接に利益不利益を被る立場にあるから、そのような地位にある高島らが販売会社の債務につき連帯保証をするのは、いわば当然のことである(そうであるからこそ、金融機関等の販売会社の債権者も、高島らの連帯保証を要求しているのである。)のに対し、控訴人は、法律上は販売会社と別個の法人格を有し、資本の提携もないのであるから、法律的には、販売会社が融資を受けることにより利益を受けるのは、控訴人ではなく、高島らであり、高島らにこそ、販売会社の債務を連帯保証しなければならない理由があり、控訴人にはないといわねばならない。にもかかわらず、控訴人は、控訴人と高島らの間で、高島らの負担部分を零とする合意がなされたと主張するが、極めて不自然であるといわねばならないし、高島らの販売会社における前記地位に照らせば、真実、控訴人が主張するような合意がなされたとすれば、これは、控訴人から見れば、販売会社の債務についての相連帯保証人である高島らの負担部分についての事前の包括的な免除の合意であるから、実質的には、控除人から高島らに対する贈与ないしは無償供与であると解するほかない。してみると、本件不請求行為が、右控訴人の主張する合意に基づくものであったとしても、これにかかる高島らの負担部分に応じた金額が寄付金に該当することは明らかである。

控訴人は、右金額が寄付金に該当するとしても、法九五条一項ただし書の場合に該当するから清算に必要な経費として清算所得には含まれないものであると主張するが、販売会社の経営に責任を持つべき地位にあり法律上も販売会社の債務を連帯保証していた高島らに対して、販売会社の債務弁済により生じた求償権を一切行使しないことや、右求償義務を事前に包括的に免除しておくことが、控訴人の清算義務の遂行に必要であるとは通常は考えられないから、これを必要経費であるとする控訴人の側において、必要経費であることを具体的に立証する必要があると解するべきところ、本件全証拠によるも、右求償権の放棄ないしは求償義務の事前の包括的免除が、控訴人自身の清算業務の遂行に必要であったことを認めるに足りないから、結局、経費ではなかったものというほかない。

さらに控訴人は、本件不請求行為による金員の負担行為は、通達九―四―一の場合に該当するから、寄付金に該当しないと主張するが、前同様の理由で、本件が右通達の予定する場合に該当しないことは明らかである。

以上によれば、控訴人が、本件再更正処分において、前記のとおり高島らに対して求償権を行使しない控訴人の態度(本件不請求行為)をもって、高島らの負担部分に応じた求償権の放棄であるとして、右負担部分相当額について寄付金と認めたことは、いずれにしろ、結果として、正当であったものというべきである。

3  まとめ

以上によれば、本件再更正処分(ただし、本件裁決により減額されたもの)は、控訴人の残余財産の価額について、残余財産確定日における財産の価額六四円、残余財産確定日以前に既に配分した金額二〇〇万一二〇〇円、清算中に支出した寄付金一億六九〇四万六一五八円の合計一億七一〇四万七四二二円とし、右金額から出資金七二〇万円、利益積立金一五五七万〇二三二円の合計二二七七万〇二三二円を控除した一億六六二八万七九九〇円を控訴人の清算所得としたうえで、右清算所得を前提に法人税の基礎となる金額を一億六六二八万七〇〇〇円とし、これに法所定の税率である二一パーセントを乗じて、右清算所得に対する税額を三四九二万〇二七〇円とし、これに課税土地譲渡利益金額二〇一六万三〇〇〇円に対する税額四〇三万二六〇〇円を加えて、最終的に納付すべき法人税額を三八九五万二八〇〇円(一〇〇円未満切り捨て)としたものであって、すべて適法になされたものであるというべきである。

また、第二賦課決定処分は、右本件再更正処分による納付すべき法人税額三八九五万二八〇〇円を前提にして、過少申告加算税の基礎となる税額を三八九五万円とし、これに法所定の税率である五パーセントを乗じて、過少申告加算税を一九四万七五〇〇円としたものであるから、適法なものというべきである。

三  以上の次第で、控訴人の本件訴えのうち本件更正処分の取消しを求める訴え及び第一賦課決定処分の取消しを求める訴えはいずれも不適法であり、控訴人の本件その余の請求はいずれも理由がない。

第四  以上によれば、原判決は、本件更正処分の取消しを求める訴えを却下し、本件再更正処分の取消しを求める請求を棄却した部分は相当であるが、第二賦課決定処分の取消しを求める訴えを却下し、第一賦課決定処分の取消しを求める訴えを適法としてこれにつき本案判断した点については相当でないから、原判決を一部変更し、主文のとおり判決する。

なお、当審においては、原審が不適法却下した第二賦課決定処分の取消しを求める訴えについて適法であると判断しながら、これを原審に差し戻すことなくそのまま本案判断することにした。すなわち、本件訴訟は、控訴人において、その解散に伴う清算所得に対する法人税の課税処分及びこれに付随する加算税の課税処分を争うものであるところ、右各課税処分の適法性に関しては、原審から当審に至るまで、被控訴人の主張する控訴人の清算所得の数額が正当であるか否か(具体的には、被控訴人において、本件各負担行為にかかる金額を寄付金と判断し、残余財産の価額に含めたことが正当であるか否か)のみが唯一の争点となっており、このため、第一賦課決定処分及び第二賦課決定処分のいずれの適法性についても、右争点の判断によって決着がつくのであり、それゆえ、右争点については、原審においても当事者双方の攻撃防御が尽くされ、原判決も、適法であるとした第一賦課決定処分の取消しを求める訴えにかかる請求の当否(すなわち、第一賦課決定処分の適法性)を判断するにあたって、当然に右争点についての判断をしているのである。このように、第一審が誤って適法な訴えを不適法却下した場合であっても、同時に右第一審において、別の訴えにかかる請求の当否を判断するにあたり、右誤って不適法却下された訴えにかかる請求の当否を判断するのに必要な争点と全く同じ争点が審理され、右争点について第一審判決中で判断がなされているような場合には、控訴審において、右誤って不適法却下された訴えについて第一審に戻すことなく直ちに本案判断したとしても、実質的には当事者の審級の利益を侵害しないものというべきである。したがって、原審が不適法却下した第二賦課決定処分の取消しを求める訴えについて、これを原審に差し戻すことなくそのまま本案判断することにしたものである。

(平成九年一一月一二日口頭弁論終結)

(裁判長裁判官 守屋克彦 裁判官 丸地明子 裁判官 大久保正道)

別表

<省略>

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