大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所秋田支部 昭和25年(う)24号 判決 1950年4月17日

被告人

俊男こと

高橋三彌

主文

本件控訴はこれを棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人木村一郞の控訴趣意について。

よつて、記録を調査するに、原審第一回公判調書には、裁判官が檢察官の請求により証拠物として純毛白ジヤケツ一枚の取調べをなすについて、刑事訴訟規則第百九十條第一項所定の決定がなされた旨の記載のないことは洵に所論のとおりであり、右は刑事訴訟法第五十二條の趣旨よりみて証拠調の決定をなすことなく証拠調をなしたものというの外なく、然らば、右証拠調は違法の手続によるものであつて無効であり、これを断罪の資に供し得ないことは明らかであるが、一方原判決記載第三の窃盜の事実は該証拠を除いても原判決が証拠の標目として挙示する被告人の原審公廷における供述及び高田やゑ提出の盜難始末書を考へ合せてこれを認定することができるのであるから前記の違法は判決に影響を及ぼすものとはいえない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例