大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和29年(う)168号 判決

つぎに職権を以て調査するに、原判決をみると、原判決は犯罪事実として五、に被告人は昭和二十九年八月十七日頃肩書被告人方自宅で法定の除外事由がないのに刃渡十四糎位の匕首一振(証第二号)を所持したと認定し、これに銃砲刀剣類等所持取締令第二十七条、第十五条を適用処断している。

しかし同令第十五条は刃渡十五センチメートル未満の匕首又はこれに類する刃物は業務その他正当な理由による場合を除く外、携帯することができないと規定しているが所持することができないとは規定していない。そして右携帯とは所持の一態様であつて刃渡十五センチメートル未満の匕首を携えること即ちこれを手に持つか、身体に帯びることをいい、同令第二条の所持すなわち、自己の事実上の支配のもとに置くことよりも狭義であり、居室の箪笥の上に置き保管する場合は所持といい得ても携帯ということはできないものと解すべく、同令第十五条はこのような保管による所持に対しては適用されないのである。しかるに原判決が挙示する各証拠および領置報告書(十九丁)によれば本件匕首は被告人の居室の箪笥の上に在つたのであり、被告人はこれを携帯していたのでないこと明らかである。したがつて原判決には罪とならない事実に右各法条を適用した違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすこと明らかというべく、原判決はこの点において破棄を免れない。

(裁判長裁判官 中兼謙吉 裁判官 岡本二郎 裁判官 兼築義春)

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