大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和29年(う)65号 判決

原判決が被告人の本件政令違反の所為を犯罪後の法令により刑が廃止された場合にあたると判示し、これと一所為数法の関係で起訴された公職選挙法違反の点については「昭和二十七年政令第百十七号大赦令によつて大赦があつた」と説明して被告人に対し免訴の言渡をしたことは所論のとおりであり、また右大赦令第二条によれば「前条に掲げる罪に該る行為が同時に他の罪名に触れるとき……は赦免しない」と規定されているから、本件政令違反の点が免訴せらるべきでない以上、公職選挙法違反の点も赦免されないことは所論のとおりである。しかし本件政令違反の点は前述のように、犯罪後の法令によつて刑が廃止された場合にあたるので免訴せらるべきである。

検察官は本件政令違反の点が免訴せられるものとしても、行為当時を基準とすれば、有罪であるから、右大赦令第二条を適用して公職選挙法違反の点に対しては赦免すべきでないと主張するのであるが右大赦令第二条の規定は、数個の行為のうち、ある行為が同令第一条により赦免せらるべき場合でも、他の行為について有罪の言渡をなすべきときは、赦免しないという趣旨の規定と解すべきである。本件の場合被告人は本件政令違反の点についてはその刑が廃止された場合にあたるので、この点について被告人を処罰することはできず、残るのは公職選挙法違反の点であるが、この点も右大赦令第一条第五号にあたり、赦免されたのであるから、本件公訴事実を構成する二個の行為につき被告人に対しいずれも免訴の言渡をなすべきである。このように一所為数法の関係にある二個の行為がいずれも免訴の言渡をなすべき場合にあたるときは右大赦令第二条の規定を適用せず、二個の行為について免訴の言渡をなすべきである。したがつて原判決が被告人に対し免訴の言渡をしたのは正当であり、論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 中兼謙吉 裁判官 大島雷三 裁判官 西田賢次郎)

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