仙台高等裁判所秋田支部 昭和31年(う)177号 判決
記録に現われた本件犯罪の動機、態様、罪質、被告人の性行、経歴殊にその前科関係並に原審相被告人池浦留吉との刑の均衡等諸般の事情を考察すれば原審の科刑は相当であつて決して重いとはいえない。論旨は理由がない。
次に職権をもつて原判決の擬律を按ずるに原審は被告人の原判示窃盗の所為に対し累犯加重をなした上最も犯情の重い原判示第五の(五)の罪の刑に併合罪の加重をしておりながら刑法第十四条の適用を遺脱しており右は原審が長期三十年の刑期範囲内において量刑処断した違法を冒したものというべきであるが(尤も刑法総則規定の適用は明示せられずとも判文上その適用が推定せられるとなし刑法第十四条の適用の不明示を違法としない説があるが左袒できない)前段説示のとおり原審の量刑は相当であり当審においてもその量定に変更の要を見ないので右違法は明らかに判決に影響を及ぼさないものと解すべく従つてこの擬律の誤は原判決破棄の理由とならない。
(裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 大島雷三 裁判官 三浦克己)