大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和31年(う)30号 判決

(一) 次に職権を以て按ずるに関税法第一一八条によれば関税逋脱物件はその物品を所有又は占有する犯人から没収すべきであり、追徴は没収をなしえない場合にその犯人に対してなすべきものである。従つて逋脱物件を一時有償取得した者であつてもこれを他人に譲渡しその所有又は占有を失つた場合には此の犯人に対して没収又は追徴を言渡しえない。然るところ記録及び証拠によれば本件犯行発覚当時押収してある本件密輸時計を所有占有していたのは被告人崔石凡だけであつて(但しその保管につき被告人山崎信は共同正犯、被告人山崎透は幇助の関係にある)被告人中村賢三は所有又は占有の事実がないことが明らがである。よつて右被告人中村賢三に対しては没収及び追徴の言渡をなしえないものと云うべきところ原審は同被告人に対しても没収及び追徴を言渡しているのであつて原審の右措置が違法の措置たるは勿論該違法は判決に影響を及すべきものであるから原判決は此の点でも破棄を免れない。

(二) なお原審においては被告人崔石凡及び被告人中村賢三に対し金三〇六万七二〇円の追徴を言渡しているが(被告人中村賢三に対する追徴の言渡が違法なことは前述した)補充鑑定書記載の適正卸売価格の鑑定によれば原判示第四及び第五記載の時計の単価は各金五、五〇〇円であるから該単価を基準として追徴金を算定すべく、その合計額は五九九万五千円となる。されば原審が右被告人両名に金三〇六万七二〇円の追徴を言渡したことは法令の解釈を誤つた違法があり、該違法は判決に影響を及すべきことが明白であるから原判決は此の点からしても破棄を免れない。

(裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 松本晃平 裁判官 三浦克己)

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