大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和31年(う)80号 判決

記録を精査し被告人の経歴、地位、本件犯行の動機及び態様並びに公職選挙法制定の趣旨その他諸般の情状に鑑みるに所論の如き諸事情を斟酌すれば原審が被告人に対して懲役三月(但し一年間刑の執行猶予)選挙権及び被選挙権を有しない期間を二年と定めたことは量刑重きに過ぎる違法ありと認められるのみでなく公職選挙法第二百五十二条第一項の規定を職権をもつて検討するに同法第二百二十一条第一項第一号の罪により懲役刑に処せられ且つその執行を猶予された場合はその裁判が確定した後刑の執行を受けることがなくなるまでの間選挙権及び被選挙権を有しないのであり、本件の場合は本裁判確定の日から一年を経過すれば刑の執行を受けることがなくなるのであるから結局被告人は本裁判確定の日から一年間選挙権及び被選挙権を停止されることになる。然るところ原審においては法律により当然公民権の停止される期間以上の二年と云う停止期間を言渡したのであり、これは同法第二百五十二条第三項に裁判所は同法第一項所定の公民権停止の規定を適用しない旨の言渡をなしうること、及び停止期間を短縮しうる旨を規定した法意とも反するのであり、ひつきよう判決に影響を及すべき法令適用の誤をおかしたものと云うべきである。尤も被告人において他の罪を犯し執行猶予の言渡を取消される場合も予想されるのであり、かゝる場合は裁判確定の日より一年以上経過するも尚刑の執行を受けることがなくならないことになるのではあるが、斯様な通常でない場合を想定して被告人にとり不利益な法令の解釈又は裁判を言渡すことは許されない。

(裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 大島雷三 裁判官 松本晃平)

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