大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和31年(う)90号 判決

原判決挙示の証拠によれば優に被告人両名が常習として賭博をなしたことが認定でき記録を精査するも原判決には事実誤認を窺うべき事由を見出しえない。所論は被告人清水清吉は昭和二十六年四月十七日単純賭博罪により罰金三千円に、同年七月二十五日同罪により罰金六千円に処せられた外に賭博罪の前科はなく、またその後前後二回にわたり詐欺又は窃盗罪等により懲役刑に処せられているのであり該懲役刑の服役中は賭博行為等はなしえざる筋合であるから結局四年半の間は賭博の習癖は中絶したと認むべきであり原審が常習賭博を以て間擬したのは事実誤認又は法令の適用を誤つた違法があると主張する。しかしながら賭博罪以外の罪により服役中(被告人の場合前後両刑の通算期間は一年六月であり一年四ケ月で仮釈放となる)賭博をなしえなかつたとしてもそれが為に賭博の習癖が矯正又はせん除されたものと即断しえないことは勿論であるところ、前記前科の犯罪態様及び本件犯行の態様、犯情その他諸般の情状に鑑みるに本件賭博は常習としてなされたものと認定するのが相当であり所論の如く同被告人には正職があり職業として賭博を為し居る者でなく、またいわゆる博徒と称せられる階級に属していないからと云つて常習賭博認定の妨げとはならない。論旨は理由がない。

次に被告人鳥潟賢次には賭博罪の前科はないことは所論指摘のとおりであるけれども常習賭博を認定するに当つては必ず賭博の前科あることを必要とするものではなく当該賭博行為の態様そのものから見て賭博の習癖の存在を肯認するに足るときはこれを常習賭博者と認定して差支えないものである。然るところ本件、俗に「狐源平」と称する犯罪の規模、態様、右被告人の果した役割、特に被告人は胴元として本件賭博を敢行しその賭博に参集した者は十四、五名の多きに上りその内の九名が賭博を行つており且つ荒川久次郎、高橋福蔵、高橋茂直、田畑貞助等は何れも賭博罪の前科を有する者であること、原審において共同被告人であつた者の内被告人畠山勘五郎を除くその余の者は何れも常習賭博罪の刑が確定していること等を綜合して考えると原審が同被告人が常習として本件賭博を行つたものと認定したのは洵に相当であり所論の如き事実誤認又は法令適用の誤り等は存しない。論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 大島雷三 裁判官 松本晃平)

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