佐賀地方裁判所 昭和48年(ヨ)62号 決定 1973年9月04日
佐賀市唐人一丁目五―三六 山城ビル二―三
申請人 日本共産党佐賀県委員会
右代表者委員長 三宅秀夫
右代理人弁護士 岩城邦治
右代理人弁護士 前野宗俊
佐賀市松原二―二―一七
被申請人 自由民主党佐賀県支部連合会
右代表者会長 大島英一
多久市北多久町大字多久原
被申請人 野中政男
多久市東多久町大字別府四七一番地
被申請人 多久和儀之助
右申請人の申請にかかる選挙活動妨害禁止仮処分命令申請事件につき当裁判所はつぎのとおり決定する。
主文
本件申請を却下する。
申請費用は申請人の負担とする。
理由
一、本件申請の趣旨及び理由は別紙のとおりである。
二、申請人の主張によれば別紙の多久市長選挙政治活動用ビラ一号が公職選挙法第二三五条第二項に定める虚偽の事項に該当するというのである。
しかしながら右にいう虚偽の事項とは真実に反する具体的事実を指すものと解すべきものであるところ右ビラは申請人である日本共産党が綱領ないし、規約、党大会の決定等で右ビラに記載のあるような具体的な運動方針ないし施策を公式にとって来たなどというものではなく、表面上は自由と人権の擁護をひょうぼうするけれども、政権を獲得した暁には右ビラに記載のあるような国民の自由を圧迫され、人権が無視されるような社会になるであらうという、いはば対立政党からみた批判的観測を掲げたものにすぎないとみるのが相当であり、右のようなものまで公職選挙法にいう虚偽の事項に該当するものということはできない。
三、よってその余の点につき判断するまでもなく本件申請は失当として棄却を免れない。
(裁判官 諸江田鶴雄)
<以下省略>