大判例

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佐賀地方裁判所唐津支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人等四名を各懲役八月に処する。

但し被告人西川、同谷口の両名に対しては未決勾留日数中いづれも三拾日を右本刑に算入する。

訴訟費用は全部被告人等四名の連帯負担とする。

理由

被告人等四名はいづれも日本共産党員で、被告人西川、同井手の両名はいづれも日雇労働、被告人谷口は家業である米穀配給事務の手伝、被告人丸尾は無職であるが、被告人等四名は共謀の上特に警察官の人民労働者の弾圧行為を阻止する考へで、昭和二十六年三月六日午後四時五十分頃から同日午後五時二十分頃迄の間に於て唐津市大名小路所在の国家地方警察東松浦地区警察署と唐津市警察署共通の西側横裏の出入口の掲示板附近に於て

(一)  国家公務員である東松浦地区警察署勤務の

(1)警部大西又喜に対し別紙記載のような占領目的に有害なる行為及公務員の活動能率を低下させる怠業行為の遂行を記載したビラ一枚を交付し

(2)巡査部長中島正雄に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(3)警察書記宮崎早子に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(二)  地方公務員である唐津市警察署勤務の

(1)巡査部長川原源に対し前同様のビラ一枚を交付し

(2)巡査糸山幸八に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(3)同永山武次に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(4)同小柳一男に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(5)同〓兵次に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(6)同江頭二朗に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(7)同江頭信雄に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(8)同松尾政利に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(9)同森正市に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(10)同外尾兼利に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(11)同部長小田綱雄に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(12)同梶山敏雄に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(13)雇(警察書記)市原登美恵に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(14)清掃婦古賀早苗に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(15)同渡辺福代に対し右と同一のビラ一枚を交付し

(16)給仕樋口ひろ子に対し右と同一のビラ一枚を交付し

てもつていづれも公式に発表されない連合国に対する破壊的批評を論議して占領目的に有害なる行為をなすと共に他面国家公務員及地方公務員の活動能率を低下させる怠業的行為の遂行をあおつたものである。

(以下省略)

(昭和二六年六月四日佐賀地方裁判所唐津支部)

(別紙)

全国の警察幹部諸君に訴う

全国の警察幹部諸君

朝鮮は偉大なる朝鮮人民の手によつて、やがて統一されようとしている。

反人民的勢力がいかにもがいても、どうにもならない、この厳然たる事実は、諸君も認めざるを得ないことと思う。このことは、常に全人民の幸福のためにたたかう、強大なる人民勢力は必ず勝利するということを示している。

日本人民は現在あまりにもみじめな生活を強いられている。労働者も勤人も低賃金と重税と物価高に苦しめられ農民は強制供出のために、自分で作つた米も食へない。街々にはこの寒空の下にねぐらもない浮浪者が群れパンパンがのさばつている。

日本人民の血税も物資も工場も輸送力もすべてが戦争のために使われ飢餓輸出をした代金では日本人の生活に必要なものは何一つ輸入できなくなつている。これが敗戦後六年の今日、われわれの祖国日本の現実の姿なのである。

これは外国帝国主義者と吉田売国政府が日本を軍事基地化し、日本人を植民地奴隷化して戦争のための政策をすすめているからである。

このようなことを続けるならば日本は必ず戦場となり、国土は破壊され、人民は外国の「傭兵肉弾」として公然と使われるであろう。

全国の警察幹部諸君

このような情勢のもとで、諸君は“国連協力”や“治安維持”などという美名でカモフラージユして人民の敵売国奴の手先きをして忠勤している。そして諸君は善良な下級警察官を追い立てて民族独立のためにたたかう勇敢な愛国者、労働者を弾圧している。祖国は今や重大な岐路に立たされているとき、諸君もまた二つの異なつた将来を約束されようとしている。

その一つは人民のために積極的に協力することについてである。われわれは日本人民の名においてこれらの諸君に対しては、警察幹部といえども、相当の地位の者までも含めて、将来最大限の寛容な待遇を与えることを断言する。

他の一つは、警備(情報)捜査、特務(特審局や外国機関の要員など)などの、特高活動をする者及び、労働者を弾圧し特に発砲やガス使用を命じるような幹部に対するものである。これに対しては、いかなる容捨も与えることはできない。われわれはこれらの一人一人を人民の敵として記憶し来るべき日において、最も峻烈なる人民の処罰を課するであろう。

全国の警察幹部諸君

諸君の進むべき道は明らかである。それは人民と共に自身をも含めてその利益のために斗かうということただ一つしかない。

そのために諸君は、外国帝国主義者や売国政府の命令をただちに拒否しなければならない。これらをたくみにさぼつて「民族独立のたたかい」に積極的に参加することこそ諸君に課せられた当面の任務である。

われわれは、進歩的な諸君の同僚の要請によつて諸君が日本人としてその自覚の一日も早からんこととその実践の最も勇敢なることを、ここにあらためて心から訴えるものである。

一九五一年三月

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