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函館地方裁判所 昭和55年(わ)10号 判決 1980年5月30日

本籍

北海道山越郡長万部町字長万部九四番地

住居

同郡同町字長万部八七番地

会社役員

北島忠義

昭和四年五月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官伊豆亮衛出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一、一〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、北海道山越郡長万部町字長万部八七番地において、鮮魚・食料品等を小売販売する「北島商店」を経営していたものであるが、所得税を免れようと企て、売上げ収入の一部を除外し簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、実際の総所得金額が三、八二七万二、八九五円であり、これに対する所得税額が一、六五九万九〇〇円であるのにかかわらず、同五二年三月一四日、同郡八雲町出雲町六〇番地所在の所轄八雲税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は六二七万四、〇六三円であり、これに対する所得税額は八七万四、〇〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって被告人の同事業年度の正規の所得税額と申告税額との差額一、五七一万六、九〇〇円の所得税を免れ

第二  同五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、実際の総所得額が四、一六一万九、二七一円であり、これに対する所得税額が一、八四〇万六、四〇〇円であるのにかかわらず、同五三年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は七七一万六、六三五円であり、これに対する所得税額は一二二万九、一〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって被告人の同事業年度の正規の所得税額と申告税額との差額一、七一七万七、三〇〇円の所得税を免れ

第三  同五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、実際の総所得金額が四、〇二〇万九、五八五円であり、これに対する所得税額が一、六〇六万二、〇〇〇円であるのにかかわらず、同五四年三月一四日、前記税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は七七一万五、五六八円であり、これに対する所得税額は一二二万三、七〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって被告人の同事業年度の正規の所得税額と申告税額との差額一、四八三万八、三〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(所得金額の確定内容は、別紙1、2、3の各修正貸借対照表の、税額計算は別紙4の各記載のとおりである。なお、別紙1の修正貸借対照表(昭和五一年度分)中の資産の部当期増減額欄の勘定科目<2>普通預金の上段と下段の金額が異なるのは、被告人が同五〇年一二月三一日現在の残高決算にあたり二五万円を過大に計上していたため、同五一年度の増減金額を確定するについてはこれをその他所得と認めるが、右二五万円については被告人にほ脱の犯意がないものと認め、犯則金額より除外認定したためである。)

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書二通

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一三通)

一、被告人作成の上申書(三通)

一、被告人ほか一名作成(昭和五四年六月二〇日付、同年七月一九日付)の答申書

一、千田健悦、北島カネノ、北島民治(四通)、坂田フミ、石原憲一、水谷澄子及び和気与五郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、千田健悦(昭和五四年六月七日付、同月八日付二通、同月一五日付、同年七月一八日付記録証第一二一号)、森井浩一郎、篠田進、三浦徹弥、北島栄治、橘洋、敦賀庄一ほか一名、佐々木かつ子ほか一名作成の各答申書

一、渡辺京、北島カネノ及び田中春雄作成の各上申書

一、金田幸一、大出年子及び有賀初雄(三通)作成の「取引内容照会に対する回答」と題する各書面

一、大蔵事務官石川喜代春作成の昭和五四年七月一八日付、同月二八日付、同月三〇日付、同月三一日付(八丁綴のもの)調査事績報告書

一、大蔵事務官清水修ほか三名作成の調査事績報告書

一、大蔵事務官藤田誠ほか三名作成の調査事積報告書

一、大蔵事務官山本二郎ほか三名作成の調査事績報告書

一、大蔵事務官三木田勝美ほか三名作成の調査事績報告書

一、大蔵事務官寺井四郎作成の昭和五四年八月一日付(三通、三丁綴、七丁綴、九丁綴のもの)、同月九日付(九丁綴のもの)、同月一〇日付、同月一四日付、同月二三日付(二四丁綴のもの)、同月二七日付、同年九月一八日付(二通)、同月二八日付各調査事績報告書

一、大蔵事務官石川喜代春ほか一名作成の昭和五四年八月一日付、同月一〇日付、同年九月一七日付調査事績報告書

一、大蔵事務官石川喜代春作成の「脱税額計算書」と題する書面(三通)

一、長万部信用金庫理事長、北海信用金庫寿都支店長、長万部漁業協同組合及び北洋相互銀行長万部支店長作成の「証明書」と題する各書面

一、押収してある所得税確定申告書綴一冊(昭和五五年押第一五号の一)、青色申告者書類つづり一冊(同号の二)簿外定期預金管理簿(同号の三)、売掛台帳二冊(同号の四、五)

判示第一及び第二の各事実につき

一、小鷹清作成の上申書

一、大蔵事務官石川喜代春ほか一名作成の昭和五四年八月八日付調査事績報告書

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官石川喜代春作成の昭和五四年四月二〇日付調査事績報告書

一、大蔵事務官寺井四郎作成の昭和五四年八月一七日付調査事績報告書

一、押収してある売上、仕入、経費帳(昭和五一年度分、前同号の六)

判示第二及び第三の各事実につき

一、松岡博及び小関津根の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、千田健悦作成の昭和五四年七月一八日付答申書(記録証第一一六号)

一、石倉宗及び菅原兼次の「取引内容照会に対する回答」と題する各書面

一、大蔵事務官寺井四郎作成の昭和五四年八月一日付(四丁綴のもの)、同月九日付(六丁綴のもの)調査事績報告書

一、大蔵事務官石川喜代春ほか一名作成の昭和五四年八月一日付調査事績報告書

判示第二の事実につき

一、住友信託銀行札幌支店長作成の「証明書」と題する書面

一、大蔵事務官石川喜代春作成の昭和五四年七月三一日付(記録証第三五号)調査事績報告書

一、大蔵事務官寺井四郎作成の昭和五四年八月一日付(二丁綴のもの)調査事績報告書

一、押収してある売上、仕入、経費帳一冊(昭和五二年度分、前同号の七)

判示第三の事実につき

一、被告人ほか一名作成の昭和五四年六月二一日付答申書

一、木村武治及び桑原伸吉作成の各答申書

一、青沼勝雄作成の上申書

一、大蔵事務官寺井四郎作成の昭和五四年八月二三日付(七丁綴のもの)調査事績報告書

一、大蔵事務官石川喜代春作成の昭和五四年七月二八日付、同月三一日付(記録証第三〇号)調査事績報告書

一、押収してある売上、仕入、経費帳一冊(昭和五三年度分、前同号の八)

(法令の適用)

被告人の判示各事実につき 所得税法二三八条

刑種の選択につき 懲役と罰金を併科

併合罪加重につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項

換刑処分につき 刑法一八条

刑の執行猶予につき 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 谷口敬一 裁判官 岡村稔 裁判官 小倉純夫)

別紙1

修正貸借対照表

北島忠義

(昭和51年12月31日現在)

<省略>

※ 当期増減金額欄の下段は各勘定科目の計上もれ額ならびに過大計上額を、上段(内)はそのうちの犯則金額をそれぞれ示す。

別紙2

修正貸借対照表

北島忠義

(昭和52年12月31日現在)

<省略>

別紙3

修正貸借対照表

北島忠義

(昭和53年12月31日現在)

<省略>

修正貸借対照表(つづき)

北島忠義

(昭和53年12月31日現在)

<省略>

※ △印は総所得金額を算出するために便宜上付したものである(損金分)。

別紙4

脱税額計算書

自昭和51年1月1日

至昭和51年12月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

脱税額計算書

自昭和52年1月1日

至昭和52年12月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

脱税額計算書

自昭和53年1月1日

至昭和53年12月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

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