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前橋地方裁判所 平成7年(行ウ)5号 判決 1998年8月28日

群馬県伊勢崎市曲輪町八番二一号

亡杉原久雄承継人

原告

杉原昌子

右同所

亡杉原久雄承継人

新井立子

同市同町二五番二二号

亡杉原久雄承継人

梅田令子

右三名法廷代理人

相続財産管理人

梅田令子

右訴訟代理人弁護士

小渕喜代治

群馬県伊勢崎市鹿島町五六二番一

被告

伊勢崎税務署長 下山保司

右指定代理人

清野正彦

須藤哲右

立花宜男

山畑昌子

瀧野嘉昭

吉田修

江口育夫

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  原告ら

1  被告が平成三年一二月二〇日付けで別表1「原処分」欄記載のとおりなした亡杉原英之助の

(一) 昭和六一年分及び昭和六二年分の所得税更正処分並びに昭和六三年分の所得税決定処分(ただし、いずれも平成七年六月二七日付け裁決により別紙1ないし3のとおり一部取り消された後のもの)のうち、別表1「確定申告」欄記載の総所得金額、納付すべき税額を超える部分

(二) 昭和六一年分及び昭和六二年分の重加算税賦課決定処分並びに昭和六三年分の無申告加算税賦課決定処分(ただし、いずれも平成七年六月二七日付け裁決により別紙1ないし3のとおり一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二事案の概要

本件は、被告がなした亡杉原英之助(以下英之助)という。)の昭和六一年分、昭和六二年分の所得税更正処分及び右両年分の重加算税賦課決定処分並びに昭和六三年分の所得税決定処分及び無申告加算税賦課決定処分(以下、右所得税更正処分及び所得税決定処分を「本件更正等処分」といい、同処分と右重加算税賦課決定処分及び無申告加算税賦課決定処分とを合わせて「本件課税処分」という。)について、原告らが、<1>英之助の相続人で事情を知らない亡杉原久雄(以下「久雄」という。)に対し、相続の承認・放棄の熟慮期間内に税務調査の結果が通知されず、久雄は、相続放棄の機会を奪われ、租税債務を承継しなければならなくなったのであり、本件課税処分は、憲法三〇条、八四条、三一条に反し、違法である、<2>本件課税処分は、久雄が単純承認したことを前提としているが,国税通則法五条の解釈を誤った違法があるし、本件課税処分は、久雄に相続税の課税価格を遥かに超越する所得税の負担を求めるものであり、久雄の生活を破綻させるから、憲法二九条に反し、違法であると主張して、裁決により一部取り消された後の本件課税処分の取消しを求める事案である。

一  争いのない事実等(括弧内に認定に用いた証拠を記載)

1  英之助は、昭和六三年一二月三〇日、八一歳で死亡したが、同人に子供はなく、両親は昭和三五年までに死亡し、妻も昭和五一年に死亡しており、相続人となるべき弟妹は、別紙相続関係図のとおり、久雄を含めて六人(以下「英之助法定相続人ら」という。)であった。

英之助は、かつて、旅客運送業であるつばめタクシー株式会社(以下「つばめタクシー」という。)を経営していたが、昭和四五年ころこれを末弟の久雄に譲り、自身は株式の売買等を行っていた。英之助は、不動産や有価証券等相当な資産を有しており、久雄と同一敷地内の別棟に一人で暮らしていた。

(甲二九、弁論の全趣旨)

2  英之助は、所得税の申告につき青色申告の承認を受けており、昭和六一年分及び昭和六二年分の所得税について、青色用紙を使用して別表1の「確定申告」欄記載のとおりの内容の確定申告をしたが、英之助法定相続人らは、英之助の昭和六三年分の所得税について確定申告をしなかった。

3  英之助法定相続人らは、平成元年六月二二日、英之助の遺産分割協議を成立させ、久雄が積極消極を含めて遺産の殆どを相続する旨及び将来判明した遺産(債務も含む。)も久雄が相続する旨の合意をし(以下「本件分割協議」という。)、久雄及び右遺産の一部を相続することとした杉原庸三は、税理士に相談の上、同月三〇日、英之助の遺産につき、取得財産の価額を三〇億七二五八万円余、債務及び葬式費用の金額を一八億三五五六万円余、久雄の納税すべき相続税額五億〇一六五万円余とする相続税の申告をし、久雄は同日、二億四一六五万円を納税し、その余については、平成二年六月二九日、延納許可を得た。久雄は、そのころ、英之助の遺産として相続した債務の整理のために、相続した預金を解約し、有価証券を多数売却した外、相続した遺産も自己名義に相続登記をした。

(甲一四~一八、二九)

4  その後、関東信越国税局の職員により英之助の相続に関する相続税及び英之助の昭和六〇年から六三年分の所得税について税務調査が実施され(以下「本件調査」という。)、久雄は、平成三年六月二六日、関東信越国税局の職員から英之助の延滞所得税七億五六五四万円に加算税、延滞税、市民税、県民税及び事業税の合計が一二億〇四四六万円となり、申告より一四億六三二五万円余増加すること、一方相続税については、財産が三六億八八四五万円余、債務等が二八億四二四五万円余で、相続税額が三億五八三一万円余となり、申告より一億四三三三万円少なくなること、及びこれらに従って修正申告及びその納税が必要である旨通告された。

そこで、英之助法定相続人らは、平成三年六月三〇日、本件分割協議が錯誤により無効である旨の確認書を作成し、同年七月二九日、前橋家庭裁判所に対し、弁護士を代理人として、英之助の相続に関する相続放棄申述書を提出し(平成三年(家)第三六八~三七四号)、同事件は家庭裁判書調査官による調査に付された。

(甲二一~二四、二九、三〇、弁論の全趣旨)

5  その後、被告は平成三年一二月二〇日、本件調査に基づき、英之助法定相続人らに対し、昭和六〇年分以後の英之助の青色申告承認取消処分をするとともに、別表1の「原処分」欄記載のとおり本件課税処分を行った。

久雄は、平成四年二月一三日、本件課税処分を不服として異議申立てをしたが、異議審理庁は、これをいずれも棄却する旨の決定をした。

久雄は、同年六月二日、国税不服審判所長に対して、なお原処分に不服があるとして、審査請求をしたが、国税不服審判所長は、平成七年六月二七日、本件課税処分の一部を別紙1ないし3のとおり取消す旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をし、右裁決は、同年七月六日、久雄に送達された。

(甲八、弁論の全趣旨)

6  その間、英之助法定相続人らは、前記相続放棄申述申立事件について、家庭裁判所から、久雄申立て分は要件について疑問があるとの指摘を受け、平成四年二月二五日、久雄申立て分については申立てを取下げ、その他の申立人ら分について申述を受理する旨の審判がされた。

(甲一~七、三〇、弁論の全趣旨)

7  久雄は、本訴提起後の平成九年一〇月三一日死亡し、原告らは、その相続人であるところ、平成一〇年四月二七日、前橋家庭裁判所に対し、限定承認の申述書を提出し、同年五月一九日申述を受理する旨及び原告梅田令子を相続財産管理人に選任する旨の審判がされた。

8  本件課税処分の根拠は別紙4「課税根拠」のとおりである。

(甲八、弁論の全趣旨)

二  争点

1  本件課税処分の違法<1>(本件調査の違法に起因する取消事由)

(一) 原告らの主張

(1) 久雄が英之助を相続し、相続財産を処分した理由

久雄は英之助の末弟であったが、英之助が営んでいたつばめタクシーの経営を引き継ぐ等しており、英之助法定相続人らの中で一番英之助に近い立場にあったため、とりあえず英之助の遺産を相続し、債権債務の整理をすることとし、税理士に依頼して、英之助の遺産を調査し、英之助の積極財産、消極財産及び相続税額を確認の上、英之助の殆ど全ての遺産を自己が相続する旨の本件分割協議を成立させた。

そして、久雄は、英之助の債務の遺産に属した定期預金を解約して払戻しを受けたり、株式を売却するなどして、相続税を納め、英之助の整理に着手した(以下「本件処分行為」という。)

(2) 脱税債務の判明と本件分割協議の錯誤等

その後、本件調査が実施され、英之助の昭和六〇年ないし昭和六三年の所得税の本税及び加算税等多額の納税債務がある旨久雄に通告された。

久雄が英之助を相続したのは、英之助の債務が一八億三二一三万円余で、差引純資産が一二億三七〇一万円余であることを前提としたものであり、もし、右のような英之助の脱税債務まで承継しなければならないのであれば、英之助を相続することはなかったし、本件分割協議や本件処分行為をすることもなかった。

したがって、久雄が本件分割協議の実行としてなした本件処分行為は、要素の錯誤に基づくものとして無効であり、民法九二一条一号の「処分」にはあたらない。

また、久雄は、本件調査の結果を通告されるまで英之助の遺産の全容を把握していなかったのであるから、それまでに行った本件処分行為は、民法九二一条一号の「処分」というに必要な「自己のために相続が開始した事実を知りながら処分した」という要件を充たさない。よって、同号の「処分」にはあたらない。

(3) 相続放棄申述と取下げ

久雄を含む英之助法定相続人らのなした英之助の相続放棄の申述に対し、前橋家庭裁判所は、久雄による定期預金の解約・払戻し等の遺産の処分行為が、民法九二一条一号(相続財産の全部又は一部の処分)所定の法定単純承認に該当し、相続放棄は認められないとの見解を示した。

久雄らは、前記(1)・(2)のような事情をあげてこれに反論したが、裁判所はこれを受け入れず、そのままでは久雄以外の法定相続人らまで相続放棄の申述が受理されないおそれが生じたため、久雄は、平成四年二月二五日、やむなく申述を取り下げた。

(4) 本件課税処分の違法性

右に述べたとおり、本件調査の結果通知が相続の承認・放棄の熟慮期間内になされず、熟慮期間終了後二年も経過した後に至って初めてなされたために、久雄は、相続放棄をする機会を奪われ、多額の脱税債務を負担しなければならなくなったのである。

このような税務調査に基づく本件課税処分は、憲法三〇条、八四条、三一条に反するとともに、信義則に反する違法なものであり、取り消されるべきである。

(二) 被告の主張

(1) 税務署長は、申告された課税標準等又は税務等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他その課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正することができ(国税通則法二四条)、また、納税申告書を提出する義務があると認められる者が当該申告書を提出しなかった場合には、その調査により、当該申告書に係る課税標準等及び税額等を決定することができる(同法二五条)。国税の更正は、原則として同法七〇条一項各号に掲げる期限又は日から三年を経過した日以後においてはすることができないが(同法七〇条一項)、偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等についての更正は、同条五項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、当該各号に掲げる期限又は日から七年を経過する日まですることができるのであるから(同条五項)、税務署長は、当然右の更正期限内においては当該国税についての調査権限を有することとなる。また、国税の決定は、その他に係る国税の法定申告期限から五年を経過した日まではすることができるのであるから(同条三項)、税務署長は、当然右決定期限内においては当該国税について調査権限を有することとなる。

右のとおり、国税に係る更正及び決定をすることができる期間等については、国税通則法により一義的に定められており、熟慮期間内になされなければならないという規定は存在しない。

そして、実質的に見ても、国税通則法が通常の国税の調査に要する期間、納税者の不利益等種々の配慮から調査期間等を定めているにもかかわらず、相続人が「自己のために相続の開始があったことを知ったときから三ヶ月以内」(民法九一五条一項本文)に国税に係る更正又は決定をしなければならないとすると、その期間が極めて短期かつ相続人の主観的事情によって左右される期間であるだけに極めて不当である。

更に言えば、仮に被相続人の租税債務が確定しない等の事態が生じた場合であっても、熟慮期間の起算点の解釈又は家庭裁判所による熟慮期間の伸長によって相続固有の場合において解決されるべき事柄であって、明文により一義的に規定されている税務署長の更正又は決定に係る権限行使の期間に限定を加えたり、更正期間や決定期間内に当然に許容されるべき税務調査権限に制約を加えることによって解決を図るべき事柄ではない。

(2) また、相続があった場合には、相続人は、被相続人に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継するものとされ(国税通則法五条一項本文)、相続人は被相続人(居住者)が年の中途に死亡した場合、その者のその年分の所得税について、相続があったことを知った日の翌日から四月を経過した日の前日までに、税務署長に申告書を提出しなければならないとされている(所得税法一二五条一項)。したがって、右制度に鑑みても、相続人には、被相続人の租税債務の内容・額等を調査・把握すべき義務が存しており、久雄も、右調査を尽くせば、英之助に係る租税債務の内容、額等をおおよそ把握すること及び英之助の相続財産の処分を回避することは可能であったと考えられる。

なお、久雄は、<1>英之助が生前株式取引をしていたこと、<2>その証券会社の商号及び<3>英之助が六三年度の所得税申告をしていないことを知っており、英之助の死亡前にも、英之助に帰属する株式等の取引を行ったり、英之助の多額な銀行預金を引き下ろしたりしていた。

(3) 原告らは、本件課税処分の信義則違反を主張するが、租税法律関係においては、租税法律主義の原則が貫かれるべきであり、納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお納税者の信頼を保護しなければ正義に反するという特別な事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきである。

そして、特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼して行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったかどうか、信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠といわなければならない。

本件には右のような特別な事情は存在せず、信義則違反の適用はない。

2  本件課税処分の違法<2>(本件課税処分の憲法違反等)

(一) 原告らの主張

本件課税処分は、久雄の遺産の一部処分による民法九二一条一号該当を理由とする法定単純承認を前提としている。しかしながら、前記1(一)(二)のとおり、久雄の行為は同号に該当しないのであるから、国税通則法五条一項の相続人には該当しない。したがって、法定単純承認を前提とする本件課税処分は、久雄に相続税以上の所得税を負担させ、久雄の生活を破綻させるものであるから、国税通則法五条の解釈を誤った違法があり、さらに、財産権の保障を定める憲法二九条、適正な法によってのみ課税されることを保障する憲法三〇条、三一条、八四条に反しており、取り消されるべきである。

(二) 被告の主張

(1) 原告らが取消しを求めている処分は、租税確定手続としての本件課税処分であり、租税徴収手続としての処分ではないから、徴収手続の違法を理由として課税処分の取消しを求める趣旨であるならば、失当である。

(2) 久雄は、相続の単純承認をしたと見なされるから、国税通則法五条一項の承継人に該当する。すなわち、仮に、本件分割合意及び本件処分行為が錯誤に基づくものであったとしても、久雄が相続放棄か限定承認をしない限り、熟慮期間の経過によって単純承認をしたとみなされる。(同条二号)。久雄は、相続放棄の申述を取り下げており、久雄が英之助の納税義務を承継することは明らかであり、本件課税処分に違法は存しない。

また、相続人の承継する所得税額を相続税額に止めなければならない旨の法的根拠も合理性もないばかりか、そもそも本件課税処分がなされたのは、英之助が不適法な申告をし、又は相続人らにおいてなすべき申告をしなかった結果に過ぎないのであるから、本件課税処分に違法はない。

第三当裁判所の判断

一  争点1(本件調査の違法に起因する本件課税処分の違法)について

1  原告らは、本件調査の結果の通知が相続の承認・放棄の熟慮期間内になされなかったために、久雄が相続放棄をする機会を失ったとして、それが本件課税処分の取消事由(憲法三〇条、八四条、三一条違反等)となる旨主張する。

2  そこで、租税法律主義(憲法八四条、三〇条)の見地から、まず、租税確定手続についての主要な法源であり国税の確定に関する基本的事項を定めた国税通則法の規定内容をみるに、<1>納税義務者が死亡した場合、その租税債務に関する調査を、その相続人の相続の承認・放棄の熟慮期間内に終えなければならないとの規定は存在しない(税務署長の更正処分と決定処分(以下「更正又は決定」という。)について定めた同法二四条及び二五条は、「その調査により」更正又は決定を行う旨規定しているに過ぎず、更正又は決定の手続を定めた同法二八条も、税務署長による更正通知書又は決定通知書の送達の時期を限っていない)のみならず、<2>却って、同法は、租税法上の法律関係の早期安定にも配慮して、国税の更正についての排斥期間を法定申告期限から二年間(七〇条一項)、国税の決定についての排斥期間を法定申告期限から五年間(同条三項)、偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れる等した場合の除斥期間を各法定申告期限から七年間(同条五項)と一律に定め、右除斥期間内においては、更正又は決定のための調査を行いうることを当然の前提にしていると解されるのである。

この他、所得税等の納税義務者が死亡した場合に、その相続人に係る相続の承認・放棄の熟慮期間内に税務調査を終え、その結果を通知しなければならないという明文規定は現行法上見当たらない。

そして、課税庁には、法律で定められたとおりの税額を徴収する義務がある(租税法律主義の一内容である合法性の原則)ことから、被告としては、除斥期間等の問題がない以上、英之助の所得税に関する課税要件に関して調査を行い、適正な税額を確定しなければならなかったと言える。してみれば、本件課税処分は法律に従ってなされているものであり、憲法三〇条、八四条、三一条に反するということはできない。

3  ところで、一般の納税者の平等・公平という要請を犠牲にしてもなお当該納税者の信頼を保護しなければ正義に反するという特段の事情が存する場合には、個別的救済の法理としての信義則ないし禁反言の法理の適用を認めるのが相当であるところ、原告らは、本件調査の結果の通知が相続の承認・放棄の熟慮期間にされなかったことが、結果的に久雄の相続の放棄あるいは限定承認の機会を奪ったのであり、そのような課税処分は許されないと主張するので、本件課税処分に信義則に反する特段の事情があるか検討する。

この点については、まず、相続の承認・放棄の熟慮期間は、相続人が、承認するか、放棄するか等を決定するために、相続財産の状態、積極・消極財産の調査をなすために与えられている猶予期間であるから、債務状況等の相続財産の内容の調査は、熟慮期間中に相続人において行うべきであるところ、本件においては、まさに久雄が、英之助の租税債務の滞納状況を含めた相続財産の内容を調査すべき立場にあったものである。また、右熟慮期間は、相続人が数人ある場合には、各相続人が自己のために相続が開始したことを覚知したときから、各別に進行するものであって、個々の相続人の主観的事情に左右される極めて不明確な期間であるから、このような期間を税務調査手続の期間的制約として設定することは、事務処理の画一性、公平性が要求され、大量の事務処理が予定される租税行政に無用の混乱・負担を来す結果となり、妥当ではない。

これらの点を考慮すれば、本件調査が右熟慮期間になされなかったことをもって、本件課税処分に信義則に反する特段の事情があったということはできない。

4  以上のとおりであり、原告らの争点1についての主張には理由がない。

二  争点2(本件課税処分の憲法違反等)について

原告らは、久雄に相続税額以上の所得税を負担させる本件課税処分は、国税通則法五条一項の解釈を誤ったものであり、憲法二九条等に反すると主張する。

しかしながら、本件では、既に判示のとおり、英之助法定相続人らは、英之助の相続について前橋家庭裁判所に相続放棄の申述をし、久雄以外の者についてはこれが受理されたが、久雄は、申述を取り下げ、単独の相続人となったものであり、久雄は英之助の納税義務を承継すると言わざるを得ない。

これに対し、原告らは、久雄の本件処分行為は錯誤に基づくものであり、民法九二一条一号に該当せず、また、久雄の相続放棄の申述の取下げは、前記裁判所の勧告の結果やむなく行ったものであるから、久雄は国税通則法五条一項の相続人に当たらないと主張する。しかし、相続放棄は、その申述の受理が家事審判事項とされ、家庭裁判所による右申述の受理によってのみすることができ、右申述の受理を申し立て、これを却下された者は、家事審判法及び同規則の定めるところにより即時抗告によってのみこれを争うことができるものとされている。原告らの主張する本件処分行為が錯誤に基づくものである等の点は、右相続放棄の申述受理の審判手続において(申し立てが却下された場合にはその不服申立てをして)主張すべきものであり、右事由をもって本件課税処分の違法を主張することはできない。久雄は、自ら相続放棄の申述を取り下げ、申述受理の審判を求めることを断念しているのであるから、英之助の相続人としての立場を拒否することはできない。このことは、右取下げが家庭裁判所の勧告によりなされたとしても異なるところはない。

また、英之助の承継人たる久雄に対してなされる本件課税処分が、久雄の納める相続税額に限定されなければならないとの点については、そのような限定は現行法上何らの根拠がなく、租税実体法に定められた課税要件が適法に確定された以上、当該納税義務者の相続人に対し、相続税額を超える租税債務を承継させても、憲法二九条により保障された財産権を侵害することはないし、憲法三〇条、三一条、八四条に反することのないことは言うまでもない。

以上のとおりであるから、原告らの争点2についての主張も理由がない。

四  結論

以上の事実によれば、原告らの本訴請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田村洋三 裁判官 舘内比佐志 裁判官 北岡久美子)

別表1

<省略>

別紙1

「取消額等計算書」

(昭和61年分申告所得税)

1 この裁決により取り消す税額

<省略>

2 課税標準等及び税額等の計算

<省略>

別紙2

「取消額等計算書」

(昭和62年分申告所得税)

1 この裁決により取り消す税額

<省略>

2 課税標準等及び税額等の計算

<省略>

別紙3

「取消額等計算書」

(昭和63年分申告所得税)

1 この裁決により取り消す税額

<省略>

2 課税標準等及び税額等の計算

<省略>

別紙4 課税根拠

1 本件更正等処分の課税根拠

(一) 英之助の昭和六一年分の総所得金額二億七五二六万二四七六円、納付すべき税額一億七三二五万五五〇〇円の算出根拠は、次のとおりである(別表一の昭和六一年分参照)。

(1) 総所得金額 二億七五二六万二四七六円

次の<1>ないし<5>の合計額である。

<1> 事業所得の金額 二億四〇八二万五六六九円

事業所得の金額は、次のⅠ(有価証券の売買損益)からⅡ(必要経費)を差し引いた金額である。

Ⅰ 有価証券の売買損益 三億五一一四万七一七〇円

次のイの原価判明の現物取引売買損益、ロの原価不明の現物取引売買損益、ハの信用取引売買損益、ニの転換社債・ワラント債(以下「転換社債等」という。)売買損益の合計額である。

イ 原価判明の現物取引売買損益 四〇三九万六九〇八円

原価が判明する株式の譲渡による売買損益の内訳明細は、別表二の昭和六一年分のとおりである。

ロ 原価不明の現物取引売買損益 二億七六一〇万〇一一八円

原価が不明な株式の譲渡による売買損益の内訳明細は、別表三の昭和六一年分のとおりである。原価が不明な株式の取得価額の推計方法は、後記(四)のとおりである(昭和六二年分及び昭和六三年分についても同様である。)。

ハ 信用取引売買損益 二七二九万〇七一一円

信用取引による株式の売買損益の内訳明細は、別表六の一のとおりである。

ニ 転換社債等の売買損益 七三五万九四三三円

転換社債等の売買損益の内訳明細は、別表七の昭和六一年分のとおりである。

Ⅱ 必要経費 一億一〇三二万一五〇一円

事業所得に係る必要経費は、英之助が申告した支払利息一億〇〇七〇万七七八六円とその他の経費九六一万三七一五円との合計額である。

<2> 不動産所得の金額 四一四万三六〇〇円

不動産所得の金額は、次のⅠの収入金額からⅡの必要経費を差し引いた金額である。

Ⅰ 収入金額 七九八万八〇〇〇円

収入金額の内訳明細は、別表九の昭和六一年分のとおりである。

Ⅱ 必要経費 三八四万四四〇〇円

必要経費は、英之助の申告額である。

<3> 利子所得の金額 八五七万五四九一円

利子所得の金額の内訳明細は、別表一〇の一のとおりである。

英之助の定期預金及び転換社債の受取利息に係る利子所得は、確定申告を要しない利子所得ではなく(租税特別措置法三条の二・昭和六〇年法律第七号による改正後のもの。)、また、英之助の右受取利息は、所得税法一八二条の税率百分の二〇の適用を受けたものであることから、総所得金額に算入すべき利子所得(所得税法二三条)の金額とされる。

<4> 配当所得の金額 二一二一万九〇三六円

配当所得の金額の内訳明細は、別表一一の昭和六一年分のとおりである。

<5> 雑所得の金額 四九万八六八〇円

雑所得の金額の内訳明細は、別表一二の昭和六一年分のとおりであり、英之助のつばめタクシーに対する貸付金の受取利息収入に係る所得である。

(2) 所得控除 六九万五〇〇〇円

所得控除の金額は、英之助が申告した社会保険料控除三五万円(所得税法七四条)、損害保険料控除一万五〇〇〇円(支払保険料の額八万四〇四〇円、同法七七条)及び基礎控除三三万円(同法八六条)の合計額である。

(3) 課税所得金額(課税総所得金額分) 二億七四五六万七〇〇〇円

課税所得金額は、(1)の総所得金額から(2)の所得控除を控除し、更に国税通則法一一八条(国税の課税標準の端数計算等)一項による千円未満の端数を切り捨てた金額である。

(4) 算出税額(課税総所得金額分) 一億八〇二七万五四〇〇円

課税所得金額(課税総所得金額分)に対する税額は、(3)の課税総所得金額に所得税法八九条(税率、昭和五九年法律第五号による改正後のもの。)を適用して算出したものであり、その計算内訳は、別表一四の一の昭和六一年分のとおりである。

(5) 税額控除(配当控除) 一〇六万〇九五〇円

(4)の算出税額から控除される配当控除の金額は、所得税法九二条(配当控除)に基づき、(1)の<4>の配当所得の金額に百分の五を乗じて計算した金額である。

(6) 差引所得税額 一億七九二一万四四五〇円

差引所得税額は、(4)の算出税額(課税総所得金額分)から(5)の税額控除(配当控除)を差し引いた金額である。

(7) 源泉徴収税額 五九五万八八七九円

(6)の差引所得税額から差し引かれる源泉徴収税額(所得税法一二〇条一項五号に基づくもの。)は、(1)の<3>の利子所得に係る源泉徴収税額一七一万五〇八六円(別表一〇の一)及び(1)の<4>の配当所得に係る源泉徴収税額四二四万三七九三円(別表一一の昭和六一年分)の合計額である。

(8) 納付すべき税額 一億七三二五万五五〇〇円

納付すべき税額は、(6)の差引所得税額から(7)の源泉徴収税額を差し引いて、更に国税通則法一一九条(国税の確定金額の端数計算等)一項による百円未満の端数を切り捨てた金額である。

(二) 英之助の昭和六二年分の総所得金額一億七九三九万七三二三円、分離短期譲渡所得金額一二八万九五二〇円及び納付すべき税額九四二九万四五〇〇円の算出根拠は、次のとおりである(別表一の昭和六二年分参照)。

(1)の1 総所得金額 一億七九三九万七三二三円

次の<1>ないし<5>の合計額である。

<1> 事業所得の金額 一億四二五〇万九七〇一円

事業所得の金額は、次のⅠ(有価証券の売買損益)からⅡ(必要経費)を差し引いた金額である。

Ⅰ 有価証券の売買損益 二億四三三七万一八一五円

次のイの原価判明の現物取引売買損益、ロの原価不明の現物取引売買損益、ハの信用取引売買損益及びニの転換社債等売買損益の合計額である。

イ 原価判明の現物取引売買損益 △三四八四万〇二一五円

原価が判明する株式の譲渡による売買損益の内訳明細は、別表二の昭和六二年分のとおりである。

ロ 原価不明の現物取引売買損益 二億二一二四万二七七九円

原価が不明な株式の譲渡による売買損益の内訳明細は、別表三の昭和六二年分のとおりである。

ハ 信用取引売買損益 四四五二万四七六六円

信用取引による株式の売買損益の内訳明細は、別表六の二のとおりである。

ニ 転換社債等の売買損益 一二四四万四四八五円

転換社債等の売買損益の内訳明細は、別表七の昭和六二年分のとおりである。

Ⅱ 必要経費 一億〇〇八六万二一一四円

事業所得に係る必要経費は、英之助が申告した支払利息九一八一万六〇三三円とその他の経費九〇四万六〇八一円との合計額である。

<2> 不動産所得の金額 四七二万六六三〇円

不動産所得の金額は、次のⅠの収入金額からⅡの必要経費を差し引いた金額である。

Ⅰ 収入金額 六七八万九〇〇〇円

収入金額の内訳明細は、別表九の昭和六二年分のとおりである。

Ⅱ 必要経費 二〇六万二三七〇円

必要経費は、英之助の申告額である。

<3> 利子所得の金額 七五九万八六三六円

利子所得の金額の内訳明細は、別表一〇の二のとおりである。

英之助の定期預金及び転換社債の受取利息に係る利子所得が総所得金額に算入すべき利子所得となる理由は、昭和六一年分で述べた理由と同様。

<4> 配当所得の金額 一九五三万四六二五円

配当所得の金額の内訳明細は、別表一一の昭和六二年分のとおりである。

<5> 雑所得の金額 五〇二万七七三一円

雑所得の金額の内訳明細は、別表一二の昭和六二年分のとおりであり、英之助のつばめタクシーに対する貸付金の受取利息収入に係る所得である。

(1)の2 分離短期譲渡所得金額 一二八万九五二〇円

分離短期譲渡所得金額は、英之助の申告した英之助が<1>群馬県佐波郡東村大字国定見取六三五番地の四所在の宅地(二三一・四平方メートル)を黒崎広治に譲渡したことによる所得及び<2>右<1>と同所六三五番地の五所在の宅地(三六五・九八平方メートル)を吉澤好孝に譲渡したことによる所得の合計額である。

(2) 所得控除 七三万一〇〇〇円

所得控除の金額は、英之助が申告した社会保険料控除三八万六〇〇〇円(所得税法七四条)、損害保険料控除一万五〇〇〇円(支払保険料の額八万四〇四〇円、同法七七条)及び基礎控除三三万円(同法八六条)の合計額である。

(3) 課税所得金額

<1> 課税総所得金額分 一億七八六六万六〇〇〇円

課税所得金額は、(1)の1の総所得金額から(2)の所得控除を控除し、更に国税通則法一一八条一項による千円未満の端数を切り捨てた金額である。

<2> 分離短期譲渡所得金額分 一二八万九〇〇〇円

昭和六二年分の課税所得金額のうちの分離短期譲渡所得金額は、一二八万九〇〇〇円であり、(1)の2の分離短期譲渡所得金額一二八万九五二〇円から国税通則法一一八条一項によって千円未満の端数を切り捨てた金額である。

(4) 算出税額(合計) 一億〇〇六九万七八四〇円

算出税額は、次の<1>の課税総所得金額に対する税額<2>の分離短期譲渡所得金額に対する税額との合計額である。

<1> 課税総所得金額に対する税額 一億〇〇一七万七一〇〇円

課税総所得金額に対する税額は、(3)の<1>の課税総所得金額に所得税法八九条(税率、昭和六二年法律第九六号による改正後のもの。)を適用して算出したものであり、その計算内訳は、別表一四の一の昭和六二年分のとおりである。

<2> 分離短期譲渡所得金額に対する税額 五二万〇七四〇円

分離短期譲渡所得金額に対する税額は、租税特別措置法三二条(短期譲渡所得の課税の特例)を適用しての計算であり、その算出は別表一四の二の昭和六二年分のとおりである。

(5) 税額控除(配当控除) 九七万六七三一円

(4)の算出税額から控除される配当控除の金額は、所得税法九二条(配当控除)に基づき、(1)の1の<4>の配当所得の金額に百分の五を乗じて計算した金額である。

(6) 差引所得税額 九九七二万一一〇九円

差引所得税額は、(4)の算出税額(合計)から(5)の税額控除(配当控除)を差し引いた金額である。

(7) 源泉徴収税額 五四二万六五七五円

(6)の差引所得税額から差し引かれる源泉徴収税額は、(1)の1の<3>の利子所得に係る源泉徴収税額一五一万九六六六円(別表一〇の二)及び(1)の1の<4>の配当所得に係る源泉徴収税額三九〇万六九〇九円(別表一一の昭和六二年分)の合計額である。

(8) 納付すべき税額 九四二九万四五〇〇円

納付すべき税額は、(6)の差引所得税額から(7)の源泉徴収税額を差し引いて、更に国税通則法一一九条一項による百円未満の端数を切り捨てた金額である。

(三) 英之助の昭和六三年分の総所得金額八億〇〇九二万九二六六円、分離短期譲渡所得金額一一万一六五四円、分離長期譲渡所得金額一七二五万八五三一円及び納付すべき税額四億六九四九万二一〇〇円の算出根拠は、次のとおりである(別表一の昭和六三年分参照)。

(1)の1 総所得金額 八億〇〇九二万九二六六円

次の<1>ないし<5>の合計額である。

<1> 事業所得の金額 六億九七六二万六九四一円

事業所得の金額は、次のⅠ(有価証券の売買損益)からⅡ(必要経費)を差し引いた金額である。

Ⅰ 有価証券の売買損益 八億〇七七九万二〇三五円

次のイの原価判明の現物取引売買損益、ロの原価不明の現物取引売買損益、ハの信用取引売買損益及びニの転換社債等売買損益の合計額である。

イ 原価判明の現物取引売買損益 二億三三六七万一〇八八円

原価が判明する株式の譲渡による売買損益の内訳明細は、別表二の昭和六三年分のとおりである。

ロ 原価不明の現物取引売買損益 五億六七六八万九八九一円

原価が不明な株式の譲渡による売買損益の内訳明細は、別表三の昭和六三年分のとおりである。

ハ 信用取引売買損益 一一八万八四二八円

信用取引による株式の売買損益の内訳明細は、別表六の三のとおりである。

ニ 転換社債等の売買損益 五二四万二六二八円

転換社債等の売買損益の内訳明細は、別表七の昭和六三年分のとおりである。

Ⅱ 必要経費 一億一〇一六万五〇九四円

事業所得に係る必要経費は、支払利息一億〇一一一万九一〇三円(内訳明細は別表八の一ないし同八の五のとおり)とその他の経費九〇四万六〇八一円(準確定申告書等の提出が無いため、昭和六二年分と同額とした)の合計額である。

<2> 不動産所得の金額 六四〇万八六三〇円

不動産所得の金額は、次のⅠの収入金額からⅡの必要経費を差し引いた金額である。

Ⅰ 収入金額 八四七万一〇〇〇円

収入金額の内訳明細は、別表九の昭和六三年分のとおりである。

Ⅱ 必要経費 二〇六万二三七〇円

必要経費は、準確定申告書等の提出が無いため、昭和六二年分と同額とした。

<3> 利子所得の金額 四六八万九七八〇円

利子所得の金額の内訳明細は、別表一〇の三のとおりである。

英之助の昭和六三年三月三一日以前に支払を受けるべき定期預金及び転換社債の受取利息に係る利子所得が総所得金額に算入すべき利子所得となる理由は、昭和六一年分で述べた理由と同様。

また、昭和六二年法律第九六号による改正後の租税特別措置法三条において、昭和六三年四月一日以後に支払を受けるべき利子等については、他の所得と区分し、その支払を受けるべき金額に対して二〇パーセントの税率(うち五パーセントは地方税分)で所得税が源泉徴収されることにより課税関係が終了する(源泉分離課税)こととなったが、昭和六三年四月一日前に支払を受けるべきものは、同法附則四〇条により従前の例(総合課税)によることとされている。その計算は、別表一〇の二のとおりである。

<4> 配当所得の金額 一七一四万八二六八円

配当所得の金額の内訳明細は、別表一一の昭和六三年分のとおりである。

<5> 雑所得の金額 七五〇五万五六四七円

雑所得の金額の内訳明細は、別表一二の昭和六三年分のとおりであり、英之助のつばめタクシーに対する貸付金の受取利息収入に係る所得である。

(1)の2 分離短期譲渡所得金額 一一万一六五四円

分離短期譲渡所得金額は、英之助が群馬県佐波郡東村大字国定見取六三五番地の一所在の畑(一〇四〇平方メートル)を小比木茂乃に一二九三万四二〇〇円で譲渡したことによる所得(租税特別措置法三二条を適用しての計算)であり、その内訳明細は別表一三の一のとおりである。

必要経費となるべき譲渡に要した費用のうちの仲介手数料が不明なため、宅地建物取引業法に基づき建設大臣が定めた報酬の限度額(昭和四五年建設省告示第一五五二号)の最高報酬限度額四四万八〇二六円を仲介手数料として算入した。

(1)の3 分離長期譲渡所得金額 一七二五万八五三一円

分離長期譲渡所得金額は、英之助が伊勢崎市長沼町字己ノ居帰一九一〇番地の一ほか二筆の宅地(一七〇五・二一平方メートル)及び同所上の建物を株式会社長建産業に総額四八〇〇万円で譲渡したことによる所得(租税特別措置法三一条を適用しての計算)であり、その内訳明細は別表一三の一のとおりである。

必要経費となるべき譲渡に要した費用のうちの仲介手数料が不明なため、宅地建物取引業法に基づき建設大臣が定めた報酬の限度額(昭和四五年建設省告示第一五五二号)の最高報酬限度額一五〇万円を仲介手数料として算入し、また、当該土地建物の譲渡による所得は、税率の低い分離長期譲渡所得として計算した(右建物の譲渡は、租税特別措置法三一条の分離短期譲渡所得の譲渡に該当するものであるが、譲渡建物の取得費三二〇万七九五〇円を譲渡価額とみなし、建物の譲渡による分離短期譲渡所得が生じなかったものと計算した。別表一三の一及び同三参照)。

(2) 所得控除 七三万一〇〇〇円

所得控除の金額は、昭和六二年分の申告額と同じである。

(3) 課税所得金額

<1> 課税総所得金額分 八億〇〇一九万八〇〇〇円

課税総所得金額は、(1)の1の総所得金額から(2)の所得控除を控除し、更に国税通則法一一八条一項による千円未満の端数を切り捨てた金額である。

<2> 分離短期譲渡所得金額分 一一万一〇〇〇円

分離短期譲渡所得金額は、(1)の2の分離短期譲渡所得金額から国税通則法一一八条一項によって千円未満の端数を切り捨てた金額である。

<3> 分離長期譲渡所得金額分 一七二五万八〇〇〇円

分離長期譲渡所得金額は、(1)の3の分離長期譲渡所得金額から国税通則法一一八条一項によって千円未満の端数を切り捨てた金額である。

(4) 算出税額(合計)四億七四七一万四八〇〇円

算出税額は、次の<1>の課税総所得金額に対する税額、<2>の分離短期譲渡所得金額に対する税額及び<3>の分離長期譲渡所得金額に対する税額との合計額である。

<1> 課税総所得金額に対する税額 四億七一二一万八八〇〇円

課税総所得金額に対する税額は、(3)の<1>の課税総所得金額に昭和六三年分の所得税の臨時特例に関する法律(昭和六三年法律第八五号)に規定する税率を適用して算出したものであり、その計算内訳は、別表一四の一の昭和六三年分のとおりである。

<2> 分離短期譲渡所得金額に対する税額 四万四四〇〇円

分離短期譲渡所得金額に対する税額は、租税特別措置法三二条を適用しての計算であり、その算出は別表一四の二の昭和六三年分のとおりである。

<3> 分離長期譲渡所得金額に対する税額 三四五万一六〇〇円

分離短期譲渡所得金額に対する税額は、租税特別措置法三一条を適用しての計算であり、その算出は別表一四の二の昭和六三年分のとおりである。

(5) 税額控除(配当控除) 八五万七四一三円

(4)の算出税額から控除される配当控除の金額は、所得税法九二条(配当控除)に基づき、(1)の1の<4>の配当所得の金額に百分の五を乗じて計算した金額である。

(6) 差引所得税額 四億七三八五万七三八七円

差引所得税額は、(4)の算出税額(合計)から(5)の税額控除(配当控除)を差し引いた金額である。

(7) 源泉徴収税額 四三六万五二五〇円

(6)の差引所得税額から差し引かれる源泉徴収税額は、(1)の1の<3>の利子所得に係る源泉徴収税額九三万七九四八円(別表一〇の三)及び(1)の1の<4>の配当所得に係る源泉徴収税額三四二万七三〇二円(別表一一の昭和六三年分)の合計額である。

(8) 納付すべき税額 四億六九四九万二一〇〇円

納付すべき税額は、(6)の差引所得税額から(7)の源泉徴収税額を差し引いて、更に国税通則法一一九条一項による百円未満の端数を切り捨てた金額である。

(四) 原価不明株式の取得価額の推計方法

英之助の行っていた上場株式の現物取引のうち、昭和五七年以前に取得した株式については、各証券会社に英之助の取得価額を明らかにする顧客勘定元帳の保存がないため(但し、日本証券伊勢崎支店は昭和五七年分が、水戸証券高崎支店は昭和五七年一〇月分以降がそれぞれ判明している。)、その原価を推計し、売買損益を算定したものであり、その原価推計方法は、次のとおりである。

(1) 各株式の保有数量の特定方法

英之助の所有していた原価不明株式の昭和五六年ないし六二年における持株数は、別表五のとおりである。

なお、別表五の株数は、英之助が被告に提出した昭和五八年ないし六二年分の所得税の確定申告書に添付された配当所得の内訳書に記載されていた各株式の株数及び配当金に係る支払調書(所得税法二二五条)から割り出したものである。

(2) 各株式の取得時期の特定方法

<1> 端株からの取得時期の特定

上場株式の取引単位は、通常一〇〇〇株であり(但し、東京電力の一〇〇株、日本電信電話の一株等の例外がある。)、また、有償増資、中間時価発行(額面と時価の間の価額で新株の発行価額が決められるもの。)及び無償増資(以下、これらを併せて「無償増資等」という。)は、所有する株数に応じて割当株数が決まり、無償増資等が行われた場合、取引単位一〇〇〇株未満の端株が生じる。

そこで、英之助の所有していた各株式の端株数から、無償増資等によって生じた端株の特定が可能となり(無償増資等による増加株を順次計算して取引を遡り、単位未満が無くなるまで計算)、その取得時期は、当該無償増資等とその直前の無償増資等(新株の割当日が経過した株価は「新株落ち」と称される。)の間であると推認できる。

また、上場株式の名義書換は、利益配当(確定決算に基づくもの。)及び中間配当を失念しないようになされる(三月三一日決算の会社にあっては、通常三月二六日までに取得しないと利益配当が受けられなくなり、三月二七日の株価は「配当落ち」と呼ばれ、同日決算会社の「新株落ち」も同日である。以下、「配当落ち」及び「新株落ち」を「配当落ち等」という。)ことから、更に取得時期を絞り込むことが可能となる。

<2> 株主登録日又は名義書換株数からの取得時期の特定

英之助の株主登録日又は名義書換株数が判明する株式(当該事項が判明する株式は、別表四にその旨記載している。)については、その取得時期が推認できる。

<3> 各株式の取得時期の特定方法

各株式の取得時期の特定方法は、(1)から判明した端株数から、<1>又は<2>によりその株式の取得時期を特定したものである(詳細は、別表三のとおりである。)。

(3) 各株式の取得価額の推定方法

前記(2)の方法によって各株式の取得時期を特定し、売買損益を過大に算定(原価を過少に算定)しないよう、その期間内の月中終値平均株価の最高値(別表四のとおり)を一株当たりの取得価額と推定したが、(2)の<1>の方法によって、単位未満株が無くなった時期以前に株主登録日のある株式については、それがなくなった時期以前に単位未満株の買取請求(請求先は名義書換場所の信託銀行等)がなされていることから、株主登録日直前の配当落ち等の月から単位未満株がなくなった無償増資等の配当落ち等の直前月までの間の月中終値平均株価の最高値を採用したものである。

なお、原価は、所得税法四八条一項及び同法施行令一〇八条による総平均法(各年分の前年からの繰越原価を含む総原価から譲渡株式の原価を求める方法)によって算出したものであり、その内訳明細は、別表三のとおりである。

(4) 原価不明株式の現物取引売買損益の具体的算出方法

(2)、(3)による原価不明株式の現物取引売買損益の具体的算出方法について、個別銘柄(別表三の順号1・帝国石油、決算日一二月三一日)を例にすると、次のとおりである。

<1> 昭和五九年一二月三一日現在の所有株数(一万九八四四株)

英之助の昭和六〇年分確定申告書添付の配当所得の内訳書によれば、英之助は、昭和五九年一二月三一日現在、帝国石油株を一万九八四四株所有し、その所有株数に係る利益配当(帝国石油には、中間配当制度がない。)を昭和六〇年に受領している(別表五の順号1)。

<2> 端株からの取得原価不明株式の取得時期の特定と取得価額の推定

Ⅰ 端株の存在

帝国石油株の取引単位は一〇〇〇株であり、昭和五九年一二月三一日現在、英之助は、八四四株の端株を所有し、昭和五八及び五九年中においては、帝国石油株の売買取引は無かった。

Ⅱ 無償増資による増加株

帝国石油株は、昭和五八年二月一〇日及び昭和五九年二月一〇日(新株発行日)に、いずれも、一株(旧株)に対し〇・一株(新株)を割り当てる無償増資が行われ、英之助の昭和五八年一二月三一日現在の所有株は一万八〇四〇株、昭和五九年一二月三一日現在の所有株は一万九八四四株となっている(別表五の順号1)。

右各無償増資による所有株の経緯は、次のとおりである。

イ 昭和五八年二月一〇日の無償増資による増加株(一六四〇株)

一万六四〇〇株×〇・一

ロ 昭和五九年二月一〇日の無償増資による増加株(一八〇四株)

一万六四〇〇株×一・一(一万八〇四〇株)×〇・一

Ⅲ 中間時価発行による増加株

昭和五七年一二月に中間時価発行(発行価額は、一株につき四〇〇円、割当割合は、一対〇・一)が行われているが、英之助の昭和五七年一二月三一日現在の所有株は、旧株二万四〇〇〇株及び新株二四〇〇株となっている(新株の取得原価は、九六万円・二四〇〇株×四〇〇円、別表五の順号1)。

したがって、右中間時価発行後の所有株は二万六四〇〇株となる。

Ⅳ 中間時価発行後の売却

Ⅱで述べたとおり、昭和五八年二月一〇日の無償増資に係る旧株は一万六四〇〇株であることから、英之助は、中間時価発行による新株取得後、一万株を売却していたことになる(二万六四〇〇株から一万六四〇〇株を引いたもの)。

Ⅴ 取得原価が判明する株式の取得

英之助は、昭和五七年五月に、日本証券伊勢崎支店を介して四〇〇〇株の帝国石油株を取得している。よって、取得原価不明の株数は、二万株となり、当該二万株の株式は、昭和五七年一一月以前に取得していたことになる(昭和五七年一二月に取得していた場合には、二万株について、中間時価発行の割当株がないことによる。)。

Ⅵ 取得原価不明株の取得価額の推計に採用した月中終値平均株価の最高値

帝国石油は、昭和三八年三月の有償増資(割当割合一対〇・二五)から昭和五七年一二月の中間時価発行まで、無償増資などがなされていない。

帝国石油株の昭和四八年一月から昭和五七年一一月までの月中終値平均株価は、別表四の該当欄のとおりであり、その最高値は、昭和五五年五月の一三〇七円である。

月中終値平均株価の調査対象を昭和四八年一月からとした理由は、前記(1)のとおり、英之助が昭和四八年から専ら有価証券の売買を業としていたためである。なお、昭和三九年から昭和四九年までの帝国石油株の株価の最高値(月中終値平均株価ではない。)は、同四八年の六四〇円であり、昭和五五年五月の一三〇七円を下回っている。

Ⅶ したがって、取得原価不明の株数二万株は、一株あたりの単価一三〇七円、合計取得価額二六一四万円(二万株×一三〇七円)と推定される。

<3> 原価不明株式の現物取引売買損益の算出方法

<1> 及び<2>により、原価不明株式の取得原価を求め、本件係争各年分の売買損益を算出した方法は、次のとおりである(別表三の順号1参照)。

Ⅰ 取得原価の計算

昭和五七年一二月三一日現在の帝国石油株二万六四〇〇株の取得原価は、イ 昭和五五年五月分の二万株・二六一四万円(推計金額)、ロ 昭和五七年五月分の三七三万四五二五円(実額)、ハ 昭和五七年一二月分の中間時価発行の払込金額九六万円の合計三〇八三万四五二五円となる。

Ⅱ 昭和五七年の売却一万株の原価控除

前記<2>のⅣに述べたとおり、昭和五七年中に帝国石油株一万株を売却していることから、その原価は、次式のとおり一一六七万九七四四円となり、昭和五八年以降の取得原価から控除され、昭和五八年一月一日現在の株数は、一万六四〇〇株、取得原価は、一九一五万四七八一円(三〇八三万四五二五円から一一六七万九七四四円を引いたもの)となる。

三〇八三万四五二五円×一万株÷二万六四〇〇株

Ⅲ 昭和六二年分の売買損益(六四万六八三二円)

昭和六二年八月四日に、日本証券伊勢崎支店を介して帝国石油株六〇〇〇株の売却(売却価額六四三万八四四〇円)がなされているが、前記<2>のⅡのとおり、昭和五八年二月一〇日及び昭和五九年二月一〇日の無償増資により、昭和六二年八月四日現在の株数は、一万九八四四株、その取得価額は、一九一五万四七八一円であり、売却株六〇〇〇株の原価は、次式のとおり五七九万一六〇八円であり、売買損益は、六四万六八三二円(六四三万八四四〇円から五七九万一六〇八円をひいたもの)となる。

一九一五万四七八一円×六〇〇〇÷一万九八四四

2 昭和六一年、六二年分の重加算税賦課決定処分及び昭和六三年分の無申告加算税賦課決定処分の課税根拠

(一) 昭和六一年分の重加算税賦課決定処分の課税根拠

(1) 英之助の昭和六一年分の所得税の確定申告に係る事業所得(有価証券売買に係るもの)の計算における売買損益一億〇九一九万五〇〇〇円の内容は、次のとおりである。

現物取引売買損益(三四銘柄)八八四三万八〇〇〇円

信用取引売買損益 二〇七五万七〇〇〇円

(2) 英之助の事業所得に係る隠ぺい又は仮装の事実

英之助の昭和六一年分の事業所得の計算には、<1>転換社債等売買損益の計上が全くなく、<2>現物取引売買損益の銘柄数は、原価判明の現物取引二五銘柄(別表二の昭和六一年分)及び原価不明の現物取引四一銘柄(別表三の昭和六一年分)の合計六六銘柄であって、未計上の取引が存在し、<3>信用取引売買損益(実額)は、二七二九万〇七一一円(別表六の一)であって、過少計上となっていることから、英之助が行った事業所得の計算には、国税通則法六八条(重加算税)一項に定める「隠ぺい又は仮装」の事実が存在する。

(3) 事業所得に係る重加算税の賦課決定処分の課税根拠

英之助の昭和六一年分の事業所得に係る重加算税額四九八三万六〇〇〇円の計算根拠は、別表一五の昭和六一年分のとおりであり、重加算税賦課決定処分の額(本件裁決後のもの)三七二六万円を上回る。

なお、右昭和六一年分の総所得金額に新たに利子所得が加算された等のため、別表一五の昭和六一年分では、順号13ないし17において過少申告加算税を計算しているが、本件課税処分においては過少申告加算税の賦課決定処分はない。

(二) 昭和六二年分の重加算税賦課決定処分の課税根拠

(1) 英之助の昭和六二年分の所得税の確定申告に係る事業所得の計算における売買損益(損失)△八〇一五万七〇〇〇円の内容は、次のとおりである。

現物取引売買損益(損失、二九銘柄) △一億二一一七万七〇〇〇円信用取引売買損益 四一〇二万円

(2) 英之助の事業所得に係る隠ぺい又は仮装の事実

英之助の昭和六二年分の事業所得の計算には、<1>転換社債等売買損益の計上が全くなく、<2>現物取引売買損益の銘柄数は、原価判明の現物取引二九銘柄(別表二の昭和六二年分)及び原価不明の現物取引二四銘柄(別表三の昭和六二年分)の合計五三銘柄であって、未計上の取引が存在し、<3>信用取引売買損益(実額)は、四四五二万四七六六円(別表四の二)であって、過少計上となっていることから、英之助が行った事業所得の計算には、国税通則法六八条一項に定める「隠ぺい又は仮装」の事実が存在する。

(3) 事業所得に係る重加算税賦課決定処分の課税根拠

英之助の昭和六二年分の事業所得に係る重加算税額三四二七万五五〇〇円の計算根拠は、別表一五の昭和六二年分のとおりであり、重加算税の賦課決定処分の額(本件裁決後のもの)三一三九万五〇〇〇円を上回る。

(三) 昭和六三年分の無申告加算税賦課決定処分の課税根拠

英之助の相続人から所得税法一二四条に規定する所得税の確定申告書の提出がなかったことについて、国税通則法六六条(無申告加算税)一項に定める正当な理由は存在しない。

英之助の昭和六三年分の課税所得金額に係る無申告加算税額七〇四二万三五〇〇円の計算根拠は、別表一五の昭和六三年分のとおりであり、無申告加算税賦課決定処分の額六七五九万三〇〇〇円を上回る。

別表 一

所得金額及び税額の計算表

<省略>

別表 二

株式現物取引売買損益(取得価額判明分)計算表(その1)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額判明分)計算表(その2)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額判明分)計算表(その3)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額判明分)計算表(その4)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額判明分)計算表(その5)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額判明分)計算表(その6)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額判明分)計算表(その7)

<省略>

別表 三

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その1)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その2)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その3)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その4)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その5)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その6)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その7)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その8)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その9)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その10)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その11)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その12)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その13)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その14)

<省略>

株式現物取引売買損益(取得価額不明分)計算表(その15)

<省略>

別表 四

月中終値平均株価表

(1601)帝国石汕(決算日 12.31)

<省略>

(1801)大成建設(決算日 3.31)

<省略>

(1802)鹿島建設(決算日 11.30)

<省略>

(1942)関電工(決算日 3.31)(株主登録日 53.9.30)

<省略>

(1942)関電工(決算日 3.31)(株主登録日 53.9.30)

<省略>

(2202)明治製菓(決算日 3.31)

<省略>

(2802)味の素(決算日 3.31)(57.10.1~58.3.31に13,000株名義書換)

<省略>

(3101)東洋紡(決算日 3.31)(株主登録日 49.10)

<省略>

(3102)鐘紡(決算日 3.31)(株主登録日 53.9.30)

<省略>

(3401)帝人(決算日 3.31)(57.10.1~58.3.31に309,000株名義書換)

<省略>

(3402)東レ(決算日 3.31)(55.10.1~56.3.31に50,000株名義書換)

<省略>

(3407)旭化成工業(決算日 3.31)

<省略>

(4010)三菱化成(決算日 1.31)

<省略>

(4118)鐘淵化学(決算日 3.31)

<省略>

(4151)協和発酵工業(決算日 12.31)(株主登録日 53.6.30)

<省略>

(4183)三井石油化学工業(決算日 3.31)

<省略>

<省略>

(4452)花王(決算日 3.31)(株主登録日 49.10)

<省略>

(4522)ミドリ十字(決算日 12.31)(55.10.1~56.3.31に10,000株名義書換)

<省略>

(4528)小野薬品工業(決算日 11.30)(株主登録日 57.4.2)

<省略>

(4902)コニカ(決算日 4.20)(55.10.21~56.4.20に20,000株名義書換)

<省略>

(5108)ブリヂストン(決算日 12.31)(株主登録日 55.12.19)

<省略>

(5112)オカモト(決算日 3.31)

<省略>

(5142)アキレス(決算日 10.31)

<省略>

(5201)旭硝子(決算日 12.31)(55.7.1~55.12.31に20,000株名義書換)

<省略>

(5232)住友セメント(決算日 3.31)

<省略>

(5238)三菱鉱業セメント(決算日 3.31)

<省略>

<省略>

(5332)東陶機器(決算日 11.30)

<省略>

(5393)ニチアス(決算日 3.31)

<省略>

(5405)住友金属工業(決算日 3.31)

<省略>

(5631)日本製鋼所(決算日 3.31)

<省略>

<省略>

(5802)住友電気工業(決算日 3.31)

<省略>

(5981)東京製鋼(決算日 3.31)(株主登録日 49.5)

<省略>

(6331)三菱化工機(決算日 3.31)

<省略>

(6366)千代田化工建設(決算日 9.30)

<省略>

(6444)サンデン(決算日 3.31)

<省略>

(6503)三菱電機(決算日 3.31)

<省略>

(6508)明電舎(決算日 3.31)(株主登録日 48.9.4)

<省略>

(6587)松下精工(決算日 3.31)(株主登録日 53.9.14)

<省略>

(6701)日本電気(決算日 3.31)(株主登録日 52.4、~56.3.31・10,000株、~57.9.30・4,000株各名義書換)

<省略>

(6703)沖電気工業(決算日 3.31)(55.9.11に50,000株名義書換)

<省略>

(6764)三洋電機(決算日 11.30)

<省略>

(7011)三菱重工業(決算日 3.31)

<省略>

(7012)川崎重工業(決算日 3.31)(株主登録日 49.10)

<省略>

(7013)石川島播磨重工業(決算日 3.31)(株主登録日 48.4)

<省略>

(7201)日産自動車(決算日 3.31)(株主登録日 49.10)

<省略>

(7203)トヨタ自動車(決算日 6.30)

<省略>

(7222)日産車体(決算日 3.31)(株主登録日 52.9)

<省略>

(7270)富士重工業(決算日 3.31)(株主登録日 58.2.23)

<省略>

(7981)タカラスタンダード(決算日 3.31)

<省略>

(7984)コクヨ(決算日 9.30)

<省略>

(8016)オンワード樫山(決算日 2.28)

<省略>

(8022)ミズノ(決算日 2.20)

<省略>

(8031)三井物産(決算日 3.31)(55.10.1~56.3.31に30,000株名義書換)

<省略>

(8231)三越(決算日 2.28)

<省略>

(8602)山一証券(決算日 9.30)(株主登録日 52.9.30)

<省略>

(8603)日興証券(決算日 9.30)(株主登録日 56.9.28)

<省略>

(8751)東京海上火災保険(決算日 3.31)(株主登録日 57.3.6)

<省略>

(8801)三井不動産(決算日 3.31)

<省略>

(8802)三菱地所(決算日 3.31)

<省略>

(8815)東急不動産(決算日 9.30)

<省略>

(9062)日本通運(決算日 3.31)

<省略>

(9101)日本郵船(決算日 3.31)(55.10.1~56.3.31に20,000株名義書換)

<省略>

(9104)大阪商船三井船舶(決算日 3.31)

<省略>

(9202)全日本空輸(決算日 3.31)

<省略>

(9531)東京ガス(決算日 3.31)

<省略>

別表 五

申告等に係る株数の推移表(その1)

<省略>

申告等に係る株数の推移表(その2)

<省略>

申告等に係る株数の推移表(その3)

<省略>

申告等に係る株数の推移表(その4)

<省略>

申告等に係る株数の推移表(その5)

<省略>

別表 六の一

株式信用取引損益表(昭和61年分・その1)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和61年分・その2)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和61年分・その3)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和61年分・その4)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和61年分・その5)

<省略>

別表 六の二

株式信用取引損益表(昭和62年分・その1)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和62年分・その2)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和62年分・その3)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和62年分・その4)

<省略>

株式信用取引損益表(昭和62年分・その5)

<省略>

別表 六の三

株式信用取引損益表(昭和63年分)

<省略>

別表 七

転換社債等売買損益計算表(その1)

<省略>

転換社債等売買損益計算表(その2)

<省略>

転換社債等売買損益計算表(その3)

<省略>

転換社債等売買損益計算表(その4)

<省略>

転換社債等売買損益計算表(その5)

<省略>

別表 八の一

昭和63年分の事業所得に係る支払利息計算表(群馬銀行伊勢崎支店分)

<省略>

別表八の二

昭和63年分の事業所得に係る支払利息計算表(日本証券金融・日本証券伊勢崎支店扱い)

<省略>

別表八の三

昭和63年分の事業所得に係る支払利息計算表(伊勢崎信用金庫本店分)

<省略>

別表八の四

昭和63年分の事業所得に係る支払利息計算表(足利銀行伊勢崎支店分)

<省略>

別表八の五

昭和63年分の事業所得に係る支払利息計算表(東毛信用組合本店分)

<省略>

別表 九

不動産所得に係る収入金額等の内訳表

<省略>

別表 一〇の一

利子所得の収入内訳表(昭和61年分)

<省略>

別表 一〇の二

利子所得の収入内訳表(昭和62年分 その1)

<省略>

利子所得の収入内訳表(昭和62年分 その2)

<省略>

別表 一〇の三

利子所得の収入内訳表(昭和63年分)

<省略>

別表 一一

配当収入内訳表(その1)

<省略>

配当収入内訳表(その2)

<省略>

配当収入内訳表(その3)

<省略>

配当収入内訳表(その4)

<省略>

配当収入内訳表(その5)

<省略>

配当収入内訳表(その6)

<省略>

配当収入内訳表(その7)

<省略>

配当収入内訳表(その8)

<省略>

配当収入内訳表(その9)

<省略>

別表 一二

雑所得(つばめタクシー(株)からの利息収入)の内訳表

昭和61年分

<省略>

昭和62年分

<省略>

昭和63年分

<省略>

別表 一三の一

譲渡所得の計算表(昭和63年分)

<省略>

別表 一三の二

佐波郡東村大字国定字見取635-1の物件の取得費の計算表

<省略>

別表 一三の三

伊勢崎市長沼町字己ノ居帰1910-1、同1910-2、同1917-1物件の建物の取得費の計算表

<省略>

別表 一四の一

総所得金額に対する算出税額の計算表

<省略>

別表 一四の二

分離課税の譲渡所得金額に対する算出税額の計算表

<省略>

別表 一五

重加算税、過少申告加算税及び無申告加算税の計算表

<省略>

相続関係図

<省略>

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