大判例

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前橋地方裁判所 昭和28年(行モ)3号 決定

申請人 木暮八一郎

被申請人 群馬県知事

一、主  文

本件申立はこれを却下する。

二、理  由

申請人訴訟代理人は「申請人の被申請人に対する収去命令取消請求行政訴訟事件の判決確定に至るまで、被申請人が別紙目録記載の土地上の申請人所有に係る立木につき伐採の代執行をなすことを停止する」との決定を求める、その理由として、久留馬村農地委員会は昭和二十四年四月二十六日申請人所有の別紙目録記載の山林三筆全部(後に訴願の結果除外せられた三畝二十四歩をも含む)について未墾地買収計画を樹立し公告した。申請人は適法の期間内に右買収計画の取消を求め異議の申立をしたが却下されたので、更に適法の期間内に群馬県農地委員会に対し訴願したところ、同委員会は同年六月二十日「本件買収計画中群馬県群馬郡久留馬村大字三ツ子沢字東向百十八番の一山林一反八畝六歩の内三畝二十四歩の部分を取消すがその他の部分については却下する」旨の裁決をなし、右裁決書は同年七月十四日申請人に送達された。よつて申請人は裁決の取消を求めるため同年八月十一日前橋地方裁判所に出訴し昭和二十八年二月十七日請求棄却の判決があつたが、申請人はこれを不服として同月二十七日東京高等裁判所に控訴の申立をなした(昭和二十八年(の)第五二六号事件)。然るに被申請人は突然同月十八日右地上申請人所有立木の収去命令を出すと共に同年三月十八日附(発送同月二十日)を以て戒告書を送達しそれの受領後二十以内に収去しないときは被申請人において代執行をなす旨の通告をして来た。申請人は右収去命令を不当としてその取消を求めるため昭和二十八年四月十七日貴庁に収去命令取消の行政訴訟を提起し、昭和二十八年(行)第三号事件として係属したのであるが、その事件の判決確定前に被申請人が立木伐採の代執行をなすにおいては申請人は金銭により償うことのできない損害を蒙る虞があり、併もこの代執行を受くる危険は切迫している。そして右代執行を停止するも公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞がないばかりか、代執行をなす緊切な必要はないものと認められるから本申請に及んだと述べ、疎明として収去令書、戒告書疎明書(浜名又三郎名義)を提出した。

按ずるに行政庁の違法な処分の執行停止を命ずるには行政事件訴訟特例法第十条第二項の規定により当該処分の執行に因り生ずべき償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合であることを要する。ところで本件の代執行について戒告を受けた申請人は指定の期限までにその義務を履行しないので、被申請人は代執行を命じ得る段階にあるものであるが、仮令右執行が遂行されたとしても収去すべき立竹木は四年乃至十四年の雑木に過ぎないこと収去令書及び戒告書の記載に徴し明らかであるからこのため申請人の農業経営に若干の支障を来し、又は伐木による直接の被害があるとしても、これ等による損害はすべて金銭で償うことができるものと認められる。結局本件申立はこの点で前記執行停止の要件を具備しておらず理由のないものであるからこれを却下すべきである。

よつて主文のとおり決定する。

(裁判官 黒沢信夫)

(目録省略)

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