大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

前橋家庭裁判所 事件番号記載ナシ 決定

少年 K子(昭二〇・八・五生)

主文

少年を前橋保護観察所の保護観察に付する。

理由

(虞犯および罪となるべき事実)

少年は○○中学三年在学中のものであるが、

(一)、昭和三十五年一月十二日正午頃、家人に無断家出し、問題少年たるS子と共に沼田市内等の映画館、飲食店等の盛り場を徘徊浮浪し同日午後七時三十分頃、同市○○町所在のバー・○○○○○において、少年の姉E子所有の現金四百五十円を盗み出し、同夜は同市○○○町所在の旅館○○屋に右のSと共に投宿し、翌日も前同様帰宅せず、同市内盛り場飲食店等を徘徊浮浪し保護者の正当な監督に服しない性癖あり、

(二)、同年三月十日午後二時三十分頃沼田市○○○○番地○古○二方において同人所有の現金二千円を窃取し

たものである。

(適用法令)

(一)  について少年法第三条第三項イ、ロ、ハ。

(二)  について刑法第二百三十五条。

処分について、少年法第二十四条第一項第一号。

(処分の理由)

少年の家庭は、実父○○○(五十歳)が和服の仕立をして月収約一万円位の収入を得るというのであるが、変動の多い仕事であるから自然収入状態も安定せず、実母○ん(四十六歳)が家事を担当し姉E子(二十歳)は沼田市内のバーに通勤し家計を助けている。少年は、中学二年頃から同市内の問題少年たるS子、同F子等と知合い交際し始めたもので、これらの少年に引ずられ易いところから虞犯的傾向を深化せしめたものであり、本件少年の保護指導については左記諸点に注意されたい。

(一)、学業を真面目に勉強すること。

(二)、帰宅後の行動については少年の家庭と地域社会とが相互に協力して非行防止方策を考えること。たとえば地域社会の善良なリクリエイション乃至娯楽を与えること。

(三)、単独で夜間遊びに出かけることを禁止すること。

(四)、実母は勝気で多弁な傾向があるため、子供達からうるさがられる結果にならない様にすること。

以上の如き諸般の事情を考慮すると、家庭の保護者のみの保護指導に委ねるのは不充分であるから主文の如く保護観察に付するのを相当と思料する。なお保護観察の実施に当つては地域社会をも含めた観点から全般的な環境の調整がなされることが必要であつて、とくにこの点を看過しないよう注意されたい。

以上によつて主文の通り決定する。

(裁判官 藤本孝夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!