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前橋簡易裁判所 昭和39年(ヘ)23号 決定 1965年1月25日

申請人 梅山ハル

主文

本件申請を却下する。

理由

一、申請の要旨

申請人は、前橋市上新田町字大道東七〇三番の三畑八畝二三歩、同番の二畑一歩につき、明治九年頃所有権を取得し、以後占有使用して来たものであるところ、前橋地方法務局備付の土地登記簿表題部所有者欄には、右二筆とも、桑原嘉吉なる架空人名が記載されているので、民事訴訟法第七六四条、不動産登記法第一四二条により公示催告の手続を求める。

二、当裁判所の判断

本件は、その主張並に立証によれば、保存登記のなされていない土地につき、登記簿表題部所有者欄の氏名抹消に関する公示催告の手続を求めているものと解される。

ところで、不動産登記法第一四二条は、抹消登記手続の特則として、登記義務者の所在不明の場合に、簡易な方法による抹消手続を認めたものであるが、本条は権利の変動に関する共同申請手続の場合を予定しているものであつて、本件の如く未だ権利関係の登記がなされておらず、職権で表示に関する登記がなされているにすぎない場合にまで適用あるものとは解されない。

更に、右条文の準用の有無であるが、公示催告手続は、その性質上厳格に解すべきものであつて、容易に拡張しし、或は類推適用すべきものではないと考えられる。しかも、本件の場合、他の方法によつて(例えば不動産登記法第一〇〇条第二号)保存登記手続をなし得るのであるから、準用の余地はないものと考える。

三、結論

以上により、本件申請はその余の点について判断するまでもなく、理由なきものと解されるので、却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 大塚喜一)

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