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千葉地方裁判所 平成14年(ワ)2123号 判決 2003年9月26日

原告

甲山花子

外2名

原告ら訴訟代理人弁護士

菅野亮

金子宰慶

原告ら訴訟復代理人弁護士

中村礼奈

被告

国承継人

日本郵政公社

同代表者総裁

生田正治

同指定代理人

宮田誠司

外9名

主文

1  被告は原告甲山花子に対し,710万円並びに内金520万円に対する平成14年10月2日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金190万円に対する平成15年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2  被告は原告甲山太郎及び原告乙川春子に対し,それぞれ63万3333円及びこれに対する平成15年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3  原告らのその余の請求を棄却する。

4  訴訟費用は,被告の負担とする。

5  この判決は,1項,2項に限り,仮に執行することができる。ただし,被告が,原告甲山花子のために230万円の担保を供するとき,原告甲野太郎のために20万円の担保を供するとき,または,原告乙川春子のために20万円の担保を供するときは,それぞれの原告からの仮執行を免れることができる。

事実及び理由

第1  請求

1  被告は原告甲山花子に対し,710万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2  被告は原告甲山太郎及び原告乙川春子に対し,それぞれ63万3333円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。

第2  事案の概要

本件は,原告甲山花子(以下「原告花子」という。)の亡夫甲山次郎(以下「次郎」という。)名義の別紙預金目録記載1の定額郵便貯金(以下「本件郵便貯金1」という。),原告花子の亡母甲山夏子(以下「夏子」という。)名義の別紙預金目録記載2の定額郵便貯金(以下「本件郵便貯金2」という。),原告花子名義の別紙預金目録記載3ないし5の定額郵便貯金(以下「本件郵便貯金3ないし5」という。)及び原告花子名義の別紙預金目録記載6の定期郵便貯金(以下「本件郵便貯金6」という。)について,原告花子の次男甲山三郎(以下「三郎」という。)の妻である甲山秋子(以下「秋子」という。)が払戻しを請求したところ,被告は全額の払戻しを行ったため,原告らが,本件郵便貯金1ないし6について,それぞれの郵便貯金契約に基づき,被告の秋子に対する払戻しは無効であって依然として原告らが被告に対して貯金債権を有していると主張して,被告に対し,本件郵便貯金1ないし6の払戻し(ただし,預入元金のみ)及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

1  前提となる事実(当事者間に争いのない事実は証拠を掲記しない。)

(1)  原告甲山太郎(以下「原告太郎」という。)は原告花子及び次郎夫婦の長男であり,三郎は次男であり,原告乙川春子(以下「原告春子」という。)は,長女である。

夏子は,原告花子の母親であり,夏子と夫である亡甲山四郎(以下「四郎」という。)との間には,実子として,原告花子のほか,丙田冬子がおり,また,原告花子と次郎が婚姻した際,四郎と夏子は,次郎と婿養子縁組をしている(甲4,甲6)。

秋子は三郎の妻である。

次郎は,平成6年2月6日に死亡し,夏子は,平成8年10月14日に死亡した(甲1,甲5)。

(なお,関係者の身分関係は,別紙親族関係図記載のとおりである。)

(2)  次郎は,被告との間で,本件郵便貯金1の定額郵便貯金契約を締結した。

夏子は,被告との間で,本件郵便貯金2の定額郵便貯金契約を締結した。

原告花子は,被告との間で,本件郵便貯金3ないし5の定額郵便貯金契約及び本件郵便貯金6の定期郵便貯金契約を締結した。

(3)  原告花子は,少なくとも平成13年12月10日まで,本件郵便貯金1及び本件郵便貯金2のそれぞれについての印鑑及び定額貯金証書を保管し,また,被告に対し,少なくとも平成13年10月27日まで,本件郵便貯金3ないし6の貯金債権を有していた(甲16)。

(4)  本件郵便貯金1の貯金債権については,遺産分割協議等が行われておらず,したがって,相続分に応じた分割債権となるところ,その相続人の相続分は,原告花子が2分の1,原告太郎,原告春子,三郎がそれぞれ6分の1である。

また,本件郵便貯金2の貯金債権については,遺産分割協議等が行われておらず,したがって,相続分に応じた分割債権となるところ,その相続人の相続分は,原告花子,丙田冬子がそれぞれ3分の1であり,いずれも代襲相続人である原告太郎,三郎,原告春子がそれぞれ9分の1である。

(5)  原告花子は,平成13年11月ころから平成14年1月10日ころまで,千葉市若葉区にある○○病院に入院していた(甲16)。

(6)  三郎及び秋子は,平成13年12月10日,本件郵便貯金1ないし6にかかる証書合計6通を持って,△△郵便局を訪れ,同局局員である丁谷五郎(以下「丁谷」という。)に対し,上記6通の定額郵便貯金証書及び定期郵便貯金証書を提出し,本件郵便貯金1ないし6についての印章変更を申請し,丁谷はこれを行った。

その上で,秋子は,同日,丁谷に対し,本件郵便貯金1及び2の払戻しを請求したが,△△郵便局に多額の現金の用意がなかったことから払戻しを受けられず,結局,原告花子名義の通常郵便貯金(記号×××××番号××××××××)についての貯金通帳を提示し,本件郵便貯金1及び2の払戻金を当該通常郵便貯金に預け入れるように依頼した。

本件郵便貯金1及び2の払戻金額は,合計622万1100円であったところ,丁谷は,秋子の申し出に従い,その全額を原告花子名義の通常郵便貯金に預け入れる手続を行った。

(7)  さらに,秋子は,平成13年12月27日,本件郵便貯金3ないし6についての定額郵便貯金証書及び定期郵便貯金証書を持って,△△郵便局に赴き,丁谷に対し,本件郵便貯金3ないし6についての定額郵便貯金証書及び定期郵便貯金証書と,三郎名義の通常郵便貯金についての貯金通帳を提示し,本件郵便貯金3ないし6を払い戻すとともに,払戻金は,三郎名義の通常郵便貯金に預け入れるよう申し出た。

本件郵便貯金3ないし6の払戻金額は,合計624万8663円であったところ,丁谷は,秋子の申し出に従い,その全額を三郎名義の通常預金貯金に預け入れた。

(8)  原告らは,被告に対し,本件訴状により,本件郵便貯金1ないし6につき,解約の意思表示をした。

2  争点

(1)  被告の秋子に対する払戻しは,受領権限のある者に対する弁済として有効か。

ア 被告の主張

(ア) 三郎及び秋子は平成13年12月10日ころ,本件郵便貯金1ないし6を原告花子に代わって管理することを,原告花子に依頼された。

三郎及び秋子は,これを承諾し,原告花子から本件郵便貯金1ないし6についての定額郵便貯金証書5通及び定期郵便貯金証書1通の交付を受けた。

(イ) 丁谷は,平成13年12月10日及び同月27日における秋子とのやりとりから,原告花子の入院に伴い,今後はその同居の家族である三郎及び秋子が,原告花子の依頼を受けて,それらの管理を行うことになったものと判断し,本件郵便貯金1ないし6の払戻しに応じた。

(ウ) したがって,被告は,原告花子の使者又は代理人である秋子に対してその払戻しを行ったものであり,受領権限を有する者に対する弁済であるので,有効である。

イ 原告らの主張

原告花子は,三郎・秋子夫婦に預貯金の解約・払戻しに関する代理権を一切与えていない。

よって,秋子は,全く権限がないにもかかわらず,定額貯金証書等を勝手に持ち出した上,解約・引出を行ったものであり,被告の秋子に対する本件郵便貯金1ないし6の払戻しは無効である。

(2)  被告の秋子に対する払戻しが,郵便貯金法(以下「郵貯法」という。)26条の「正当の払渡」に当たるか。

ア 被告の主張

(ア)a 郵貯法26条は,「この法律又はこの法律に基く総務省令に規定する手続を経て郵便貯金を払い渡したときは,正当の払渡をしたものとみなす。」と規定し,これを受けて,郵便貯金規則(以下「郵貯規則」という。)86条は,「貯金証書の受領証欄又は払戻金受領証に押された印影と貯金証書又は通帳の印鑑とを対照し,相違がないことを認めた上,貯金証書又は通帳の持参人に…払戻金を交付」する旨を規定している。

したがって,郵便局の局員が,上記各規定の定める手続に従って,払戻しを行い,かつ,当該払戻手続に過失がない場合には,郵貯法26条に基づき,有効な払渡しが行われたとされるものと解される。

b そして,公達である郵便貯金取扱規程(以下「郵貯取扱規程」という。)は,郵便局は,貯金の払戻しその他の請求や印章変更その他の届出を受け付ける場合,これが正当な権利者からのものであるか否かを,貯金局長の定めるところに従って,調査することとし(4条),貯金局長がこれを受けて定めた実施細則である郵便貯金取扱手続(以下「郵貯取扱手続」という。)は,7条1項(1)の各事項(内容は別紙記載のとおり)に該当するときは,請求人,申込人又は届出人の挙動その他請求,申込,又は届出を受けたときの状況等に応じて適切な質問をし,正当な権利者であることを確認することとし,その確認の結果,請求等をする者と預金者との間に身分関係等があることが判明した場合の取扱方法については,「請求人,申込人又は届出人が預金者の家族,使用人,職場の同僚等であって,一般に預金者の使者又は代理人たる関係にあると認められる者であるときは,預金者からの請求,申込み又は届出として取り扱って差し支えない。」と定めている(7条1項(2))。

c したがって,夫婦や親子などの人的関係が破綻に瀕していることをうかがわせるような特段の事情が存しない限り,郵便局の局員は,上記取扱手続の定めに従って手続を進めれば足り,預金者の意思を直接確認したり,その印鑑証明書を添付した委任状の提出を求めたりすることまでの必要はないと解される。

(イ)a 以上を前提に,まず,本件郵便貯金1及び2についてみると,丁谷は,郵貯規則86条に基づき,本件郵便貯金1についての定額郵便貯金証書及び本件郵便貯金2についての定額郵便貯金証書のそれぞれについて,受領証欄に押された印影と貯金証書の印鑑とを対照し,相違がないことを認めた上,本件郵便貯金1及び2の払戻しを行ったものであって,当該払戻しは,郵貯法26条所定の,「この法律又はこの法律に基く総務省令に規定する手続を経て郵便貯金を払い渡したとき」に当たる。

b そして,以下の事実によれば,当該払戻手続において,丁谷は無過失であったと認められる。

(a) 丁谷は,秋子の「母が入院し,貯金の管理ができなくなるので,今後は,貯金の管理を私たちがすることになりました。」という旨の申立てを受け,本件郵便貯金1ないし6はこれまで原告花子が管理していたが,原告花子の入院に伴い,今後はその家族である三郎及び秋子が管理を行うことになったと判断した。

(b) 丁谷は,払戻しにあたって,三郎及び秋子に対して身分証明を求め,被告に対し,提示された国民健康保険被保険者証(以下「保険証」という。)に基づき,三郎及び秋子それぞれの身分のほか,両名が夫婦であること,両名の住所地が,本件郵便貯金1ないし6についての定額郵便貯金証書及び定期郵便貯金証書に記載された次郎,夏子及び原告花子の各住所地と同じであることを確認した。

(c) さらに,丁谷は,秋子に対し,本件郵便貯金1ないし6の各名義人と三郎及び秋子との身分関係を尋ね,その結果,原告花子は三郎の実母,次郎は三郎の実父,夏子は三郎の祖母であることを確認した。

(d) そして,三郎と秋子は夫婦であり,原告花子は三郎の実母,次郎は三郎の実父,夏子は三郎の祖母であること,並びに,原告花子は当時,三郎及び秋子と同じ住所地に居住し,本件郵便貯金1ないし6を管理していたが,その前後数か月間にわたり,病院への入退院を繰り返す状態であったことにかんがみれば,丁谷が確認した上記(a)ないし(c)の事項は,客観的事実にほぼ合致するものであった。

(e) このような事実からすれば,丁谷は,秋子が正当な権利者であるか否かの確認に当たり,郵貯取扱手続に従い,適切な質問を行っており,かつ,少なくとも秋子について,原告花子との人的関係が破綻に瀕していることをうかがわせる特段の事情は全く存しなかったから,その確認の方法,程度は適切であった。よって,丁谷は無過失である。

c したがって,丁谷が秋子に対して行った本件郵便貯金1及び2の払戻しは,郵貯法26条の「正当の払渡」に当たる。

(ウ)a 次に,本件郵便貯金3ないし6の払戻しについてみると,丁谷は,郵貯規則86条に基づき,本件郵便貯金3ないし5についての定額郵便貯金証書及び本件郵便貯金6についての定期郵便貯金証書のそれぞれについて,受領証欄に押された印影と上記各貯金証書の印影とを対照し,相違がないことを認めた上,払戻しを行ったものであるから,当該払戻しは,郵貯法26条の「この法律又はこの法律に基く総務省令に規定する手続を経て郵便貯金を払い渡したとき」に当たる。

b そして,以下の事実によれば,当該払戻手続において,丁谷は無過失であったと認められる。

(a) 丁谷は,本件郵便貯金3ないし6の払戻しの際,秋子に原告花子との関係を改めて確認することなく,秋子を原告花子の使者又は代理人と認めているが,これは,平成13年12月10日の本件郵便貯金1及び2の払戻しの際の,秋子とのやり取りから,本件郵便貯金1ないし6はこれまで原告花子が管理していたが,原告花子の入院に伴い,今後は三郎及び秋子が原告花子の依頼を受けてそれらの管理を行うことになったものと判断し,秋子を原告花子の使者又は代理人であると認めたからである。

そして,上記のとおり,丁谷は,本件郵便貯金1及び2の払戻しの際,秋子を原告花子の使者又は代理人と認めたことについて,無過失であった。

(b) また,本件郵便貯金1及び2の払戻しからは,わずか2週間程度しか経過しておらず,秋子について,原告花子との人的関係が破綻に瀕していることをうかがわせる特段の事情はもとより,何らかの事情の変化をうかがわせる事情すら存在しない。

c したがって,丁谷が,秋子からの払戻請求について,郵貯取扱手続7条1項2号に基づき,秋子を原告花子の使者又は代理人と認め,原告花子からの払戻請求として取り扱ったことは正当であり,丁谷が秋子に対して行った本件郵便貯金3ないし6の払戻しは,郵貯法26条の「正当の払渡」に当たる。

(エ) よって,仮に秋子が原告花子の使者又は代理人でなかったとしても,秋子に対する本件郵便貯金1ないし6の払戻しは,いずれも郵貯法26条所定の「正当の払渡」に当たり,本件郵便貯金1ないし6についての貯金債権はいずれも同条に基づき消滅した。

イ 原告らの主張

(ア) 丁谷による本件払戻行為が,郵貯法等の諸規定に従ったものであったか否かについて

a 本件郵便貯金1ないし6は,次郎,夏子及び原告花子の名義の定額郵便貯金であるところ,これらの名義の定額郵便貯金等をこれまで三郎及び秋子が使用して払戻行為をしたことはないのであるから,郵貯取扱手続7条1項1号アに該当する。

また,次郎名義の本件郵便貯金1については,秋子が女性である点で,1号イにも該当する。

さらに,被告主張の事実を前提としたとしても,秋子は,平成13年12月10日に,印章変更手続の申込と同時に,払戻しができるかどうかを尋ね,同日,払戻を請求しており,その金額も,1246万9763円と高額であることからすれば,1号エの「請求人又は申込人が印章変更と同時に,又はその直後に高額の払い戻し若しくは全額に近い金額の払い戻しの請求又は高額の貸付の申し込みをするとき」にも該当する。

また,上記アイエに該当していないとしても,少なくともアイエに準ずるような疑わしいと認めるに足りる事由があるといえる。

b 上記のような郵貯取扱手続7条1項(1)の規定を受け,同条項(2)は,上記のような事情がある場合には,「状況等に応じて適切な質問をし,正当の権利者であることを確認」すると規定している。

c この点,本件において,丁谷は,秋子から,払戻しの理由について,原告花子が入院して管理ができなくなるからであると聞いているが,そのような理由が本当であったとすれば,1246万円もの金額について,印章変更をした(しかも,変更した印章は原告花子名義ではなく,なぜか三郎の印章である)その日に払戻行為までする必要性も必然性も全くないはずである。

とすれば,本件のような場合,丁谷は,印章変更及び払戻行為に際し,秋子に対して,なぜ当該貯金にかかる印章を持っていないのかといった点や,原告花子の病状・退院見込み等を確認した上で,それらの点について合理的かつ一貫した回答及びそれらについての証拠が得られて初めて「正当な権利者の確認」手続を行ったと言える。

したがって,丁谷は,そのような行動をとらなかった以上,「正当な権利者の確認」手続を行ったとはいえず,本件払戻行為は,郵貯法等の諸規定に従ったものであるとはいえない。

(イ) 丁谷の払戻行為等における過失の有無について

以下の事実からすれば,本件払戻行為を行った丁谷は無過失であったとは認められない。

a 本件郵便貯金1及び2の名義人である次郎及び夏子は,既に死亡している。それにもかかわらず,丁谷は次郎及び夏子と秋子らとの身分関係を確認しただけである。

b 秋子が同居の家族であり本当に原告花子から貯金の管理を任されたのであれば,①どうして管理するだけなのに,「三郎」名義の印章に変更する必要があるのか,②なぜ印章変更した当日に払戻を請求するのか,③なぜ印章変更して間もなく,合計1247万円もの高額の貯金全額を現金化しなくてはいけないのか,④秋子のいうように,病院への支払いがあるとしても,なぜ,このような高額の金額を一度に,しかも原告花子の口座ではなく,秋子の夫である三郎名義の貯金にしなくてはならないのか,という点が不明である。

それにもかかわらず,丁谷は,これらの点につき,払戻金の使途や同意の有無などを何ら質問することなく,言われるままに,三郎名義の口座への預入手続を行っている。

c 原告花子は,△△郵便局をしばしば利用していたが,これまで一度も三郎及び秋子にその手続を依頼したことはなく,原告花子の親友の子であり,当該郵便局に勤める戊野六郎(以下「戊野」という。)を通じて郵便局に関する全ての手続を行っていたものである。

とすれば,今まで原告花子の郵便貯金に関する手続を行っていない秋子らが本件郵便貯金1ないし6のような高額の貯金を払い戻すことは不自然である。

d したがって,丁谷は無過失であったとは認められない。

(ウ) よって,本件郵便貯金1ないし6の払戻しは,郵貯法26条所定の「正当の払渡」には当たらず,本件郵便貯金1ないし6についての貯金債権はいずれも同条に基づき消滅することはない。

(3)  本件郵便貯金1及び2の分割払戻しは認められるか否か。

ア 被告の主張

(ア) 郵便貯金契約の内容は,郵貯法,郵貯法施行令(以下「施行令」という。)及び規則等の法令で定められており,郵便貯金を利用する者は,上記各法令で定められている内容を前提として契約を締結している。

そして,定額郵便貯金の預入や払戻しに関する基本的な契約内容は,次のとおりである。

a 預入条件(郵貯法7条1項3号)

一定の据置期間を定め,分割払戻しをしない条件で一定の金額を一時に預入するもの。

b 預入金額(郵貯規則83条の11)

郵貯法7条2項に規定する総務省令で定める定額郵便貯金の預入金額は,1000円,5000円,1万円,5万円,10万円,50万円,100万円又は300万円とする。

c 払戻制限(郵貯法52条1項前段)

据置期間が経過した後でなければ,貯金を払い戻すことができない。

d 据置期間(施行令1条2号前段)

預入の日から起算して6月

e 預入の日から10年が経過したときの取扱い(郵貯法57条)

預入の日から起算して10年が経過したときは,通常郵便貯金となり,定額郵便貯金証書により元金及び利息を全額払い戻す,元金及び利息を記載した通常郵便貯金通帳を交付する,又は貯金名義人の通常貯金通帳に元金及び利息を組み入れる方法により払い戻される。

(イ) このように,定額郵便貯金には,郵貯法7条1項3号により,分割払戻しをしないという契約上の制限が付されているため,分割払戻しが認められない。

このことは,定額郵便貯金が共同相続された場合であっても,同様である。

したがって,定額郵便貯金について,共同相続人の一部からの分割払戻請求は,郵貯法7条1項3号に反するものとして認められない。

よって,仮に本件郵便貯金1及び2が存続しているとしても,これらについての原告らの払戻請求は失当である。

イ 原告らの主張

(ア) 郵貯法7条1項3号が,定額郵便貯金を分割払戻しを制限する趣旨は,通常郵便貯金より有利な取扱いをする代わりに,元本を一定の額に限定することにより貯金の管理を容易にしたものであるということができるのであって,分割払戻の制限が定額郵便貯金であることから当然に必要となるものではない。

また,現行法規上,預入金額は8段階に限定されているが,最低額は1000円とされ,貯金管理における容易性は相当程度犠牲にされているものともいえる。

このような分割払戻の制限の趣旨にかんがみると,この制限は,定額郵便貯金について相続が生じた場合,「払戻請求権は各相続人に当然に分割される」という原則に何らの影響を与えるものではないと解すべきである。

(イ) 仮に,被告の主張を採用した場合,相続開始後は相続人全員が分割して取得した払戻請求権を共同して行使しない限り,単独では権利行使のための措置を一切採ることができないということになるほど,その権利行使を著しく制約される。

(ウ) また,定額郵便貯金については,相続が生じた場合の取扱いを明示的に定めた規定はないが,郵貯規則33条は,相続により郵便貯金に関する権利が承継された場合について同規則29条ないし32条の規定が準用されるとした上で,同規定33条ただし書において,「2人以上の相続人があるときは,名義書換又は転記の請求をする相続人以外の相続人の同意書を提出しなければならない」と定めており,右規定中特に定額郵便貯金についての適用を除外した定めは存しないことからすれば,33条の規定は,相続発生の場合の名義書換手続に関する総則的な規定として,定額郵便貯金についても適用されるものと解するのが相当である。

このような郵貯規則33条の規定によると,定額郵便貯金についても,据置期間経過後である限り,複数の相続人がいる場合であっても,他の相続人の同意があれば,一人の相続人が名義書換手続を行い,これに基づいて自己の相続分についての払戻を受けることが予定されているというべきである。したがって,郵貯法は,定額郵便貯金について分割払戻を制限する一方で,郵貯規則33条所定の要件を具備する場合でさえあれば,一人の相続人が相続分に応じて分割して払い戻すことを認めているものと解することができる。

(エ) 以上からすれば,被告の主張する分割払戻制度の規定は,本件のように相続によって法律上債権が当然に分割される場合にまで及ぶものではないと解すべきである。

(オ) また,被告の主張するような分割払戻を制限した規定が相続の場合に及ぶとしても,平成15年6月30日の経過により,同郵便貯金はそれぞれ10年を経過したのであるから,分割払戻しが認められるべきである。

第3  当裁判所の判断

1  本件郵便貯金1ないし6が△△郵便局において払い戻されるに至った経緯について

(1)  前記前提事実に証拠(甲16,乙2,乙3,乙4,乙5,乙6,乙7,乙8,乙9,乙10,乙13,乙14,証人秋子,証人丁谷,原告花子)を総合すると,以下の事実が認められる。

ア 原告花子と三郎及び秋子は,同じ住所地に居住していた。しかし,別々の建物に居住し,原告花子は,従来,三郎及び秋子に対し,貯金の払戻しを頼んだことは一切なく,戊野を通じて郵便貯金の手続きを行っていた。

イ 秋子は,平成13年12月10日,かかる証書合計6通を持って,△△郵便局を訪れた。

そして,秋子は,応対した局員である丁谷に対し,上記6通の定額郵便貯金証書及び定期郵便貯金証書を提出するとともに,「母が入院し,貯金の管理ができなくなるので,今後は,貯金の管理を私たちがすることになりました。」と申し立て,本件郵便貯金1ないし6についての印章変更手続きを申し込んだ。

そこで丁谷が身分証明を求めたところ,秋子は,原告花子,三郎及び秋子の氏名が記載された保険証を呈示した。

そして,丁谷は,保険証から,三郎及び秋子の身分の他,両者が夫婦の関係にあること,両者の住所地が本件郵便貯金1ないし6についての証書に記載された次郎,夏子,原告花子の住所地と同じであることを確認した。

ウ また,丁谷は,本件郵便貯金1ないし6の名義人は,いずれも三郎と秋子のものではなかったことから,秋子に対し,本件郵便貯金1ないし6の名義人と,三郎及び秋子との身分関係を尋ねた。

すると,秋子は,丁谷に対し,原告花子は夫三郎の実母,次郎は三郎の実父,夏子は三郎の祖母である旨返答した。

以上のようなやりとりから,丁谷は,秋子が原告花子の使者であると判断し,秋子の申し出を受け付け,本件郵便貯金1ないし6についての印章変更手続を行った。

エ さらに,秋子は,丁谷に対し,本件郵便貯金1ないし6について「今日払戻しができますか。」と尋ねたところ,丁谷は,200万円以上高額の現金を持ち帰ることは,事前に予約しないとできないが,貯金するのであれば払い戻すことができる旨答えた。

そこで,秋子は,丁谷に対し,本件郵便貯金1についての定額郵便貯金証書の受領証欄に「甲山次郎」と,本件郵便貯金2についての定額郵便貯金証書の受領証欄に「甲山夏子」と記載し,それぞれの名下に押印した上で提出し,本件郵便貯金1及び2の払戻しを請求するとともに,原告花子名義の通常郵便貯金(記号××××× 番号××××××××)についての貯金通帳を提示し,本件郵便貯金1及び2の払戻金は当該通常郵便貯金に預け入れるように依頼した。

オ これに対し,丁谷は,本件郵便貯金1についての定額郵便貯金証書及び本件郵便貯金2についての定額郵便貯金証書のそれぞれについて,受領証欄に押印された印影と貯金証書の印影とを対照し,相違がないことを確かめた上,本件郵便貯金1及び2の払戻しに応じた。

その際,丁谷は,秋子に対し,本件郵便貯金1についての定額郵便貯金証書及び本件郵便貯金2についての定額郵便貯金証書それぞれについて,その裏面に,秋子の氏名を自署するように求めたところ,秋子は,これらに,自己の氏名を自署した。

カ 本件郵便貯金1及び2の払戻金額は,合計622万1100円であったところ,丁谷は,秋子の申し出に従い,その全額を原告花子名義の通常郵便貯金に預け入れる手続きを行った。

(2)ア  秋子は,平成13年12月27日,本件郵便貯金3ないし6についての定額郵便貯金証書及び定期郵便貯金証書と,三郎名義の通常郵便貯金通帳を持って,△△郵便局に赴いた。

秋子の対応は,同月10日と同じく,丁谷が行った。

秋子は,丁谷に対し,本件郵便貯金3ないし6についての定額郵便貯金証書及び定期郵便貯金証書と,三郎名義の通常郵便貯金についての貯金通帳を提示し,本件郵便貯金3ないし6を払い戻すとともに,払戻金は,三郎名義の通常郵便貯金に預け入れるよう申し出た。

イ 丁谷は,秋子に,原告花子との関係を改めて確認することなく,秋子が原告花子の使者であると認め,上記アのような秋子の申し出を受け付けた。

そして,秋子は,本件郵便貯金3ないし5についての定額郵便貯金証書,及び,本件郵便貯金6についての定期郵便貯金証書の各受領書欄に,原告花子の氏名を記載し,押印した上で提出し,本件郵便貯金3ないし6の払戻しを請求し,同時に,秋子は,その払戻金を預け入れるために,丁谷に対し,三郎名義の通常郵便貯金についての貯金通帳も提出した。

そこで,丁谷は,本件郵便貯金3ないし6についての定額郵便貯金証書3通及び定期郵便貯金証書1通のそれぞれについて,受領証欄に押された印影と貯金証書の印影とを対照し,相違がないことを認めた上,本件郵便貯金3ないし6の払戻しに応じた。

ウ 本件郵便貯金3ないし6の払戻金額は,合計624万8663円であったところ,丁谷は,秋子の申し出に従い,その全額を三郎名義の通常郵便貯金に預け入れた。

2  争点(1)について

(1)  本件全証拠によるも,原告花子が,三郎及び秋子に対し,本件郵便貯金1ないし6の払戻しを依頼した事実を認めるに足りない。したがって,原告花子は,三郎または秋子に対し,本件郵便貯金1ないし6の払戻しに関する代理権を与えたとはいえないし,使者としたともいえない。

なお,次郎及び夏子はすでに死亡していたものであるところ,本件全証拠によるも原告花子以外の相続人が,原告花子に対し,本件郵便貯金1及び2の管理を委ねていたことを認めるに足りない。

(2)  秋子に対し,本件郵便貯金1ないし6の払戻しを求めるよう指示したのは三郎であるところ(乙14,証人秋子),原告花子から三郎が権限を与えられていたことを認めるに足る証拠はない。

(3)  したがって,秋子は,本件郵便貯金1ないし6について,何ら受領権限はない。よって,被告の秋子に対する払戻しは,受領権限のある者に対する弁済として有効とはいえない。

3  争点(2)について

(1) 払戻しを受けた者が受領権限を有しない場合,郵貯法26条によって,当該払戻しが正当な払渡しとみなされるためには,払戻しをなす郵便局員において,払戻請求人に払戻金の受領権限があると信じ,かつ,そう信じることにつき過失がないことを要するものと解される。

本件においては,印章変更後の各貯金証書の印鑑による印影と各受領証欄の印影とが同一であることはもとよりであるが,秋子は,印章変更の直後に,預金全額でありかつ高額の払戻しの申込みを行っているのであるから,少なくとも,郵貯取扱手続7条1項(1)のエに該当するものである。したがって,郵便局員としては,申込みを受けたときの状況等に応じて適切な質問をし,正当の権利者であることを確認すべきである。

(2)  これを本件についてみるに,以下のとおり,丁谷の事務処理には,以下のような問題点がある。

ア まず,本件郵便貯金1の名義人は次郎であり,本件郵便貯金2の名義人は夏子であって,両者とも既に死亡した。

証人秋子は,死亡の事実を丁谷に伝えた旨供述するが,これと反対趣旨の証人丁谷の供述に照らしてにわかには信用できず,他にこれを認めるに足る証拠はない。

しかしながら,丁谷は,保険証を見ているのであるから,三郎が昭和23年生まれであること及び次郎と夏子の氏名が記載されていないことを知りえたはずであり,したがって,三郎の父次郎や三郎の祖母夏子が生存しているのか否か疑問を持つべきである。

しかるに本件全証拠によるも,丁谷がこの点につき,秋子に質問をしたことを認めるに足りない。

イ また,本件において,秋子が丁谷に対して払戻しを請求した額は,平成13年12月10日,同月27日とも,それぞれ600万円を超える高額であり,しかも,満期を過ぎたか又はほぼ満期に近い定額郵便貯金及び定期郵便貯金であって,日常頻繁に払い戻すことが予定されているものではない上,秋子は,印章変更の直後に払戻しを申し込んでいる。

このように,日常頻繁に払い戻す性質のものではない定額郵便貯金及び定期郵便貯金について,名義人以外の者が印章変更と払戻しをほぼ同時に申し込む行為は,たとえかかる申込みが親族によるものであったとしても,いかにも不自然な行為である。

したがって,このような事情の下で,払戻請求を受けた郵便局員としては,①原告花子が病気で入院しているからといって,なぜ一度にそのような高額の貯金を払い戻す必要があるのか,②名義人が,貯金を払い戻す権限を払戻請求者に与えたのが本当だとすれば,なぜ,払戻請求者は,払戻請求のみならず印章変更の手続をしなければならないのか等について疑い,払戻請求者に対し,より詳しい事情を聞き,場合によっては名義人の意思を確認するなどの方法を採るべきであるのに,本件全証拠によるも,丁谷がこれをしたことを認めるに足りない。

ウ さらに,△△郵便局は内務職員8名の郵便局であるところ(乙13),原告花子は,戊野を通じて郵便貯金の手続きを行っていたものであり,丁谷も外務職員が原告花子の貯金通帳を預かってきたことがあったことから原告花子の名前を知っており(乙13),本件以前に,三郎または秋子に一度も払戻し等の手続を依頼したことはなく,丁谷も,秋子とは平成13年12月10日が初対面であり(乙13),原告花子の郵便貯金に関する手続きを,秋子が日常的に行っていたと認識していたわけではない。

このような状況で,本件のようにそれぞれ600万円を超える高額な払戻しを請求された場合,払戻請求を受けた郵便局員としては,以前から名義人を代理していたという事情もない者の発言を軽信するべきではなく,かかる払戻請求者に対し,より詳細な事情を聞き,場合によっては名義人の意思を何らかの形で確認するべきであるところ,本件全証拠によるも,丁谷がこれをしたことを認めるに足りない。

(3)  以上の次第であるから,丁谷は,本件郵便貯金1ないし6について払戻しをするにあたり,秋子に払戻金の受領権限があると信じることにつき無過失であったとは到底いいがたいから,丁谷による本件郵便貯金1ないし6の払戻しは,郵貯法26条の「正当の払渡」とはいえない。

よって,本件郵便貯金1ないし6に関する原告らの被告に対する貯金債権は,丁谷の秋子に対する払戻しによっては消滅しない。

4  争点(3)について

(1)  郵貯法7条1項3号によれば,定額郵便貯金は,「一定の据置期間を定め,分割払戻しをしない条件で一定の金額を一時に預入するもの」であるとされており,定額郵便貯金については,分割払戻しが制限されていると認められる。

(2)  そして,かかる制限は,定額郵便貯金債権が,共同相続された場合であっても,変わるところがないと解される。

よって,定額郵便貯金においては,預入の日から起算して10年が経過して通常郵便貯金となるまでは,預入した貯金額を分割して払い戻すことはできないのであり,本件郵便貯金1及び2については,かかる貯金の満期である平成15年6月30日が経過するまで,相続人の一部にすぎない原告らの被告に対する払戻し請求は認めることができない。

(3)  この点について,原告らは,貯金者本人であれば,定額郵便貯金を解約して通常郵便貯金へ移行させれば,単独で一部の払戻しを受けることができたにもかかわらず,相続開始後は相続人全員が分割して取得した払戻請求権を共同して行使しない限り,単独では権利行使のための措置を一切採ることができず,相続人の権利行使が制限され妥当でないと主張する。

しかし,相続人は,もともとそのような制限付きの債権を相続したものであるから,権利行使がある程度制限される結果となってもやむを得ない。仮に,原告らの主張が認められるとすると,相続という偶然の一事のみで,定額郵便貯金の分割払戻しが認められることになってしまい,一定の制限を課して貯金管理の容易性を図る反面,利息などの点において通常郵便貯金より債権者を有利に取り扱うこととした定額郵便貯金制度の趣旨が没却されることになりかねない。

また,原告らは,郵貯規則33条を根拠に原告らの分割払戻しが認められると主張するが,同条は名義書換の手続きを規定しているにすぎないと解されるから,かかる主張には理由がない。

さらに,定額貯金において,預入金額は8段階に限定されているものの,現行法規上定額郵便貯金の預入額の最低額は1000円であり,被告の貯金管理における容易性がある程度犠牲にされているとはいえる。しかし,そのことから直ちに,相続が生じた場合に分割払戻しが認められるという結論を導くことはできない。

(4)  ところで,本件口頭弁論終結前に,平成15年6月30日は経過した。

したがって,本件郵便貯金1及び2は,通常郵便貯金となったというべきであり,原告らの被告に対する分割払戻請求は認められる。

ただし,平成15年6月30日まで分割払戻請求が認められなかった以上,遅延損害金は,訴状送達の日の翌日である平成14年10月2日(記録上明らかである。)からではなく,平成15年7月1日から発生するものと考える。

5  結論

よって,原告花子の請求は,本件郵便貯金3ないし6の預入元金合計520万円及びこれに対する平成14年10月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合により遅延損害金及び本件郵便貯金1の預入元金の2分の1である100万円と本件郵便貯金2の預入元金の3分の1である90万円の合計190万円及びこれに対する平成15年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,原告太郎及び原告春子の請求は,それぞれ本件郵便貯金1の預入元金の6分の1である33万3333円と本件郵便貯金2の預入元金の9分の1である30万円の合計63万3333円及びこれに対する平成15年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。(なお,原告ら敗訴部分はわずかであるから,訴訟費用については,民訴法64条ただし書きを適用して,すべて被告の負担とする。)

(裁判官・佐久間政和)

別紙

預金目録<省略>

親族関係図<省略>

郵便貯金取扱手続<省略>

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