千葉地方裁判所 平成2年(わ)977号 判決 1990年11月08日
一
本店の所在地 千葉県船橋市飯山満町一丁目八五六番地
法人の名称
株式会社内田製作所
右表者代表取締役
内田好一
二
本店の所在地 同県習志野市茜浜一丁目二番一〇号
法人の名称
ナラシノ電子部品株式会社
右代表者代表取締役
内田好一
三
本籍 同県鎌ケ谷市東初富三丁目七四四番地の五三〇
住居
同市東初富三丁目一六番一八号
会社役員
内田好一
昭和一二年八月二五日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官奥村丈二出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
一 被告人株式会社内田製作所を罰金一六〇〇万円に処する。
二 被告人ナラシノ電子部品株式会社を罰金五〇〇万円に処する。
三 被告人内田好一を懲役一年二月に処する。
同被告人に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
第一 被告人株式会社内田製作所(以下「被告人内田製作所」という。)は、千葉県船橋市飯山満町一丁目八五六番地に本店を置き、空芯コイルの製造販売業等を営むもの、被告人内田好一(以下「被告人内田」という。)は、被告人内田製作所の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人内田は、被告人内田製作所の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、外注加工費を架空計上するなどして簿外預金を蓄積するなどの不正な方法により所得の一部を秘匿した上、
一 昭和六〇年五月一日から昭和六一年四月三〇日までの事業年度における被告人内田製作所の実際所得金額が一億四三一三万三三三四円あつたのにかかわらず、同年六月三〇日、同市本町二丁目二七番二五号所在の所轄船橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億七七六万六四九一円でこれに対する法人税額が四四九一万一六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告人内田製作所の右事業年度における正規の法人税額六〇二二万一九〇〇円と右申告税額との差額一五三一万三〇〇円を免れた
二 昭和六一年五月一日から昭和六二年四月三〇日までの事業年度における被告人内田製作所の実際所得金額が一億七七六一万六七二九円あつたのにかかわらず、同年七月二日、同市東船橋五丁目七番七号所在の船橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億一一三九万七〇九六円でこれに対する法人税額が四四九五万五八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告人内田製作所の右事業年度における正規の法人税額七二七六万二四〇〇円と右申告税額との差額二七八〇万六六〇〇円を免れた
三 昭和六二年五月一日から昭和六三年四月三〇日までの事業年度における被告人内田製作所の実際所得金額が一億八二八四万三五四円あつたのにかかわらず、同年七月二日、前記二記載の船橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億一四三一万八二一八円でこれに対する法人税額が四六二三万二六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告人内田製作所の右事業年度における正規の法人税額七四二九万五二〇〇円と右申告税額との差額二八〇六万二六〇〇円を免れた
第二 被告人ナラシノ電子部品株式会社(以下「被告人ナラシノ電子部品」という。)は、昭和六〇年一月五日から千葉県習志野市東習志野四丁目六番一六号に本店を置き(平成元年一二月一二日本店移転、現在同市茜浜一丁目二番一〇号)、空芯コイルの製造販売業等を営むもの、被告人内田は、被告人ナラシノ電子部品の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人内田は、被告人ナラシノ電子部品の業務に関し、法人税を免れようと企て、外注加工費を架空計上するなどして簿外預金を蓄積するなどの不正な方法により所得の一部を秘匿した上、
一 昭和六〇年一月五日から同年九月三〇日までの事業年度における被告人ナラシノ電子部品の実際所得金額が二〇六四万一五〇六円あつたのにかかわらず、同年一一月二七日、同県千葉市武石町一丁目五二〇番地所在の所轄千葉西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七〇万九三八四円でこれに対する法人税額が二一万二二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告人ナラシノ電子部品の右事業年度における正規の法人税額八一九万二〇〇〇円と右申告税額との差額七九七万九八〇〇円を免れた
二 昭和六〇年一〇月一日から昭和六一年九月三〇日までの事業年度における被告人ナラシノ電子部品の実際所得金額が三三一七万九五五四円あつたのにかかわらず、同年一二月一日、前記千葉西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一三一万五五二七円でこれに対する法人税額が三八八万二四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告人ナラシノ電子部品の右事業年度における正規の法人税額一三三四万九五〇〇円と右申告税額との差額九四六万七一〇〇円を免れた
ものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人内田の当公判廷における供述
一 被告人内田の検察官に対する各供述調書(平成二年六月二八日付け二通、同月二九日付け三通、同年七月三日付け三通、同月四日付け三通、同月五日付け二通、同月六日付けで四枚綴りのもの、本文一八枚綴りのもの、本文一四枚綴りのもの、三枚綴りのもので「内田製作所やナラシノ電子部品において」で始まるもの、九枚綴りのもの及び本文五枚綴りのもの及び同月二三日付け)
一 内田登(一二通、平成元年八月七日付けは謄本)、内田理恵子(二通)、内田泰子(二通)、伊藤富士江、大木謙一、鈴木静子(二通)、網元義徳、高野利美恵、水上邦男、荒木富雄、工藤一彦、藤野好一、山口益弘、加治屋俊幸、中澤實、田中正夫、池田和江、内田守、宝田
順子、佐藤由希子、大矢和子及び丸山武志の検察官に対する各供述調書
一 検察事務官作成の報告書
判示第一の各事実について
一 被告人内田の検察官に対する供述調書(平成二年七月六日付けで三枚綴りで「株式会社内田製作所」で始まるもの)
一 大蔵事務官各作成の被告人内田製作所に関する
1 売上高調査書(平成元年六月一五日付け)
2 材料仕入調査書(右同)
3 外注加工費調査書(右同)
4 水道光熱費調査書
5 修繕費調査書
6 消耗品費調査書(二通)
7 減価償却費調査書
8 器具備品費調査書
9 給料手当調査書(平成元年六月一五日付け)
10 福利厚生費調査書
11 旅費交通費調査書
12 接待交通費調査書
13 車両費調査書
14 通信費調査書
15 租税公課調査書
16 事務用品費調査書
17 賃借料調査書
18 保険料調査書
19 支払手数料調査書(平成元年六月一五日付け)
20 顧問料調査書
21 賞与引当金繰入調査書
22 雑費調査書
23 事業税認定損調査書(右同)
24 受取利息調査書(右同)
25 雑収入調査書
26 有価証券売却損益調査書
27 金先物取引損益調査書
28 賞与引当金戻入調査書
29 特別償却調査書
30 交際費損金不算入額調査書
31 損金の額に算入した附帯税、加算税、延滞金調査書
一 検察事務官作成の電話聴取書(平成二年七月一九日付け)
一 登記簿謄本(被告人株式会社内田製作所に関するもの)
判示第一の一の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(平成二年押第二三七号の2)
判示第一の二の事実について
一 押収してある法人税確定由告書一袋(前同押号の3)
判示第一の三の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の4)
判示第二の各事実について
一 被告人内田の検察官に対する供述調書(平成二年七月六日付けで本文六枚綴りのもの)
一 大蔵事務官各作成の被告人ナラシノ電子部品に関する
1 売上高調査書(平成元年六月一九日付け)
2 材料仕入高調査書(右同)
3 外注加工費調査書(右同)
4 給料手当調査書(右同)
5 支払手数料調査書(右同)
6 事業税認定損調査書(右同)
7 受取利息調査書(右同)
一 登記簿謄本(被告人ナラシノ部品株式会社に関するもの)
一 検察事務官作成の電話聴取書(平成二年七月二三日付け)
判示第二の一の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の5)
判示第二の二の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の6)
(法令の適用)
被告人両会社の判示各所為はいずれも各事業年度ごとに法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するので、情状により同法一五九条二項をそれぞれ適用し、右はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により右各罪の罰金の合算額の各範囲内で被告人株式会社内田製作所を罰金一六〇〇万円に、被告人ナラシノ電子部品株式会社を罰金五〇〇万円にそれぞれ処することとする。
被告人内田好一の判示各所為はいずれも右各被告人会社の各事業年度ごとに法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年二月に処し、同被告人に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 上原吉勝)