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千葉地方裁判所 平成3年(特わ)444号 判決 1991年8月29日

本店所在地

千葉県市川市南八幡二丁目一四番一三号

株式会社

ナカザワ

(右代表者代表取締役 中澤弘充)

本籍

千葉県市川市南八幡二丁目一四番

住居

同市南八幡二丁目一四番一三号

会社役員

中澤弘充

昭和二年五月一一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中尾英明出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社ナカザワを罰金一四〇〇万円に、被告人中澤弘充を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人中澤弘充に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社ナカザワは、千葉県市川市南八幡二丁目一四番一三号に本店を置き、ホテル経営業を営む株式会社であり、被告人中澤弘充は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人中澤は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六一年六月一日から昭和六二年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得額が七三四四万三〇四〇円であったのにかかわらず、昭和六二年七月三一日、同市北方一丁目一一番一〇号所在の所轄市川税務署において、同税務署長に対し、その所得額が一九九五万五七八八円でこれに対する法人税額が七四〇万四二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二九八六万九二〇〇円と右申告税額との差額二二四六万五〇〇〇円を免れ、

第二  昭和六二年六月一日から昭和六三年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得額が四二七九万八一〇二円であったのにかかわらず、昭和六三年七月二七日、右市川税務署において、同税務署長に対し、その所得額が零円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一六九七万二七〇〇円を免れ、

第三  昭和六三年六月一日から平成元年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得額が四八二七万四九五八円であったのにかかわらず、平成元年七月二八日、右市川税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が六〇六万〇三八八円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一九二六万七九〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人中澤弘充の当公判廷における供述

一  被告人中澤弘充の検察官に対する各供述調書

一  中澤彌生(六通)、中澤和弘、中澤秀夫、松原國廣、山本忠司及び角田雅道の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料、売上高調査書、仕入高調査書、福利厚生費調査書、広告宣伝費調査書、接待交際費調査書、旅費交際費調査書、通信費調査書、消耗品費調査書、地代家賃調査書、修繕費調査書、受取利息調査書、雑損失調査書、損金不算入住民税利子割調査書、雑収入調査書、繰越欠損金当期控除額調査書、事業税認定損調査書、申告欠損金調査書及び代表者勘定調査書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  登記官作成の商業登記簿謄本

一  押収してある法人税確定申告書三綴(平成三年押第一二六号の1ないし3)

(法令の適用)

被告人中澤及び被告人会社の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、更に同法一六四条一項)に該当するが、被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人中澤については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一四〇〇万円に、被告人中澤については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年に各処し、被告人中澤に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 吉田徹)

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