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千葉地方裁判所 平成3年(行ウ)4号 判決 1992年10月28日

原告

株式会社八日市場観光開発

右代表者代表取締役

久米三雄

右訴訟代理人弁護士

宇佐見方宏

山之内三紀子

河村信男

主位的被告

千葉県知事沼田武

右指定代理人

石橋賢二

外六名

予備的被告

大多喜町長宍倉一輔

右訴訟代理人弁護士

古屋紘昭

右指定代理人

磯野敬吾

外五名

主文

一  原告が平成三年二月一三日に被告大多喜町長を経由して被告千葉県知事に対して提出したゴルフ場等の開発事業事前協議申出書について、被告千葉県知事が同年二月二七日付けでなした右申出書の受理拒否処分を取り消す。

二  原告と被告千葉県知事の間に生じた訴訟費用は被告千葉県知事の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告千葉県知事に対する請求(主位的請求)

主文と同旨

2  被告大多喜町長に対する請求(予備的請求)

(一) 原告が平成三年二月一三日に被告大多喜町長に対して提出したゴルフ場等の開発事業事前協議申出書について、被告大多喜町長が同年二月二七日付けでなした右申出書の受理拒否処分を取り消す。

(二) 訴訟費用は被告大多喜町長の負担とする。

二  被告ら(本案前の申立て)

1  原告の各被告に対する訴えを却下する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  原告の請求原因

1  被告千葉県知事に対する請求原因

(一)(1) 原告は、ゴルフ場及びスポーツレクリエーション施設の設置・経営等を目的とする株式会社であり、昭和六一年頃から、千葉県夷隅郡大多喜町筒森地区においてゴルフ場の開発事業をすることを計画している。

(2) ところで、千葉県の「宅地開発事業等の基準に関する条例」(昭和四四年一〇月一五日条例第五〇号。以下「本件条例」という。)五条一項によると、千葉県においてゴルフ場の開発事業を行おうとする者は、当該事業の計画について、あらかじめ被告千葉県知事(以下「被告知事」という。)に協議し(以下、この協議を「五条協議」という。)、被告知事の同意を得なければならないとされており(以下、この同意を「五条同意」という。)、同条例施行規則(昭和四四年一二月二六日規則第一〇一号。以下「本件規則」という。)二条の二第四項によると、右協議申出書等の被告知事への提出は、開発地域の所在する市町村の長(本件の場合は被告大多喜町長(以下、「被告町長」という。)になる。)及びその区域を管轄する支庁の長を経由して行わなければならないこととされている。

(3) そこで、原告は、平成三年二月一三日、被告町長に対し、前記開発事業計画について被告知事の五条協議を求める「ゴルフ場等の開発事業事前協議申出書」(以下「本件協議申出書」という。)を提出した。ところが、本件協議申出書は、平成三年二月二七日付けで、被告町長名で、一方的に原告に返戻されてきた。

(二) 本件条例及び本件規則の前記規定によれば、本件協議申出書は、被告町長が受付担当窓口となって受け付けることにより被告知事に提出された効果が生じ、また、被告町長名により返戻されたときは被告知事が返戻した効果が生ずべきものである。そして、本件返戻行為は、本件協議申出書の受理を拒絶するものにほかならないから、被告知事は、本件返戻により、本件協議申出書の受理拒否処分をしたことになる。

(三) ところで、本件条例七条一項によれば、ゴルフ場の開発事業をしようとする者は、工事を施行しようとするときは、あらかじめ、工事の設計が所定の基準に適合するものであることについて、被告知事の確認を受けなければならないものとされ(以下、この確認を「七条確認」という。)、これに違反して工事を施行したものは同条例一七条により五万円以下の罰金に処せられることになっているが、他方で右条例七条三項は、七条確認の申請は五条協議の申出に対する五条同意がなされた後でなければできないものとしている。すなわち、五条同意があることは七条確認を受けるための前提要件であり、従って、右同意がなければ右確認の申請すらできずゴルフ場の開発事業をしようとする者はその途が閉ざされる。従って、このような五条同意を得る手続きのために提出された本件協議申出書の受理拒否処分は、原告の権利義務に直接影響を及ぼすものであり、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。

(四) そして、被告知事は、ゴルフ場等を開発しようとする者から協議申出書が提出された場合にはこれを受理する義務があり、受理を拒否する権限はないから、本件受理拒否処分は違法である。

よって、原告は、被告知事に対し、右受理拒否処分の取消しを請求する。

2  被告大多喜町長に対する請求原因

仮に、本件受理拒否処分が被告知事による処分でないとすれば、右受理拒否処分は、被告町長によりなされたものである。そして、右処分は、前記1で主張したように違法であるから、取り消されるべきである。

よって、原告は、被告知事に対する請求が理由がない場合の予備的請求として、被告町長に対し、本件協議申出書について被告町長が平成三年二月二七日付けでなした右申出書の受理拒否処分の取消しを請求する。

二  被告知事の本案前の主張

1  千葉県内におけるゴルフ場の開発事業については、原告主張のとおりの規定のある本件条例及び本件規則のほかに、「ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱」(以下「指導要綱」という。)及び「千葉県におけるゴルフ場開発計画の取扱い方針」(以下「取扱い方針」という。)が制定されている。そして、これらの関係規定によれば、開発業者は千葉県及び開発区域の所在する市町村の土地利用に関する計画又は構想及び公共施設の整備に関する計画に適合するよう開発事業の計画を策定するとともに、県及び市町村の実施する施策に協力しなければならないこと(本件条例四条、指導要綱第四)、その開発計画が市町村における地域振興等の計画に位置付けられており、かつ当該計画が市町村議会の議決を経て策定された計画・構想及び国土利用計画をはじめとする県が策定した計画との整合が計られている場合等に被告知事との五条協議の対象となること(取扱い方針第四第一号)、また、当該市町村及び地元住民から積極的、かつ強力な要請があるものを五条協議の対象とすること(取扱い方針第三)などが決められている。そして、開発業者から五条協議の申出書が市町村長に提出されると、市町村長は右申出書を被告知事に進達することになるが、これに先立って千葉県の意見を聞くものとされ、これに応じて、県は、指導要綱第九に規定する開発事業対策協議会(関係法令を所管する庁内二五課の課長で構成される。)において協議調整を行なったうえで、市町村長に回答する(取扱い方針第九)。この協議調整は内協議というものであるが、この内協議は、当該ゴルフ場開発計画の主として立地上の問題点について県と市町村間で意見交換をするための制度である。そして、市町村長は、この内協議の結果を踏まえて開発業者を指導し、開発業者は、通常、計画を再検討のうえ、あらためて協議申出書を市町村長へ提出し、これが被告知事に進達されて初めて五条協議が開始されるものである。

2  このような関係諸規定を総合して検討すれば、五条協議の申出書の提出を受けた市町村長は、被告知事が開発事業計画に対する同意、不同意の判断をするための資料を提供するため、千葉県の意見を聞く等したうえで、協議申出書を単に被告知事に進達するだけであるが、右進達行為は、五条協議に入るための前提たる事実行為に過ぎず、それ自体は、右申出をした者の法律上の地位ないし権利関係に直接影響を及ぼす行政処分ということはできない。そうすると、被告町長がこのような性質の進達をせずに本件協議申出書を返戻した行為も行政処分とはいえず、被告町長のした事実行為であるから、本件受理拒否処分は抗告訴訟の対象にならないというべきである。

3  更に、被告町長が本件協議申出書を返戻した時点は、被告町長が千葉県へ前記の内協議をする前の段階であった。そうすると、本件返戻行為は、五条協議開始の前提たる内協議手続きに入る前に被告町長のした事実行為に過ぎないというべきであるから、この点でも、被告知事のした行政処分とはいえない。

4  仮に、本件返戻行為が被告知事の行為と評価されるとしても、右返戻行為には行政処分性がない。すなわち、協議申出書を被告知事が受理すると前記開発事業対策協議会が開かれ、その構成委員である関係課の課長が意見を述べることになり、この意見を踏まえて、開発業者は当該関係課と個々に協議を行ない調整して行くことになる。そして、開発業者と関係課との協議がおおむね整ったと認められた場合、被告知事は協議の終了を通知することになるが、これが、五条同意の意味である。すなわち五条同意は、五条協議が終了し、次の手続き、すなわち七条確認の申請を行なうことができることを意味するに過ぎないのであって、開発工事が可能となるような法律上の地位を与える行政庁の確定的な行為を意味するのではない。従って、五条同意は、右のように協議が終了したことを開発業者へ通知するという事実上の行為に過ぎず、また、不同意は、関係法令との調整が終了していないという事実を開発業者に通知するやはり事実上の行為に過ぎない。そうすると、このような性質の協議を求める本件協議申出書を返戻したとしても、右返戻行為も事実行為に過ぎないと考えるべきである。

5  なお、七条確認は被告知事の行政処分たる性質を有するものであり、開発業者は右確認を得ることにより初めて開発工事をすることが可能となる法律上の地位を取得するが、原告主張のとおり、本件条例七条三項により、七条確認の申請は五条同意の通知を受けた後にしなければならないとされている。しかし、右七条三項の趣旨は、いきなり七条確認を申請したのでは関係法令との調整ができておらず、結果として確認できないことになるので、開発業者はまず五条協議を行ない被告知事の五条同意を得てから七条確認の申請をすべきこととしたところにあるのであって、七条三項は七条確認の申請の手続きを円滑に行なうための手続き規定であるに過ぎない。従って、本件条例七条三項の規定は、本件返戻行為に行政処分性を認めるべき根拠となるものではない。

三  被告町長の本案前の主張

1  被告町長に対する訴えは、訴えの主観的予備的併合であり、不適法である。

2  被告知事の主張のとおり、被告町長は五条協議の申出書を被告知事に進達する経由機関であってその受理権限を有していないから、本件返戻行為を被告町長の受理拒否処分と見ることはできない。仮に、被告町長に受理権限が認められるとしても、被告知事主張のとおり、進達行為は五条協議のための前提たる事実行為に過ぎず、右進達行為に行政処分性はないから、本件返戻行為も行政処分とはいえない。従って、本件返戻行為は、抗告訴訟の対象にならないというべきである。

第三  証拠<省略>

理由

一被告知事に対する請求について

1  被告知事は、請求原因(一)の(1)ないし(3)を明らかに争わないから、これを自白したものとみなされる。すなわち、原告は、本件条例及び本件規則に従い、被告知事に五条協議を求めるためのゴルフ場等の開発事業事前協議申出書である本件協議申出書を被告町長に提出したところ、被告町長は、まもなく一方的にこれを原告に返戻したのである。そして、<書証番号略>と弁論の全趣旨によれば、本件協議申出書は、いったん受領された後内容証明郵便により原告に返戻され、これにより最終的確定的に右申出書の受理を拒絶する処分がなされたものであることを認めることができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

2  本件では、右返戻行為に行政処分性があるかどうか及びこれが肯定されるとして被告知事の処分といえるかどうかが主として争われているが、当裁判所は、以下の理由で、これらをいずれも肯定的に解するべきものと考える

(一) 本件条例及び本件規則並びに指導要綱及び取扱い方針は、それぞれ<書証番号略>のとおりである。そして、当事者双方が主張するとおり、本件条例七条一項により、原告のように千葉県の区域でゴルフ場の開発事業を行なおうとする者は、工事を施行しようとするときは、あらかじめ、工事の設計が一定の基準に適合するものであることについて被告知事の設計の確認(七条確認)を受けなければならず、七条確認を得たものだけが適法にゴルフ場の開発工事をすることができる。ところが、本件条例七条三項によれば、七条確認の申請をするためには、その前に、同条例五条により、ゴルフ場の開発事業計画について協議申出書を被告知事に提出する方法で同知事と協議し(五条協議)、被告知事の同意(五条同意)を得なければならず、七条確認の申請は、被告知事から五条同意をした旨の通知を受けた後でなければすることができないものとされている。そうだとすると、本件条例は、その文言上、五条協議を経たうえ五条同意がなされたことを、七条確認を得るための必要的前提要件としているものと解するほかないというべきである。換言すれば、五条協議をして五条同意を得た者だけが七条申請をする適格を有するとするのが本件条例の規定の仕方であり、右協議申出の方法として、協議申出書を提出するべきことを定めているのである。五条協議及びその申出が右のような性質のものであれば、ゴルフ場の開発事業を行なおうとする者は、被告知事に対し五条協議に応ずること及びその申出たる協議申出書を受理することを要求する法律上の地位ないし権利を有するというべきである。従って、五条協議の申出書が受理を拒否された場合には、申出をした者の右のような法律上の地位ないし権利が侵害されるのであるから、これが抗告訴訟の対象となる行政処分に当たることは明らかである。本件条例五条(及び本件規則二条の二)は、協議をしなければならない場合を規定し、協議申出書の添付資料を定め、同意をする場合に被告知事が勘案しなければならない事項を挙げ、同意をし又は同意をしなかった場合には協議を申し出た者にその旨を通知しなければならないとしており、一一条の二(及び本件規則一五条の二)では、同意を得た者に一般承継があった場合は承継人が同意に基づく地位を承継すると定めているし、なお、取扱い方針第八では、協議の暫定凍結、協議申出等の取下げの指導、協議申出が取り下げられたものとみなす場合について規定しているが、これらの諸規定も、五条協議の申出が前記のような法律上の性質をもつものであると解することに沿うものであるということができる。

(二)  ところが、被告知事は、本件条例七条三項が七条確認の申請について五条協議を前置すべきものとしている趣旨は、七条確認の申請手続きを円滑に行なうための手続きを定めているものに過ぎないから、本件返戻行為に行政処分性を認める根拠にならないと主張している(被告知事の主張5)。その趣旨は必ずしも明らかでないが、五条協議が被告知事の右主張の趣旨で行なわれる手続きであることは、ゴルフ場の開発事業を行なおうとする者に右協議を申し出る法律上の権利があると解することに何ら妨げとなるものではない。そして、仮に、被告知事の右主張が、五条協議は単に事実上行なうこととされているものであり七条確認の申請適格に何も関係しないと主張するものであれば、前記判示のとおり採用し難い主張であるといわざるをえないが、被告知事は、本件口頭弁論において、敢えてそのようにまで主張しなかったことが審理の経過から明らかである。

(三)  次に、被告知事は、そのほかの理由でも、本件返戻行為が事実行為であり原告の法律上の地位等に影響を及ぼさないものであることを主張しているところ(被告知事の主張2及び3)、これらもその趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれも、本件返戻行為は、本件協議申出が未だ被告知事に対してなされたということのできない段階で被告町長によりなされたという主張を前提とするようである。そして、本件返戻行為が、被告町長により被告町長名でなされたことは前記のとおりである。しかし、本件条例は、五条協議の申出書は被告知事に提出しなければならないと定めているのであり(五条四項)、協議申出書の受理権限を知事に与えていることが明らかである。そして、被告知事は、本件規則を制定してその二条の二第四項で右協議申出書は同条所定の市町村長等を経由して行なわなければならないと定めているのであるが、これは、本件条例により被告知事に与えられた右申出書の受理権限に基づき、右市町村長等にその受付権限を授与したものと解するのが相当である(本件条例、本件規則、指導要綱及び取扱い方針を通じて認められる本件条例の趣旨目的に照らすと、被告知事が規則により右のように受付権限を前記市町村長等に授与することは本件条例に違反することはないと認めることができる。)。従って、協議申出書は、その受付権限を有する市町村長等に提出されたとき被告知事に提出された効果が生ずるというべきである。そうすると、被告知事が本件申出書が被告町長に提出されたことを知っていたか否かに拘らず、本件協議申出書が被告町長に提出されたとき被告知事に提出された効果が生じたのであるから、被告知事の前記各主張は、前記の前提を欠くものであり、採用することができない。そして、同様の理由により、被告町長が被告町長名でした本件返戻行為は、その効果が当然に被告知事に生じ、被告知事により受理拒否処分がなされたことになるものと解するのが相当である。

なお、被告知事の前記主張3は、被告知事の主張1と合せると、協議申出書には事実上(あるいは行政指導を求めるため)の申出書とこれを経た後の本来の協議を求める申出書の二種類があり、本件申出書は前者に該当するに過ぎないという趣旨のようにも見える。しかし、そのように認めるべき根拠は何らないから、右主張も採用することができない。

(四)  また、被告知事は、五条同意又は不同意に行政処分性がないから本件返戻行為にも処分性がないと主張している(被告知事の主張4)。そして、五条同意がなされても七条確認がない以上開発行為をすることはできないのであるから、被告知事の同意があっただけではこれを対象として何びとかが抗告訴訟を提起することが可能となる場合はないであろう。しかし、五条同意の前記性質によれば、不同意及び協議申出書受理拒否等のように同意を与えない方向での処分は協議申出をした者の法律上の地位に直接の影響を及ぼすものであるというべきであるから、これが抗告訴訟の対象としての適格を欠くということはできない。従って、被告知事の右主張も採用することができない。

3 以上の次第で、本件返戻行為は被告知事のした処分であり、本件協議申出書の受理拒否処分に該当するが、これは抗告訴訟の対象となるものであると解すべきであるところ、被告知事は、右処分が適法であったことについては何も主張立証をしていない。そうすると、被告知事は本件協議申出書につきこれを違法に受理拒否したものというべきであるから、その取消しを求める原告の請求は、理由がある。

二被告町長に対する訴えについて

被告町長は、被告町長に対する訴えは主観的予備的併合に当たるから不適法であると主張している。しかし、本件の記録と審理の経過によれば、被告町長は、本件訴状の送達後主観的予備的併合の適否について意識的に調査検討し、そのための時間を要することも理由の一つとして第一回口頭弁論期日の変更を申し出たが、変更後の第一回口頭弁論期日から第八回口頭弁論期日まで、弁論の更新時も含めて、右の問題については何ら異議を述べずに通常のとおり応訴してきたこと、及び、最終口頭弁論期日である右第八回口頭弁論期日において初めて口頭で前記のように主張したものであることが明らかである。そうすると、被告町長は、主観的予備的被告であることに伴う訴訟上の不利益を認識しながら敢えてこれを甘受し本件訴訟全体を通じてこれに応訴する態度を表明し続けてきたのであるから、このような経緯と、本件訴訟物に関する被告町長の立場上被告町長としても本件訴訟の当事者として審理に関与することに利点が多いことにかんがみると、被告町長に対する本件の予備的訴えは、主観的予備的併合であることだけでは不適法ということはできないと認めるのが相当である。そして、原告の被告町長に対する右申立態様と当裁判所の前記認定判断によれば、被告町長に対するその余の点での訴えの適否及び請求の理由の有無は判断の必要がなく、また、原告と被告町長との間の訴訟費用については、民訴法一〇四条により負担が定められるべく、この判決においてはこれを定めないものとするのが相当である。

三結論

よって、原告の被告知事に対する請求を認容し、原告と被告知事との間に生じた訴訟費用の負担について行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官加藤英継 裁判官高橋隆一 裁判官市川太志)

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