千葉地方裁判所 平成4年(わ)52号 判決 1992年5月15日
本籍
千葉県市原市島野五四七番地
住居
同県千葉市中央区弁天町二三〇番地
会社役員
小出信子
昭和四年一一月二日生
本籍
千葉県市原市島野五四七番地
住居
同県千葉市中央区弁天三丁目四番三号
会社役員
小出進
大正一四年一〇月二一日生
本籍
千葉県市原市島野五四七番地
住居
同県千葉市中央区弁天町二三〇番地
会社役員
小出正次
大正一五年三月三一日生
右三名に対する各所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官平山龍徹出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人小出信子を懲役一年二月及び罰金三、〇〇〇万円に
被告人小出進を懲役一年六月及び罰金四、〇〇〇万円に
被告人小出正次を懲役一年六月に
それぞれ処する。
被告人小出信子及び同小出進においてその罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、それぞれその被告人を労役場に留置する。
被告人小出信子及び同小出進に対し、この裁判の確定した日から三年間、それぞれその懲役刑の執行を猶予する。
被告人小出正次に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、その三分の一ずつを各被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人小出信子は、千葉県千葉市中央区弁天町二三〇番地に居住し、旅館業等を営む双葉商事株式会社等の監査役をしているもの、被告人小出進は、同市中央区弁天三丁目四番三号に居住し、同会社の代表取締役等をしているもの、被告人小出正次は、同会社の取締役等をしているものであるが、
第一 被告人小出信子及び同小出正次は、共謀の上、被告人小出信子の所得税を免れようと企て、千葉県木更津市畔戸字入江一五二七番の一ほか六四筆の雑種地の譲渡による収入の一部を除外するなどの方法によりその所得を秘匿した上、別紙第一の1記載のとおり、平成二年分の実際総所得額が二七三万九、六一〇円、分離課税による長期譲渡所得額が一八億一、六三九万六、九六七円であったのにかかわらず、平成三年三月八日、同県千葉市中央区祐光一丁目一番一号所在の所轄千葉東税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得額が二七三万九、六一〇円、分離課税による長期譲渡所得額が一三億五八七万三、九四六円で、これらに対する所得税額が合計三億二、四四五万四、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人小出信子の同年分の正規の所得税額四億五、二〇八万五、四〇〇円と右申告税額との差額一億二、七六三万一、四〇〇円を免れた(脱税額の計算は別紙第一の2のとおり)
第二 被告人小出進及び同小出正次は、共謀の上、被告人小出進の所得税を免れようと企て、千葉県木更津市畔戸字入江一五二八番ほか七〇筆の雑種地及び原野の譲渡による収入の一部を除外するなどの方法によりその所得を秘匿した上、別紙第二の1記載のとおり、平成二年分の実際総所得額が五一四万三、七九八円、分離課税による長期譲渡所得額が一九億二、八一〇万六、六七〇円であったのにかかわらず、平成三年三月八日、前期所轄千葉東税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得額が五一四万三、七九八円、分離課税による長期譲渡所得額が一二億九、六二八万三、一四三円で、これらに対する所得税額が合計三億二、二二三万九、〇〇〇円である旨の虚偽の所得額確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人小出進の同年分の正規の所得税額四億八、〇一九万四、七〇〇円と右申告税額との差額一億五、七九五万五、七〇〇円を免れた
(脱税額の計算は別紙第二の2のとおり)
ものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実について
一 被告人三名の当公判廷における各供述
一 被告人小出正次の検察官に対する供述調書三通
一 菅原長茂(二通、うち一通は謄本)、森圀之、平野直江(謄本)及び岡田房夫(謄本)の検察官に対する各供述調書
一 検察官作成の捜査報告書二通
一 検察事務官作成の電話聴取書
判示第一の事実について
一 被告人小出信子の検察官に対する供述調書三通
一 大蔵事務官石井太一作成の脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、分離長期譲渡所得の収入金額調査書、分離長期譲渡所得の取得費調査書及び分離長期譲渡所得の譲渡費用調査書
一 押収してある平成二年分の所得税の確定申告書一枚(平成四年押第九五号の1)
判示第二の事実について
一 被告人小出進の検察官に対する供述調書三通
一 大蔵事務官江並信爾作生の脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、分離長期譲渡所得の収入金額調査書、分離長期譲渡所得の取得費調査書及び分離長期譲渡所得の譲渡費用(その他所得)調査書
一 押収してある平成二年分の所得税の確定申告書一枚(平成四年押第九五号の2)
(法令の適用)
被告人小出信子及び同小出正次の判示第一の所為並びに被告人小出進及び同小出正次の判示第二の所為はいずれも刑法六〇条、所得税法二三八条一項に該当するところ、被告人小出信子及び同小出進の各罪につきいずれも所定の懲役と罰金とを併科することとし、情状により同条二項を適用してその所定刑期及び金額の範囲内で、被告人小出信子を懲役一年二月及び罰金三、〇〇〇万円に、被告人小出進を懲役一年六月及び罰金四、〇〇〇万円にそれぞれ処し、被告人小出正次の各罪につきいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法廷の加重をした刑期の範囲内で被告人小出正次を懲役一年六月に処し、被告人小出信子及び同小出進においてその罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間それぞれその被告人を労役場に留置し、いずれも情状により同法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から各三年間、被告人小出信子及び同小出進に対してはその懲役刑の、被告人小出正次に対してはその刑の執行をそれぞれ猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文によりその三分の一ずつを各被告人に負担させることとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松本昭徳)
別紙第一の1 小出信子分
<省略>
小出信子分
<省略>
別紙第一の2 小出信子分
<省略>
別紙第二の1 小出進分
<省略>
小出進分
<省略>
別紙第二の2 小出進分
<省略>