千葉地方裁判所 平成5年(わ)1660号 判決 1994年4月15日
本店所在地
千葉県佐原市西和田七三三番地
法人の名称
栗林商事株式会社
(平成三年一二月二六日に組織変更するまでは栗林商事有限会社)
(代表者代表取締役 栗林與志雄)
本籍
千葉県佐原市西和田七三三番地
住所
右同
会社役員
栗林與志雄
大正一三年七月二九日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官武田みどり出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人栗林商事株式会社を罰金一五〇〇万円に、被告人栗林與志雄を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人栗林與志雄に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人らの連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人栗林商事株式会社(平成三年一二月二六日に組織変更するまでは、栗林商事有限会社。以下「被告人会社」という)は、千葉県佐原市西和田七三三番地に本店を置き、清掃業等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人栗林與志雄は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人栗林與志雄は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 平成元年一二月一日から同二年一一月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が五〇八五万六九三七円であったにもかかわらず、平成三年一月二九日、同県佐原市北一丁目四番地一所在の佐原税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、四一八万七四一一円で、これに対する法人税額が一一八万七六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一九四三万五八〇〇円と右申告税額との差額一八二四万八二〇〇円を免れ
第二 同二年一二月一日から同三年一一月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が六三三九万四二九六円であったにもかかわらず、同四年一月三一日、前記佐原税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、七二四万四四八七円で、これに対する法人税額が一九七万九九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二二九六万四四〇〇円と右申告税額との差額二〇九八万四五〇〇円を免れ
第三 同三年一二月一日から同四年一一月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が六一九八万六八五一円であったにもかかわらず、同五年二月一日、前記佐原税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、六三〇万九二七六円で、これに対する法人税額が一七〇万四六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二二四二万二八〇〇円と右申告税額との差額二〇七一万八二〇〇円を免れ
もって不正の行為により、法人税を免れたものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
一 冬木とし江、鎌形絹代、宮崎秀子、富川久江、郡貢及び松下光弘の大蔵事務官に対する各供述調書
一 検察官及び検察事務官作成の各捜査報告書
一 大蔵事務官作成の「脱税額計算書説明資料」
一 登記官作成の各登記簿謄本
(法令の適用)
被告人栗林商事株式会社及び被告人栗林與志雄の判示各行為は、各事業年度毎に、いずれも法人税法一五九条一項(被告人会社についてはさらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状に照し、同法一五九条二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金一五〇〇万円に処し、被告人については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年に処し、被告人に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人らに連帯して負担させることとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 北島佐一郎)