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千葉地方裁判所 平成11(行ク)12 行政事件裁判例

主 文

本件申立てを却下する。

事 実

第一 当事者の求めた裁判

一 申立ての趣旨

当庁平成一一年(行ウ)第五三号裁決取消等請求事件(以下「本件訴訟」とい

う。)の被告長生郡市広域市町村圏組合を長生郡市広域市町村圏組合管理者に変更

することを許可する。

二 申立ての理由

申立代理人らは、本件訴訟において、被告を長生郡市広域市町村圏組合管理者と

すべきところ、思い違いにより同組合と表示して、転任処分取消しを求める訴訟を

提起した。この点については、長生郡市広域市町村圏組合の訴訟代理人が、本件訴

訟において「請求棄却」の答弁をしたように、行政事件の被告は極めて間違いやす

いものであるから、重大な過失ではない。

したがって、行政事件訴訟法一五条一項により右管理者に変更することを許可す

る旨の決定を求める。

第二 当裁判所の判断

一 本件記録によると、以下の事実が認められる。

1 申立人は、昭和六三年四月一日、特別地方公共団体(一部事務組合)たる長生

郡市広域市町村圏組合に採用され、同組合の経営する長生病院で栄養士として勤務

し、平成九年三月当時、技術吏員(栄養科主任)であった。ところが、申立人は、

平成九年四月一日、同組合管理者から転任処分(事務吏員{総務課主査}への任

命)を受けた。右処分の辞令書の「任命権者」欄には、「長生郡市広域市町村圏組

合 管理者 A」との記載がされている。なお、長生郡市広域市町村圏組合規約一

一条二項には「事務局に吏員その他の職員を置き管理者がこれを任免する。」との

規定がある。

申立人は、Bを主任代理人、申立代理人らほか一四名を代理人として、平成九年

五月二七日、千葉県市町村公平委員会に対し、右転任処分に係る審査請求をしたと

ころ、同委員会は、平成一一年五月一二日、右転任処分を承認する旨の裁決をし

た。なお、右の裁決書の「処分者」の表示としては、「長生郡市広域市町村圏組合

管理者 A」との記載がされている。

2 申立人は、申立代理人らを訴訟代理人として、平成一一年七月二一日、右転任

処分と右裁決の取消しを求める本件訴訟を提起した。

本件訴訟において、申立代理人らは、転任処分取消訴訟の被告を「長生郡市広域

市町村圏組合」とした。

二 右事実に照らすと、本件訴訟のうち転任処分の取消しを求める部分について被

告適格のあるものは、被告長生郡市広域市町村圏組合ではなく、長生郡市

広域市町村圏組合管理者であることが明らかである。

三 そこで、申立人が本件訴訟提起につき被告とすべき者を誤ったことが、行政事

件訴訟法一五条一項にいう「故意又は重大な過失によらない」ものであるか否かに

ついて検討する。

一の事実によれば、本件訴訟の原告訴訟代理人らが、訴えの提起に当たって弁護

士としてのわずかの注意を払い、長生郡市広域市町村圏組合規約の規定や辞令、裁

決書の記載を検討しさえすれば、前記転任処分の処分者が同組合ではなく、同組合

管理者であること、したがって、同組合管理者を被告として転任処分取消しの訴え

を提起すべきことは容易に判明し得たものである。したがって、同組合を被告とし

て本件訴訟を提起したことは、右訴訟代理人らが法律専門家として要求される注意

を著しく欠いたものであることは、少なくとも明らかである。そして、行政処分の

取消訴訟において訴訟代理人がある場合には、行政事件訴訟法一五条一項に定める

故意又は重大な過失の有無は第一に訴訟代理人についてこれを論ずるべきものであ

るから、申立代理人らのこのような不注意は、本人たる申立人にもその効果が及ぶ

ことになり、結局、本件においては、申立人が被告とすべき者を誤ったことについ

て重大な過失があったものというべきである。

なお、本件訴訟においては、被告長生郡市広域市町村圏組合の答弁書が代理人弁

護士名義で提出され、右答弁書には、請求棄却の裁判を求める答弁のほか、同被告

が右処分をしたことを認める旨の記載があることが認められるが、このことをもっ

て右結論が左右される筋合いのものではない。

四 以上のとおり、申立人の本件申立ては理由がないから、これを却下することと

し、主文のとおり決定する。

平成一一年一二月一〇日

千葉地方裁判所民事第三部

裁判長裁判官 園部秀穗

裁判官 小宮山茂樹

裁判官 大濱寿美

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