千葉地方裁判所 昭和48年(わ)91号 判決 1974年8月13日
(一)本店所在地
千葉県千葉市中央四丁目一六番一号
商号
鈴や建設株式会社
(二)本籍
千葉県千葉市登戸町三丁目一七九番地
住居
右同所
職業
会社役員
氏名
鈴木績
生年月日
明治四二年八月一〇日
右被告人等に対する各法人税法違反被告事件につき検察官黒崎兼作出席のうえ審理し次のとおり判決する。
主文
被告人鈴や建設株式会社を罰金九三〇万円に、被告人鈴木績を懲役六月に各処する。
被告人鈴木績に対してはこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は千葉市中央四丁目一六番一号に本店を置き土木建築請負・不動産の売買等を目的とする株式会社であり、被告人鈴木績は同会社代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人鈴木績において被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は少くとも一三八、二一七、一四〇円でこれに対する法人税額は少くとも五〇、五三一、五〇〇円であるのに、経理担当者に指示して、売上の一部(松下電工株式会社に対する不動産売上代金)を公表経理から除外し、簿外預金を設定するなどの不正手段により所得の一部を秘匿させたうえ、昭和四六年五月三一日千葉市新宿二丁目六番一号所在の千葉税務署において同税務署長に対し、所得金額が一五、三三七、六四四円これに対する法人税額が五、三七三、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出させ、被告会社の右事業年度の申告すべかりし所得額(現実の申告所得額に不正手段による秘匿所得額を加算した額)に対する法人税額五〇、五三一、五〇〇円との差額四五、一五八、四〇〇円をほ脱したものである。
(証拠)
一、証人小高基弘、同小高みや子、同鈴木志津子、同宍倉吉信、同岡富貴雄の当公判定における各供述
一、商業登記簿謄本
一、修正損益計算書
一、中井茂男に対する質問てん末書
一、不動産登記簿謄本七通
一、「不動産購入関係書類写の提出について」と題する書類
一、伊藤キクエほか一名作成の昭和四七年三月二七日付上申書
一、「工事現場の諸経費について」と題する書面
一、古沢正作成の「預金取引等内容について」と題する書面
一、吉村雅雄作成の「預金取引内容について」と題する書面
一、「地方税の収納状況について」と題する書面
一、脱税額計算書
一、犯則所得調書(損益科目)
一、その他所得調書(損益科目)
一、売上除外調査書
一、東部地区土地売上原価調査書
一、伊藤宗文、石井博に対する各質問てん末書
一、押収してある土地予約台帳(昭和四八年押第一六六号の七)、東部土地不動産台帳(同号の八)、東部土地譲渡予約金領収書(同号の九)、申告書控等綴(同号の一〇)、売買契約書綴(同号の一一)、試算表(同号の一三)、総勘定元帳(同号の一六)、法人税確定申告書(同号の一七)
一、被告人鈴木績の検察官に対する各供述書ならびに当公判廷における供述
(法令の適用)
被告人鈴木績の判示所為は、法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、刑法二五条一項二号を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
被告人鈴や建設株式会社に対しては、その代表者である被告人鈴木績が前示のとおり、被告会社の業務に関し、法人税法一五九条一項に該当する違反行為をしたものであるから、同法一六四条一項により、同法一五九条所定の罰金刑を科すべきところ、情状により同条二項を適用し、免れた法人税額の範囲内で、被告会社を罰金九三〇万円に処する。
訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条を適用し、被告人両名の連帯負担とする。
昭和四九年九月四日
(裁判官 森岡茂)