大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉地方裁判所 昭和53年(わ)145号 判決 1978年4月24日

本籍

千葉県銚子市新生三丁目一九八番地の一

住居

同市新生三丁目一九八番地

医師

田中實

大正七年九月二五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官上田廣一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月及び罰金一、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、千葉県銚子市新生三丁目一九八番地に居住し、同所において「田中産婦人科」の名称で医業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、収入の一部を架空名義の預金に預け入れるなどして所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四九年分の実際の総所得金額が六五、五四七、五〇四円であつたにもかかわらず、昭和五〇年三月一三日、同市栄町二丁目一、二七六番地所在の所轄銚子税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二一、四五九、九七七円でこれに対する所得税額が七、四一八、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の方法により、昭和四九年分の正規の所得税額三四、九二〇万、九〇〇円と右申告税額との差額二七、五〇二、一〇〇円を免れ、

第二  昭和五〇年分の実際の総所得金額が六一、六四〇、五九四円であつたにもかかわらず、昭和五一年三月一〇日、前記銚子税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一九、六三九、一三六円でこれに対する所得税額が五、九九四、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、昭和五〇年分の正規の所得税額三一、五一七、四〇〇円と右申告税額との差額二五、五二三、二〇〇円を免れ、

第三  昭和五一年分の実際の総所得金額が六二、〇三八、〇六八円であつたにもかかわらず、昭和五二年三月一四日、前記銚子税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一九、二七六、一二七円でこれに対する所得税額が五、九五二、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、昭和五一年分の正規の所得税額三一、九七三、八〇〇円と右申告税額との差額二六、〇二〇、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書(八通)

一  田中曄子、石津忠良の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(三通)

一  大蔵事務官作成の青色申告承認取消に関する証明書

一  大蔵事務官作成の社会保険料調査書、保険診療収入調査書、振込診療収入調査書、自由診療収入調査書、たな卸薬品調査書、必要経費調査書、青色専従者給与調査書、措置法差額調査書、譲渡所得調査書、利子所得調査書、雑所得調査書、預金調査書

一  押収中の収入明細帳一六冊(昭和五三年押九五号の一)、手帳三冊(同号の二)、保険控ノート二冊(同号の三)、昭和四九年ないし昭和五一年分の各所得税確定申告書計三袋(同号の六ないし八)、ダイヤリー一冊(同号の一二)

(法令の適用)

罰条 第一ないし第三につき各所得税法二三八条第一項

刑種の選択 懲役刑及び罰金刑の併科

併合罪の処理 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(第一の罪の刑に加重)、罰金刑につき四八条二項

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項

(裁判官 横田安弘)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例