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千葉地方裁判所 昭和54年(わ)204号 判決 1979年8月06日

本籍

千葉県千葉市緑町二丁目一二番地

住居

同県千葉市緑町二丁目一二番一二号緑台ハイツ一〇三号

特殊浴場及びバー経営

高橋弘輝

昭和一四年一月一八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について当裁判所は検察官山崎基宏出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、千葉市緑町二丁目一二番一二号(昭和五一年一〇月二五日までは同市緑町二丁目一九番一〇号)に居住し、同市内において特殊浴場二店舗及びバー一店舗を経営しているものであるが、所得税を免れようと企て、収入の一部を除外して架空名義の預金を設定するなどの方法で所得を秘匿したうえ

第一  昭和五〇年分の実際の総所得金額が二七、一六三、一三九円(別紙一の1及び一の2修正損益計算書参照)であったのにもかかわらず、昭和五一年三月一五日、同市新宿二丁目六番一号所在の所轄千葉税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が六、八二八、八四〇円でこれに対する所得税額が四九三、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五〇年分の正規の所得税額一〇、一三九、六〇〇円(別紙二脱税額計算書参照)と右申告税額との差額九、六四六、〇〇〇円を免れ

第二  昭和五一年分の実際の総所得金額が五一、七五九、七八五円(別紙三の1及び2修正損益計算書参照)であったのにもかかわらず、昭和五二年三月一四日、同市新宿二丁目六番一号所在の所轄千葉東税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が九、一二一、四四三円でこれに対する所得税額が一、二一二、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五一年分の正規の所得税額二五、一九六、五〇〇円(別紙四脱税額計算書参照)と右申告税額との差額二三、九八四、〇〇〇円を免れ

第三  昭和五二年分の実際の総所得金額が六二、五九一、九二九円(別紙五の1ないし3修正損益計算書参照)であったのにもかかわらず、昭和五三年三月一四日、前記千葉東税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が九、一四二、〇六三でこれに対する所得税額が一、二五二、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五二年分の正規の所得税額三二、三九七、四〇〇円(別紙六脱税額計算書参照)と右申告税額との差額三一、一四四、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実に共通して

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の大蔵事務官ならびに検察官に対する各供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各申述書及び国税局査察部長に対する各上申書

一、高橋花子、松山すみ子こと李貞善、松山政男こと李在善、永瀬芳夫、綾部浩(二通)、福田重夫、村松幹康(二通)、深堀保の検察官に対する各供述調書

一、松山すみ子こと李貞善(二通)、松山政男こと李在善(二通)、宮本一郎(二通)、関根幸志(三通)、宮腰幸己(二通)、永瀬孝夫(四通)、井上裕雄、綾部浩、福田重夫(四通)、宮島龍彦、堀木日出子、河原塚京子、美山美枝子、永原磨理子、村松幹康(三通)、斉藤宏彰、内藤和昌、前川定信、田辺ナツ、田辺良雄、上原三雄、鈴木勉、村松清代、深堀保の大蔵事務官に対する各供述調書

一、高橋美和子、福田重夫(三通)の大蔵事務官に対する各申述書

一、大蔵事務官石崎忠昭各作成のトルコ入浴人員数等調査書、リース料(タオル・シーツ)調査書、トルコ大名七〇分超延長割合等調査書、減価償却調査書(合計表)、入浴料金調査書

一、大蔵事務官竹内正人各作成のクラブ姫売上金額調査書、クラブ姫給料賃金調査書、クラブ姫雑収入金額調査書、クラブ姫仕入勘定集計調査書、美容衣装費調査書。預金残高等調査書、減価償却資産調査書(三通)

一、大蔵事務官井上守各作成の未払家賃調査書、借入金調査書、銀行借入金等調査書

一、大蔵事務官佐藤和助作成の証明書

一、押収してある元帳一綴(昭和五四年押第一六二号の一)、売上集計表一袋(同号の二)、手帳一袋(同号の三)、五一年一二月分リスト表(千姫)一袋(同号の五)、五二年一月分リスト表(千姫)一袋(同号の六)、五二年二月分リスト表(千姫)一袋(同号の七)、五二年三月分リスト表(千姫)一袋(同号の八)、五二年四月分リスト表一袋(同号の九)、五一年一二月分リスト表(大名)一袋(同号一〇)、五二年一月分リスト表(大名)一袋(同号の一一)、五二年二月分リスト表(大名)一袋(同号の一二)、五二年三月分リスト表(大名)一袋(同号の一三)、五二年四月分リスト表(大名)一袋(同号の一四)、五二年五月分リスト表(千姫)一袋(同号の一五)、五二年五月分リスト表(大名)一袋(同号の一六)、リスト表等一袋(同号の一八)、リスト表(千姫)一二袋(同号の一九)、リスト表(大名)一袋(同号の二〇)、リスト表(千姫)七袋(同号の二一)、リスト表八袋(同号の二二)、現金出納帳一綴(同号の二四)、納品書控(千姫)二五冊(同号の二五)、納品書控(大名)二四冊(同号の二六)、所得税申告書控等綴一綴(同号の三五)

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官石崎忠昭作成の脱税額計算書(昭和五〇年分)、所得税額計算書(昭和五〇年分)、トルコ収入金額調査書(昭和五〇年分)、小切手払経費調査書(昭和五〇年分)、トルコ関係一般管理費調査書(昭和五〇年分)、トルコ関係現金払経費調査書(昭和五〇年分)、

一、大蔵事務官竹内正人作成のクラブ姫諸経費調査書(昭和五〇年分)

一、押収してある請求書等一袋(同号の二三)、五〇年分所得税確定申告書二袋(同号の二七及び三〇)、五〇年分所得税青色申告決算書一袋(同号の三二)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官石崎忠昭作成の脱税額計算書(昭和五一年分)、所得税額計算書(昭和五一年分)、トルコ収入金額調査書(昭和五一年分)、トルコ関係現金払経費調査書(昭和五一年分)、クラブ姫諸経費調査書(昭和五一年分)

一、押収してある五一年分所得税確定申告書二袋(同号二八及び三一)、五一年分所得税青色決算書一袋(同号の三三)

判示第一及び第二の事実につき

一、五〇年分の所得税の確定申告書控一袋(同号の三六)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官石崎忠昭作成の脱税額計算書(昭和五二年分)、所得税額計算書(昭和五二年分)、トルコ収入金額調査書(昭和五二年分)、小切手払経費調査書(昭和五二年分)、トルコ関係現金払経費調査書(昭和五二年分)

一、大蔵事務官竹内正人作成のクラブ姫諸経費調査書(昭和五二年分)

一、押収してある現金出納帳等一綴(同号の四)、日計表等一袋(同号の一七)、五二年分の所得税確定申告書一袋(同号の二九)、五二年分所得税青色申告決算書一袋(同号の三四)

判示第二及び第三の事実につき

一、押収してある五一年分所得税確定申告書控一袋(同号の三七)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれの罪についても所定刑中懲役刑と罰金刑を併科することとし(罰金刑については、いずれもその免れた所得税の額が五〇〇万円を超えるから、情状により同条二項を適用)、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示第一ないし第三の各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金二、〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 松田光正)

修正損益計算書(事業所得)(別紙一の1)

自昭和50年1月1日

至昭和50年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(給与所得)(別紙一の2)

自昭和50年1月1日

至昭和50年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(事業所得)(別紙三の1)

自昭和51年1月1日 至昭和51年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(給与所得)(別紙三の2)

自昭和51年1月1日

至昭和51年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(事業所得)(別紙五の1)

自昭和52年1月1日

至昭和52年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(給与所得)(別紙五の2)

自昭和52年1月1日

至昭和52年12月31日

<省略>

修正損益計算書(雑所得)(別紙五の3)

自昭和52年1月1日

至昭和52年12月31日

<省略>

<省略>

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