千葉地方裁判所 昭和57年(わ)173号 判決 1982年4月20日
本籍並びに住居
千葉県千葉市小倉町一、七五三番地の一〇
医師
千野宗之進
昭和八年六月二一日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官永田俊明出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金二、五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、千葉市小倉町一、七五三番地の一〇に千野外科医院を設けて外科医療業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、診療収入の一部除外及び架空経費の計上等の方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和五三年分の真実の所得金額が九五、八九九、二八八円あったのにかかわらず、昭和五四年三月一五日、千葉市新宿三丁目六番一号所在の所轄千葉東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五三、五八一、六〇一円でこれに対する所得税額が二一、〇五二、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、昭和五三年分の正規の所得税額五〇、九一七、四〇〇円と右申告納税額との差額に当る所得税二九、八六五、三〇〇円を免れ
第二 昭和五四年分の真実の所得金額が九〇、六一三、六四一円であったのにかかわらず、昭和五五年三月一五日、前記千葉東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四四、二三五、〇八四円でこれに対する所得税額が一五、一五一、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、昭和五四年分の正規の所得税額四七、〇五三、七〇〇円と右申告納税額との差額に当る所得税三一、九〇二、四〇〇円を免れ
第三 昭和五五年分の真実の所得金額が七八、九八七、一八五円あったのにかかわらず、昭和五六年三月一六日、前記千葉東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四六、三九四、七七三円でこれに対する所得税額が一六、八八四、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、昭和五五年分の正規の所得税額三八、八六六、二〇〇円と右申告納税額との差額に当る所得税二一、九八二、〇〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
被告人の当公判廷における供述のほか、検察官請求証拠等関係カード甲番号2ないし64、70ないし92、同乙番号1ないし11記載のとおりであるからこれを引用する。
(法令の適用)
一 罰条 昭和五六年法律第五四号附則五条により同法律による改正前の所得税法二二八条一項、二項(懲役刑と罰金刑を併料)
二 併合罪処理 刑法四五条前段
懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により判示第二の罪の刑に加重
罰金刑につき同法四八条二項により合算
三 労役場留置 同法一八条
四 執行猶予 懲役刑につき同法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 福嶋登)