千葉地方裁判所佐倉支部 事件番号不詳 判決
主文
被告人等を懲役四月及び罰金二千円に各処する。
被告人門倉和一に対し右懲役刑の執行を三年間猶予する。
被告人等に於て右罰金を完納することが出来ないときは、其の被告人を金二百円を一日に換算した期間労役場に留置する。
訴訟費用は被告人等の負担とする。
理由
(一) 罪となるべき事実
第一、被告人神保乾司同沼崎慎二は共謀の上昭和二十四年十二月六日午前五時三十分頃前田利一に依頼され同人が他から窃取して来たものであることの情を知りながら白米一俵玄米二俵大麦一俵を千葉県印旛郡酒々井伊篠新田百八十二番地所在の竹籔から同町八木野門倉和一方まで運搬して賍物の運搬を為し
第二、被告人門倉和一は昭和二十四年十二月六日午前五時三十分頃千葉県印旛郡酒々井町八木野の自宅で前田利一に隠匿方を依頼され同人が他から窃取して来たものであるの情を知りながら白米一俵玄米二俵大麦一俵を預り賍物の寄藏を為し
第三、被告人門倉和一は昭和二十四年十二月六日午前五時三十分頃千葉県印旛郡酒々井町八木野の自宅で前田利一から同人が他から窃取して来たものであることの情を知りながら、白米一斗五升の贈与を受けて賍物の収受を為し
たものである。
(二) 証拠の標目(省略)
(三) 適用した法令
判示第一の被告人神保乾司同沼崎慎二の所為に付いて刑法第二百五十六条第二項罰金等臨措置法第二条第三条
判示第二の被告人門倉和一の所為に付いて刑法第二百五十六条第二項罰金等臨時措置法第二条第三条
判示第三の被告人門倉和一の所為に付いて刑法第二百五十六条第一項
被告人門倉和一の併合罪に付いて刑法第四十五条第四十七条第十条第四十八条
罰金換刑に付いて刑法第十八条
訴訟費用に付いて刑事訴訟法第百八十一条第一項
(四) 被告人神保乾司同沼崎慎二弁護人の抗弁に付いて
一、弁護人は本件控訴審である東京高等裁判所で本件に付いての裁判のあつたのは昭和二十五年十二月十三日であつて東京高等裁判所から一件記録の当庁に送付のあつたのは昭和二十七年八月であつて其の間に一年半以上を経過して居るが斯の如きは憲法第三十七条に違反し爾後の訴訟手続は無効であると主張し本件控訴審である東京高等裁判所で本件に付いて判決のあつたのは昭和二十五年十二月十三日であつたことは本件に付いての東京高等裁判所の判決抄本の記載に依つて明白であつて東京高等裁判所から一件記録が当庁に送付のあつたのは昭和二十八年八月二十二日であつた事は東京高等裁判所からの訴訟記録送付書に押捺した当庁の受付印に依つて明かである尤も右訴訟記録送付書には昭和二十六年十月三十一日と記載しあつて恰も同日一件記録が当庁に送付あつた様に見られるが前記東京高等裁判所の本件判決抄本作成日と東京高等裁判所作成の本件に関する控訴完結票の作成日に依れば右訴訟記録送付書記載の日時は真の記録送付日を記載したものとは謂ふを得ないことが明白である而して控訴審に於て破棄差戻の判決のあつた後一件記録を原審に送付するに一年八月以上を要するが如きは訴訟遅延の謗を免れないものと謂はざるを得ないが近時事件の輻湊して居ることの公知の事実である東京高等裁判所としては恕すべき点あつて之れのみを以つてしては直に憲法第三十七条に違反するものと謂ふを得ないものと解するを相当とするが故に此の点に関する弁護人の主張は採用するを得ない。
二、次に弁護人は検察官の訴因変更に付いて控訴審の判決のあつた本件では訴因の変更は為し得ないものであると主張し上級裁判所の判断は其の事件に付いて下級裁判所を拘束することは法の明定するところであつて本件に付いての東京高等裁判所の破棄差戻判決書を見るに東京高等裁判所の為された判断は当裁判所が為した訴訟手続に付いての判断に付いて判断されて居るにすぎなく其の訴因に付いて言及されていないことが明白であるので全然同一事実に基く検察官の訴因の変更は適法なるものと謂ふべくして弁護人の此の点に関する主張は採用するを得ない。
仍て主文の通り判決する。(昭和二七年一一月六日千葉地方裁判所佐倉支部)