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千葉地方裁判所松戸支部 昭和54年(ワ)346号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二 予備的請求原因その一について。

1 右請求原因1項中、本件売買契約の売主が原田武司であることは当事者間に争いがなく、右争いがない事実と、前掲各証拠によれば、原告は売主原田武司との間で、昭和五四年六月二六日に本件物件<編注―土地、建物 につき主位的請求原因1項記載のとおり(但し、同項中、売主が被告とあるのは全て原田武司と変更する。)売買契約を締結し、右同日、原田武司に対して手付金として金二〇〇万円を支払つたが、右取引は原田武司が被告とは別個に独立して売主となつたものであること、原田武司は右契約締結に際し被告の商号が肩書に記載されている同人の名刺を原告の担当者に示しており、右契約書は被告の事務所で作成されたが、その場には同じく被告の商号が肩書に記載されている名刺を使用していた石川昌光と向後久雄が売主側として立会つたこと、右契約締結当時、原田武司、石川昌光、向後久雄は被告の従業員として被告から固定給を貰つているのではなく、不動産取引の話を被告に持ち込んだ際に被告から歩合を貰うだけの関係であつたこと、また、本件契約締結に原告側の責任者として立会つた、当時の原告会社柏駅前支店長石倉誠は、被告の事務所で契約書(甲第一号証)を作成し、かつ、その際の物件案内書(甲第三号証)には本件物件は被告の社有と記載してあつたことから、契約書上の売主は原田武司の個人名であつたとしても、実際の売主は被告であると考えていた事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

以上によれば、原田武司は本件契約を被告の従業員としてではなく独立の営業主体として締結したものであるが、原告は右契約締結時、原田武司が被告の商号を使用していたことから本件売買の売主は原田武司ではなく被告であると誤認していたものと認めることができ、また前掲各証拠によれば、本件取引にあたり、原告において原田武司が使用する被告の商号を信用して、本件取引の売主は被告であると誤認するにつき重大な過失があつたものと認めることはできないから、名板貸人たる被告は原告に対して商法二三条所定の名板貸人の責任を負うものと認められる。なお、被告は、原告には本件取引にあたり、営業主体を被告であると誤認するにつき二重の重大なる過失があつたとるる主張するが、前掲各証拠によれば原告に右重大なる過失があつたものと認めることはできない。

(水谷正俊)

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