大判例

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千葉家庭裁判所 昭和63年(家)1115号

主文

1  本件申立を却下する。

2  申立費用は申立人の負担とする。

理由

1  申立人は、「申立人に対し、被相続人の相続財産を分与する。」との審判を求め、別紙記載のとおり、申立の実情を述べた。

2  そこで判断するに、民法958条の3第1項所定の相続財産の処分は、「被相続人と家計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者」及びこれに準ずる程度に「被相続人と特別の縁故があつた者」に対して認められ得るものであると解すべきところ、本件申立人がこのような特別縁故者に該当するとは認められない。

なるほど、一件記録によれば、被相続人は、昭和61年11月30日、最後の住所地において死亡し、同62年5月28日、相続債権者酒田由子の申立にかかる千葉家庭裁判所昭和62年(家)329号相続財産管理人選任申立事件において、弁護士○○が相続財産管理人に選任され、同年6月18日にその選任の公告がなされたが、2か月を経過しても相続人のあることが明らかにならなかつたこと、申立人は、昭和30年ころから同50年ころにかけて、被相続人の父であり被相続人と共に市川市内で菓子販売店を営んでいた亡忠和(昭和61年2月7日死亡)に対し、店の営業のための資金援助等をするなどしていたほか、同人が死亡直前ころには同人を見舞つたこともあること、被相続人の死亡後には、その法要の際の布施の一部を負担・支出していること、以上の各事実が認められる。しかしながら、昭和50年ころ以降には亡忠和らの菓子店経営も安定したこと、その結果、昭和54年から昭和57年にかけて、被相続人らが自力で別紙遺産不動産目録(編略)記載の各不動産を購入するまでに至つたことも本件記録から認められるところである。

そして、上記認定の事実以上に、本件遺産である不動産の購入について申立人に特別の功労があつたとか、申立人が被相続人に対して特別の看護療養に努め、あるいは、昭和50年ころ以降においても申立人が亡忠和又は被相続人と生計を一にして長期間の同居を継続し、被相続人の生計等を援助したこと等の事実は認められない。

さすれば、申立人が被相続人の生前において、被相続人の親族として通常なし又はなすべき相互扶助・協力の域を超えて、前記特別縁故者に該当するような特別の寄与ないし功労のあつた者であるということはできない。

3  よつて、本件申立は、これを理由のないものとして却下することとし、主文のとおり審判する。

(別紙)

申立の実情

1 申立人は、被相続人の父方の叔母にあたり、生前に何かと行き来があり、被相続人が函館に居住していたときから申立人の弟であり被相続人の父である忠和と被相続人一家の生業資金を提供し、被相続人らが上京するに際しても資金援助をしてきた者であり、被相続人が上京後にも資金援助や常時行き来をし、年中電話で連絡を取り合うなど、日常的に家庭的な付き合いをしてきた。

2 被相続人は、昭和61年11月30日、最後の住所において死亡し、その相続が開始したが、その相続人が存在しないので、昭和62年5月28日、千葉家庭裁判所において、相続財産管理人が選任され、同年11月27日、相続権主張の催告公者がなされ、昭和63年6月15日その期間が満了したが、期間内に相続人の申し出がなかつた。

3 被相続人には相続財産として別紙遺産不動産目録(編略)記載のとおりの不動産があるが、この財産は、申立人の協力・寄与もあつて築かれたものである。

4 被相続人には遺言もないので、相続財産を精算した残余財産は、これを特別縁故者に対する財産分与として申立人に分与すべきである。

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