名古屋地方裁判所 平成15年(ワ)2119号 判決 2004年3月31日
本訴原告兼反訴被告
X1
本訴原告
X2
本訴被告
Y1
本訴被告兼反訴原告
星山興業株式会社
主文
一 (本訴)
(1) Y1及び星山興業は、X1に対し、各自七万〇〇九六円及びこれに対する平成一四年二月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(2) Y1及び星山興業は、X2に対し、各自七七万八二〇七円及びこれに対する平成一四年二月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 (反訴)
X1は、星山興業に対し、五四万六七四八円及びこれに対する平成一四年二月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 X1、X2のその余の本訴請求及び星山興業のその余の反訴請求をいずれも棄却する。
四(1) 本訴の訴訟費用は、X1とY1及び星山興業との間に生じたものは、これを一〇分し、その二をY1及び星山興業の、その八をX1の負担とし、X2とY1及び星山興業との間に生じたものは、これを一〇分し、その六をY1及び星山興業の、その四をX2の負担とする。
(2) 反訴の訴訟費用は、星山興業とX1との間に生じたものは、これを一〇分し、その四をX1の負担とし、その六を星山興業の負担とする。
五 この判決は、一項及び二項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
(本訴につき)
一 X1及びX2
(1) Y1及び星山興業は、X1に対し、各自四三万〇一六〇円及びこれに対する平成一四年二月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(2) Y1及び星山興業は、X2に対し、各自一三八万〇三四六円及びこれに対する平成一四年二月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用はY1及び星山興業の負担とする。
(4) 仮執行の宣言
二 Y1及び星山興業
(1) X1及びX2の本訴請求をいずれも棄却する。
(2) 訴訟費用はX1及びX2の負担とする。
(反訴について)
一 星山興業
(1) X1は、星山興業に対し、一三六万一八七二円及びこれに対する平成一四年二月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(2) 訴訟費用はX1の負担とする。
(3) 仮執行の宣言
二 X1
(1) 星山興業の反訴請求を棄却する。
(2) 訴訟費用は星山興業の負担とする。
第二事実関係
本件は、X1の運転する自家用普通乗用自動車(以下「X1車」という。)とY1の運転する事業用大型貨物自動車(以下「Y1車」という。)とが衝突した事故(以下「本件事故」という。)につき本訴として、X1が、Y1に対して、民法七〇九条に基き、星山興業に対して、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条及び民法七一五条に基き、X1については本件事故により頸部捻挫の傷害を受けたことによる損害賠償請求として、各自四三万〇一六〇円及びこれに対する本件事故の日である平成一四年二月五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を、また、X1車の所有者X2が、Y1に対して、民法七〇九条に基き、星山興業に対して、民法七一五条に基き、X1車の損傷を受けたことによる損害賠償請求として、各自一三八万〇三四六円及びこれに対する本件事故の日である同日から支払済みまで同様の遅延損害金の支払を求めたところ、Y1及び星山興業は、本件事故はX1の一方的過失のよるものであるとこれを争い、さらに、反訴として、Y1車保有者(占有使用者)星山興業が、X1に対して、本件事故により、Y1車の損傷を受けたことについて、民法七〇九条に基づく損害賠償請求として、一三六万一八七二円及びこれに対する事故の日である平成一四年二月一五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
一 争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実
(1) 本件事故の発生
ア 発生日時 平成一四年二月五日午前一一時五分ころ
イ 発生場所 名古屋市<以下省略>先道路上(以下「本件道路」という。)
ウ X1車 (ア) 自家用普通乗用自動車(<番号省略>)
(イ) 運転者X1
(ウ) 所有者X2(甲四ないし六、X1、X2及び弁論の全趣旨)
エ Y1車 (ア) 事業用大型貨物自動車(<番号省略>)
(イ) 運転者Y1
(ウ) 保有者(占有使用者)星山興業(乙九の一・二、一〇一四、一五及び弁論の全趣旨)
オ 事故態様の概略
(ア) 本件事故現場の状況は、ほぼ別紙図面のとおりであり、本件道路は片側一車線で中央にセンターラインが引かれている東西に延びる道路である。そして、本件道路の北側路外は、建築工事現場(以下「本件工事現場」という。)となっており、本件事故現場はその出入り口であり、本件事故は、Y1車が本件工事現場へ進入しようとした際に発生したものである。
(イ) Y1は、Y1車を運転して本件道路西行車線を西に向けて進行し、バックで本件工事現場に入ろうとして、別紙図面記載<ア>で同車を停止させ、<イ><ウ>と後退させたところ、本件道路西行車線を西に向けて同図面記載<1><2>と進行してきた(<2>の位置でX1車が停止していたか否かは後記のとおり争いがある。)X1運転のX1車と、同図面<×>の地点で衝突する本件事故が発生した。
(2) X1の受傷
X1は、本件事故により頸部捻挫の傷害(以下「本件受傷」という。)を受けた。(甲一、二、三の一ないし三、X1及び弁論の全趣旨)
(3) X1車の損傷
本件交通事故により、X1車は損傷を受けた。(乙五、六)
(4) Y1車の損傷
本件交通事故により、Y1車は損傷を受けた。(甲七及び弁論の全趣旨)
二 争点一(事故態様及び責任原因並びに過失相殺)
(1) X1及びX2
ア 事故態様
(ア) X1は、本件事故当時、X1車に母亡Aを助手席に乗せて同女の通院治療のため病院に送る途中であったが、同女は当時病気が相当進行しており、腹膜炎も併発して腹部に痛みを覚える状態であったから、同車の速度は出さず、急発進や急制動等をせずに静穏な運転をしていた。
(イ) X1は、本件道路西行車線を西進していたところ、前方の別紙図面記載<ア>に前部を西側に向けてY1車が停車しているのを発見したが、本件道路の西行車線と東行車線を塞いだ状態で停車していたので、自己の西行車線を走行することもY1車を避けて東行車線を走行することもできない状態であった。X1は、やむを得ず同図面記載<2>でX1車を停止したところ(<2>と<ア>間は約一〇メートル)、その直前か直後ころ、Y1車がゆっくり後退し始めたので、同人がY1車の動きを見ていたところ、同車が本件工事現場に進入しようとしていることが分かった。同人は、当初危険を感じず、Y1車が同図面記載<ア>から<イ><ウ>と後退していくことが予想されたところ、Y1車がX1車に気付き、もしX1車と接触する危険を感じたらY1車が停止すると思った。しかし、Y1車は、X1車に気付いた様子がなく、同図面記載<イ>から<ウ>へと後退を継続したので、X1は危険を感じたがどうすることもできず茫然としていた。Aは悲鳴をあげ、本件工事現場入り口付近でガードマンが両手を挙げてY1車の後退を制止していたが、Y1車はX1車に気付かず、そのまま後退を続け、同図面記載<エ>の地点でY1車左側面と<2>地点のX1車右前角部が接触したものであるところ、なおも、Y1車はX1車に気付かず後退を続け、X1車の右前角部の損傷を深め、Y1車にも約一メートルの擦過痕を残して、ようやく停止した。
イ 責任原因
(ア) Y1は、民法七〇九条に基づき、X1及びX2が本件事故により受けた損害を賠償すべき責任がある。
(イ) 星山興業は、Y1車の保有者であり、星山興業の従業員であるY1が同社の業務を行なっている際の本件事故であるから、X1については自賠法三条及び民法七一五条に基づき、X2については民法七一五条に基づき、X1及びX2が本件事故により受けた損害を賠償すべき責任がある。
(ウ) 後記第二、二(2)イ(イ)については、否認ないし争う。
ウ 過失相殺
本件事故においては、事故態様からみて、X1の過失割合は〇である。
(2) Y1及び星山興業
ア 事故態様
Y1は、Y1車を運転して本件道路の西行車線を西進し、本件工事現場出入り口の東側手前で一時停止し、同工事現場から大型ダンプが出て行った後、さらに少し進み、同出入り口からバックで入るため、自らの目で直接あるいはバックミラーで前後左右の安全を確認し、かつ、同工事現場に配置されているガードマンの指示に従って、別紙図面記載<ア>で前部を西に向けたままセンターラインを跨ぐ形で一時停止をした。そして、Y1車が同図面記載<ア><イ><ウ>と後退したところ、同図面記載<ア>から<イ>に近づいたとき、X1車が同図面記載<1>の東側を西進してきて、一旦速度を緩めたものの、再度加速して進行したため、Y1車が同図面記載<エ>の地点に至ったとき、X1車の右前部が、Y1車の左側部に衝突したものである。
イ 責任原因
(ア) 上記第二、二(1)イ(ア)及び(イ)については、否認ないし争う(なお、Y1車の保有者が星山興業であることは認める。)。
(イ) X1は、本件事故につき、前方注視義務を怠った過失があり、民法七〇九条に基づき星山興業が本件事故により受けた損害を賠償すべき責任がある。
ウ 過失相殺
本件事故は、事故態様からみて、X1の一方的過失によるものであるから、Y1の過失割合は〇である。
三 争点二(損害)
(本訴について)
(1) X1 合計四三万〇一六〇円
ア X1の本件受傷は全治約一か月を要するものであった。
イ 治療費 三万〇一六〇円
医療法人池田整形外科(以下「池田整形外科」という。)に、平成一四年二月八日、同月一二日、同月一六日通院して治療を受けた。
ウ 傷害慰謝料 三〇万円(通院慰謝料及びY1及び星山興業の不誠実な対応に対するもの)
エ 弁護士費用 一〇万円
(2) X2 合計一三八万〇三四六円
ア X1車修理費用 九三万七三四六円
イ 同車格落ち損 二四万三〇〇〇円
ウ 弁護士費用 二〇万円
(3) Y1及び星山興業
上記第二、三(1)及び(2)については、不知ないし争う。
(反訴について)
(1) 星山興業 合計一三六万一八七二円
ア Y1車修理費用 八九万三四〇三円
イ 休車損害 三四万八四六九円
(ア) 休車期間 一六日(平成一四年二月五日から同月一二日及び同月一八日から同月二五日)
(イ) 本件事故前三か月間のY1車の売上 三三六万三一〇〇円
(ウ) 同期間の経費 一四〇万二九六〇円(Y1の給料九二万三二五〇円及びガソリン代四七万九七一〇円)
(エ) 計算式
(三三六万三一〇〇円-一四〇万二九六〇円)÷九〇日×一六日=三四万八四六九円
ウ 弁護士費用 一二万円
(2) X1
不知。
第三当裁判所の判断
一 争点一(事故態様及び責任原因並びに過失割合)について
(1) 上記第二、一の事実並びに証拠(甲一、四、七ないし九、乙一ないし八、一四、一五、X1、X2、B、Y1、C)及び弁論の全趣旨によれば、以下のアの事実が認められる。
ア X1は、本件事故当時、X1車を運転して母Aを助手席に乗せて同女の通院治療のため病院に送る途中であったが、本件道路の西行車線を時速四〇~五〇キロメートルで西進していたところ、前方の別紙図面記載<ア>に前部を西側に向けてY1車が本件道路の西行車線と東行車線を跨いだ状態で停止しているのを発見した。X1は、X1車の速度を緩めたものの、Y1車の動静を十分予測することなく、そのまま西進を続け、同図面記載<ア>から<イ>へとゆっくり後退するY1車を見て、ようやく衝突の危険を感じてブレーキをかけたが、同図面記載<2>の地点でX1車が停止するかしないかの状態にあったとき、同図面記載<イ>から<ウ><エ>と後退してきたY1車とほぼ<×>の地点で、Y1車左側面とX1車右前角部が接触したものである。
Y1は、星山興業の従業員であり、本件事故当時、星山興業の保有するY1車を運転して、星山興業の業務として本件工事現場から出た土砂を運搬する仕事をしていたものであるところ、Y1は、Y1車を運転して本件道路の西行車線を西進し、本件工事現場出入り口の東側手前で一時停止し、同工事現場から大型ダンプが出て行った後、さらに少し進み、同出入り口からバックで入るため、同工事現場に配置されているガードマンの指示に従って、別紙図面記載<ア>で前部を西に向けたままセンターラインを跨ぐ形で一時停止をした。そして、Y1は、本件工事現場出入り口からバックで同工事現場に入ろうと、前後左右を十分確認せずにY1車を同図面記載<ア><イ><ウ><エ>とゆっくり後退させたところ、同車が上記のとおりX1車と接触をしたものである。
イ X1及びX2は、<1>Aは当時病気が相当進行しており、腹膜炎も併発して腹部に痛みを覚える状態であったから、X1車の速度は出さず、急発進や急制動等をせずに静穏な運転をしていた、<2>前方の別紙図面記載<ア>に前部を西側に向けてY1車が停車しているのを発見し、同図面記載<2>でX1車を停止したところ(<2>と<ア>間は約一〇メートル)、その直前か直後ころ、Y1車がゆっくり後退し始め、停止していたX1車に気付かず接触してしまった、<3>途中で接触の危険を感じて、クラクションを一度鳴らした、<4>接触を避けようとしたが、二メートルほど後に後続車がいたので後退できなかった旨主張する。
しかしながら、上記<1>については、甲九及びX1によれば、X1がX1車を運転して本件事故当時、少なくとも時速四〇~五〇キロメートルで西進していたことは認められる上、急発進や急制動等をしないことは、Y1車が停止しているのを発見しながらも相当の速度で西進を続けたことの理由ともなりかねず、少なくとも上記<2>の主張のごとき事故態様であることの根拠とはなり難いというべきであるから、上記<1>のX1及びX2の主張は採用できない。
上記<2>については、甲九、乙一、七及びBによれば、X1が別紙図面記載<ア>で停止しているY1車を認めて一旦X1車の速度を緩めたものの西進を続けたことが認められること、本件工事現場のガードマンであるDが有限会社名古屋損調の担当者に対して、X1車が減速することなく漫然と接近してきて、後退中のY1車の陰に隠れて見えなくなった瞬間に衝突音が聞こえたが、X1車が停止したとすれば急制動による衝突直前の停止であろうとの旨述べていること等に照らすと、上記認定と異なる事故態様であると認めることは困難であるから、上記<2>のX1及びX2の主張は採用できない。
なお、X1及びX2は、乙七(Bの陳述書)及びBの証言は、ⅰ同人が述べるX1車が一旦減速しながらその後加速したとの点はX1車とY1車との損傷状態等に照らすと不自然であること、ⅱBはX1車を止めようとクラクションを鳴らしたと証言するが、その音はX1もY1も聞いていないこと、ⅲBは保険会社の調査においては第三者の証人という立場であるにもかかわらず対象となっておらず、同人は、Cに頼まれて証人になったものであり、星山興業と取引関係にあるものであること、ⅳBは、DがY1車を制止しようとする動きはなかったと証言するが、DがY1車に隠れて見えなかったとも証言し、証言に一貫性がないこと等によれば、信用性がない旨主張する。
なるほど、甲五、七、九、乙一、五、六及びBによれば、上記ⅰないしⅳのごとき事実がある程度認められ、Bの述べるところをそのまま認めることはできないものの、上記Dの述べるところ等と併せると、上記アにおける認定を左右するものとはいえない。
上記<3>については、甲九、乙一、Y1及びBによれば、Y1、B及びDがX1車のクラクションの音を聞いた旨の供述等をしていないことが認められること、その他これを認めるに足りる証拠がないことに照らすと、上記<3>のX1及びX2の主張は採用できない。
上記<4>については、BがX1車の後続車はいなかった旨証言している上に、これを認めるに足りる証拠がないことに照らすと、上記<4>のX1及びX2の主張は採用できない。
ウ Y1及び星山興業は、Y1車が前後左右を確認して他の走行車がないことを確認して別紙図面記載<ア><イ><ウ>と後退していたにもかかわらず、X1車が同図面記載<1>の東側を西進してきて、一旦速度を緩めたものの、再度加速して進行したため、Y1車が同図面記載<エ>の地点に至ったとき、X1車が一方的にY1車に衝突した旨主張する。
しかしながら、甲九、乙一、Y1によれば、本件道路西側は別紙図面記載<ア>付近から一〇〇メートル程度は見通しの良いほぼ直線道路であるにもかかわらずY1は上記衝突を受けるまで全くX1車に気付いていないこと、本件工事現場出入り口付近にはガードマンDがおり、同人が危険を察知してX1車とY1車に停止合図をしているにもかかわらずY1はDに気付いていないこと等が認められ、これらに上記イにおいて検討したところ(特にX1車とY1車との損傷内容及びその程度、Dの述べるところ)を併せ考察すると、Y1においても、本件道路の左右前後の確認を怠ったものと認められ、また、X1車はY1車との衝突直前で停止ないし停止に近い状態であったものと推認されるから、Y1及び星山興業の上記の主張は採用できない。
(2)ア 上記認定事実によると、本件事故は、Y1において、上記Y1車の後退に際し、本件道路東側からの車両の有無の安全確認義務を怠り、かつ、本件道路東側からの車両の有無に留意せず、その安全確認不十分のまま上記後退をした過失により発生したものと認められるから、Y1は、X1及びX2の後記損害につき、民法七〇九条に基づく損害賠償責任がある。
イ また、星山興業は、X1の後記損害につき、自賠法三条及び民法七一五条に基づく、X2の後記損害につき、民法七一五条に基づく、各損害賠償責任がある。
ウ そして、上記アのY1と上記イの星山興業の責任は、不真正連帯債務関係になる。
エ なお、一方、X1においても、別紙図面記載<ア>にY1車が停止しており、同人も本件道路を西進するに当たっては、安全を確認して運転して事故を回避すべき注意義務があるにもかかわらず、これを怠って漫然と西進したことにより本件事故が発生したものと認められるから、星山興業の後記損害について、民法七〇九条に基づく損害賠償責任がある。
(3) すると、本件事故は、上記Y1とX1の過失が競合して起こった事故と認められ、両名の過失内容、本件事故現場の状況等を総合した諸事情にかんがみると、その過失割合はY1六割に対してX1四割と認めるのが相当である。
二 争点二(損害)について
(1) 本訴について
ア X1の本件受傷に基づく損害は、次のとおり一〇万〇一六〇円であると認められる。
(ア) 治療費 三万〇一六〇円(甲二、三の一ないし三、八、X1)
池田整形外科に、平成一四年二月八日、同月一二日、同月一六日通院して治療を受けた。
(イ) 傷害慰謝料 七万円(X1の本件受傷の内容、程度及び上記通院の状況によれば、上記金額が相当であると認められる。)
イ X2の本件事故に基づく損害は、次のとおり一一八万〇三四六円であると認められる。(甲四ないし六、八、九、乙一、五、六、X2及び弁論の全趣旨)
(ア) X1車修理費用 九三万七三四六円
(イ) 同車格落ち損 二四万三〇〇〇円
ウ 過失相殺後の金額
(ア) X1 六万〇〇九六円(一〇万〇一六〇円×〇・六)
(イ) X2 七〇万八二〇七円(一一八万〇三四六円×〇・六)
エ 弁護士費用
上記過失相殺後の金額、本件事案及び審理の状況によれば、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は、次のとおりであると認めるのが相当である。
(ア) X1 一万円
(イ) X2 七万円
オ 上記ウにエを加えた金額
(ア) X1 七万〇〇九六円
(イ) X2 七七万八二〇七円
(2) 反訴について
ア 星山興業の本件事故に基づく損害は、次のとおり一二四万一八七二円であると認められる。
(ア) Y1車修理費用 八九万三四〇三円(甲七、九、乙五、九の一・二、一〇、一四、一五、C)
(イ) 休車損害 三四万八四六九円(甲七、九、乙五、九の一・二、一〇ないし一五、C及び弁論の全趣旨)
ⅰ 休車期間 一六日(平成一四年二月五日から同月一二日及び同月一八日から同月二五日)
ⅱ 本件事故前三か月間のY1車の売上 三三六万三一〇〇円
ⅲ 同期間の経費 一四〇万二九六〇円(Y1の給料九二万三二五〇円及びガソリン代四七万九七一〇円)
ⅳ 計算式
(336万3100円-140万2960円)÷90日×16日=34万8469円
イ 過失相殺後の金額 四九万六七四八円(一二四万一八七二円×〇・四)
ウ 弁護士費用 五万円
上記過失相殺後の金額、本件事案及び審理の状況によれば、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は、上記のとおりであると認めるのが相当である。
エ 上記イにウを加えた金額 五四万六七四八円
第四結論
以上によれば、X1のY1及び星山興業に対する、Y1については民法七〇九条、星山興業については自賠法三条及び民法七一五条に基づく損害賠償の本訴請求は、各自七万〇〇九六円及びこれに対する平成一四年二月五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、また、X2のY1及び星山興業に対する、Y1については民法七〇九条、星山興業については民法七一五条に基く損害賠償の本訴請求は、各自七七万八二〇七円及びこれに対する本件事故の日である同日から支払済みまで同様の遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、それぞれ認容し、その余は理由がないからいずれも棄却する。
星山興業のX1に対する、民法七〇九条に基づく損害賠償の反訴請求は、五四万六七四八円及びこれに対する本件事故の日である平成一四年二月五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却する。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 島田周平)
別紙
<省略>