名古屋地方裁判所 平成19年(ワ)6411号 判決 2009年3月06日
原告
X
被告
Y
主文
一 被告は、原告に対し、一七八五万四四七四円及びこれに対する平成一五年一月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の、その余を被告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
被告は、原告に対し、三五三五万八八四六円及びこれに対する平成一五年一月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、原告が、被告運転の普通乗用自動車と原告運転の普通自動二輪車が交差点で衝突した交通事故について、被告に対し、民法七〇九条又は自動車損害賠償保障法三条に基づき、人的損害の賠償を求める事案である。
一 争いのない事実等
(1) 次の交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。
日時 平成一五年一月七日午前六時五〇分ころ
場所 愛知県西春日井郡清洲町大字土田字江ノ相七七番地先交差点
原告車 原告運転の普通自動二輪車(〔ナンバー省略〕)
被告車 被告運転の普通乗用自動車(〔ナンバー省略〕)
態様 原告車と被告車が上記交差点で衝突した。
(2) 原告は、本件事故により、上顎骨骨折、左下腿骨開放粉砕骨折等の傷害を負い、次のとおり入通院して治療を受けた(甲四、甲一一ないし一五<各枝番を含む>)。
ア 名古屋第一赤十字病院(口腔外科)
入院 平成一五年一月七日から同月一四日
平成一六年一月一九日から同月三〇日
通院 平成一五年一月七日から平成一六年二月九日(実日数二一日)
イ 名古屋第一赤十字病院(整形外科)
入院 平成一五年一月一五日から同年二月一三日
同年七月一一日から同月二四日
通院 同年一月七日から平成一六年二月一六日(実日数九八日)
ウ 名古屋第一赤十字病院(形成外科)
入院 平成一五年二月二〇日から同年三月三一日
平成一七年七月一五日から同月二九日
通院 平成一五年一月二七日から平成一七年八月三日(実日数一五日)
エ ○○整形外科
通院 平成一五年二月一四日から同年七月一〇日(実日数八五日)
オ ××クリニック
入院 平成一六年八月二五日から同年九月一〇日
同年一二月一日から同月一七日
通院 同年二月一四日から平成一八年四月二〇日(実日数四四〇日)
(3) 原告は、平成一八年四月二〇日症状固定となり、損害保険料率算出機構名古屋自賠責損害調査事務所において、左下腿骨開放粉砕骨折に伴う左足関節の機能障害について自動車損害賠償保障法施行令二条別表第二の後遺障害等級(以下「後遺障害等級」という。)一〇級一一号に、上記骨折に伴う左下腿骨の変形癒合について後遺障害等級一二級八号に、上記骨折による左下肢の醜状障害について後遺障害等級一二級に、右大腿の採皮痕について後遺障害等級一四級五号にそれぞれ該当ないし相当するものと判断され、併合九級と認定された(甲四、五)。
(4) 原告は、労働者災害補償保険法による療養給付一三三六万二六六六円及び休業給付五一五万九六〇九円(以下、同法による給付を「労災保険給付」という。)を受領し、スミセイ損害保険株式会社から人身傷害補償保険金二六〇万五五二四円(治療費八九万〇七四七円、通院交通費一五五万二八四一円、文書料他諸雑費一六万一九三六円)を受領した(弁論の全趣旨)。
二 争点
(1) 事故態様、責任、過失相殺
(原告の主張)
被告は、上記交差点を通行するに当たり、交差道路を通行する車両等に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行すべき注意義務があるのにこれを怠った過失があるから、民法七〇九条又は自動車損害賠償保障法三条に基づき、本件事故により原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。
そして、本件交差点に進入する際、原告車は減速したのに被告車は減速しなかったこと、原告車が先入していたこと、被告に著しい前方不注視の過失があったこと、被告車が原告車の約二倍の速度で走行していたことから、被告の過失割合は八割を下回らない。
(被告の主張)
否認する。
原告車の走行道路の幅員よりも被告車の走行道路の幅員が明らかに広いこと、被告車が原告車の走行道路と交差する道路を左方から走行してきたこと、被告車と原告車が同程度の速度で本件交差点に進入したことから、原告には六割の過失がある。
(2) 損害
(原告の主張)
ア 原告の損害額
原告には本件事故により次の損害が生じた。
(ア) 治療費 一三九三万二二一九円
(イ) 入院雑費 二二万九五〇〇円
(ウ) 通院交通費 一五五万二八四一円
(エ) 装具代等 四八万三一三〇円
(オ) 休業損害 一一五九万四四一〇円
原告は、本件事故当時日額一万四七二三円の収入(本件事故前年の年収五三七万三九五〇円÷三六五日)を得ていたところ、次のとおり休業したから、休業損害は、aないしcの合計一一五九万四四一〇円となる。
a 平成一五年一月七日から平成一七年二月一四日 九四五万七七一〇円
原告は、上記期間中、七七〇日休業したが、勤務先から一八七万九〇〇〇円の支給を受けたから、休業損害は、九四五万七七一〇円(1万4723円×770日-187万9000円)となる。
b 平成一七年二月一五日から同年五月九日 八万八三三八円
原告は、上記期間中、合計六日の有給休暇を取得して休業したから、休業損害は、八万八三三八円(一万四七二三円×六日)となる。
c 平成一七年五月一〇日から平成一八年四月二〇日 二〇四万八三六二円
原告は、上記期間中、三四六日休業したが(うち四八日は有給休暇を取得)、勤務先から三七五万二五〇〇円の支給を受けたから、休業損害は、二〇四万八三六二円(<1万4723円×346日-375万2500円>+<1万4723円×48日>)となる。
(カ) 逸失利益 二二三〇万四二五七円
原告には、本件事故により、前記争いのない事実等記載の後遺障害が残存したから、逸失利益は、基礎収入を本件事故前年の年収五三七万三九五〇円、労働能力喪失率を二七パーセント、労働能力喪失期間を六七歳までの三〇年(ライプニッツ係数は一五・三七二)として、二二三〇万四二五七円(537万3950円×0.27×15.372)となる。
(キ) 入通院慰謝料 四二三万円
(ク) 後遺障害慰謝料 七〇〇万円
(ケ) 合計 六一三二万六三五七円
イ 原告の請求額
(ア) 主位的主張
原告は、前記争いのない事実等記載のとおり、労災保険給付及び人身傷害補償保険金を受領したところ、原告の請求額は、原告の損害額から労災保険給付及び人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除し、その残額を過失相殺する方法によるのが相当である。
そして、原告の損害額から労災保険給付及び人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除した金額は四〇一九万八五五八円、同金額に二割の過失相殺をした金額は三二一五万八八四六円となるから、原告は、被告に対し、同金額に弁護士費用三二〇万円を加算した三五三五万八八四六円及びこれに対する不法行為の日である平成一五年一月七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(イ) 予備的主張1
上記(ア)が認められないときは、原告の請求額は、原告の損害額から人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除した上で過失相殺し、その残額から労災保険給付を同一の損害費目において控除する方法によるのが相当である。
そして、原告の損害額から人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除した金額は五八七二万〇八三三円、同金額に二割の過失相殺をした金額は四六九七万六六六六円、同金額から労災保険給付を同一の損害費目において控除した金額は三一一二万六九二四円となるから、原告は、被告に対し、同金額に弁護士費用三一〇万円を加算した三四二二万六九二四円及びこれに対する不法行為の日である平成一五年一月七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(ウ) 予備的主張2
上記(イ)も認められないときは、原告の請求額は、原告の損害額から人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除した上で過失相殺し、その残額から労災保険給付全額を控除して算定することになる。
そして、原告の損害額から人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除した上で二割の過失相殺をした金額は、上記(イ)のとおり四六九七万六六六六円、同金額から労災保険給付全額を控除した金額は二八四五万四三九一円となるから、原告は、被告に対し、同金額に弁護士費用二八〇万円を加算した三一二五万四三九一円及びこれに対する不法行為の日である平成一五年一月七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告の主張)
ア 治療費のうち一三八八万四九六九円、通院交通費及び装具代等は認め、その余は不知ないし否認する。
イ 休業損害について
愛知労働局長が認定した八六三万三二四〇円とするのが相当である。
ウ 逸失利益について
原告の後遺障害は、訓練による改善や年月経過による軽減の可能性があるから、労働能力喪失期間は三〇年より短く、仮に労働能力喪失期間を三〇年とするなら労働能力喪失率は二〇パーセント程度にとどまるというべきである。
エ 原告の請求額について
原告の請求額は、原告の損害額から人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除した上で過失相殺し、その残額から労災保険給付を同一の損害費目において控除する方法によるのが相当である(原告の予備的主張1と同じ)。
第三争点に対する判断
一 争点(1)(事故態様、責任、過失相殺)について
(1) 証拠(甲二、一六、乙六、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。ただし、これらの証拠のうち、この認定に反する部分は採用しない。
ア 本件事故現場は、甚目寺方面から西市場方面に通じる幅員三メートルの南北道路と、五条川方面から稲沢方面に通じる幅員四・八メートルの東西道路が交差する、信号機による交通整理の行われていない交差点(以下「本件交差点」という。)である。
本件交差点の周囲は水田であり、南北道路を南進する車両及び東西道路を西進する車両の前方・左右の見通しは良い。
イ 原告車は、本件事故当時、南北道路を時速約四〇ないし五〇キロメートルで南進していた。原告は、本件交差点手前数十メートルの地点で、東西道路を本件交差点に向かって西進してくる被告車を認めたが、被告車の位置からみて被告車より先に本件交差点を通過できると考えた。そして、本件交差点手前約五ないし一〇メートルの地点でわずかに減速し、前方を向いたまま視界に入る範囲で東西道路の安全確認をして本件交差点に進入したところ、東側から本件交差点に進入してきた被告車と衝突した。
原告は、被告車を認めた際、その速度まで確認していなかったし、その後、被告車の動向を確認していなかった。
ウ 被告車は、本件事故当時、東西道路を時速約四〇ないし五〇キロメートルで西進していた。被告は、本件交差点手前三十数メートルの地点で、たばこの箱をジャンパーのポケットに入れようとして脇見をした。前方に向き直った後、本件交差点に進入しようとしたところ、北側から本件交差点に進入してくる原告車を発見し、ブレーキを掛けたが間に合わず、原告車に衝突した。
被告は、本件交差点を通行するに当たり、南北道路の安全確認をしていなかったし、減速もしていなかった。また、衝突直前まで、原告車には気付かなかった。
(2) 以上の事実からすれば、被告には、本件交差点を通行するに当たり、その状況に応じて安全確認をし、できる限り安全な速度と方法で進行すべき注意義務があるのに、これを怠った過失があるから、本件事故により原告に生じた損害を賠償すべき責任があると認められる。他方で、上記(1)に認定した道路の幅員や周囲の見通しに照らし、原告の走行していた南北道路の幅員よりも被告の走行していた東西道路の幅員が明らかに広いといえるから、原告には、本件交差点を通行するに当たり、交差道路を通行する車両の進行妨害をしてはならず、徐行すべき注意義務があるのに、これを怠った過失があると認められる。
そして、①被告車が、本件交差点を通行するに当たり減速をしていないこと、②原告車も、本件交差点を通行するに当たり明らかな減速をしていないこと、③衝突の状況は、被告車が原告車の左側後部に衝突したものであり(原告本人)、原告車が本件交差点に先入していたと認められることにも鑑みれば、本件事故の過失割合は、原告五〇パーセント・被告五〇パーセントと評価するのが相当である。
(3) ところで、原告は、被告に著しい前方不注視の過失があったと主張する。確かに、被告が、本件交差点手前三十数メートルの地点で脇見をし、前方に向き直った後、本件交差点を通行するに当たっても、南北道路の安全確認をしなかった過失は大きいというべきであるが、原告が、本件交差点手前数十メートルの地点で、東西道路を本件交差点に向かって西進してくる被告車を認めたのに、本件交差点を通行するに当たり、前方を向いたまま視界に入る範囲で東西道路の安全確認をしたにすぎない過失もまた大きいといわざるを得ないから、原告及び被告の過失の程度が、上記過失割合に影響を与えるものとは認められない。
また、原告は、被告車が原告車の約二倍の速度で走行していたとも主張し、原告本人は、原告車が本件交差点北側手前三五ないし四〇メートルの地点を走行していたとき、被告車は本件交差点東側手前六〇ないし七〇メートルの地点を走行していた旨供述する。しかし、原告の上記供述によっても、被告車が原告車の約二倍の速度で走行していたとか、法定速度を大きく超える速度で走行していたとの事実を直ちに認めることはできないし、被告車が本件交差点手前でブレーキを掛けてから停止するまでの距離が約一四・五メートルであったこと(甲二)にも照らすと、原告の上記主張を採用することはできない。
二 争点(2)(損害)について
(1) 本件事故による原告の損害は、次のとおりである。
ア 治療費 一三九三万二二一九円
原告が治療費一三八八万四九六九円を要したことは当事者間に争いがなく、証拠(甲一七、一八<各枝番を含む>)によれば、原告が、他に治療費四万七二五〇円を要したことが認められる。
イ 入院雑費 二二万九五〇〇円
前記争いのない事実等記載のとおり、原告は、一五三日入院したから、入院雑費は、二二万九五〇〇円(一五〇〇円×一五三日)と認めるのが相当である。
ウ 通院交通費 一五五万二八四一円(当事者間に争いがない。)
エ 装具代等 四八万三一三〇円(当事者間に争いがない。)
オ 休業損害 一一五九万四四一〇円
証拠(甲六、九、一〇、一六、原告本人)によれば、原告が、本件事故当時日額一万四七二三円の収入(本件事故前年の年収五三七万三九五〇円÷三六五日)を得ていたこと、平成一五年一月七日から平成一七年二月一四日までの期間中、七七〇日休業し、勤務先から一八七万九〇〇〇円の支給を受けたこと、同月一五日に就労を再開したが、同年五月九日までの期間中、合計六日(同年三月一〇日、二二日、同年四月二八日及び同年五月六日は午後休暇、同年四月一日、六日、二七日及び同年五月九日は普通休暇)の有給休暇を取得して休業したこと、同月一〇日から再度休業することとなり、症状固定日である平成一八年四月二〇日までの期間中、三四六日休業し(うち四八日は有給休暇を取得)、勤務先から三七五万二五〇〇円の支給を受けたことが認められる。
以上から、休業損害は、(ア)ないし(ウ)の合計一一五九万四四一〇円となる。
(ア) 平成一五年一月七日から平成一七年二月一四日 九四五万七七一〇円
1万4723円×770日-187万9000円
(イ) 平成一七年二月一五日から同年五月九日 八万八三三八円
1万4723円×6日
(ウ) 平成一七年五月一〇日から平成一八年四月二〇日 二〇四万八三六二円
(1万4723円×346日-375万2500円)+(1万4723円×48日)
カ 逸失利益 二二三〇万四二五七円
(ア) 証拠(甲四ないし六、甲一六、原告本人)によれば、原告が、本件事故前年に年収五三七万三九五〇円を得ていたこと、症状固定時三七歳であり、左下腿骨開放粉砕骨折に伴う左足関節の機能障害について後遺障害等級一〇級一一号に該当し、同骨折に伴う左下腿骨の変形癒合について後遺障害等級一二級八号に該当する旨判断されたこと、本件事故当時、中部電力株式会社に勤務し、顧客廻り、事故対応、補修作業等の現場業務に従事していたこと、症状固定後に就労を再開したが、上記後遺障害のため現場業務に復帰する見通しが立たず、平成二〇年六月三〇日に同会社を退職したことが認められるから、原告は、本件事故により、六七歳までの三〇年間(ライプニッツ係数は一五・三七二)、二七パーセントの労働能力を喪失したものとみるのが相当である。
そうすると、逸失利益は、二二三〇万四二五七円(537万3950円×0.27×15.3721)となる。
(イ) ところで、被告は、原告の後遺障害は、訓練による改善や年月経過による軽減の可能性があるとして、労働能力喪失期間は三〇年より短く、仮に労働能力喪失期間を三〇年とするなら労働能力喪失率は二〇パーセント程度にとどまると主張する。
しかし、原告の後遺障害については、原告が症状固定後二年以上経過して勤務先を退職した経過からみて、現在までに改善ないし軽減したとはいい難いし、今後の改善ないし軽減の可能性を認めるに足りる具体的な証拠はないから、被告の上記主張は採用することができない。
キ 入通院慰謝料 三二〇万円
本件事故態様、受傷内容、治療経過のほか、本件に現れた諸事情を総合すると、入通院慰謝料は、三二〇万円とするのが相当である。
ク 後遺障害慰謝料 七〇〇万円
原告が、後遺障害等級九級の後遺障害を負い、日常生活上の苦痛を被っていること、就労生活上の支障も大きく、従前の現場業務に復帰する見通しが立たなかったために勤務先を退職したことなど(甲一六、原告本人)、本件に現れた諸事情を総合すると、後遺障害慰謝料は、七〇〇万円と認めるのが相当である。
ケ 合計 六〇二九万六三五七円
(2) 原告は、前記争いのない事実等記載のとおり、労災保険給付及び人身傷害補償保険金を受領したところ、原告の損害額は、上記(1)の損害額から、人身傷害補償保険金を同一の損害費目において控除した上で過失相殺し(人身傷害補償保険金の控除方法については当事者間に争いがない。)、その残額から、労災保険給付を同一の損害費目において控除する方法によるのが相当である(最高裁判所平成元年四月一一日第三小法廷判決・民集四三巻四号二〇九頁)。
ア 人身傷害補償保険金控除後の損害 五七六九万〇八三三円
上記(1)の金額から人身傷害補償保険金二六〇万五五二四円(治療費八九万〇七四七円、通院交通費一五五万二八四一円、文書料他諸雑費一六万一九三六円)を同一の損害費目において控除すると(文書料他諸雑費については装具代等から控除)、合計五七六九万〇八三三円(治療費一三〇四万一四七二円、入院雑費二二万九五〇〇円、通院交通費〇円、装具代等三二万一一九四円、休業損害一一五九万四四一〇円、逸失利益二二三〇万四二五七円、入通院慰謝料三二〇万円、後遺障害慰謝料七〇〇万円)となる。
イ 過失相殺後の損害 二八八四万五四一六円
上記アの金額から前記認定のとおり五〇パーセントを過失相殺すると、二八八四万五四一六円(治療費六五二万〇七三六円、入院雑費一一万四七五〇円、通院交通費〇円、装具代等一六万〇五九七円、休業損害五七九万七二〇五円、逸失利益一一一五万二一二八円、入通院慰謝料一六〇万円、後遺障害慰謝料三五〇万円)となる。
ウ 労災保険給付控除後の損害 一七〇〇万四四七四円
上記イの金額から労災保険給付(療養給付)一三三六万二六六六円を同一の損害費目(治療費及び装具代等)において控除し、労災保険給付(休業給付)五一五万九六〇九円を同一費目(休業損害)において控除すると、一七〇〇万四四七四円(治療費〇円、入院雑費一一万四七五〇円、通院交通費〇円、装具代等〇円、休業損害六三万七五九六円、逸失利益一一一五万二一二八円、入通院慰謝料一六〇万円、後遺障害慰謝料三五〇万円)となる。
(3) 弁護士費用 八五万円
本件事案の性質、審理経過、認容額等を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は、八五万円と認められる。
(4) 損害総計 一七八五万四四七四円
以上から、原告の損害総計は、一七八五万四四七四円となる。
第四結論
よって、原告の請求は、主文の限度で理由がある。
(裁判官 丹羽敦子)