名古屋地方裁判所 平成2年(行ウ)40号 判決 1991年9月18日
原告
太平建設工業株式会社
右代表者代表取締役
川合康弘
右訴訟代理人弁護士
野島達雄
同
中村弘
被告
名古屋市千種区長
岩田勲
同
名古屋市固定資産評価審査委員会
右代表者委員長
土方茂生
右被告ら訴訟代理人弁護士
鈴木匡
同
大場民男
右訴訟復代理人弁護士
鈴木雅雄
同
深井靖博
同
中村貴之
主文
一 原告の被告名古屋市千種区長に対する請求を棄却する。
二 被告名古屋市固定資産評価審査委員会に対する本件訴えを却下する。
三 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告名古屋市千種区長(以下「被告区長」という。)が平成二年四月五日付で原告に対して行った別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)についての同年度の固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分(以下「本件賦課処分」という。)を取り消す。
2 被告名古屋市固定資産評価審査委員会(以下「被告委員会」という。)が平成二年八月二八日付で行った原告の審査の申出を棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)を取り消す。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁(被告ら)
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、平成二年一月一日当時、本件土地を所有していた。
2 被告区長は、同年四月五日付で、原告に対し、本件賦課処分(固定資産税の税額三〇万八七〇〇円、都市計画税の税額六万六一〇〇円、合計三七万四八〇〇円)を行った。
3 原告は、名古屋市長に対し、同月一一日、本件賦課処分について審査請求をしたが、同市長は、その後三か月以上経過しても裁決を行わない。
4 本件土地は、登記簿上の地目(宅地)にかかわらず現況は墓地であるから、地方税法(以下「法」という。)三四八条二項四号、七〇二条の二第二項により、固定資産税及び都市計画税は非課税である。
5 被告区長は、平成二年度の固定資産税にかかる土地課税台帳に、本件土地の地目を宅地と登録した。
6 原告は、同年三月二六日付で被告委員会に対し、本件土地は墓地に該当し非課税であることを理由に審査の申出をしたが、被告委員会は、同年八月二八日付でこれを棄却する旨の本件決定をした。
7 本件土地は、前記4のとおり非課税であるから、本件決定は違法である。
8 よって、原告は、被告区長に対し本件賦課処分の取消しを、被告委員会に対し本件決定の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
(被告区長)
1 請求原因1及び2の事実は認める。
2 同3の事実のうち、原告が、平成二年四月一一日、名古屋市長に対し、本件賦課処分について審査請求を行ったことは認めるが、その余は否認する。名古屋市長は、同年一一月八日付で審査請求を棄却する旨の裁決をした。
3 同4は争う。
4 同5及び6の事実は認める。
5 同7は争う。
(被告委員会)
1 請求原因1の事実は認める。
2 同2及び3の事実は知らない。
3 同4は争う。
4 同5及び6の事実は認める。
5 同7は争う。
三 被告らの主張
(被告区長)
1 原告は、平成二年一月一日現在、本件土地の所有者であるところ、本件土地の課税標準額は二二〇五万七〇一七円であったので、被告区長は、平成二年度の固定資産税の税額を三〇万八七〇〇円、都市計画税の税額を六万六一〇〇円とした。
2 法四三二条三項は、固定資産税の賦課についての不服申立てにおいては、同条一項の規定により固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないと規定しているところ、土地課税台帳に「宅地」として登録されている土地の現況が「墓地」であるから非課税であるとする主張は、単なる価格評価の問題ではないから、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる事項についての不服には当たらない。しかし、原告は、本件土地は墓地に該当するため非課税であるので、土地課税台帳に登録された「地目」について不服があるとして、請求原因6のとおり被告委員会に対し審査の申出をしたのである。このように、納税者において固定資産評価審査委員会に対する審査の申出によって争う方法を選択した場合には、以後、審査の申出に対する同委員会の決定に対する取消訴訟の方法によらなければならないものと解すべきである。
したがって、原告は、被告区長に対して本件賦課処分の取消しを求める本訴において、本件土地が墓地であるから非課税であると主張することはできない。
3 法三四八条二項四号及び七〇二条の二第二項によれば、固定資産税及び都市計画税は、墓地に対して課することができないのであるが、本件土地は墓地ではない。
すなわち、大量反復事務である固定資産税の課税事務においては、公平迅速の観点から、当該土地が法三四八条二項四号の墓地であるかどうかについて、外形的事実から一律かつ客観的に判断する必要がある。この客観的判断を行う指標としては、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二三年法律四八号。以下「墓地法」という。)の規定を用いるのが合理的であるところ、同法における墓地とは、墳墓(死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設)を設けるために、墓地として都道府県知事(同法一九条の三の規定により、名古屋市にあっては名古屋市長)の許可を受けた区域をいうものである。本件土地は、墓地法にいう墓地としての許可を受けた区域ではない。
(被告委員会)
被告委員会は、右被告区長の主張3のとおりの理由により、本件土地が墓地ではないと判断し、本件決定により原告の審査の申出を棄却したものである。
四 被告らの主張に対する原告の認否及び反論
1 本件土地が墓地法の規定により名古屋市長の許可を受けた区域でないことは認めるが、その余の被告らの主張は争う。
2 本件土地の来歴と現況
本件土地は、大日寺(旧浄土寺)住職隅谷秀盛が所有していた山林(旧名古屋市東区鍋屋上野町字南山三二七六番の三六)の一部であり、右山林は、浄土寺、大日寺を通じて、その境内地及び墓地として利用されてきた。浄土寺は、大正一二年に建立されたもので、多数の檀信徒を有していたが、遊女等の不遇の人の遺骨を位牌堂に納めて祀ることも行っていた。そして、昭和一四年ころには、戦没軍人の墓地を作ることとなり、檀信徒や一般から希望者を募り、約一〇〇基の軍人墓石を作った。本件土地及び隣接地上にも現在一六基の軍人墓石が存在する。これらの墓石は、名古屋市千種区月ケ丘三丁目七四番に所在する墓石と共に護持されてきたものであり、本件土地の地目は宅地となっているが、現在においても、利用の実態は死者を祀る場所であり、現に、原告は、毎月一回、僧侶による法要を欠かしたことがない。
3 法三四八条二項四号にいう「墓地」の意義について
(一) 法三四八条二項各号は、固定資産税の非課税物件について定めているが、これは、所有者の性格に着目して非課税とする人的非課税物件と、資産の用途が公共的施設等であって、社会生活の進歩や円滑な維持運営に寄与するものとして公益の実現に深く関わり、それゆえに一般の固定資産とは区別して非課税とし、これらの固定資産に対する税負担を軽減させ、もって公益の増進に資せんとする配慮に基づく物的非課税物件に大別される。したがって、当該物件を非課税とすべきか否かは、単なる名目や形式によるのではなく、その使用の実態に着目して決すべきものである。この趣旨に立脚し、同項四号の「墓地」とは、人骨ないしは遺髪、遺品等死者を弔い又は死者を記念、追想する物品が土中に埋められている場所であるか、あるいはこれらを埋蔵、収蔵していなくとも墓石等が存在していて死者を礼拝する場所であれば足り、当該土地の地目、所有者の如何及び管理形態は問われないものと解すべきである。
相続税についての法令においても、非課税財産である「墓所」に該当するか否かは、墓地法の規定に関わりなく、当該墓地自体の尊厳の維持に要する土地をも含め、使用の実態に着目して判断されている。すなわち、相続税法一二条一項二号で「墓所、霊廟及び祭具、並びにこれらに準ずるもの」が非課税財産とされており、これを受けた相続税法基本通達一二―一では、同法に規定する「墓所、霊廟」とは「墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含む」とされ、また、同通達一二―二では、「これらに準ずるもの」とは「庭内神し、神棚、神体、仏壇、位牌、仏像、仏具及び古墳等で日常礼拝の用に供しているとき」とされているのである。
本件土地上の墓石には明確に何某の墓との墓銘が刻されており、遺族の所在も判明している上、墓石の下には人骨が埋葬され、あるいは、軍刀等の遺品や遺髪等が埋蔵されているものもある。また、本件土地には中村遊廓にて不遇の死を遂げた遊女たちの遺骨が埋葬されている可能性も否定することができない。しかし、仮に人骨が埋葬されておらず、あるいは、遺品、遺髪等が存在しなかったとしても、これらの墓石が死者を記念し、追想するものとして礼拝の対象とされている限り、それらは「墓」であり、これらの「墓」の存在する場所は墓地である。
したがって、本件土地は法三四八条二項四号にいう「墓地」に該当するものである。
(二) 被告らは、法三四八条二項四号の「墓地」は墓地法二条五項の「墓地」と同義であると主張するけれども、同項は「この法律で」と断って墓地を定義しているのであり、当然に他の法律の用語の解釈に用いることはできない。なぜなら、法律にはそれぞれ制定の趣旨があり、墓地法の目的とするところは、同法一条に定められているとおり、墓地等の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われるようにするためのものである。これに対し、法三四八条二項四号の目的とするところは、前記のとおり、墓地法の目的とするところと全く異なるからである。
また、法三四八条二項四号の「墓地」が墓地法二条五項の「墓地」と同義であるならば、規定の体裁上、法三四八条二項三号、八号の規定と同じく、同項四号は「墓地法二条五項に規定する墓地」となっていなければならないはずである。
第三 証拠<省略>
理由
一争いのない事実等
原告と被告区長との間では、請求原因1及び2の事実、同3の事実のうち、原告が、平成二年四月一一日、名古屋市長に対し、本件賦課処分について審査請求を行ったこと、並びに同5及び6の事実は争いがなく、原告と被告委員会との間では、請求原因1、5及び6の事実は争いがない。そして、<書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、請求原因2の事実及び同3の事実のうち原告が、平成二年四月一一日、名古屋市長に対し、本件賦課処分について審査請求を行ったこと、並びに名古屋市長が同年一一月八日付で右審査請求を棄却する決定をしたことを認めることができる。
二被告委員会に対する本件訴えの適否について
1 原告は、被告委員会に対する本件訴えにおいて、本件決定の取消しを求めているところ、原告が本件決定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するとすれば、それは、本件決定の取消判決を得た上で、改めて被告委員会の審査を受けることにあることが明らかである。したがって、原告が被告委員会に審査を申し出ることのできる事項について不服があるのでない場合には、原告は、仮に本件決定が取り消されても、被告委員会の審査を受けることができないのであるから、本件決定の取消しによって回復すべき法律上の利益を有しないものと解すべきである。
ところで、原告の主張によれば、原告の不服は、本件土地が墓地であって法三四八条二項四号、七〇二条の二第二項の規定により固定資産税及び都市計画税は非課税であるのに、土地課税台帳に宅地として登録され、課税されたことにあるというのであるから、土地課税台帳に登録された土地が非課税物件か否かが被告委員会の審査すべき事項に含まれるかどうかについて検討する。
2 市町村長は、固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため、固定資産課税台帳を備えなければならない(法三八〇条一項)とされているところ、固定資産課税台帳の一つである土地課税台帳は、土地登記簿に登記されている土地について法三八一条一項に規定する事項を登録した帳簿をいう(法三四一条一〇号)ものである。そして、法三八一条一項は、市長村長は、土地課税台帳に、土地登記簿に登記されている土地について不動産登記法七八条の規定により登記する事項(土地の所在場所、地番、地目、地積、所有権の登記のない土地については所有者の氏名、住所、所有者が二名以上であるときはその持分)、所有権等の登記名義人の住所及び氏名又は名称並びに当該土地の基準年度の価格又は比準価格を登録しなければならないと定めている。
右のような法の規定によれば、土地登記簿に登記されている土地については、これを土地課税台帳に登録しなければならず、法三四八条二項各号のいずれかに該当するため固定資産税が非課税とされる土地もその例外ではないのであるから、土地課税台帳に登録されることと、右各号の非課税物件に該当するか否かは直接関わりのない事柄であると解される。また、土地課税台帳に登録すべき事項は、前記のとおり、土地の所在場所、地番、地目、地積、所有権等の登記名義人の住所及び氏名又は名称並びに当該土地の基準年度の価格又は比準価格と定められているのであるから、その土地が法三四八条二項各号に定める非課税物件に該当するか否かの区別は、右台帳に登録すべき事項には該当しないものと解される。なお、本件土地は、土地課税台帳に地目を「宅地」として登録されているが、法三四八条二項四号の「墓地」に該当するか否かは、後記三2のとおり、墓地法の規定により墓地としての許可を受けた区域であるか否かによって判断されるべきものであって、土地課税台帳に登録された地目によって決められるものではないと解されるのであるから、地目が「宅地」と登録され、これを前提にして決定された価格が土地課税台帳に登録されているとしても、これをもって、右土地が法三四八条二項四号の「墓地」に該当しないことが登録されているということもできない。
そして、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができるのは、固定資産課税台帳に登録された事項(土地登記簿又は建物登記簿に登記された事項等を除く。)についての不服に限られる(法四三二条一項)ところ、右に説示したところによれば、土地登記簿に登記された土地が法三四八条二項各号の非課税物件に該当するか否かは、土地課税台帳に登録された事項ではなく、したがって、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項ではないのであるから、被告委員会に対する本件訴えにおいて原告が主張する不服は、被告委員会が審査すべき事項についての不服ではないというべきである。
3 以上のとおりであるから、原告は本件決定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有しないというべきであり、右訴えは不適法な訴えとして却下すべきものである。
三被告区長に対する請求について
1 被告区長は、原告が被告委員会に対する審査の申出によって本件土地は非課税物件であるという不服を主張する方法を選択したのであるから、以後、原告は、右不服を主張して被告区長に対し本件賦課処分の取消しを請求することはできないと主張する(被告区長の主張2)。
しかしながら、右二において説示したとおり、本件土地が非課税物件であるという不服は、被告委員会に対して審査を申し出ることができる事項についての不服には当たらないと解されるのであるから、法四三二条三項により右不服を本件賦課処分に対する不服申立ての理由とすることができなくなるものではなく、むしろ、右の不服は、賦課についての不服申立手続及び賦課決定の取消訴訟において判断されるというのが、法の本来予定するところであると解される。また、被告委員会に審査の申出をすることができない事項について審査の申出をしたために、賦課についての不服申立てにおいて、右不服を主張することが許されなくなるものと解すべき理由はない。
したがって、被告区長の右主張は理由がない。
2 次に、本件土地が法三四八条二項四号にいう「墓地」に該当するか否かについて判断する。
(一) 法三四八条二項四号にいう「墓地」は、次に述べる理由により、墓地法二条五項にいう「墓地」と同義であり、「墓地」として同法一〇条、一九条の三の規定による許可を受けた区域をいうものと解するのが相当である。
(1) 固定資産税の賦課事務は大量反復事務であるので、これを公平迅速に行うためには、法三四八条二項四号の「墓地」に該当するか否かの判断は、客観的な基準により一律に行うことが相当であるところ、そのためには、墓地法により墓地として許可を受けた区域であるか否かによって判断するのが、最も簡明かつ客観的であって適当である。
(2) 墓地法二条五項によれば、墓地とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設すなわち墳墓(墓地法二条四項)を設けるために、墓地として都道府県知事(同法一九条の三の規定により、政令指定都市にあっては市長)の許可を受けた区域をいい、同法一〇条によれば、墓地を経営しようとする者は都道府県知事(市長)の許可を受けなければならないとされているところ、同条にいう「経営」とは、広く、墓地を設置し、管理し、運営することをいい、営利目的の有無を問わないと解され、自己所有地に自家用の墓地のみを設置したいわゆる個人墓地であっても、同法一〇条の許可を要するのであるから、右許可を得ていない以上、墓地として使用されていないとみなす取扱いをしても、不合理であるとはいえない。
(3) 原告は、法三四八条二項四号において墓地を非課税とする目的は、墓地法の立法目的とは異なるのであるから、法三四八条二項四号の「墓地」を墓地法という「墓地」と同義であるとする必要はなく、相続税についての取扱いと同じく、使用の実態に着目して判断すべきである旨主張するが、同号において墓地が固定資産税の対象から除外されたのは、墓地の公共的施設としての性格、事業の公益性等に鑑み、法人税(法人税法七条、同法施行令五条五項ニ)、特別土地保有税(法五八六条二項二八号)と同様に税制上の優遇措置を与えたものと解されるのであり、その解釈適用に当たって、公衆衛生その他公共の福祉の見地から墓地等について規制する墓地法の許可を前提とすることには合理性がある。また、相続税において墓所等が非課税とされたのは、民法上、系譜、祭具、墳墓等のいわゆる祭祀財産が相続財産とは別個に承継されることとされている(同法八九七条一項)ことを前提にして、これらの財産については、相続財産から除外されているとの考えに立つからであって、固定資産税を非課税とする理由とは異なるものである。
(二) これを本件についてみるに、本件土地が墓地法二条五項にいう「墓地」として同法一〇条、一九条の三により名古屋市長の許可を受けた区域でないことは当事者間に争いがないので、本件土地は同法二条五項にいう「墓地」には当たらず、したがって、法三四八条二項四号の「墓地」にも該当しないというべきであるところ、<書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、被告区長は、右と同旨の理由により本件賦課処分を行ったことが認められるのであるから、本件賦課処分には、原告の主張するような違法があるということはできない。
3 <書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、本件土地の課税標準額は二二〇五万七〇一七円であること及びこれによれば本件賦課処分のとおり平成二年度の固定資産税額は三〇万八七〇〇円、都市計画税額は六万六一〇〇円になることが認められる。したがって、本件賦課処分は適法なものということができる。
四よって、原告の被告委員会に対する本件訴えは不適法であるから却下し、原告の被告区長に対する請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官瀬戸正義 裁判官杉原則彦 裁判官後藤博)
別紙物件目録
名古屋市千種区月ケ丘三丁目七五番一
宅地 657.70平方メートル