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名古屋地方裁判所 平成20年(ワ)3396号 判決 2010年12月07日

原告

X1 他1名

被告

主文

一  被告は、原告X1に対し、一億七七七五万六七〇二円及び内一億六八七五万六七〇二円に対する平成一八年一二月二六日から、内九〇〇万円に対する平成一五年一〇月三一日から、それぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告X2に対し、二三〇万円及びこれに対する平成一五年一〇月三一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らのその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、これを二〇分しその一三を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。

五  この判決は、第一項及び第二項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求の趣旨

一  被告は、原告X1に対し、五億一四七三万五八〇九円並びに内四億四八七七万四九一二円に対する平成一八年一二月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員及び内四四〇〇万円(弁護士費用)に対する平成一五年一〇月三一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告X2に対し、五五〇万円及びこれに対する平成一五年一〇月三一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

四  仮執行宣言

第二事案の概要

本件は、原告X1(以下「原告X1」という。)が運転する自転車(以下「原告車」という。)に、被告が運転する自動車(以下「被告車」という。)が衝突した事故(以下「本件事故」という。)により、原告X1が急性硬膜下血腫等の傷害を負い、四肢麻痺等の後遺障害が残ったとして、原告らが、被告に対し、民法七〇九条及び自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条に基づき、損害賠償を求めた事案である。

一  前提事実(証拠を摘示しない事実は当事者間に争いがない。)

(1)  本件事故の発生

ア 日時 平成一五年一〇月三一日午後七時二五分ころ

イ 場所 名古屋市南区豊田五丁目一四番二五号先路線上(以下「本件現場」という。)。

ウ 被告車 被告運転の普通乗用自動車(〔ナンバー省略〕)

エ 原告車 原告X1運転の自転車

(2)  被告の責任

被告は、被告車の保有者であるから、自賠法三条により、本件事故において原告X1に傷害を負わせたことによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(3)  原告X1の負った傷害、治療経過及び後遺障害

ア 本件事故により、原告X1は急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折、症候性てんかん、外傷性水頭症等の傷害を負い、平成一五年一〇月三一日から平成一六年二月二日までは名古屋市所在の社会保険中京病院(以下「中京病院」という。)に入院し、同日、原告X1の母である原告X2(以下「原告X2」という。)の居住する鹿児島県鹿屋市所在の徳田脳神経外科病院に転院し、同年三月八日には更に同市所在の小倉リハビリテーション病院に転院し、平成一七年六月三〇日に小倉リハビリテーション病院を退院した(合計六〇九日間)。その後、原告X1は小倉リハビリテーション病院で一一三日間の通院治療(実通院日数三〇日間)を受けた。

イ 原告X1は、平成一七年一〇月二一日、傷病名を頭部外傷後遺症、後遺障害の内容を四肢麻痺、高次脳機能障害、神経因性膀胱等として、症状固定と診断された。原告X1は症状固定時には二七歳であった。

ウ 原告X1は、自動車賠償責任保険の手続において、後遺障害別等級表別表第一第一級一号に該当すると判断された。

(4)  既払金等

ア 被告と自動車保険契約を締結していた東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上」という。)は、本件事故による原告X1の損害に関して、治療費及び薬代として七二八万六八八三円を原告X1の治療を行った各病院に対して、搬送サービス費として三万二六三〇円を愛知民間救急サービスに対して、宿泊費として七万九二〇〇円を平安閣に対して、それぞれ支払った。

イ 東京海上は、原告X1に対して、別紙充当計算表「受領額」欄記載のとおり(平成一八年一二月二五日の欄を除く。)、合計八七九万八四八五円の内払いを行った。

ウ 原告X1は、平成一八年一二月二五日、自賠責保険金四〇〇〇万円を受領した。

二  争点及び争点に関する当事者の主張

本件の争点は、(1)事故態様及び過失割合、(2)原告らの損害額である。

(1)  争点(1)(事故態様及び過失割合)について

(原告らの主張)

ア 本件事故時、被告車の速度は時速約七〇キロメートルであった。

イ 被告は、原告車を発見することが可能な時点よりも、原告車との距離が一〇メートル以上縮まった時点において原告車を発見しており、被告には著しい前方不注視があった。

ウ 同一方向に進行する自転車が、自動車の前方を横断しようとすることは決して珍しい行動ではなく、本件現場の北側には大型スーパーが存在しており、同店に行くために道路を渡ろうとする可能性を容易に予想できる状況が存在するのであるから、自動車が速度を維持したまま自転車の右側を追い越そうとするのは、極めて危険な運転方法である。このような場合には、自動車の運転者は、前方を注視して自転車の動静を確認するだけでなく、警音器によって自転車に対し警告すべきである。その上で、自転車を道路脇に避譲させて安全に通過し得るようにしたり、十分に減速し、自転車の動静によってすぐに対処できるようにしておくべきであり、状況によっては追い越しを断念することも必要である。しかし、被告は自転車の動静を慎重に確認しておらず、減速も警告も行っていないのであるから、被告には重過失があると評価すべきである。

エ 被告は、原告X1が後方確認をせず横断を開始したと主張するが、本件現場付近は交通頻繁な区間であり、安全を確認せずに横断することは自殺行為であるから、原告X1が道路の横断を開始する際、後方の安全確認を行ったことを合理的に推認することができる。

原告X1が後方の安全確認を行ったところ、後方から接近してくる被告車を認識したが、被告車との距離が離れており、余裕を持って安全に横断を終えられると判断したため横断を開始したが、被告車が制限速度を大きく超える時速約七〇キロメートルで進行していることを予測できず、横断を終えるまでの間に衝突してしまったのである。

(被告の主張)

ア 本件事故時、被告車の速度は時速五〇から六〇キロメートルであった。

イ 原告X1には、本件事故現場の道路の左端を走行していたところ、進路変更の合図をせず、後方確認もしないまま、突然道路を横断しようとした過失がある。

ウ 本件事故は、原告X1が右折横断のために被告車の直前に飛び出してきたもので、被告がこれを避け得ず衝突したものであるから、被告が原告X1を発見するのが遅れたことと本件事故の発生とは因果関係がない。

(2)  争点(2)(原告らの損害額)について

(原告X1の主張)

ア 症状固定前の治療費 七二八万六八八三円

イ 将来治療費 九四万四八四八円

原告X1の後遺障害は極めて重度であり、今後も一生涯にわたって通院を継続する必要がある。平成二〇年一月から同年四月までに要した治療費は月額平均四二七五円である。原告X1の症状固定時における平均余命は五二・二九年であり、五二年に対応するライプニッツ係数は一八・四一八一である。

計算式 4275円×12月×18.4181=94万4848円

ウ 入院雑費 九一万三五〇〇円

入院雑費は日額一五〇〇円が相当であり、入院期間は六〇九日間である。

計算式 1500円×609日=91万3500円

エ 症状固定前の付添看護費 一〇八三万円

原告X1は、本件事故によって極めて重篤な傷害を負い、付添看護を要する状態であった。原告X1が入院している期間から、原告X2が主たる看護者として付添看護を担っていたこと、付添看護の負担が極めて重いものだったことなどの事情を考慮すべきであり、原告付添看護費は、入通院を問わず日額一万五〇〇〇円が相当であり、近親者が付添看護を実施していた期間は、事故日から症状固定日までの七二二日間である。

計算式 1万5000円×722日=1083万円

オ 交通費 一〇五万九七五一円

原告X1の通院及び付添看護などのため、交通費を支出しており、その合計は一〇五万九七五一円である(前記第二、一(4)ア記載の搬送サービス費三万二六三〇円及び宿泊費七万九二〇〇円を含む)。

名古屋市に滞在中、原告X2は住民票の移転等の手続を行うために移動する際、タクシーを利用した。原告X2は名古屋市の地理に疎く、利用すべき公共交通機関の知識を持っていなかった。また、原告X1が極めて重篤な状態にあり、長時間の付添看護が必要な状況であったため、原告X2は移動の時間を短縮するためにタクシーでの移動を選択したのであり、タクシーを利用したことに何ら問題はない。

原告らの親戚が見舞いのために病院を訪れたことがあり、その際に病院の駐車場を利用した。

カ 休業損害 三四五万四七七〇円

原告X1は、本件事故当時、アルバイトとして勤務しており、事故前三か月間の一日当たりの収入は平均四七八五円であり、原告X1の休業期間は本件事故日から症状固定日までの七二二日間である。

計算式 4785円×722日=345万4770円

キ 逸失利益 一億一五四七万七三一一円

(ア) 原告X1は、英語検定二級に合格し、○○州立aカレッジに留学し、語学が堪能であった。このため、ホテルに正社員として採用される可能性が高く、原告X1も正社員となることを希望していた。したがって、原告X1には大卒者としての収入を得る高度の蓋然性があったのであるから、基礎収入は平成一七年男子大学卒全年齢平均の六七二万九八〇〇円を採用すべきである。

(イ) 原告X1の労働能力喪失率は一〇〇パーセントである。

(ウ) 逸失利益等についての中間利息控除の基準時は症状固定時とするべきである。原告X1は症状固定時二七歳であり、満六七歳までの四〇年間、就労が可能であり、四〇年に対応するライプニッツ係数は一七・一五九一である。

計算式 672万9800円×100%×17.1591=1億1547万7311円

ク 将来介護費 二億五四八八万四一一六円

(ア) 原告X1は四肢麻痺を残し、寝たきりの生活を余儀なくされており、日常生活全般において介護が必要な状態である。また、著明な注意力、遂行機能の障害を負っているなど高次脳機能障害も重篤であり、常にその状態を看視しつつ、様々な声掛けを行う必要がある。

(イ) 原告X2が六七歳に達するまで(症状固定後一五年間)の介護は、一週間のうち六日は、一日あたり職業介護人が一〇時間、原告X2が七時間三〇分の介護をし、一週間のうち一日間は原告X2が一七時間三〇分の介護をする。職業介護人に一日あたり一〇時間の介護を依頼すると、六日間で一〇万〇二九〇円が必要であり、原告X2による介護は七時間三〇分では五〇〇〇円、一七時間三〇分では一万五〇〇〇円が相当である。一五年間に対応するライプニッツ係数は一〇・八三七八である。

(ウ) 原告X2が六七歳に達した後は、毎日、職業介護人による一七時間三〇分の介護が必要であり、この場合の介護費用は、一週間で四三万八九〇〇円である。症状固定時に原告X1は二七歳であり、平均余命は五二・二九年であり、五二年に対応するライプニッツ係数は一八・四一八一である。

計算式

①10万0290円+5000円×6日+1万5000円×1日=14万5290円

14万5290円×52週=755万5080円

755万5080円×10.8378=8188万0446円

②43万8900円×52週=2282万2800円

2282万2800円×(18.4181-10.8378)=1億7300万3670円

③8188万0446円+1億7300万3670円=2億5488万4116円

ケ 将来雑費 一〇〇八万三九〇九円

原告X1は、生涯にわたって、オムツ、尿取りパッドなどが介護のために必要であり、将来雑費の額は日額一五〇〇円が相当であり、原告X1の症状固定時における平均余命は五二・二九年であり、平均余命五二年に対応するライプニッツ係数は一八・四一八一である。

計算式 1500円×365日×18.4181=1008万3909円

コ 自宅改造費 一一六二万五〇二六円

原告X1は、寝たきりの生活であり移動の際は車いすを利用しているが、玄関や敷居の段差が大きな支障となっているため自宅の改造が必要であり、その費用は一一六二万五〇二六円である。

サ 車両購入費 一一一万〇三五六円

原告X1は、通院などに使用するため車いす仕様のラクティス(自動車)を購入した。通常仕様の価格と車いす仕様の価格の差は三〇万三六〇〇円であり、車両の耐用年数は六年、原告X1の症状固定時における平均余命は五二・二九年であるので、六年ごとに八回の買い替えが必要となる。

計算式 30万3600円×(1+0.7462+0.5568+0.4155+0.3100+0.2313+0.1726+0.1288+0.0961)=111万0356円

シ 器具購入費 四四二万四二七五円

(ア) 当初の購入費用 (七六万三〇五〇円)

a 介護用ベッド、エアマット、移動用リフトなどを購入し、原告X1が自己負担した金額は二七万九〇五〇円である。

b 原告X1は、頭部支持付ティルトリクライニング機能付の電動車いすを四八万四〇〇〇円で購入した。

(イ) 買い替え費 (三六六万一二二五円)

下記の器具については、耐用年数に応じて買い替えが必要であるところ、原告X1の症状固定時における平均余命は五二・二九年である。

a 折りたたみ式軽量スロープ(一五万七一〇二円)

単価は八万三〇〇〇円であり、耐用年数は八年であるので、八年ごとに六回の買い替えが必要である。

b ポータブルスロープ (六万一一一二円)

単価は一万八五〇〇円であり、耐用年数は五年であるので、五年ごとに一〇回の買い替えが必要である。

c 移動用リフト (一一八万一三四六円)

単価は二七万六五〇〇円であり、耐用年数は四年であるので、四年ごとに一三回の買い替えが必要である。

d リフト用吊り具 (八万九一九一円)

単価は二万七〇〇〇円であり、耐用年数は五年であるので、五年ごとに一〇回の買い替えが必要である。

e エアマット (五八万六三三三円)

単価は一〇万〇八〇〇円であり、耐用年数は三年であるので、三年ごとに一七回の買い替えが必要である。

f 電動ベッド、サイドレール、サイドテーブル (三〇万〇〇〇八円)

単価は一五万八五〇〇円であり、耐用年数は八年であるので、八年ごとに六回の買い替えが必要である。

g 電動車いす (一二八万六一三三円)

単価は四八万四〇〇〇円であり、耐用年数は六年であるので、六年ごとに八回の買い替えが必要である。

ス 保佐申立費用 七万八八八〇円

原告X1は、保佐申立てのために、申立手数料一六〇〇円、郵便切手代三二八〇円、登記印紙代四〇〇〇円、鑑定料七万円の合計七万八八八〇円を支出した。

セ 入通院慰謝料

原告X1の入院期間は六〇九日間、通院期間は一一三日間と長期に及んでいること、極めて重大な障害を負ったこと、名古屋市内の病院から鹿屋市内の病院への転院を余儀なくされていることなどの事情から、入通院慰謝料は四〇〇万円が相当である。

ソ 後遺障害慰謝料

本件事故により、原告X1は後遺障害別等級表別表第一第一級一号に該当する極めて重篤な後遣障害を残しており、後遺障害慰謝料は三〇〇〇万円が相当である。

タ 充当計算

(ア) 治療費、薬代、搬送サービス費、宿泊費の合計七三九万八七一三円については、原告X1の損害の元本へ充当する旨の黙示の合意があったことを認める。

(イ) 東京海上からの内払金のうち上記(ア)の額を除いた部分及び自賠責保険の保険金については、民法四九一条により、各支払時点での既発生の遅延損害金にまず充当され、残額が損害の元本に充当される。原告X1または原告X2と東京海上との間で、上記(ア)以外の内払金及び自賠責保険金を原告X1の損害額元本に充当する旨の合意はなされていない。

上記アからソまでの合計は四億五五八一万三六二五円であり、七三九万八七一三円を控除すると、四億四八四一万四九一二円となる。

そして、東京海上からの内払いのうち(ア)の額を除いた部分及び自賠責保険金について遅延損害金にまず充当して充当計算をすると、損害額元本は四億四八四一万四九一二円であり、平成一八年一二月二五日時点での未収遅延損害金は二一九〇万四一三三円である。

チ 弁護士費用

原告X1の弁護士費用は四四〇〇万円が相当である。

(原告X2の主張)

ア 近親者慰謝料

原告X1は死にも比肩すべき重篤な後遣障害を残したのであり、原告X1の母である原告X2は多大な精神的苦痛を負った。その慰謝料は五〇〇万円が相当である。

イ 原告X2の弁護士費用は五〇万円が相当である。

(被告の主張)

ア 治療費

認める。

イ 将来治療費

症状固定後の治療費は原則自己負担であり、損害とすべき理由は不明である。また、身体障害者手帳を取得すれば、基本的には医療費を負担する必要はなくなる。

ウ 入院雑費

日額一三〇〇円が相当であり、七九万一七〇〇円の限度で認める。

エ 症状固定前の付添看護費

原告X1の看護をしていた原告X2はほとんど休まずに働いても月収一七万八〇〇〇円程度であり、実質的に親族の休業補償にほかならない親族付添費について、自らの収入を上回る請求をすることは明らかにバランスを失している。

(ア) 入院期間中の付添看護費

原告X1の入院期間中の付添介護の必要性は時間が経過するにつれて逓減しており、また、入院期間のうち大半はリハビリ目的の入院であるため、全入院期間にわたって付き添う必要性はない。そうすると、近親者付添看護費を認めるとしても入院期間中は日額四〇〇〇円が相当である。

(イ) 在宅介護の付添看護費

在宅介護については、公的介護も使用されており、日額六五〇〇円から八五〇〇円とされるべきである。原告X2は原告X1の介護について、「今は私でやりたいと思います。」と述べており、少なくとも原告X2が七〇歳程度になるまでは現状の介護状況が継続される蓋然性が極めて高く、高額な職業介護人の費用は不要である。

オ 交通費

損害額元本に充当されることを条件に認める。

原告らの主張する交通費の大半は、原告X1の親族が病院へお見舞いに行くために要したタクシー代であると推察されるが、親族にはタクシーを使用する必要性がない。

原告X1が鹿児島において通院のためにタクシーを利用することはやむを得ないので、その限度で認める。

カ 休業損害

不知。

キ 逸失利益

原告X1がaカレッジで取得した資格は准文学士であり、高専短大卒と同程度であり、英検二級の合格基準も高校卒業程度であるから、大学卒業レベルと同視することはできない。また、原告の本件事故当時の年収は約一七二万二六〇〇円であり、賃金センサス平成一七年男子学歴計二五歳から二九歳の三九六万五四〇〇円の約四三パーセントである。逸失利益を算定するにあたっての基礎収入は、仮に賃金センサス男子学歴計全年齢平均の五五二万三〇〇〇円を前提としても、その四三パーセントである二三七万四八九〇円とすべきである。

また、中間利息控除の基準時は事故時とすべきであり、本件の逸失利益の算定にあたって使用するライプニッツ係数は、本件事故時における原告X1の就労可能年数四二年に対応するライプニッツ係数(一七・四二三)から、本件事故時から症状固定時までの年数である二年に対応するライプニッツ係数(一・八五九)を差し引いた一五・五六四を使用するべきである。

ク 将来介護費

原告X2が七〇歳に達するまでの間は、現状における介護体制が継続される蓋然性が高く、介護費用としては日額六五〇〇円から八五〇〇円とされるべきである。

原告X2が七〇歳を超えれば労働能力は減退することは否定できないので、親族介護を何らかの形で補う必要性は生じるが、多くの場合は養護施設等への入所を選択せざるを得ないと思われ、将来介護費についてはある程度控えめな認定がなされるべきであり、原告X2が七〇歳に達した以降の介護費は日額一万円程度が相当である。介護に従事している職種に従事している男女の学歴計全年齢平均賃金である三五七万二七〇〇円(日額九七八八円)を超える付添介護費は高額に過ぎる。

ケ 将来雑費

原告らの主張する将来雑費にはオムツ、尿取りパッドが含まれているが、それぞれ一枚あたり一二・五円程度であり、日額でみても一〇〇円に満たない金額である。また、本件においては後遺障害逸失利益の算定に際しては生活費控除をしていないのであるから、症状固定後の将来雑費については生活費の中から支出されるべきであり、別途損害として計上すべきでない。

コ 自宅改造費

原告らの主張する自宅改造費には介護と必ずしも関係のないリフォーム工事や設備も多数含まれている。原告X1の事故による障害を必要十分な範囲で補助するという観点から検討して、四〇〇万円が妥当である。

サ 車両購入費

通常車両と身体障害者使用車両との差額が三〇万円であることは妥当であるが、耐用年数は一〇年程度である。また、中間利息控除の基準時は事故時とすべきである。

シ 器具購入費

中間利息控除の基準時は事故時とすべきである。

(ア) 原告X1が購入した介護用ベッド、エアマット、移動用リフト等の金額が二七万五七五〇円である。

(イ) 折りたたみ式軽量スロープ

原告X1の自己負担額は二万三〇〇〇円、耐用年数は八年である。

(ウ) ポータブルスロープ

原告X1の自己負担額は一万八五〇〇円、耐用年数は五年である。

(エ) 移動用リフト

原告X1の自己負担額は一一万七五〇〇円、耐用年数は四年である。

(オ) リフト用吊り具

原告X1の自己負担額は二万七〇〇〇円、耐用年数は五年である。

(カ) エアマット

原告X1の自己負担額は八万一二〇〇円、耐用年数は三年である。

(キ) 電気ベッド

原告X1の自己負担額は八五五〇円、耐用年数は八年である。

(ク) 電動車いす

原告X1の自己負担額は四八万四〇〇〇円、耐用年数は八年とされるべきである。

ス 保佐申立費用

不知。

セ 入通院慰謝料

不知。

ソ 後遺障害慰謝料

不知。

タ 充当計算

(ア) 東京海上は、治療費等を含め、合計一六一六万四三六八円の内払いを行っている(健康保険からの求償に対して支払ったものを除く)。

(イ) 東京海上と原告らとの間で、東京海上が内払いする金員及び自賠責保険金について、原告X1の損害の元本に充当する旨の合意があったので、東京海上の内払金及び自賠責保険金は原告X1の損害額元本に充当される。

原告X2が、原告X1の法定代理人でなかったことを理由として充当合意がなかったと主張することは信義則に反し許されない。

チ 原告X1の弁護士費用

不知。

ツ 原告X2の近親者慰謝料

不知。

テ 原告X2の弁護士費用

不知。

第三当裁判所の判断

一  争点(1)(事故態様及び過失割合)について

(1)  証拠(甲一から五、七三、乙二から四、八<枝番を含む。>、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

ア 本件現場は、東西方向の片側一車線の道路(以下「本件道路」という。)であり、各車線の幅員は約三・五メートル、本件道路両側には歩道から約一メートルのところに外側線があり、本件道路南側には幅員約二・五メートルの歩道が設置されており、本件道路と南側歩道の境目にある縁石の高さは約〇・一メートルである。また、南側歩道の本件道路寄りには街路樹や街路灯が設置されている。本件道路の北側には大型スーパーであるアピタ名古屋南店が存在する。本件道路の制限速度は時速四〇キロメートルである。

イ 被告は被告車を運転して本件道路を東から西へ向かっていた。被告が原告車を発見し得た地点での両車の距離は約三四・四メートルであったが、被告が実際に原告車を発見したのは、発見可能地点よりも約一四・二メートル進行した地点であり、その際の両車の距離は約二二・八メートルであった。被告が最初に原告車を発見した際には、原告車は本件道路南側の外側線の外側を走行していた。

原告車が本件道路を横断するために本件道路南側の外側線の外側から車道部分に進入してきたため、被告は両車の距離が約八・二メートルの時点で危険を感じ、ブレーキを踏むとともにハンドルを左に転把した。しかし、被告は原告車を避けることができず、前記危険を感じた地点から約六・一メートル進行した地点で、被告車の右前部が原告車の後輪部分に衝突した。そして、被告車のフロントガラスに原告X1の頭部が衝突し、原告X1は衝突場所から約一〇・四メートル離れた南側歩道まで飛ばされた。また、原告車の後輪が被告車の右前部に衝突した後、原告車の前輪が被告車の右側面に衝突した。

ウ 被告車は衝突後、南側歩道上の街路樹に衝突した後、その先にある街路灯に更に衝突し、街路灯が被告車前部の中央より右側に食い込む位置で停止した。衝突地点から街路樹までの距離は約五・四メートル、街路樹から街路灯までの距離は約二・六メートルである。原告車と衝突してから停止するまでに被告車は約八・五メートル走行した。

(2)  被告車の速度について

ア 原告らは、実況見分調書(甲二)によれば、被告が原告X1を最初に発見した時点から、被告が危険を感じる時点までの間に、原告車は二・七メートル進行し、被告車は一七・一メートルを進行していたのであるから、被告車は原告車の六・三倍の速度であり、原告車は遅くとも時速一一キロメートルであったので、被告車は時速七〇キロメートル以上であったと主張する。しかし、同実況見分調書に原告車の両時点の距離として記載されている二・七メートルは直線距離であると推認されるところ、外側線の外側を西方向に走行していた原告車が、北方向に進路を変えて道路の横断を始めており、方向転換の際には原告車は弧を描くように走行したと考えるのが自然であり(実況見分調書の衝突状況の図においても原告車は弧を描くように走行した旨記載されている。)、原告車の実際の走行距離は直線距離よりも長くなるので、原告らの主張する計算は前提が誤っており採用できない。また、原告らの主張する原告車の速度についても推測に過ぎない。

イ 被告提出の鑑定書(乙四)、反論書(乙八)によれば、原告車、街路樹、街路灯との衝突により生じた有効衝突速度は約四三キロメートルであり、本件事故時の被告車の速度は時速約五二キロメートルであったとされている。しかし、同鑑定書では、「ポール衝突の場合、車体前面への衝突部位によって破損・変形状態が大きく変わる」と記載されている一方、本件における被告車の街路灯への衝突部位は前面の中央より右側であるが、そのことをどのように考慮したか記載がない。また、有効衝突速度は時速三〇から五五キロメートルの範囲であったと考えられるとして、推定有効衝突速度をその平均である時速四三キロメートルとしているが、平均値を採用した理由は記載されていないことに加え、有効衝突速度について時速三〇から五五キロメートルの範囲であったと考えられるのであれば、被告車の速度については、時速三〇キロメートルとして計算された速度と時速五五キロメートルとして計算された速度との間であることがわかるだけではないかという疑問が生じる。さらに、原告車、縁石及び街路樹との衝突により失われた速度について、同反論書においては、被告車が「街路灯に衝突して停止した最終の破損・変形状態と実験データの対比から有効衝突速度を判断していますので、結果として全ての損失分の運動エネルギー量を考慮した」と記載されているものの、具体的にどのように考慮したのかの説明はなされていない。特に縁石については、街路灯との接触部位と明らかに違う部位が接触しているが、縁石との衝突により失われた速度について何ら言及がない。このような点を考慮すると、鑑定書(乙四)、反論書(乙八)の信用性が高いとはいえない。

ウ 被告は本人尋問において、本件道路に接する前にスピードメーターを見た際に時速五〇から六〇キロメートルぐらいであり、そこから速度はほとんど変わっていなかったと述べ、本件事故時の被告車の速度を時速五〇から六〇キロメートルであったと述べる。本件道路の制限時速は四〇キロメートルであるところ、被告自身、制限速度を超えていたことは自認しており、被告の供述する速度を超えていたことをうかがわせる証拠がないことも考慮すると、被告の供述の信用性を否定することはできず、本件事故時の被告車の速度は時速五〇から六〇キロメートルであると認めるのが相当である。

(3)  原告X1が合図及び後方確認をしたかどうかについて

被告は尋問において、原告X1が本件道路の横断を開始する前に合図をせず、後方確認もしなかった旨述べているところ、被告の供述の信用性を否定する事情はうかがわれない。そして、実況見分調書(甲二)によれば、被告が最初に原告車を発見してから、被告が危険を感じた位置までは約三一・三メートルであり、その距離を走行するのに要する時間は、被告車の速度が時速五〇キロメートルであれば二秒以上、時速六〇キロメートルであれば約一・九秒であるので、被告が原告車を発見した後の少なくとも約一・九秒間は、原告X1は後方を確認しなかったことが認められる。

そして、被告車の速度は時速五〇から六〇キロメートルであり、本件道路の制限速度を超えてはいるものの、異常な高速度とまではいえない速度であるので、もし原告X1が道路の横断を開始する前に後方を確認していれば、被告車の速度や距離を見誤ることは考えにくく、被告車が近づいてくることを当然認識したはずである。被告車が後方から近づいて来ることを認識していながら、約一・九秒以上にわたって後方を確認することなく、道路の横断を開始することは通常考えられず、原告X1は後方を確認することなく本件道路の横断を開始したと認められる。

(4)  被告の前方不注視について

原告は、被告に著しい前方不注視があったと主張する。しかし、被告が回避行動を取ったのは原告車が本件道路の横断を開始したためであり、被告は、原告車を発見してから危険を感じるまでの間に、被告車を約一七・一メートルにわたって直進させている。そうすると、仮に被告が原告車を発見可能地点において発見していたとしても、危険を感じるまでの間は被告が回避行動を取る必要はなかったため被告車は直進していたと考えられ、被告が原告車を発見するのが遅れたことと本件事故との間に因果関係は認められない。

(5)  被告及び原告X1の過失とその割合について

被告には、原告車が本件道路の南端を走行していることを認識しており、本件道路の北側には大型スーパーが存在するのであるから、原告車が本件道路を横断する可能性を考慮した上、原告車と十分に距離をとってから追い越す、あるいは警音器を鳴らすなど注意喚起をして安全を確保してから追い越すべき義務があったにもかかわらずこれを怠った過失があり、また、制限速度を時速一〇から二〇キロメートル程度超過して被告車を進行させた過失が認められる。

一方、原告X1にも自転車を運転して本件道路の横断を開始する際に進路変更の合図をしなかった過失、本件道路の横断を開始する前に後方を確認しなかった過失が認められる。

このような被告と原告X1の過失の内容を総合考慮すると、被告の責任は重いが、原告X1の過失も軽視することはできず、本件事故における過失割合は、被告七割、原告X1三割と認めるのが相当である。

二  争点(2)(原告らの損害額)について

(1)  治療費 七二八万六八八三円

原告X1の治療費に七二八万六八八三円が必要であったことは当事者間に争いがない。

(2)  将来治療費 九四万四八四八円

証拠(甲一六、一七<枝番を含む。>)によれば、症状固定時以降も、原告X1の治療費が現実に必要となっていること、平成二〇年一月から同年四月までに要した治療費は月額平均四二七五円であることが認められる。症状固定後であっても、現実に必要な治療費については本件事故と相当因果関係のある損害に含まれると解するのが相当である。そして、原告X1の後遺障害は症状固定しているのであるから、今後大幅に改善される見込みは少なく、平成二〇年一月から同年四月までに必要となった治療費は今後も必要になる蓋然性が認められる。そして、症状固定時における原告X1の平均余命は約五二・二九年、五二年に対応するライプニッツ係数は一八・四一八一である(中間利息控除の基準時を症状固定時とする理由については後述する。)。

計算式 4275円×12月×18.4181=94万4848円

(3)  入院雑費 九一万三五〇〇円

入院雑費は日額一五〇〇円が相当であり、原告X1が入院していた期間は合計六〇九日間である。

計算式 1500円×609日=91万3500円

(4)  症状固定前の付添看護費 四五四万八六〇〇円

原告の傷害の程度が重篤であり、当初は意識障害を伴うものであったことも考慮すると、看護の必要性が認められる。そして、証拠(甲一八、四六、原告X2本人)によれば、原告X1が入院中の一定期間及び退院してから症状固定までの期間、原告X2が原告X1に付き添って食事の介助、体位交換等の看護をしたことが認められる。一方、証拠(甲一八)によれば、原告X1が中京病院に入院している期間(入退院日を含めて九五日)中、原告X2は鹿児島と名古屋市を四回往復しており、合計四二日間は名古屋市に滞在していなかったことが認められる。上記の事情に加え、原告X1が中京病院に入院している期間は原告X2が住居から離れた場所での看護をしなければならなかったこと等を総合考慮すると、付添看護費は、本件事故時から症状固定時までの期間(七二二日間)を通じて、日額六三〇〇円と認めるのが相当である。

被告は、実質的に親族の休業補償にほかならない親族付添費について、親族の収入を上回る請求をすることは明らかにバランスを失すると主張するが、付添看護費は、親族の休業補償に尽きるものではなく、親族の収入以上の付添費を認めることも不合理とはいえない。

計算式 6300円×722日=454万8600円

(5)  交通費 七一万〇九六〇円

ア 鹿児島において原告X1が通院するために使用したタクシー代については被告も原告X1の損害と認めているところ、証拠(甲一八、一九)によればその額は一七万二三九〇円である。

イ 原告X2ら原告X1の家族が、原告X1の看護等のために居住地と原告X1が入院していた名古屋市を往復した際の航空券代は本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。もっとも、原告X1が鹿児島県鹿屋市所在の徳田脳神経外科病院に転院した後の航空券代についてはその必要性が明らかでない。また、証拠(甲一八)によれば、原告X1の請求する交通費にはA名義の航空券代が含まれているが、Aと原告X1の関係は明らかでなく、A名義の航空券代については、本件事故による損害とは認められない(甲一八のうち株式会社中央ツーリスト発行の領収書二枚に記載された金額は原告X1の父であるB及びAの航空券代の合計額であるとうかがわれるので、それぞれの半額について本件事故と相当因果関係のある損害と認める)。これらを除いた航空券代の合計は二九万六一五〇円である。

ウ 名古屋市における宿泊費のうちエクセルイン名古屋の料金はB及びAの宿泊費であることがうかがわれるので、その半額(八万四〇〇〇円)を損害額と認め、平安閣分(七万九二〇〇円)についてはすべて損害と認め、その合計は一六万三二〇〇円である(甲一八)。

エ バス等の公共交通機関を使用した交通費の合計一万〇〇三〇円、原告X1が転院する際に利用した介護タクシー費用五万九一一〇円(株式会社愛知民間救急サービス分三万二六三〇円、南国タクシー株式会社分二万六四八〇円)についても、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる(甲一八)。

オ 原告X1の通院目的でないタクシーの利用については、必要性が認められず、各使用ごとに公共交通機関の最低料金である二〇〇円について損害と認めることとし、原告X1の通院目的でないタクシー利用の回数は五四回であるので(甲一八)、一万〇〇八〇円について本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

カ その他、中京病院等の駐車場料金、高速道路料金、ガソリン代等については、これらの必要性を認めるに足りる証拠はなく、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。

(6)  休業損害 三三七万八九六〇円

証拠(甲二〇)によれば、原告X1は、本件事故当時、株式会社b(ホテル業)においてアルバイトとして勤務しており、平成一五年七月は一三万〇九五〇円、同年八月は一七万四六〇〇円、同年九月は一二万五一〇〇円の収入を得ていたことが認められ、事故前三か月間の収入は日額平均四六八〇円である。そして、本件事故日から症状固定日までの七二二日間について休業損害を認めるのが相当である。

計算式 ①(13万0950円+17万4600円+12万5100円)÷92日=4680円

②4680円×722日=337万8960円

(7)  逸失利益 九四七六万九七〇九円

ア 証拠(甲二〇から二二、四五、四六<枝番を含む。>)及び弁論の全趣旨によれば、原告X1は、高校を卒業した後、英語検定二級に合格してアメリカに留学し、○○州立aカレッジを卒業して文系の准学士号を得たこと、平成一二年に帰国し、平成一五年五月からアルバイトとして株式会社bに勤務し、前記の収入を得ていたことが認められる。原告は、原告X1が大卒者としての収入を得る高度の蓋然性があったと主張するが、○○州立aカレッジにおいて原告X1が取得した准学士号について、被告は日本における高専短大卒と同程度であると主張しており、これに対して原告から特段の反論もない。そうすると、原告X1が大学卒業者と同程度の収入を得る蓋然性があったとまで認めることはできない。

他方、被告は原告X1の本件事故時の収入が、賃金センサス平成一七年男子学歴計二五歳から二九歳の三九六万五四〇〇円の約四三パーセントであり、仮に男子学歴計全年齢平均賃金を採用するとしても、その四三パーセントを基礎収入とすべきであると主張する。しかし、原告X1は、アメリカ留学の経験があり、かかる経験を生かしてホテルの仕事等で収入増を期待でき、平均賃金との差額分を埋める蓋然性が高く、前記のとおり原告X1の学歴が高専・短大卒と同程度であることを併せ考慮すると、原告X1の逸失利益は平成一七年高専・短大卒男子全年齢平均賃金の四九三万九五〇〇円を基礎収入とするのが相当であり、本件事故当時のアルバイト収入の割合を基礎に将来の逸失利益を算定するのは相当でない。

イ 原告X1の後遺障害の内容・程度を考慮すると、原告X1の労働能力喪失率は一〇〇パーセントであると認められる。

ウ 被告は中間利息控除の基準時を事故時とすべきであると主張するが、遅延損害金は事故日から生じるものの、それと逸失利益等の中間利息控除の基準時とは必ずしも理論的に結びつくものではなく、また、治療費等のその他の損害項目についても厳密に事故日を基準とした中間利息控除がなされているわけではない。そうすると、損害が具体化するのは症状固定時であることを考慮して、中間利息控除の基準時を症状固定時とすることにも一定の合理性があるといえ、逸失利益等についての中間利息控除の基準時は症状固定時とするのが相当である。

原告X1は症状固定時二七歳であり、満六七歳までの四〇年間、就労が可能であり、四〇年に対応するライプニッツ係数は一七・一五九一である。

計算式 493万9500円×100%×17.1591=8475万7374円

(8)  将来介護費 一億二九三三万二八六一円

ア 証拠(甲一一から一三、四六、四九から五四、原告X2本人)によれば、原告X1は四肢麻痺を残し、寝たきりの生活を余儀なくされており、日常生活全般において介護が必要な状態である。また、著明な注意力、遂行機能に障害を負っているなど高次脳機能障害も重篤であり、常にその状態を看視しつつ、様々な声掛けを行う必要があり、床ずれ防止のための体位交換は夜中にも行わなければならない。症状固定時に原告X1は二七歳で、平均余命は五二・二九年であり、五二年に対応するライプニッツ係数は一八・四一八一である。また、原告X1の症状固定時に原告X2は五二歳であった(甲四三の一)。

イ 原告X1は、原告X1の介護について、症状固定時から原告X2が六七歳に達するまでの一五年間(一五年に対応するライプニッツ係数は一〇・三七九七である。)は原告X2が週六日間働きに出るため、一週間のうち六日間は一〇時間の訪問介護を受ける必要があるほか、七時間半については原告X2が介護し、週一日は原告X2が一七時間半の介護することになると主張する。原告X1の後遺障害の程度・内容から必要とされる介護の程度、原告X2が就労を望んでいること(甲四六、原告X2本人)を考慮すると、このような長時間の介護を必要とするのもやむを得ない。そして、証拠(甲二五)によれば、原告X1が現在居住している鹿児島県鹿屋市の特定非営利活動法人cが、午前八時三〇分から午後六時三〇分の一〇時間の訪問介護を週六日間行う場合には、介護費用として一週間あたり一〇万二九〇〇円が必要であると見積もられている(同証拠には、週一〇万〇二九〇円との記載があるが、明らかな誤記である。)ところ、この額は相当な費用であるといえる。そして、原告X2が担当する部分の介護費は、週六日間の七時間半については日額三〇〇〇円、週一日の一七時間半については日額一万円とするのが相当である。

ウ 原告X1は、原告X2が六七歳に達した後は、毎日、職業介護人による一七時間三〇分の介護が必要であり、この場合の介護費用は、一週間で四三万八九〇〇円であると主張し、見積書(甲二五)にも、毎日一七時間三〇分の訪問介護をした場合の見積額は一週間あたり四三万八九〇〇円であるとの記載がある。しかし、一週間あたり四三万八九〇〇円という額は、年額にすると二二〇〇万円以上であり、平成一七年賃金センサスの社会保険・社会福祉・介護事業に従事する労働者男女計全年齢平均の額が三五七万二七〇〇円であることを考えると、あまりに高額に過ぎ、相当な範囲を超えているといわざるを得ない。

原告X1の介護を要する時間は一日あたり一七時間半と長時間であるので、職業介護人二人分の仕事であることを考慮すると、職業介護人を依頼する場合には、一人あたり日額一万円をくだることはないと考えられるので、職業介護人による原告X1の介護は、日額二万円と認めるのが相当である。

計算式 ①10万2900円+3000円×6日+1万円×1日=13万0900円

13万0900円×52週=680万6800円

680万6800円×10.3797=7065万2541円

②2万円×365日=730万円

730万円×(18.4181-10.3797)=5868万0320円

③7065万2541円+5868万0320円=1億2933万2861円

(9)  将来雑費 六七万二二六〇円

原告X1の後遺障害の内容・程度からは、介護のためにオムツ、尿取りパッドなどが必要であることが認められる。原告X1は、将来雑費の額は日額一五〇〇円が相当であると主張するがその根拠は明らかでなく、被告は日額一〇〇円にも満たないと主張する。本件においてはオムツや尿取りパッド等が一日あたり何枚必要であるかも明らかでなく、原告X2の陳述書(甲四六)によれば、常時オムツ等を使用してはいないと認められ、日額一〇〇円を超える将来雑費が必要であるとの立証ができているとはいえず、日額一〇〇円とするのが相当である。そして、原告X1の症状固定時における平均余命は五二・二九年であり、平均余命五二年に対応するライプニッツ係数は一八・四一八一である。

計算式 100円×365日×18.4181=67万2260円

(10)  自宅改造費 九三〇万〇〇二〇円

原告X1の後遺障害の内容・程度から、原告X1の介護のためには、住居を改造することが必要であると認められる。そして、見積書(甲二六)によれば見積額は一一六二万五〇二六円とされており、記載されている工事内容はおおむね相当なものである。もっとも、設備が新しくなることにより、原告X1と同居する原告X2も一定の利便を得ることを考慮すると、改造費見積額の八割を本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

被告は、玄関の移設工事は必要なく、解体工事等も内部解体だけで十分であると主張するが、原告X1が外出する際の介護を円滑に行うためには玄関を移設するのが相当であり、その場合には解体工事、基礎工事等について改造部分すべてについて行うことが不相当ともいえない。また、被告は、原告X1の状態から、あるいはデイサービスの利用状況から、トイレ、洗面及び浴室を利用することは考えにくいなどと主張するが、介護を受ければ使用可能であり、デイサービスを受けていてもこれらの設備を改造する必要性も否定できない。

計算式 1162万5026円×0.8=930万0020円

(11)  車両購入費 一一一万〇三五六円

原告X1の後遺障害の内容・程度から、通院などに使用するため車いす仕様の自動車の必要性が認められ、証拠(甲二九)によれば、原告X1が購入した車いす仕様の自動車の通常仕様の車両との価格差は三〇万三六〇〇円である。また、同車両の耐用年数は六年と認めるのが相当であり、原告X1の症状固定時における平均余命は五二・二九年であるので、六年ごとに八回の買い替えが必要となる。

なお、被告は自動車の耐用年数は一〇年とすべきと主張するし、その前提として原告X1の車両の使用目的は通院等に限定されており走行距離が格段に少ないと指摘するが、原告X1が請求しているのは車いす仕様車と通常仕様車との差額であるので、車両の使用目的が原告X1の通院等の目的に限られているとはいえず、被告の主張は採用できない。

計算式 30万3600円×(1+0.7462+0.5568+0.4155+0.3100+0.2313+0.1726+0.1288+0.0961)=30万3600円×3.6573=111万0356円

(12)  器具購入費 四四二万〇九四五円

ア 当初の購入費用 (七五万九七五〇円)

(ア) 証拠(甲三二、三三)によれば、原告X1は介護用ベッド、エアマット、移動用リフトなどを購入しており、自己負担した金額は二七万五七五〇円である。なお、見積書(甲三二)記載の器具のうち、木製スロープについては、実際に購入したか否かが不明であり、その代金を損害と認めることはできない。

(イ) 証拠(甲三五から三七<枝番を含む。>)によれば、原告X1は、頭部支持付ティルトリクライニング機能付電動車いすを購入しており、その代金は四八万四〇〇〇円である。

イ 買い替え費 (三六六万一一九五円)

被告は、買い替え費についても、器具の代金から公的負担額を控除した額を損害とするべきであると主張するが、将来の各器具購入時点における公的負担制度の存在及び額については不明確であるといわざるを得ず、公的負担制度の存在を前提として損害額を算定するのは妥当でない。

また、中間利息控除の基準時を症状固定時とすることは前述のとおりである。

(ア) 折りたたみ式軽量スロープ(一五万七一〇二円)

単価は八万三〇〇〇円であり、耐用年数は八年であるので(甲三二、三三)、八年ごとに六回の買い替えが必要である。

計算式 8万3000円×(0.6768+0.4581+0.3100+0.2098+0.1420+0.0961)=8万3000円×1.8928=15万7102円

(イ) ポータブルスロープ (六万一一一二円)

単価は一万八五〇〇円であり、耐用年数は五年であるので(甲三二、三三)、五年ごとに一〇回の買い替えが必要である。

計算式 1万8500円×(0.7835+0.6139+0.4810+0.3768+0.2953+0.2313+0.1812+0.1420+0.1112+0.0872)=1万8500円×3.3034=6万1112円

(ウ) 移動用リフト (一一八万一三四六円)

単価は二七万六五〇〇円であり、耐用年数は四年であるので(甲三二、三三)、四年ごとに一三回の買い替えが必要である。

計算式 27万6500円×(0.8227+0.6768+0.5568+0.4581+0.3768+0.3100+0.2550+0.2098+0.1726+0.1420+0.1168+0.0961+0.0790)=27万6500円×4.2725=118万1346円

(エ) リフト用吊り具 (八万九一九一円)

単価は二万七〇〇〇円であり、耐用年数は五年であるので(甲三二、三三)、五年ごとに一〇回の買い替えが必要である。

計算式 2万7000円×(0.7835+0.6139+0.4810+0.3768+0.2953+0.2313+0.1812+0.1420+0.1112+0.0872)=2万7000円×3.3034=8万9191円

(オ) エアマット (五八万六三〇三円)

単価は一〇万〇八〇〇円であり、耐用年数は三年であるので(甲三二、三三)、三年ごとに一七回の買い替えが必要である。

計算式 10万0800円×(0.8638+0.7462+0.6446+0.5568+0.4810+0.4155+0.3589+0.3100+0.2678+0.2313+0.1998+0.1726+0.1491+0.1288+0.1112+0.0961+0.0830)=10万0800円×5.8165=58万6303円

(カ) 電動ベッド、サイドレール、サイドテーブル (三〇万〇〇〇八円)

単価は一五万八五〇〇円であり、耐用年数は八年であるので(甲三二、三三)、八年ごとに六回の買い替えが必要である。

計算式 15万8500円×(0.6768+0.4581+0.3100+0.2098+0.1420+0.0961)=15万8500円×1.8928=30万0008円

(キ) 電動車いす (一二八万六一三三円)

電動車いすの必要性及びその単価が四八万四〇〇〇円であることについては被告も争わない。そして、証拠(甲三八)によれば、電動車いすの耐用年数は六年とされている。被告は耐用年数を八年とすべきであると主張するが、採用できない。

計算式 48万4000円×(0.7462+0.5568+0.4155+0.3100+0.2313+0.1726+0.1288+0.0961)=48万4000円×2.6573=128万6133円

(13)  保佐申立費用 七万八八八〇円

原告X1は平成一九年三月二七日、鹿児島家庭裁判所鹿屋支部において、保佐開始の審判を受けており、その費用として申立手数料一六〇〇円、郵便切手代三二八〇円、登記印紙代四〇〇〇円、鑑定料七万円の合計七万八八八〇円を支出したことが認められる(甲三九、四〇)。そして、原告X1について保佐開始の審判が必要となったのは本件事故の後遺障害が原因であると認められ、保佐申立費用は本件事故と相当因果関係のある損害であると認められる。

(14)  入通院慰謝料 三六〇万円

原告X1の入院期間は六〇九日間、通院期間は一一三日間と長期に及んでいること、入院当初は意識がない状態が続くなど極めて重大な傷害を負ったことなどの事情を考慮すると、入通院慰謝料は三六〇万円が相当である。

(15)  後遺障害慰謝料 二八〇〇万円

本件事故により、原告X1は後遺障害別等級表別表第一第一級一号に該当する極めて重篤な後遺障害を残しており、後遺障害慰謝料は二八〇〇万円が相当である。

(16)  過失相殺

前記一(5)記載のとおり、本件事故においては原告X1にも三割の過失があると認められるので、前記(一)から(15)の合計二億七九〇五万六四四七円から三割を控除すると、一億九五三三万九五一二円となる。

(17)  充当計算

ア 治療費、薬代、搬送サービス費、宿泊費の合計七三九万八七一三円については、当事者間に争いがないので、この額は過失相殺後の損害額元本から控除する。

イ 被告は、東京海上と原告らとの間に、内払金及び自賠責保険金について、原告X1の損害額元本から差し引く旨の合意があったと主張する。そして、証拠(乙九、証人C、原告X2本人)によれば、東京海上の担当者と原告X2との間で、最終的な損害賠償額から東京海上が内払いをした金額を差し引いて支払い、自賠責保険については東京海上が加害者請求をする旨の合意がなされた事実が認められる。しかし、ここでいう最終的な損害賠償額とは、損害額元本であるのか遅延損害金も含めた最終的な額であるのかについては明確とはいえず、原告X2に十分な保険の知識があったものとは認められないことを考えあわせると、そのような不明確な合意があったことをもって、東京海上のする内払金及び自賠責保険金について、損害額元本から充当する旨の合意があったと評価することはできない。

その他、被告が東京海上のした内払金は損害額元本に充当されるべきとしてるる主張する点も採用できない。

ウ 上記(16)記載の過失相殺後の損害額元本一億九五三三万九五一二円から、七三九万八七一三円を控除すると残額は一億八七九四万〇七九九円となる。そして、東京海上が支払った金員及び自賠責保険金については、各支払い時点における遅延損害金にまず充当され、残額がある場合に損害額元本に充当されるので、その計算は別紙充当計算表記載のとおりであり、平成一八年一二月二五日における損害額元本は一億六八七五万六七〇二円であり、同日における未払遅延損害金は〇円である。

(18)  原告X1の弁護士費用

本件訴訟の内容、経緯、認容額等を総合考慮すると、本件事故と相当因果関係のある原告X1の弁護士費用は九〇〇万円と認めるのが相当である。

(19)  原告X2の近親者慰謝料 三〇〇万円

本件事故により原告X1が脳挫傷等の極めて重大な傷害を負い、長期間意識障害が続き、一級一号に該当する重篤な後遺障害が残ったこと、原告X2が将来にわたって介護の負担を負うこと等を考慮すると、原告X1の母である原告X2は本件事故により原告X1が死亡した場合に比して著しく劣らない程度の精神的苦痛を受けたものと認められ、本件に現れた諸事情を考慮すると、民法七一一条を類推し、固有の慰謝料として三〇〇万円を認めるのが相当である。

(20)  過失相殺

本件事故について、原告X1には三割の過失が認められるところ、原告X2の損害額三〇〇万円から三割を控除すると二一〇万円となる。

(21)  原告X2の弁護士費用

本件訴訟の内容、経緯及び認容額等を総合考慮すると、本件事故と相当因果関係のある原告X2の弁護士費用は二〇万円と認めるのが相当である。

三  以上のとおり、原告X1の請求は自賠法三条に基づき、一億七七七五万六七〇二円及び内一億六八七五万六七〇二円に対する本件事故の後である平成一八年一二月二六日から、内九〇〇万円に対する本件事故日である平成一五年一〇月三一日から、それぞれ支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で、原告X2の請求は自賠法三条に基づき二三〇万円及びこれに対する本件事故日である平成一五年一〇月三一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度でそれぞれ理由があり、その余はいずれも理由がないので、主文のとおり判決する。

(裁判官 德永幸藏 寺西和史 深見翼)

別紙

充当計算表

年月日

受領額

利率

日数

確定遅延損害金

未収損害金

残元金

H15.10.31

187,940,799

H15.11.10

102,981

0.05

11

283,198

180,217

187,940,799

H15.11.11

154,930

0.05

1

25,745

51,032

187,940,799

H15.11.25

143,550

0.05

14

360,434

267,916

187,940,799

H15.11.25

300,000

0.05

0

0

0

187,908,715

H15.11.25

87,610

0.05

0

0

0

187,821,105

H15.12.1

33,000

0.05

6

154,373

121,373

187,821,105

H15.12.22

122,740

0.05

21

540,307

538,940

187,821,105

H15.12.25

100,000

0.05

3

77,186

516,126

187,821,105

H16.1.8

111,227

0.05

14

359,642

764,541

187,821,105

H16.1.15

109,000

0.05

7

179,610

835,151

187,821,105

H16.1.22

43,320

0.05

7

179,610

971,441

187,821,105

H16.1.27

296,670

0.05

5

128,293

803,064

187,821,105

H16.1.27

155,000

0.05

0

0

648,064

187,821,105

H16.1.28

81,259

0.05

1

25,658

592,463

187,821,105

H16.2.2

84,848

0.05

5

128,293

635,908

187,821,105

H16.2.17

48,716

0.05

15

384,879

972,071

187,821,105

H16.2.26

170,000

0.05

9

230,927

1,032,998

187,821,105

H16.3.2

8,000

0.05

5

128,293

1,153,291

187,821,105

H16.3.24

64,318

0.05

22

564,489

1,653,462

187,821,105

H16.4.9

178,000

0.05

16

410,537

1,885,999

187,821,105

H16.5.6

630,241

0.05

27

692,782

1,948,540

187,821,105

H16.6.4

198,610

0.05

29

744,100

2,494,030

187,821,105

H16.6.15

143,550

0.05

11

282,244

2,632,724

187,821,105

H16.6.30

200,230

0.05

15

384,879

2,817,373

187,821,105

H16.6.30

143,550

0.05

0

0

2,673,823

187,821,105

H16.7.29

143,550

0.05

29

744,100

3,274,373

187,821,105

H16.7.29

198,254

0.05

0

0

3,076,119

187,821,105

H16.8.27

143,550

0.05

29

744,100

3,676,669

187,821,105

H16.8.27

178,000

0.05

0

0

3,498,669

187,821,105

H16.9.7

20,565

0.05

11

282,244

3,760,348

187,821,105

H16.9.29

178,000

0.05

22

564,489

4,146,837

187,821,105

H16.9.29

143,550

0.05

0

0

4,003,287

187,821,105

H16.10.6

21,510

0.05

7

179,610

4,161,387

187,821,105

H16.10.28

178,000

0.05

22

564,489

4,547,876

187,821,105

H16.10.28

143,550

0.05

0

0

4,404,326

187,821,105

H16.11.16

20,687

0.05

19

487,513

4,871,152

187,821,105

H16.12.2

178,000

0.05

16

410,537

5,103,689

187,821,105

H16.12.2

143,550

0.05

0

0

4,960,139

187,821,105

H16.12.22

143,550

0.05

20

513,172

5,329,761

187,821,105

H16.12.22

197,925

0.05

0

0

5,131,836

187,821,105

H17.1.25

178,000

0.05

34

874,150

5,827,986

187,821,105

H17.1.25

143,550

0.05

0

0

5,684,436

187,821,105

H17.2.8

38,481

0.05

14

360,204

6,006,159

187,821,105

H17.2.24

143,550

0.05

16

411,662

6,274,271

187,821,105

H17.2.24

178,000

0.05

0

0

6,096,271

187,821,105

H17.3.29

200,109

0.05

33

849,054

6,745,216

187,821,105

H17.3.29

143,550

0.05

0

0

6,601,666

187,821,105

H17.4.27

143,550

0.05

29

746,138

7,204,254

187,821,105

H17.4.27

178,000

0.05

0

0

7,026,254

187,821,105

H17.5.12

23,068

0.05

15

385,933

7,389,119

187,821,105

H17.5.27

178,000

0.05

15

385,933

7,597,052

187,821,105

H17.5.27

143,550

0.05

0

0

7,453,502

187,821,105

H17.6.22

20,635

0.05

26

668,951

8,101,818

187,821,105

H17.6.29

143,550

0.05

7

180,102

8,138,370

187,821,105

H17.6.29

178,000

0.05

0

0

7,960,370

187,821,105

H17.7.27

143,550

0.05

28

720,409

8,537,229

187,821,105

H17.7.27

178,000

0.05

0

0

8,359,229

187,821,105

H17.8.9

39,298

0.05

13

334,475

8,654,406

187,821,105

H17.8.25

208,631

0.05

16

411,662

8,857,437

187,821,105

H17.8.25

143,550

0.05

0

0

8,713,887

187,821,105

H17.9.2

276,250

0.05

8

205,831

8,643,468

187,821,105

H17.9.22

32,022

0.05

20

514,578

9,126,024

187,821,105

H18.12.25

40,000,000

0.05

459

11,809,573

0

168,756,702

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