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名古屋地方裁判所 平成3年(わ)1614号 判決 1992年3月05日

本店所在地

名古屋市西区山木一丁目一七一番地

有限会社

共栄住器

右代表者代表取締役

黒田清

北村杲雄

本籍

京都市北区平野東柳町四八番地

住居

滋賀県大津市稲葉台五番一六号

会社役員

黒田清

昭和五年六月九日生

右両者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官遠藤浩一出席の上審理し、次の通り判決する。

主文

被告有限会社共栄住器を罰金二〇〇〇万円に、被告人黒田清を懲役一年にそれぞれ処分する。

被告人黒田清に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用はその二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告有限会社共栄住器(以下被告人会社という。)は、名古屋市西区山木一丁目一七一番地に本店を置き、アルミ網戸等の製造販売を目的とする資本金三〇〇万円の有限会社であり、被告人黒田清は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人黒田清は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和五八年三月一日から平成三年八月二六日まで被告会社の代表取締役であった宗像修身と共謀の上、売上を除外するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和六二年三月一日から同六三年二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、二二五四万三九二九円であり、これに対する法人税額が八五〇万八〇〇〇円であるのに、同年四月一八日、名古屋市西区押切二丁目七番二一号所在の所轄名古屋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八六八万一三八〇円であり、これに対する法人税額が二八四万六〇〇〇円である旨の虚偽の過少の法人税確定申告諸を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額五六六万二〇〇〇円を免れ、

第二  昭和六三年二月二一日から平成元年二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、七〇一九万五一六五円であり、これに対する法人税額が二八五二万一九〇〇円であるのに、同年四月六日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八八四万七一一四円であり、これに対する法人税額が二七五万五七〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告諸を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二五七六万六二〇〇円を免れ、

第三  平成元年二月二一日から同二年二月二〇日まで事業年度における被告会社の実際の所得金額が、七〇四五万六一四七円であり、これに対する法人税額が二八六三万一五〇〇円であるのに、同年四月六日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四九九万一四四二円であり、これに対する法人税額が一四九万七三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告額との差額二七一三万四二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人黒田清の当公判廷における供述

一  被告人黒田清の検察官に対する供述調書

一  宗像修身(三通)、近藤晴美、木戸口義秋及び西村茂和の検察官に対する各供述調書

一  伊藤紀子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  検察事務官作成の各捜査報告書(二通)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(六通)

判示第一事実について

一  大蔵事務官作成の各証明書(甲第二号証、第二〇号証)

判示第二事実について

一  大蔵事務官作成の各証明書(甲第三号証、第二一号証)

判示第三事実について

一  大蔵事務官作成の各証明書(甲第四号証、第二二号証)

(法令の適用)

被告有限会社共栄住器の判示各所為は、いずれも各事業年度ごとに法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項に該当し、被告人黒田清の判示各所為は、いずれも各事業年度ごとに刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当するところ、被告人黒田清については所定刑中懲役刑を選択することにし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告有限会社共栄住器については同法四八条二項により所定の罰金額を合算した金額の範囲内において罰金二〇〇〇万円に、被告人黒田清については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処し、被告人黒田清に対し情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文によりその二分の一ずつを各被告人に負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 笹本忠男)

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