名古屋地方裁判所 平成3年(わ)753号 判決 1991年10月08日
国籍
朝鮮(慶尚南道晋陽郡大谷面佳亭里八六六番地)
住居
愛知県安城市相生町六番一〇号
製造作業等請負業
國本守洪こと李璋秀
一九四二年一月一五日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官泉良治出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年及び罰金一二〇〇万円に処する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、愛知県安城市相生町六番一〇号において、「朝日工業」の名称で自動車部品製造等の作業請負業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際し、所得金額に関する正当な収支計算をせず、適宜の過小な所得金額を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上
第一 昭和六一年分の実際総所得金額が四〇五二万四二二四円であったにもかかわらず、昭和六二年三月一四日、愛知県刈谷市神明町三丁目五〇一番地(当時の住居表示は同県同市神明町二丁目三四番地)の所轄刈谷税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が二六六万円で、これに対する所得税額が五万四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一七五八万六七〇〇円と右申告税額との差額一七五三万六三〇〇円を免れ
第二 昭和六二年分の実際総所得金額が三〇五七万二八〇六円であったにもかかわらず、昭和六三年三月一四日、前記刈谷税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の総所得金額が二八七万六〇〇〇円で、これに対する所得税額が四万七二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一一〇五万二五〇〇円と右申告税額との差額一一〇〇万五三〇〇円を免れ
第三 昭和六三年分の実際総所得金額が五四六〇万五三〇五円であったにもかかわらず、平成元年三月一三日、前記刈谷税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が三七一万円で、これに対する所得税額が一二万二六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二二三七万三二〇〇円と右申告税額との差額二二二五万六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書二通
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
判示第一事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六一年分のもの)
一 大蔵事務官作成の証明書(記録証第二九七号のもの)
判示第二事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六二年分のもの)
一 大蔵事務官作成の証明書(記録証第二九八号のもの)
判示第三事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六三年分のもの)
一 大蔵事務官作成の証明書(記録証第二九九号のもの)
(法令の適用)
判示各所為 各所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑併科)
併合罪処理 刑法四五条前段
懲役刑につき刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)
罰金刑につき刑法四八条二項
執行猶予 刑法二五条一項
労役場留置 刑法一八条
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 小島裕史)