名古屋地方裁判所 平成4年(わ)1238号 判決 1992年12月17日
本店の所在地
愛知県岡崎市大門五丁目二一番地一五
大門繊維株式会社
右代表者代表取締役
石川敏夫
本籍
愛知県岡崎市細川町字窪地七七番地二六
住居
右同所
会社役員
石川敏夫
昭和二二年八月一九日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官佐野仁志出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人石川敏夫を懲役一年に、被告人大門繊維株式会社を罰金一六〇〇万円にそれぞれ処する。
被告人石川敏夫につき、この裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人大門繊維株式会社(以下「被告会社」という)は、愛知県岡崎市大門五丁目二一番地一五に本店を置き、故繊維の再生加工販売等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人石川敏夫は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人石川敏夫は、被告会社の右業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上
第一 昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二九九一万七五四七円であったにもかかわらず、同年六月三〇日、愛知県岡崎市明大寺本町一丁目四六番地所在の所轄岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五一万五九三〇円で、これに対する法人税が一二万九五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一一五九万二八〇〇円と右申告税額との差額一一四六万三三〇〇円を免れ
第二 平成元年五月一日から同二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が五四六一万一三六九円であったにもかかわらず、同年六月二九日、前記岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四六四万六八〇七円で、これに対する法人税額が一三三万一七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二〇九四万八七〇〇円と右申告税額との差額一九六一万七〇〇〇円を免れ
第三 平成二年五月一日から同三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八六七一万三三一八円であったにもかかわらず、同年六月二五日、前記岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七一一万四四三円で、これに対する法人税額が一九七万一九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三一七三万八五〇〇円と右申告税額との差額二九七六万六六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示各事実
一 被告人石川敏夫の当公判廷における供述
一 検察官請求証拠等関係カード甲4乃至17、20、21、22及び乙1、2、3の各証拠
判示第一の事実
一 同カード甲1の証拠
同第二の事実
一 同カード甲2、18の各証拠
同第三の事実
一 同カード甲3、18の各証拠
(法令の適用)
罰条
判示各事実 法人税法一五九条、一六四条一項
刑種の選択(被告人石川)
懲役刑
併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(被告人石川につき犯情の最も重い判示第三の刑に法定加重、被告会社につき合算)
刑の執行猶予(被告人石川)
同法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 金田智行)