名古屋地方裁判所 平成4年(わ)1517号 判決
判決主文
一 被告人株式会社優和シッピングを罰金一〇〇〇万円に、被告人村上光央を懲役一年にそれぞれ処する。
二 被告人村上光央に対し、本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。
犯罪事実
被告人株式会社優和シッピング(以下被告会社という)は、前記本店所在地に本店を置いて海上運送取扱業等を営む資本金八〇〇万円(但し現在は一〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人村上光央(以下被告人という)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の経理を担当する佐上雅樹と共謀のうえ、その業務に関し法人税を免れようと企て、売上除外などの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は二八六七万八五一六円であり、これに対する正規の法人税額は一〇八七万八九〇〇円であったにもかかわらず、同年五月三一日、名古屋市中区三の丸三丁目三番二号所在の所轄中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が六一一万一九四七円であり、これに対する法人税額が一六四万五九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額九二三万三〇〇〇円を免れた
第二 平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は九六八二万八八三六円であり、これに対する正規の法人税額は三七七四万二七〇〇円であったにもかかわらず、同年五月三〇日、前記中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が七二八万三七〇一円であり、これに対する法人税額が二〇一万八三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額三五七二万四四〇〇円を免れた
第三 平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は四四〇一万二八四七円であり、これに対する正規の法人税額は一五二三万二五〇〇円であったにもかかわらず、同年五月三〇日、前記中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が一四〇七万〇六四六円であり、これに対する法人税額が四〇〇万四二〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額一一二二万八三〇〇円を免れた
ものである。
(法令の適用)
被告人の前記第一ないし第三の各所為はいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項(被告会社については更に法人税法一六四条一項)に該当するので、被告人については所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社に対しては、刑法四八条二項により合算した罰金額の範囲内で罰金一〇〇〇万円に処し、被告人に対しては、刑法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い前記第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年に処し、情状により刑法二五条一項を適用して本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
(求刑・被告会社に対し罰金一七〇〇万円、被告人に対し懲役一年)
(量刑の事情)
本件犯行は被告人が三年間にわたり申告納税制度を悪用して合計五六一八万余円にものぼる被告会社の法人税を巧妙に逋脱したというものであり、その逋脱税額が高額であるばかりか逋脱率も高く、本件犯行による刑事責任が重いことは明らかであるというべきであるが、他方、被告人は今回深く反省して、本件につき既に正規の本税はもとより重加算税及び延滞税を全額完納しているうえ、今回改めて厳格な税務処理を委任した大矢税理士の指導監督を受け、今後は納税義務を厳守していく旨を誓約していること、大矢税理士も被告会社の税務処理に関し被告人を指導監督していく旨を誓約していることなど諸般の事情を考慮して量刑した。
裁判所書記官 松岡裕二
(裁判官 松永眞明)