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名古屋地方裁判所 平成4年(わ)256号 判決 1992年7月06日

本籍

名古屋市千種区自由ケ丘三丁目一二番地

住居

名古屋市千種区北千種二丁目三番一八号

会社役員

伊藤賢治

昭和一二年一一月二八日生

本店所在地

名古屋市中区栄一丁目六番一四号

株式会社イトーゴルフサービス

(右代表者代表取締役 伊藤賢治)

右被告人伊藤賢治に対する所得税法違反、法人税法違反、被告人株式会社イトーゴルフサービスに対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は、検察官遠藤浩一出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人伊藤賢治を懲役二年六月及び罰金一二〇〇万円に、被告人株式会社イトーゴルフサービスを罰金五〇〇〇万円にそれぞれ処する。

被告人伊藤賢治においてその罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人伊藤賢治に対し、この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人伊藤賢治(以下「被告人伊藤」という。)は、名古屋市中区栄一丁目一三番四号において「イトーゴルフサービス」の名称でゴルフ会員権の売買及び仲介業を営んでいたもの、被告人株式会社イトーゴルフサービス(以下「被告会社」という。)は、名古屋市中区栄一丁目六番一四号に本店を置き、ゴルフ会員権の販売及び仲介を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人伊藤は、昭和六三年一二月二七日から同会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、

第一  被告人伊藤は、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際し、適宜の過少な所得金額を計上するところのいわゆる「つまみ申告」を行う方法により、所得を秘匿した上、昭和六三年分の実際の総所得金額が、一億一七四二万六九九円であり、これに対する所得税額が五〇八六万五六〇〇円であったのにもかかわらず、平成元年三月一四日、名古屋市千種区振甫町三丁目三二番地所在の所轄千種税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が、一二三八万三二〇〇円であり、これに対する所得税額が二五九万五二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過し、もって、右不正の行為により正規の所得税との差額五八二七万四〇〇円を免れ、

第二  被告人伊藤は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

一  昭和六三年一二月二七日から平成元年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、九七一一万九五六円であり、これに対する法人税額が四〇〇六万九〇〇円であったのにもかかわらず、同年一〇月三一日、名古屋市中区三の丸三丁目三番二号名古屋中税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二〇五万七九三八円であり、これに対する法人税額が六一万一八〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過し、もって、右不正の行為により正規の法人税額との差額三九四四万九一〇〇円を免れ、

二  平成元年九月一日から同二年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、四億五七一六万六〇〇三円であり、これに対する法人税額が一億八一九二万六四〇〇円であったのにかかわらず、同年一〇月三一日、前記名古屋中税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二四二二万七七二八円であり、これに対する法人税額が八七五万八〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過し、もって、右不正の行為により正規の法人税額との差額一億七三一七万五六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人伊藤の当公判廷における供述

一  第一回公判調書中の被告人伊藤の供述部分

一  被告人伊藤の検察官に対する供述調書

一  被告人伊藤の大蔵事務官に対する質問てん末書(平成三年七月三〇日付け、八月三日付け、六日付け、二一日付け)

一  高浜智子の検察官に対する供述調書

一  高浜智子、竹尾保彦、和田由通、永吉洋喜、永吉和佳代、伊藤弘子、伊藤房子、伊藤亜理、伊藤多恵子、前田幸男、竹中美保子、村松礼子、竹内すゑの、山本徹、竹内三智子、岡田徹雄、福富正美、長谷川巖、小久保豊、佐藤忠司、菊地襄、冨永三智子、芝田弘士、村林治、志治貞、井上紀久男、中西弘安、坂口隆一、岡田規久男及び伊藤和廣の大蔵事務官に対する各質問てん末書

判示第一の事実について

一  被告人伊藤の大蔵事務官に対する質問てん末書(平成三年六月二七日付け)

一  大蔵事務官作成の証明書(所得税についての五通)(甲1、2、3、9、10)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書三通(記録証第二三九号、第二五四号、第二五六号のもの)

判示第二の各事実について

一  被告人伊藤の大蔵事務官に対する質問てん末書(平成三年三月五日付け、六日付け、七日付け、八日付け、一五日付け、二二日付け、二九日付け、四月二六日付け、五月八日付け)

一  大蔵事務官作成の証明書(株式会社イトーゴルフサービスが平成三年八月八日納付したもの)(甲8)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(記録証第二三六号、第二三八号、第二四八号のもの)

判示第二の一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(昭和六三年度分の法人税についての四通)(甲4、5、11、12)

判示第二の二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(平成元年度分の法人税についての二通)(甲6、7)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(記録証第二四四号のもの)

(法令の適用)

一  判示第一の所為 所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑の併科)

判示第二の各所為 法人税法一五九条(被告会社についてはさらに同法一六四条一項)(被告人伊藤については懲役刑を選択)

一  併合罪加重 (被告人伊藤に対して)刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情最重の判示第二の二の罪の刑に法定の加重)、四八条一項

(被告会社に対して)刑法四五条前段、四八条二項

一  労役場留置 刑法一八条(被告人伊藤に対して)

一  刑の執行猶予 懲役刑につき、刑法二五条一項(被告人伊藤に対して)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 大渕哲也)

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