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名古屋地方裁判所 平成4年(わ)302号 判決

判決主文

一  被告人を懲役一年及び罰金一、〇〇〇万円に処する。

二  右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

三  本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

犯罪事実

被告人は、前記住居地において「宮地商事」の名称で土木工事業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際し架空の経費を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一 平成元年分の実際の総所得金額が五、五三四万〇、九〇七円であり、これに対する正規の所得税額が二、二五二万円であったにもかかわらず、平成二年三月一五日、名古屋市瑞穂区瑞穂町字西藤塚一番地の四所在の所轄昭和税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、二二七万二、九五九円であり、これに対する所得税額が二〇三万一、六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により平成元年分の正規の所得税額と右申告税額との差額二、〇四八万八、四〇〇円を免れ、

第二 平成二年分の実際の総所得金額が八、五七〇万九、六七一円であり、これに対する正規の所得税額が三、八〇三万七、五〇〇円であったにもかかわらず、平成三年三月一五日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が七七一万一、〇八〇円であり、これに対する所得税額が八七万五、二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により平成元年分の正規の所得税額と右申告税額との差額三、七一六万二、三〇〇円を免れた。

法令の適用 〔求刑・懲役一年及び罰金一、五〇〇万円〕

被告人の第一及び第二の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑(併科)を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については刑法四七条本文、一〇条により犯情の重い第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については刑法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額(一、〇〇〇万円)の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一、〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法一八条により金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により刑法二五条一項を適用して本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予することにする。

量刑の事情

本件犯行は被告人が申告納税制度を悪用して僅か二年間で合計五、七六五万余円の所得税を逋脱したというものであり、その逋脱税額が高額であるばかりか逋脱率も高く、本件犯行による被告人の刑事責任が重いことは明らかであるというべきであるが、他方、被告人は今回深く反省して、本件につき明確になった正規の本税はもとより重加算税及び延滞税を既に完納しているうえ、平成三年五月には、「宮地商事」を会社組織に改め、今後税理士の指導監督を受けて納税義務を厳守していく旨を誓約していることなど被告人に有利な情状もあるので、これら諸般の事情を考慮して量刑した。

裁判所書記官 原壽一

(裁判官 松永眞明)

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