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名古屋地方裁判所 平成5年(行ウ)37号 判決 1995年12月15日

原告

楊和坤

楊和灼

右原告ら訴訟代理人弁護士

伊藤宏行

被告

愛知県収用委員会

右代表者会長

平田春二

右指定代理人

中山孝雄

同右

田中勲

同右

小林建治

同右

中島静夫

同右

伊藤光

同右

佐藤弘俊

同右

小林眞弓

同右

加藤吾郎

理由

二 本件事業認定の適法性について

1  違法性の承継

法は、起業者が事業のために土地を収用しようとするときは、建設大臣又は都道府県知事による事業の認定を受けなければならず(法一六条、一七条)、建設大臣又は都道府県知事は、起業者の申請に係る事業が法定の要件を充たす場合には、事業の認定をすることができ(法二〇条)、事業の認定がされた場合には、起業者は、事業認定の告示かあった日から一年以内に限り、収用委員会に収用の裁決を申請することができ(法三九条)、収用委員会は、申請却下の裁決をすべき一定の場合を除いて収用裁決をしなければならない(法四七条、同条の二)と定めている。このように、法に基づく事業認定と収用裁決は、相互に結合して当該事業に必要な土地の収用という一つの法的効果の実現を目的とする一連の行政行為であると解することができるから、先行の事業認定に瑕疵があって違法であるときは、その違法が承継されて後行の収用裁決も当然に違法となるのであり、したがって、収用裁決の取消訴訟において事業認定の適法性は審理判断の対象となると解すべきである。

なお、本件のように、先行行為と後行行為とか相互に結合して一つの効果の実現を目的とする一連の行政行為である場合には、先行行為(事業認定)を独立の行政行為として扱い、それに対する争訟の機会を設けていても、その趣旨は、国民の権利利益に多大な影響を及ぼす行政行為につき手続をより慎重にして内容の適正を担保しようとしたものと解すべきであるから、独立の行政行為として先行行為(事業認定)に争訟の機会が設けられていることを理由に違法性の承継を否定することはできないというべきである。

また、収用委員会は、裁決に当たり、事業認定の適否を審査する権限を与えられていないが、後行行為をする行政庁に先行行為の適否の審査権限を与えるかどうかは、行政庁相互の権限の分配の問題に過ぎないし、収用委員会が事業認定の適法性を主張立証するために必要な資料を持ち合せていなくても、必要に応じて事業認定を行った行政庁を訴訟に参加させることも可能であるので、違法性の承継を認めても、被告となった収用委員会に特に不利益な結果となることにはならない。

したがって、事業認定に関する事項につき事業認定庁の判断に拘束され、その誤りを裁決申請の却下理由とはできないから、その誤りは裁決の違法事由とはならないとして違法性の承継を否定する被告の主張は、採用することができない。

2  本件事業認定に至る手続について

〔証拠略〕によれば、被告主張事実(右第二の三1(二)(1))をすべて認めることができるので、本件事業認定に至る手続には何ら違法はない。

3  事業認定の要件(法二〇条各号該当性)について

(一)  本件事業が電気事業法(昭和三九年法律第一七〇号)による電気事業の用に供する電気工作物に関する事業であること及び中電が本件事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であることは、当事者間に争いがないから、本件事業認定は、法二〇条一号及び同二号の要件を充足する。

(二)  次に、本件事業認定が、法二〇条三号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。」の要件を充足するかどうかを検討するに、同要件は、「公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もって国土の適正且つ合理的な利用に寄与する。」(法一条)という法の目的に照らすと、その土地がその事業の用に供されることによって得られる公共の利益と、その土地がその事業の用に供されることによって失われる公共的又は私的利益とを比較衡量し、前者が後者に優越すると認められる場合に存在するものと解すべきである。そして、建設大臣又は都道府県知事による右要件の存否についての判断は、具体的には事業認定に係る事業計画の内容、事業計画の達成によってもたらされるべき公共の利益、右事業計画において収用の対象とされている土地の状況等を諸要素の比較衡量に基づく総合的判断として行われるべきものであるが、右の判断は、性質上必然的に政策的又は専門的技術的判断を伴うものであるから、建設大臣又は都道府県知事の裁量が認められるというべきであり、その判断が社会通念上著しく不相当であると認められる場合にのみ、裁量権の逸脱又は濫用があり、違法とされるものというべきである(事業認定の審査に当たり、他の代替案が判明しており、又は、容易に想定される場合には、これらの代替案との比較検討をもした上で当該事業計画案の法二〇条三号の要件該当性を判断すべきものと解するのが相当である。そして、右代替案との比較検討も、いずれの土地を起業地にすれば当該事業計画の目的に照して適正かつ合理的な土地利用に寄与することになるかという観点からなすべきものではあるが、法令上、起業者に代替案の提示が義務付けられているわけではなく、また、建設大臣又は都道府県知事に裁量が認められていることからすると、右土地利用の観点からみて代替案の方が事業計画案より明らかに優れていると認められる場合でない限り、計画案に対する事業認定の判断に裁量の逸脱又は濫用があるとはいえない。)。

そして、〔証拠略〕によれば、以下の事実が認められる。

(1)<1>  岡崎市、豊田市方面への電力供給は、幸田、南豊田、岡崎及び三好変電所の各一次変電所を拠点として行っていたところ、同地域電力需要は、豊田市北部の工業団地開発及び自動車関連企業の増設並びに岡崎市北部、豊田市東部の市街地化の進展により、堅調な増加を続けており、平成二年一一月当時の電力需要想定値によれば、平成三年夏季には、幸田変電所を電源とする七七KV幸田六ツ美線の一回線故障時には9MWの、南豊田(一次)変電所変圧器一台故障時には3MWの、岡崎変電所変圧器一台故障時には7MWの、三好変電所変圧器一台故障時には42MWの供給支障の発生がそれぞれ予想された(平成三年三月の時点において、中部地方における長期電力需要の見通しは、平成元年から同一二年にかけての最大需要電力の年平均増加率が三・三パーセントと予想されていた。)。

これに対し、豊田市桂野町に東豊田変電所を新設して東豊田挙母線を新設し、平成三年六月から、他の一次変電所から送っていた電気の一部を東豊田変電所から送る対策が立てられた。

<2>  右対策により、幸田六ツ美線一回線故障時、岡崎変電所変圧器一台故障時及び三好変電所変圧器一台故障時における供給支障はそれぞれ解消されるものと予想されたが、東豊田挙母線のうち西広瀬東豊田挙母線No.44鉄塔から挙母変電所までの送電容量が小さいことから、平成三年夏季には、南豊田(一次)変電所変圧器一台故障時に発生する3MWの、平成四年夏季には、6MWの供給支障が継続して残ることが予想された。

<3>  そこで、その対策として、南豊田(一次)変電所変圧器一台を増設する方法と東豊田挙母線の一部区間を増強し、南豊田(一次)変電所の負荷を東豊田変電所へ切替える方法が考えられたが、前者による場合、平成四年夏季の南豊田(一次)変電所変圧器一台故障時の供給支障を防ぐことはできるが、南豊田(一次)変電所への電源は、三河南豊田線又は南豊田東名古屋線であり、いずれにおいても平成五年夏季には運用限度超過が予想され、また南豊田(一次)変電所から挙母変電所へ電力供給をしている南豊田挙母線においても同時期において、同送電線の運用限度超過が予想されたことから、電力の安定かつ効率的な運用を図る面から抜本的な対策とはならないのに対し、後者によれば、平成四年夏季の南豊田(一次)変電所変圧器一台故障時の供給支障を防ぐことが可能であるばかりか、挙母変電所の負荷全体を東豊田変電所を拠点に切替えできるようにすることにより、将来にわたり効率的かつ安定的な電力供給を図れるとともに、右工事に伴い、既設の下村挙母線及び挙母西町線のそれぞれ東豊田挙母線と平行ルートになる部分を東豊田挙母線に併架させることにより土地の有効利用を図れることから、これらを目的として本件事業が計画された(なお、平成三年夏季においては、南豊田(一次)変電所変圧器一台故障時に、6MWの供給支障の発生が予想されるような実績であったが、右変圧器の故障は生じなかったため、実際には供給支障は発生しなかったが、平成三年一一月時点の電力需要想定値によれば、平成四年夏季では右変圧器一台故障時に9MWの、平成五年夏季では17MWの供給支障が予想された。)。

(2)  本件事業の東豊田挙母線の一部増強区間である西広瀬東豊田線No.44鉄塔から挙母変電所に至る送電線ルートとしては、西広瀬東豊田線No.44鉄塔から、33KV越戸連絡線及び77KV東豊田挙母線の既設ルートを踏襲して変電所に至るルートであるA案、西広瀬東豊田線No.44鉄塔から、77KV東豊田挙母線、77KV下村挙母線及び77KV挙母西町線の既設ルートを踏襲して変電所に至るルートであるB案、西広瀬東豊田線No.44鉄塔から、同線No.45鉄塔へ併架し、ほぼ直線で西進し、矢作川右岸より地中にルートを求めて変電所に至るルートであるC案の三案が想定された(別紙「ルート検討図」参照)。

(3)  A案は、既設送電線ルートを踏襲し、既存の住宅地である秋葉団地及び平山団地を迂回することが可能な亘長三・二キロメートルのルートであり、既設送電線を整理統合することにより土地の有効利用が図られるが、経過地付近には豊田テレビ中継放送所があり、鉄塔の建替えに伴いテレビ電波障害が発生し、豊田市内の約八万世帯へ影響を及ぼすことが予想された。また、経過地の一部は、豊田市都市計画公園緑地「秋葉緑地」のほぼ中央を横断するため、鉄塔建て替え工事により緑地部分のうち約三〇〇〇平方メートルの立木の伐採を伴い、豊田市の緑地計画に支障を及ぼすこととなり、さらに、同ルートと交差して通過する市道高橋細谷線周辺は沿道サービス業等の進出が著しく、送電線ルートを同地区に選定すると、今後の同地区の開発に支障を及ぼすことが予想された。

B案は、直線的なルートで亘長が二・九キロメートルであり、起業地面積が最も小さくなるルートであって、その大部分は既設送電線が経過する山林及び農地であり、秋葉団地及び平山団地の一部を通過するが、道路部分が多く、建造物へ与える影響が皆無であるため、土地利用阻害が少なく、かつ、送電線の整理統合を図るとともに、既設送電線に比べて電線地上高を大きく確保でき、住宅地内の東豊挙母線No.18鉄塔については、既存の鉄塔敷地内での工事が可能であり、周辺の土地利用に与える影響は少ないものと考えられた。

C案は、亘長が約四キロメートルと三案のうち最も長いルートであり、かつ、地中部分が多いため、工事費がA案及びB案に比べて約一〇倍(一一〇億円)かかる上、矢作川右岸までの新設架空ルート部分は、新規に山林及び農地が鉄塔敷及び線下敷となること、矢作川右岸の地中接続部分については、架空線から引き下げるためのトラス敷に約一二〇〇平方メートルの土地が必要となり新たな土地利用阻害を生じさせることが予想された。また、地中ルートとしては、県道豊田環状線及び一般国道二四八号線の地中が考えられたが、県道豊田環状線は、豊田市の中心市街地を初めとする交通渋滞の解消のために設置された幹線道路であり、付近にトヨタ自動車株式会社の本社事務所及び本社工場などがあることから、いずれも交通量が多く(県道豊田環状線は一時間当たり六二八台、一般国道二四八号は一時間当たり一三五三台)、工事期間中(約四年間)長期にわたり交通の支障を及ぼすことが予想された。

以上から、結局、B案が採用されるに至った(なお、A案ないしC案以外の、西広瀬東豊田線No.44鉄塔から下村挙母線を経て挙母変電所に至るルートについては、秋葉団地内の下村挙母線の既設鉄塔二基(No.176鉄塔及びNo.176―1鉄塔)の建替え工事が必要となるところ、鉄塔敷が狭く、周囲が家屋、道路、用水等に囲まれているため、土地の追加買収には家屋移転が必要となる上、送電線が家屋の上を横断する箇所が多くなることから住民等への影響も大きくなると考えられたため、事業認定申請の段階で、すでに割愛されていた。)。

(4)  本件各土地は、現況は保安林を含む原野(公簿上は、保安林、雑種地、原野)であり、全く手入れがなされていないため、歩行も困難な状況であるところ、77KV東豊田挙母線のNo.17鉄塔とNo.18鉄塔の間の線下に存在する本件各土地上の最も低い地点から本件事業前に存在した既設送電線までの高さは約二一メートル、本件各土地に隣接する既設の道路面から既設の送電線までの高さは約一三メートルであったのに対し、本件事業後の送電線までの高さは、それぞれ約三二メートル、約二四メートルとなり、離隔距離の三・七五メートル(電気設備に関する技術基準一三三条一項二号)を差し引くと、既設の道路面からでも高さ約二〇・二五メートルの空間の使用が可能となる。

右認定した各事実からすると、本件事業計画が実施された場合には、豊田市及び岡崎市方面の電力の安定的かつ効率的供給が実現でき、その方面の電力不足の不安が解消できるものと考えられる。原告らは、その所有する本件各土地が収用されるなどの不利益を受けることとなるが、これに対しては、法に従った適正な補償金の交付が予定されているし、右認定に係る本件起業地の状況等を考慮すると、本件事業で実現されるべき公共の利益が本件各土地を本件事業に供することにより失われる利益に優越すると判断した建設大臣の判断に誤りがあったとはいえない。したがって、本件事業認定は、法二〇条三号の要件を充足しているものというべきである。

原告らは、平成三年以降中部五県の大口電力販売量の減少傾向(甲三)や平成五年における中部電力全体の最大電力の実績値を根拠に、電力需要の伸びを前提とした本件事業認定には電力需要の想定に誤りがある旨主張するが、本件事業認定の想定した電力需要は、最大電力(ある期間中で最も多く使用する電力)であり、しかも、〔証拠略〕によれば、大口電力販売量だけでなく一般家庭を含めた電力販売量は、平成三年に比べ平成四年は増加しているとともに、最大電力も増加したことが認められるから、本件事業認定において電力需要の想定に誤りがあったとすることはできないし、また、本件における電力需要の想定は、あくまで合理的根拠に基づく将来予測であるから、それが将来のある時期の実績値と結果的に食い違ったとしても、それだけで電力需要の想定に誤りがあったとすることはできない。

また、原告らは、ルート選定に関し、B案が、他の案に比べて劣っている旨の主張をするが、代替案の方が、事業計画案よりも明らかに優れているとまで認めるに足りる証拠はない。

(三)さらに、法二〇条四号は、申請に係る事業が「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること」を要件としているが、右趣旨は、当該事業が当該土地を収用し又は使用する公益上の必要があることを要件とするものであり、右の点の判断は行政庁の専門技術的、政策的判断を尊重せざるを得ず、その裁量に属するものと解すべきであるところ、右(二)で認定した事実を考慮すると、本件事業認定は、その裁量権の範囲で適法になされており、裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったとすることはできない。

(四)  よって、本件事業認定は適法である。

三 本件裁決の適法性について

1  木件裁決の手続について

被告主張事実(右第二の三2)は、すべて当事者間に争いがない。

2(一)原告らは、中電が、本件各土地に使用借権を有していると主張しているのであるから、被告は、その権利の有無について判断し、その権利の存在が認められる場合には、土地収用は不要であるとの判断をすべきであるのにこれを怠った違法がある旨主張する。

しかしながら、証拠〔証拠略〕によれば、被告は、本件各土地の使用借権の存否につき、本件各土地の所有者である原告らと起業者である中電との間に争いがあり、その存否を決定するに足りる証拠が得られなかったことから、「関係人存否不明。ただし、使用借権が存在したと確定した場合には、使用借権者として…中部電力株式会社…。」との裁決を行ったことが認められ、また、〔証拠略〕によれば、本件裁決は、土地所有者の好意に基づいて設定される使用借権では、送電線の増強、増架工事を行うに当たって土地所有者の承諾が得られなければ、工事を遂行できないことから、公法上の使用権を設定しておく必要があるとの判断に基づいてされたことが認められ、その判断は合理的であるから、収用委員会が、権利取得裁決及び明渡裁決をしたことをもって違法とすることはできない。

したがって、原告らの右主張は採用できない。

(二)  原告らは、本件裁決は、使用期間について送電線路存続期間中とし、期間を明確に定めていない点で違法である旨主張する。

しかしながら、〔証拠略〕によれば、被告は、本件事業に係る送電線路が半永久的に必要と認められることから送電線路存続期間中との使用期間を定めたことが認められ、その点に一応の合理性が認められるから、期間が不明確であることをもって、本件裁決を取り消すべきほどの違法があるといえない。また、右証拠によれば、本件各土地の所有者たる原告らに対しては、一平方メートル当たりの土地の単価に利用阻害率を乗じ、使用する土地の面積及び法七一条の修正率を相乗して算定した損失補償、すなわち使用による土地利用阻害の割合に対応する部分を買い取る趣旨の損失補償額を算定することもできるから、本件裁決において、使用期間を送電線路存続期間中と定めたとしても何ら違法はない。

したがって、原告らの右主張は採用できない。

なお、原告らは、損失補償額自体に合理性がない旨主張するが、法一三三条が収用裁決そのものに対する不服の訴えとは別個に損失補償に関する訴えを規定したのは、収用に伴う損失補償に関する争いについては、収用そのものの適否とは別に起業者と被収用者との間で解決させることができるし、また、それが適当であるとの見地から、収用裁決中収用そのものに対する不服と損失補償に関する不服とをそれぞれ別個独立の手続で争わせることとし、後者の不服の訴えについては前者の不服の訴えとは無関係に独立の出訴期間を設け、これにより、収用に伴う損失補償に関する紛争については、収用そのものの適否ないし効力の有無又はこれに関する争訟の帰趨とは切り離して、起業者と被収容者との間で早期に確定、解決させようとする趣旨に出たものであり、一三二条二項の規定も同様の趣旨から規定されたものと解されるから、損失補償額に不服があれば、その点は、損失補償の訴え(法一三三条)によるべきであって、収用裁決そのものの取消訴訟において主張することはできない。

(三)  原告らは、被告委員である片山欽司が、中電の他の事件の訴訟代理人として、中電の利益のための訴訟活動に従事しているのであるから、本件裁決手続上当然、に除斥事由が存在するにもかかわらず、裁決手続において積極的に発言しており、本件裁決の公正さを害した違法がある旨主張する。

しかしながら、法六一条一項二号の「代理人」とは、当該裁決申請に係る事業に関連して直接かつ具体的な代理関係にある場合の代理人を指すものと解すべきであり、右片山欽司につき、そのような事由が存在することを認めるに足りる証拠はない。

3  また、右二のとおり、本件事業認定には何ら違法はないから、結局、本件裁決にも何ら違法はない。

四 結論

以上により、原告らの請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 森義之 田澤剛)

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