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名古屋地方裁判所 平成7年(わ)1706号 判決

主文

被告人株式会社オンサを罰金四〇〇〇万円に、被告人内藤俊夫を懲役一年六か月にそれぞれ処する。

被告人内藤俊夫に対し、この裁判確定の日から三年間刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社オンサ(以下、被告会社という。)は、名古屋市中区栄二丁目四番一一号に本店を置き、磁気及び羽毛寝具の販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成七年五月二六日までは一〇〇万円)の株式会社であり、被告人内藤俊夫は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、

第一  平成三年三月一日から同四年二月二九日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が一億〇二七〇万七八四六円であったのにもかかわらず、平成四年四月三〇日、名古屋市中区三の丸三丁目三番二号所在の所轄名古屋中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額がなく、納付すべき法人税はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三七七五万二八〇〇円を免れ、

第二  平成四年三月一日から同五年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が一億五三五三万〇七〇六円であったのにもかかわらず、平成五年四月三〇日、前記中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六六万二〇二四円で、これに対する所得税額が一六万三三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五六七九万一七〇〇円と右申告税額との差額五六六二万八四〇〇円を免れ、

第三  平成五年三月一日から同六年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が七九三九万三五六五円であったのにもかかわらず、平成六年四月二八日、前記中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が五三六万九六四八円で、納付ずへき法人税法はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二九〇〇万六〇〇〇円を免れた。

(証拠)

(括弧内の甲乙の番号は検察官の請求番号の略)

全部の事実について

1  被告人の

(1)  公判供述

(2)  検察官調書二通(乙11、12)

(3)  大蔵事務官調書九通(乙1ないし9)

2  日野進の検察官調書(甲25)

3  伊達充博の検察官調書三通(甲26ないし28)

4  捜査報告書二通(甲16、21)

5  査察官調査書一四通(甲7ないし11、14、15、17ないし20、22ないし24)

6  登記簿謄本二通(甲1、2)

7  履歴事項全部証明書(甲39)

第一の事実について

8  証明書(甲4)

第二の事実について

9  証明書(甲5)

第三の事実について

10  証明書(甲6)

(法令の適用)

1  罰条

第一ないし第三の各行為につき

(被告会社)

いずれも法人税法一五九条一項(情状によりさらに同条二項)、一六四条一項

(被告人内藤)

いずれも法人税法一五九条一項

2 刑種の選択(被告人内藤)

いずれも懲役刑選択

3 併合罪の処理

被告会社につき

刑法四五条前段、四八条二項

被告人内藤につき

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第二の罪の刑に法定の加重)

4 懲役刑の執行猶予(被告人内藤)

刑法二五条一項

(量刑の理由)

一  本件の脱税額は、合計一億二三三八万余りもの多額に上っており、ほ脱率も、約九九・九パーセントと、この種の事案としてははなはだしく高い。

また、犯行の手口・態様は、以下のとおり、巧妙かつ計画的で悪質である。すなわち、被告会社は、架空名義の外注先を作って経費を計上する方法で所得を秘匿しているのであるが、このような方法を採るにあたって、被告人内藤が、被告会社の取引先の代表者(被告人内藤の元部下)に依頼して複数の架空の寝具加工業者名義の銀行口座を作らせ、被告会社の経理責任者に指示して毎月の売上の一〇パーセントほどの金額を架空外注費として計上させ、右相当額を右各口座に振り込ませ、これに見合う架空の請求書等を作成させた上、総勘定元帳に虚偽の記載をさせていた。その後、経理責任者に口座に振り込まれた金銭を払い戻させて、前記被告会社の取引先の代表者に右現金を渡して、現金、無記名債券として隠匿、保管させていたほか、一部を個人的な遊興費、関連会社の設立資金、取引先会社への貸付金等に充てていた。

そのうえ、犯行の動機は、将来の経営危機に備えて資金を確保するというもので、身勝手なものであって、酌むべき点は認められない。

被告人内藤は、代表者として本件脱税工作について主導的役割を果たしており、被告会社の経理責任者のほか、取引先代表者を巻き込んであり、この点も量刑無視できない。

二  他方、被告会社は、本税、延滞税、重加算税、地方税等全て納付していること、被告人内藤は、本件を反省し、その証として、被告会社名で福祉施設に対して総額約六五〇万円相当の寝具用品を寄付し、かつ、法律扶助協会に対し、被告人内藤の名で一〇〇万円を贖罪寄付したこと、被告人内藤は、本件を機会に、今回のような犯罪の再発を防止するためには、被告会社の経理システムの改善をする必要があることを自覚して税理士を変えるなどしていること、被告会社と被告人内藤には、前科がないこと等の酌むべき事情も認められる。

三  そこで、以上の諸情状を総合考慮して、被告会社を罰金四〇〇〇万円に、被告人内藤を懲役一年六か月に処すとともとに、被告人内藤に対し、その刑の執行を三年間猶予することとした。

(求刑 懲役一年六月、罰金四五〇〇万円)

(裁判官 久保豊)

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