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名古屋地方裁判所 平成8年(ワ)951号 判決 1999年4月23日

原告 岩本年弘

右訴訟代理人弁護士 福永滋

同 滝田誠一

同 鈴木良明

同 柘植直也

被告 愛知県司法書士会

右代表者会長 松崎定守

右訴訟代理人弁護士 籏進

同 加藤倫子

同 鈴木誠

同 森田尚男

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告が平成六年六月一日施行した愛知県司法書士会会則第二一条及び別紙第一第四項に基づく事件数割会費の支払義務が原告に存在しないことを確認する。

2  被告は、原告に対し、金三六五四万七〇〇〇円及びうち金一八五二万三〇五〇円に対する平成七年一二月一四日から、うち金五九八万六七五〇円に対する平成八年六月一日から、うち金六〇一万三三五〇円に対する平成九年六月一一日から、うち金六〇二万三八五〇円に対する平成一〇年八月八日から、それぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  (当事者)

被告は、司法書士法に基づき、司法書士の品位を保持し、その業務の改善、進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的として、名古屋法務局の管轄区域内に設立された法人である。

原告は司法書士であり、被告の会員である。

2  (特別会費、事件数割会費及びみなし脱会)

(一) 被告は、従前から、会員に対し、業務上使用する印紙台紙を一定価格で販売し、その売上げを共済金や会館建設資金に充てていた。

被告は、ある時期から、愛知県司法書士会会則(以下「被告会則」という。)等を改正し、会員に対し被告の頒布する印紙台紙の使用を義務づけ、印紙台紙の頒布価額をもって、会員が被告に対し納入義務を負う「特別会費」と位置づけるようになった(以下「本件特別会費」という。)。

印紙台紙は当初一枚二〇円であったが、その後、五〇円、二〇〇円へと順次値上げされた。

(二) 平成三年一〇月二〇日、被告の臨時総会において、本件特別会費を平成四年一月一日から事件一件あたり二〇〇円から三五〇円に増額する旨の決議がなされた。

(三) 被告は、平成五年五月二九日開催された定時総会において、被告会則二一条の二の二項として「本会は、前条第二項の事件数割による特別会費について、毎年一二月三一日を基準日と定めて会員の前暦年中の納入額を翌年三月三一日に確定し、未納額があるときは、一定期日を定めて納入を催告する。この場合、当該会員が催告を受けた指定の期日からなお四月間これを納入しないときは、その期日の翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。」との規定を新設することを決議した。

(四) 右改正は、会員資格の喪失にかかわる規定の創設であることから、司法書士法一五条の二第一項により法務大臣の認可を受けなければならないところ、結局認可は受けられず、右の条項は施行されなかった。

(五) 平成六年五月二八日、被告定時総会において、被告会則二一条を「会員は、別紙第一第二項及び別紙第一第四項に定めるところにより、会費を納入しなければならない。」に、同別紙第一第四項を「事件数割会費の金額は、一月から一二月までの一年間に嘱託を受けた第七項各号の定める事件の事件数に金三五〇円を乗じた額とする。」に、それぞれ変更するとの決議がなされ、右改正規定は同時に決議された附則により平成六年六月一日から施行されることとなった。

被告会則別紙第一第四項を受けて同七項は、「第四項の事件数割会費を適用する事件は次のとおりとする。(1)登記(公共嘱託登記を含む)及び供託。ただし、(司法書士相互間の)復代理を除くこととし、申請書類の作成のみの場合を含む。(2)審査請求 (3)裁判事務(司法書士報酬規定の裁判所等に提出する書類の作成等の事件のうち基本報酬が適用される事件)(4)国籍に関する書類の作成」と規定し、事件数割会費が適用される事件を特定している(以下右被告会則二一条及び被告会則別紙第一第四項、第七項により定められた会費を「本件事件数割会費」という。)。

(六) また、被告は、同時に右定時総会において、右(三)の改正案の「特別会費」を「事件数割会費」という呼称に改めたうえ、被告会則二一条の二第二項を「別紙第一第四項に定める事件数割会費については、本会が別紙第一第八項の定めるところにより精算し、不足額があるときは、会員に対し、一定期日を定めて納入を催告するものとする。この場合において、当該会員がその納入期日の翌日から四か月を経過してもこれを納入しないときは、四か月を経過した日の翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。」に変更することを決議し、右改正規定について、平成六年一一月一八日、法務大臣の認可を受けた(以下右改正規定を「本件みなし脱会規定」という。)。

3  (本件特別会費及び本件事件数割会費制度の無効)

(一) 本件特別会費及び本件事件数割会費は、本来の会費に加え、事件数割会費が適用される事件(以下「適用事件」という。)について事件数に応じた会費を課し、会員間の会費負担額に多寡を生ずるものである。

団体における構成員の権利及び義務の平等は全ての団体を支配する基本原則であり、多数決によってもこれに反する取決めはできない。平等原則は、社会権的な要請が働かない団体においては、形式的平等を内容とする。また、団体の財政基盤となる会費については、原則として全会員同額とすべきである。さらに、強制加入団体については、構成員の平等はより厳格に貫かれなければならない。

被告は、強制加入団体であり、また、個々の司法書士の業務遂行の条件を整備したり、業務機会の拡充を図ることに存立目的がある。このような性格及び目的からすれば、個々の司法書士が司法書士会に対し同一の権利を有し、同一の受益を得る必要があり、会費についても形式的平等が指向されなければならず、全ての会員が定額の会費を負担しなければならない。司法書士会以外の強制加入団体、例えば弁護士会、税理士会、弁理士会においては、全ての会員につき定額の会費制度がとられており、会員によって金額が異なる会費は存在しない。

そして、制定された会則が、会員の自由な活動を制約するものである場合、当該会則の内容については、その目的が司法書士の職責ないし司法書士会の存立目的の範囲内にあることが厳しく要求され(目的の妥当性)、次に目的の範囲内にあるとしても規制が構成員の自由の制約にとって必要最小限度のものであること(手段の相当性)が要求される。これに反する場合、当該会則は憲法一四条、民法九〇条に違反し無効である。

実質的に脱退の自由や別団体形成の自由が認められない強制加入団体においては、団体の内部規律権についても一般の任意団体とは異なる限界が存するのである。

以下に述べるように、本件特別会費及び本件事件数割会費は右の目的の妥当性、手段の合理性を欠き、憲法一四条、民法九〇条に違反し無効である。

(二) (目的の妥当性について)

司法書士法の目的は「司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続の円滑な実施に資し、もって国民の権利の保全に寄与すること」(司法書士法一条)にある。司法書士は、右目的を実現するために「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」(司法書士法一条の二)とされ、司法書士会は、司法書士の強制加入団体として「司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする」(司法書士法一四条二項)。

本件特別会費は、被告の新会館建設資金の調達のため導入され、本件事件数割会費もこれを主な目的とするものであるところ、被告の新会館建設は、例えば研修会を行うにしても他の会場を借りるなどして可能であるから、個々の司法書士の品位の保持、業務に関する法令及び実務への精通とは関係がない。本件事件数割会費は、司法書士の職責ないし司法書士会の存立目的の範囲内にあるとは言いがたく、目的の妥当性は存在しない。

さらに、本件事件数割会費は、被告の会員である司法書士が非適用事件の業務の比率を増す誘因となり、登記業務等の適用事件を相対的に軽んじる傾向を発生させ、司法書士法ないし司法書士会の指向する目的に逆行する可能性を内包するものである。

(三) (手段の合理性について)

本件特別会費及び本件事件数割会費については手段の合理性も認められない。仮に会費の徴収についてある程度の裁量が認められるとしても、本件事件数割会費については以下の問題点が認められ、相対的平等にも反し、過度に厳しい規制を設けるものである。

(1) (本件事件数割会費の適用範囲の不合理性)

<1> 本件事件数割会費については、登記の申請書類の作成のみの場合も適用事件であるが、司法書士相互間の復代理は事件数割会費が適用されない事件(以下「非適用事件」という。)である。これによって、例えば抵当権抹消登記の書類作成業務を、基本報酬と手続報酬合計額の五〇パーセントで受託した場合、報酬額は三七〇〇円から四三五〇円で、事件数割会費三五〇円が課されるのに対し、一〇〇億円の抵当権設定登記をする際の申請復代理業務を、基本報酬と手続報酬合計額の五〇パーセントで受託した場合の報酬額は三八万二〇〇〇円から四四万九二〇〇円であるが、これには本件事件数割会費が課されないという不合理な結果がもたらされる。

<2> また、司法書士の代表的な業務のうち、例えば、所有権移転登記の申請義務者の保証業務、公正証書作成代理業務及び立会業務等、非適用事件の業務数は約四〇業務にも上る。これらの業務により高額の報酬を得た場合であっても、これに対しては事件数割会費が課されない。

<3> さらに、抵当証券の交付の手続の代理のように適用の対象となるか否か不明確なものがある。

<4> 被告は、本件事件数割会費適用の区分を法定業務と非法定業務の分類によると主張するが、この分類自体根拠を欠く。

たしかに、司法書士法二条は、司法書士の業務として、

「一 登記又は供託に関する手続について代理すること。二 裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成すること。三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。」の三項目を挙げている。

しかし、被告が本件事件数割会費を課すのは、司法書士法二条が明記する業務の一部についてのみである。(裁判所等に提出する書類のうち文案を要しないものは、司法書士法二条に含まれるが、適用事件ではない。)

さらに、司法書士法二条は、右三項目に直接該当する事項のみを司法書士の業務として予定しているのではなく、これに付随して行うことが予想される業務も、当然に司法書士の業務であると予定しているものである。被告も会員向けの資料として発行している「司法書士の基本報酬と付随業務」において、司法書士法二条には、ここに明記された司法書士の職務を遂行するうえで、必然的に行うべき事務が含まれていることは当然である旨述べている。

このような付随業務は、戸籍謄本の請求事務を始めとして多岐にわたるが、日本司法書士会連合会(以下「連合会」という。)が発行している司法書士報酬便覧は、司法書士報酬規定(別紙(一))の「〔[3]〕その他の書類の作成等」として、国籍に関する書類を除き三三項目を掲げ、また、司法書士報酬規定に報酬額が明示されていない付随業務の種類も、被告の実態調査によると所有権移転登記の申請義務者の保証業務等三〇項目を超える。

これら付随業務を含め、司法書士が業として適法に行うことができる業務が司法書士の法定業務であるというべきである。しかるに被告は付随業務を非適用事件であるとし、法定業務ではないとしている。

<5> また、司法書士報酬規定から検討しても、適用事件は同規定に表示される業務のうちの、「〔[1]〕登記又は供託に関する申請、審査請求又は抵当証券の交付の手続の代理」、「〔[2]〕裁判所等に提出する書類の作成等」のうちの基本報酬の適用のあるもの、「〔[3]〕その他の書類の作成等」のうちの「(1)国籍に関する書類の作成」についてのみなのである。

<6> また、被告は、事件数及び報酬額が把握できる事件類型についてのみ本件事件数割会費を採用したとする。

被告会則八六条一項によって、会員は、連合会の定める付録第一一号様式により業務報告書を提出しなければならないが、右の様式では、司法書士の全ての業務について会員に報告を求めている訳ではなく、司法書士法二条に明記された業務及び付随業務のごく一部について報告を求めているに過ぎない。しかも、右様式により報告が求められる義務の基準は曖昧である。

また被告は、被告会則八六条一項により報告義務を課している業務のうち一部についてのみ本件事件数割会費を課しており、その基準も明らかでない。

したがって、右の報告による事件数等の把握を根拠とする被告の説明も合理的ではない。

(2) (本件事件数割会費に対する反対、未納)

本件事件数割会費に対する反対の意見を持つ被告会員は相当多いのであり、本件事件数割会費は圧倒的多数の会員の賛成により導入されているものではない。

平成五年四月号の被告の「名古屋中央支部だより」によれば、同時点において事件数割会費を納付していない会員は四〇数名存在し、また、平成八年には、被告が綱紀委員会に調査を依頼した印紙台紙未貼付者が三名おり、うち二名については、いまだ未納会費が請求されていない。

被告は会員の事件数割会費の適用事件の嘱託件数ないし処理件数を正確に把握する手段を有しておらず、これらの把握は、会員の自己申告に委ねざるを得ないのであって、未納額を把握し、請求することができない。本件事件数割会費は、不平等な運営しかなし得ないものであり、不公正である。

(3) (事件数割会費による会費負担の結果の不合理性)

本件事件数割会費は、事件一件あたり三五〇円という、一見どの司法書士にも同一条件で課せられる会費制度のように見えるが、司法書士の取り扱う事件の数及び内容によって大きな不平等を生じさせる欠陥をもった制度である。

即ち、被告会員が年間に取り扱う事件は、千差万別であり、適用事件が司法書士の仕事に占める業務の割合は、個々の司法書士によってまちまちである。

司法書士の報酬も、一事件あたり数千円のものから数千万円に達するものまで格差がある。例えば、原告の取り扱った事件一件の平均報酬額は、被告会員平均の事件一件あたりの平均報酬額よりもかなり低額である。

また、会員間における取扱業務の事件数割会費の適用事件、非適用事件の比率についても、被告は、最も適用事件の比率が高い会員では適用事件の比率が一〇〇、最も低い会員では〇と回答しており、ばらつきが認められる。

したがって、定額会費に加えて、適用事件の多寡のみを基準にして事件数割会費制度を設けることは、個々の司法書士の扱う業務内容により、会費の負担に著しい不公平を生じさせるものであり、不合理である。被告は応能会費である旨の主張をするが、司法書士の収入に応じた平等な負担にもなっていない。

この制度の結果、原告は、年間六〇〇万円前後の事件数割会費を支払わなければならず、この金額は愛知県内の司法書士の支払っている事件数割会費の平均年額三〇万円弱の二〇倍を超える額である。

(4) (本件みなし脱会規定について)

みなし脱会となった場合、当該司法書士は、司法書士業務を全く行うことができず、本件みなし脱会規定は、会費徴収を通じて会としての存立と司法書士会の法定の目的の達成を図るについて過剰に厳しい規制である。本件事件数割会費を納入しない会員については、司法書士会役員選挙の選挙権、被選挙権の停止、剥奪、一定期間の司法書士業務の停止などの、より制限的でない他にとり得る規制手段を制定すべきである。

4  (本件特別会費、本件事件数割会費の支払)

(一) 原告は、平成三年一〇月二〇日の被告臨時総会における特別会費の増額を機に、本件特別会費制度の無効を主張し、平成四年一月一日以後の特別会費の支払を拒絶し、被告の頒布する印紙台紙を使用せずに登記申請を行ってきた。

しかし、平成六年五月二八日に本件みなし脱会規定が定められたことから、事件数割会費の支払拒絶を続けると被告を脱会したものとみなされ、司法書士業務を廃業しなければならなくなる可能性が生じた。

このため原告は、右3に記載のとおり本件特別会費及び本件事件数割会費は無効であるが、平成七年一二月一三日に平成四年度から平成六年度までの未納特別会費一八五二万三〇五〇円を、平成八年五月三一日に平成七年度分の事件数割会費五九八万六七五〇円を、平成九年六月一〇日に平成八年度分の事件数割会費六〇一万三三五〇円を、平成一〇年八年度分の事件数割会費六〇一万三三五〇円を、平成一〇年八月七日に平成九年度分の事件数割会費六〇二万三八五〇円を、被告に支払った。

(二) 原告は右の平成七年一二月一三日の支払の際、被告に対し不当利得返還請求権を行使するとの通知を行い、その後も各支払にあたり、異議をとどめて支払っているから、被告は悪意の受益者である。

5  (債務不存在確認の利益)

被告は、本件改正規定は有効であると主張し、原告に対し事件数割会費の支払を請求する。

6  よって、原告は、本件事件数割会費の支払義務の存在しないことの確認を求めるとともに、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき右支払金額三六五四万七〇〇〇円及びうち一八五二万三〇五〇円に対する平成七年一二月一四日から、うち五九八万六七五〇円に対する平成八年六月一日から、うち六〇一万三三五〇円に対する平成九年六月一一日から、うち六〇二万三八五〇円に対する平成一〇年八月八日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求の趣旨に対する答弁及び被告の主張

1  請求原因1、同2(一)ないし(三)、(五)及び(六)の各事実、同4(一)の事実のうち原告の本件特別会費及び本件事件数割会費の支払の事実並びに同5の事実は認める。

2  (本件特別会費について(請求原因2(一)及び(二)の事実について))

連合会は、昭和四〇年度の定時総会において、連合会の事務所の建設計画を決定した。連合会は、昭和四〇年二月ころ、この資金の拠出方法として、各司法書士会の会員が年間に取り扱う申請事件数を基礎とし、一件あたりの拠出額を一〇円として算出した金額を、各司法書士会に割り当てる旨の内示をした。

これを受けて、被告は、昭和四〇年五月二三日の定時総会決議により名古屋司法書士会共済規程を制定し、右連合会事務所建設資金の拠出、共済資金の拠出及び名古屋司法書士会館建設資金を調達する目的で、同規程四条においてこの資金の財源を別に被告が定める印紙台紙領布金等と定め、会員の取扱事件一件につき二〇円の台紙一枚を使用することを決定した。

右共済規程の委任条項(二五条)に基づき、同年八月二一日開催の理事会の決定により、名古屋司法書士会共済規程印紙台紙取扱要領が制定され、昭和四〇年一〇月一日から施行された。

その後、被告は、平成二年五月二六日、定時総会において新会館建設促進決議を行い、新会館建設の資金調達のため特別会費制度を導入することとし、会則二一条の定める別紙第一の入会金及び会費に関する規定に六項として特別会費が追加され、これにより特別会費は共済規程より強制力のある会則として明記され、納付が義務づけられた。右規程は同年一〇月一日から施行された。

また被告は、会員の福祉向上のため、共済制度充実資金を調達するため、共済規程六条の一部を改正し、特別会費の四分の一を共済の拠出金とすることとした。

印紙台紙の価格は、昭和四〇年一〇月一日から一枚二〇円、昭和五九年七月一日から一枚五〇円、平成二年一〇月一日から一枚二〇〇円、平成四年一月一日から一枚三五〇円となり、現在に至っている。

3  (請求原因2(四)の事実について)

平成五年五月二九日の改正決議について認可がなかったのは、被告は右決議後認可申請をしたが、精算規定を設けるように指導を受けたため、結局申請を取り下げたためである。

4  (請求原因3(一)の事実について)

事件数割会費は、会の事業目的(新会館建設及び連合会の事件数割負担金等の拠出)を遂行するための、全会員が同率に負担する応能会費であって、実質的に公平な負担である。

応能とは収入に応じてという意味ではなく、処理を行った事件数に応じて会費を負担するという意味である。

元来、司法書士の業務は、法務局に登記申請書類を、裁判所に裁判書類を提出することなどを内容としており、その業務量は提出件数により把握するという特有の観念が司法書士の間に根付いていたことから、司法書士会においては事件数に応じて会費を徴収するという制度が馴染みやすく、連合会及び全国の司法書士会において支持採用されるに至った。

5  (請求原因3(二)の事実について)

(一) 事件数割会費は、新会館建設、共済、連合会特別会費等の特別の用途に充てられるもので、この用途自体、会員の業務及び被告の運営にとって必要かつ合理的なものである。

(二) 新会館建設資金は、現在、事件数割会費の七分の五以上がこれに充てられている。

新会館は、敷地面積八〇〇・五五平方メートル、建築面積七〇二・九六平方メートルの八階建建物であり、一階に事務局、役員室、応接室、市民ギャラリー、二階に大会議室、ロビー、三階に中会議室、四階に図書資料室、委員会室、五階に社団法人愛知県公共嘱託登記司法書士協会、六階及び七階に市民相談室、八階にトップラウンジがある。

司法書士会の事務所は、司法書士会及び司法書士の業務及び活動と密接に関連するものである。会館建設については、昭和四〇年五月二三日被告定時総会で決議されて以来、長年の間、会員の間で検討され、昭和六〇年ころからは、司法書士の活動が、サラ金問題及び土地問題に関するもの、相続一一〇番、市民公開講座の開催等広範になるに従い、名古屋市東区主税町<番地略>法務総合ビル五階部分の旧会館より大きく、会員の研修会、委員会も開催できる司法書士の活動の拠点となる会館の必要性が認識され、念願がかなって新会館が建設されたものである。

(三) 共済制度は、会員の品位保持、福祉、相互扶助のためのものである。被告は、司法書士の使命及び職責に鑑み、その品位を保持し、司法書士事務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とし、この目的達成のための事業の一つとして会員の福利厚生及び共済に関する事項を掲げ(会則二条、三条(6)号、司法書士法一条、同条の二)、会員の福祉の増進を図るため会員の拠出金(事件数割会費のうち被告印紙台紙規則六条に基づき繰り入れられた資金)、寄附金、資金の管理運用によって生じた利益によって運営され(平成六年五月二八日施行の愛知県司法書士会共済規定(以下「被告共済規定」という。)一条、同規定六条)、死亡給付金、交通障害給付金、交通入院給付金、脱会給付金、傷病見舞金、災害見舞金の給付や共済融資(被告共済規定八条、同細則一四条)がなされるものである。

いずれも、司法書士会及び司法書士の使命の実現に資するものとして、被告会員の支持を受けている。

(四) さらに、被告の運営のため会員から徴収した会費を経常費用として運用することについても、その運用目的が合理的であり、所定の適正な手続を経ていれば当然のこととして認められる。

6  (請求原因3(三)(1)の事実について)

(一) 本件事件数割会費の適用区分は恣意的ではない。適用事件は司法書士の中心的業務である司法書士法二条一項、二項による法定業務である。元来、司法書士の業務は、法務局に登記申請書類を、裁判所に裁判書類を提出することなどを内容としており、適用事件は司法書士業務そのものである。これに対し、法定業務以外で司法書士報酬規定に明示された業務や同規定に明示されていない業務については、いまだ会費を負担することにつき司法書士間に共通の理解が定着していない。

復代理を除外したのは、代理人となっている司法書士から事件数割会費を徴収し、重ねて復代理人となっている司法書士から会費を徴収すると、実質的には一つの事件について重複して会費を徴収することになることを考慮したものである。

原告は、抵当証券の交付手続の代理は、適用事件であるか否かが不明確であると主張する。しかし、抵当証券の交付手続は、抵当権者がその登記を管轄する登記所に自ら又は代理人により出頭して申請し、登記官がこれを交付することによってなされ(抵当証券法一条一項、三項、一一条)、登記官がこれを交付したときは職権により抵当権設定登記にその旨を付記しなければならない(不動産登記法一二九条、一三〇条)。このように抵当証券の発行が許されない場合を除き(抵当証券法二条)、同交付申請は、必然的に登記手続を伴うものであり、抵当証券交付手続の代理は、司法書士法二条一号の「登記又は供託に関する手続について代理すること。」に該当し、さらに被告会則別紙第一第七項(1)「登記」に該当するものである。このような解釈及び取扱いを前提に、司法書士法一五条六号、一五条の二により会則において定め、法務大臣の認可を受けて制定している司法書士報酬規定(被告会則九五条に定める別紙第二)においては、「〔[1]〕登記又は供託に関する申請、審査請求又は、抵当証券の交付の手続の代理」欄のうちに、登記手続の一つの分類として抵当証券の交付に関する報酬欄を定めている。

(二) また、適用事件は、被告がその数を把握できるものである。即ち、司法書士法一五条六号は、司法書士会は会則に司法書士の報酬に関する規定を記載しなければならないと定め、司法書士法施行規則二六条は、司法書士は、連合会の定める様式により、事件簿を調整しなければならないことを定める。

そして、司法書士法施行規則二六条を受けて、被告会則八五条は、事件簿について連合会の定める付録第一〇号様式と定め、被告会則八五条及び被告事件簿規則三条は、事件簿への適用事件の記載を定める。

また、被告会則八六条一項は処理事件の総数及び報酬総額を記載した業務報告書の提出を定めており、これらによって被告は適用事件を把握することができる。

さらに、被告会則九三条一項は、会長は、司法書士業務の適正な運営を図るために必要があるときは、会員から報告を徴し、その会員に必要な指示若しくは指導をすることができるとし、二項は、会長は必要があると認めたときは、会員の業務を調査することができるとし、三項は、会員は正当な事由がなければ前項の調査を拒んではならないと定めており、被告は、会員の嘱託事件、事件簿、業務報告書その他の書類につき調査が可能であり、事件数割会費の算定自体の真実性も確保ができる。

このように、適用事件と非適用事件の区分は、司法書士法及び被告会則の制度を前提とした合理的なものであり、本件事件数割会費制度は、会費徴収方法としても、合理的かつ妥当な方法である。

これに対し、原告が司法書士の代表的な業務に属するものと主張する所有権移転登記の申請義務者の保証業務、公正証書作成代理業務及び立会業務等は、司法書士法上の法廷業務ではなく、司法書士報酬規定にも挙げられていない。また右の事件簿や業務報告書に記載すべき業務となっていないので、被告はこれを捕捉することができない。

(三) 被告は、適用事件の範囲について理事会に諮り、さらに会員総会に諮っているのであるから何ら恣意的ではない。原告の主張は、団体における私的自治の原則を無視するものである。

7  (請求原因3(三)(2)の事実について)

被告においては、過年度中に配布された印紙台紙等の配布代金で、翌年度も未収になっているものはなく、事件数割会費は、原告を除き全員が滞りなく納付している。被告における一般会費及び事件数割会費の年度ごとの納付状況等は別紙(二)のとおりである。

被告による調査については、右6(二)に述べたとおりである。

原告主張の未納者については、印紙台紙等の過誤使用の事実の疑いがあったので、被告は調査の上、未納額の請求を行い、いずれの会員もこれを支払ったものである。

8  (請求原因3(三)(3)の事実について)

事件数割会費の徴収方法は、全ての会員から等しく、会員の嘱託事件のうち司法書士の法定業務につき、一件あたり一率に三五〇円という高額とはいえない金額を徴収するものである。会員に課される事件数割会費総額も、会員の業務経営に対して過大な負担を強いるものではなく、会員の業務活動の制限を招くものではないのであって、この意味でも不合理ではない。

被告会員の、平成二年における適用事件の一件当たりの平均報酬額は、不動産登記事件につき一万八四二二円、財団の登記事件につき二万一三五〇円、抵当証券の交付事件につき四万五四四四円、商業又は法人登記事件につき一万八九七一円、供託事件につき四七五一円、審査請求事件につき一万三〇〇〇円、裁判所等に提出する書類の作成等のうち基本報酬のある事件につき二万五八三八円、国籍に関する書類の作成事件につき一三万三八四五円、公共嘱託登記事件につき一万二一五二円である。この平均報酬及び報酬規定に基づく事件一件当たりの規定報酬額からみて、一件あたり三五〇円の負担は低廉である。

会員は、法定業務と非法定業務の双方を取り扱うのであって、法定業務と、非法定業務には偏りがない。適用事件と非適用事件の比率が〇対一〇〇になっている会員が平成二年度に会員総数六三六名中三名、平成九年度に会員総数七二五名中二名存在したが、これらの事例のうち一例は司法書士としての業務が開始されて間がない場合であり、四例は合同事務所を営んでいる場合であり、事務所を全体として見た場合、適用事件と非適用事件の比率が〇対一〇〇という極端な比率とはならない。

会員一人毎に事件数割会費の総負担合計が異なるのは、会員一人一人の扱った適用事件数に差異があったからに過ぎない。

9  (請求原因3(三)(4)の事実について)

会員が会費を負担しなければ、会自体が存続できず、このような会員に会員資格を認めないことは、強制加入団体か否かを問わず、団体として必要かつ当然である。本件みなし脱会規定については、この点から、被告総会において、会員の支持承認を得た。

連合会は、事件数割会費についてみなし脱会規定を統一的に整備するために、司法書士会会則基準を改正することを法務省に照会し、平成六年三月二三日、法務省はこれを認めた。被告の会則もこれに基づくものである。

被告は、本件事件数割会費に関し、事件数割会費の納入を確実にする精算規定を設け、同規定によって滞納会費を納入すれば再入会できることとなっている。

みなし脱会は、司法書士法一二条の法務局等の懲戒処分と異なり、会員は脱会員として扱われるにとどまり、依然として連合会に登録された司法書士である。当該司法書士が業務の廃止の意思決定をしたものと擬制され、業務廃止届の提出を義務づけられるものではない。

なお、定額会費についての会費未納会員に対する処分としては、全国の全ての司法書士会でみなし脱会規定を採用している。事件数割会費の未納会員に対するみなし脱会規定については、七会については存在しないが、残り四三会では存在する。

また三八会は、滞納会費を納入すれば再入会ができるとする精算規定を設けている。

10  (本件特別会費、本件事件数割会費に関する状況)

(一) (使途)

現在、被告における事件数割会費の使途は、愛知県司法書士会印紙台紙規則六条に基づいて決められ、同規則は、被告関係では、(1)会館建設資金(七分の五以上)、(2)共済運営資金(七分の一以内)、(3)事件数割会費管理費用、(4)総会の決議をもってする一般会計への繰入れ資金、連合会関係では、(5)会館建設費用のための特別会費、(6)研修事業費用のための特別会費を使途と定める。

(二) (収支)

事件数割会費に関する収支の概要は以下のとおりである。

平成二年一〇月一日から平成三年三月三一日までの状況

収入合計 八六七八万二二五四円

会館建設資金 三六一五万〇〇〇〇円

共済運営資金 一八〇七万五〇〇〇円

一般会計繰入れ 九二五万〇〇〇〇円

その他、特別会費管理費用を支出

剰余金 二一二四万六七二五円

平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの状況

収入合計 一億四二九三万四六一五円

会館建設資金 九〇一九万六七二五円

共済運営資金 二八二五万二五〇〇円

連合会特別会費 五三九万七五一〇円

連合会共済負担金 五四五万八六〇〇円

一般会計繰入れ 九五〇万〇〇〇〇円

その他、特別会費管理費用を支出

剰余金 一二三万二八八三円

平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの状況

収入合計 一億六七二五万一四五二円

会館特別会計 一億二七一五万六二三九円

共済基金特別会計 二三三一万〇〇〇〇円

連合会特別会費 五三三万五三一〇円

連合会共済負担金 五五六万五〇〇〇円

その他、特別会費管理費用を支出

剰余金 四〇六万六三一五円

平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの状況

収入合計 一億九七五八万〇一四七円

会館特別会計 一億三七八二万七二三三円

共済基金特別会計 二六九二万七五〇〇円

連合会特別会費 五〇〇万三一二〇円

連合会共済負担金 五六二万〇三〇〇円

その他、特別会費管理費用を支出

剰余金 一八四九万八五六二円

平成六年四月一日から平成七年三月三一日までの状況

収入合計 二億〇〇四〇万七八六三円

会館特別会計 一億四四〇二万五〇〇〇円

共済特別会計 二八八〇万五〇〇〇円

連合会特別会費 五二七万〇五九〇円

連合会共済負担金 五七三万一六〇〇円

連合会研修事業特別会計 八七七万七一二〇円

その他、事件数割会費管理費用を支出

剰余金 二七六万六三七八円

平成七年四月一日から平成八年三月三一日までの状況

収入合計 二億八五七七万〇七四一円

会館建設資金 一億九五六三万〇七五〇円

共済特別会計 三九一二万六一五〇円

連合会特別会費 五六四万七七一五円

連合会共済負担金 五八七万三七〇〇円

連合会研修事業特別会計 一一二九万五四〇〇円

その他、事件数割会費管理費用を支出

剰余金 二一五一万五二一七円

平成八年四月一日から平成九年三月三一日までの状況

収入合計 二億三一三五万一九九六円

会館建設資金 一億六二一八万七五〇〇円

共済特別会計 三二四三万七五〇〇円

連合会特別会費 六六九万三一五三円

連合会共済負担金 六〇三万七五〇〇円

連合会研修事業特別会計 一三三八万六二八〇円

その他、事件数割会費管理費用を支出

剰余金 四九五万八四九一円

なお、平成八年三月、被告は会館建築工事を五億〇八七三万七八六五円で発注し、平成九年四月、会館工事が竣工した。

(三) (他会との比較)

我が国において、事件数割会費を設けている他の司法書士会及び、これらの会の事件数割会費の制度は別紙(三)のとおりである。

現在、被告の他、全国の司法書士会の全てが事件数割会費を導入している。制定形式は、一会が理事会決議による規則、四会が総会決議による規則、その余の四五会が会則による。

現在の他会の使途は、

経常経費だけの会 八会

共済のみの会 なし

経常経費(一般会計)及び共済のみの会 五会

共済を目的としない会 二三会

会館建設を目的としない会 二九会

である。

会則による会館建設や共済等を目的とする被告の事件数割会費制度は特異なものではない。また、被告の会費額が他の司法書士会に比べ突出して高額であるとか、低額であるとかいうことはない。

さらに連合会も、その事業遂行の経費を賄うため、その会則に基づき全国の司法書士会に対し会費を課し、その中には事件数割額による会費も含まれている。

即ち、連合会会則四〇条は、

(1) 経常の費用に充てるための別紙第一による普通会費(別紙第一 普通会費の一項により、月額は、毎月一日現在の司法書士会の会員一人につき金三二〇〇円の割合による額とする)

(2) 会館建設の費用に充てるための別紙第二による特別会費(別紙第二 特別会費の一項により、月額は、毎月一日現在の司法書士会の会員一人につき金三〇〇円の割合による額(会員数割額)並びに毎月一日現在の司法書士会の会員が前暦年中に嘱託を受けた登記、供託及び裁判事務の事件の総数の一二分の一に金一〇円を乗じて得た額(事件数割額)の合計額とする)

(3) 研修事業の費用に充てるための別紙第三による特別会費(別紙第三 特別会費の一項により、月額は、毎月一日現在の司法書士会の会員が前暦年中に嘱託を受けた登記、供託及び裁判事務の事件の総数の一二分の一に金二〇円を乗じて得た額(事件数割額)とする)

と定める。

以上のように、事件数割会費制度は、全国の司法書士会及び連合会の運営のため必要不可欠の会費制度として我が国の司法書士制度運営のために一般的に採用され、全国の司法書士からも支持されているものである。

被告会則は、連合会の指導の下、法務大臣の認可も得たものであり、標準的なものである。

第三証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

理由

一  請求原因1、同2(一)ないし(三)、(五)及び(六)の各事実、同4(一)の事実のうち原告の本件特別会費及び本件事件数割会費の支払の事実並びに同5の事実は、当事者間に争いがない。

二  右争いのない事実に証拠(甲一号証、二号証、七号証、九号証ないし一一号証、一三号証の一、二、一四号証、一五号証、二二号証、二六号証ないし二九号証、乙一号証ないし九号証、一〇号証の一、二、一一号証、一二号証、一三号証の一ないし三、一四号証、一五号証、一六号証の一ないし三、一七号証、一八号証の一ないし三、一九号証、二〇号証の一ないし三、二一号証、二二号証の一ないし三、二三号証、二四号証の一ないし三、二五号証ないし三四号証、三六号証ないし三九号証、証人村瀬金長一、原告本人)及び弁論の全趣旨を併せると、以下の事実が認められる。

1  (当事者)

被告は、司法書士法一四条の規定に基づき、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的として、名古屋法務局の管轄区域内に設立された法人である。なお、昭和四二年一二月一二日、名称を名古屋司法書士会から愛知県司法書士会に変更した。

原告は司法書士であり、被告の会員である。

2  (本件特別会費)

連合会は、昭和四〇年度の第一八回定時総会において連合会の事務所の建設計画を決定し、これにともない各司法書士会に対し、右事務所建設資金として、各司法書士会の会員が年間に取り扱う申請事件数を基礎として、一件あたりの拠出額を一〇円として算定した金額を割り当てる旨の内示をした。

これを受けて被告は、昭和四〇年五月二三日の定時総会決議により名古屋司法書士会共済規程を制定し、右連合会の事務所建設資金、被告の共済資金及び名古屋司法書士会会館建設資金を調達する目的で、同規程四条に、この資金の財源につき、別に被告が定める印紙代金頒布金等と定めるとともに、会員の取扱事件一件につき二〇円の台紙一枚を使用し、これにより右資金を調達することを決定した。右印紙台紙の使用については、共済規程の委任条項(二五条)に基づき、同年八月二一日の理事会の決定により名古屋司法書士会共済規程印紙台紙取扱要領が制定され、同年一〇月一日から施行された。

その後、被告は、平成二年五月二六日の定時総会において、新会館建設促進決議を行うとともに、会則を改正し、右の共済規程及び印紙台紙取扱要領に基づく印紙台紙制度を、特別会費として、会則二一条の定める別紙第一の入会金及び会費に関する規定六項として追加し、会則として整備した。その改正の内容は、別紙第一第六項を「特別会費は、会員が受託した甲号事件等の受託件数一件につき金二〇〇円の割合による事件数割会費とする。」に、同第七項を「特別会費は、別に定める印紙台紙規則により納入するものとする。」に(乙五号証)、印紙台紙規則二条を「会員は、前項の特別会費納入のため、別表1の印紙台紙及び別表2の証紙を購入し、次のとおり使用しなければならない。(1)会員は、その取扱いにかかる、登記甲号申請事件一件につき印紙台紙一枚を添付し使用する。(2)前項以外の甲号事件一件につき証紙一枚を貼付し使用する。」にするものであった(乙七号証)。

右の改正には、被告会則三七条二号、四〇条により、会員の過半数の出席及びその議決権の過半数の賛成が必要であったが、被告の会員総数六三六名に対し、四三八名が出席し(委任状による出席は二七一名)、賛成多数により承認された。

右改正規定は、同年一〇月一日から施行された。

さらにその後の平成五年五月二九日の定時総会において、特別会費についての会則は、別紙第一第四項を「特別会費は、当該年中に嘱託を受けた登記、供託、審査請求、国籍に関する書類の作成及び裁判事務の事件数に金三五〇円を乗じて得た額とする。」と改正された(甲二号証)。

印紙台紙の価格は、昭和五九年七月一日から一枚五〇円に、平成二年一〇月一日から一枚二〇〇円に、平成四年一月一日から一枚三五〇円に変更され、現在に至っている。

3  (本件事件数割会費)

以上の経過をふまえ、被告は、平成六年五月二八日、定時総会において、連合会の作成した司法書士会会則基準(右基準中では適用事件は「一月から一二月までの一年間に嘱託を受けた登記、供託及び裁判事務」と規定されている。)を前提に、被告会則二一条を「会員は、別紙第一第二項及び別紙第一第四項に定めるところにより、会費を納入しなければならない。」に、同別紙第一第四項を「事件数割会費の金額は、一月から一二月までの一年間に嘱託を受けた第七項各号の定める事件の事件数に金三五〇円を乗じた額とする。」にそれぞれ改正し、これを受けた被告会則別紙第一第七項は、「第四項の事件数割会費を適用する事件は、次のとおりとする。(1)登記(公共嘱託登記を含む)及び供託。ただし、(司法書士相互間の)復代理を除くこととし、申請書類の作成のみの場合を含む。(2)審査請求(3)裁判事務(司法書士報酬規定の裁判所等に提出する書類の作成等の事件のうち基本報酬が適用される事件)(4)国籍に関する書類の作成」とされた(甲一号証)。

右改正規定は同年六月一日から施行された。

現在、本件事件数割会費は、司法書士法一五条六号及びこれを受けた同法施行規則二六条、被告会則八五条による事件簿の記録、被告会則八六条一項による被告に対する会員の業務報告及び取扱事件明細表(甲一四号証)の形式による事件数割会費の適用事件及び報酬額の報告に基づき運用され、被告は、未納の場合、一般会費に関する場合と同様、まず口頭で支払督促を行い、三か月以上の未納の場合、文書によって請求をする取扱いをしている。そして、被告は、毎年二か月間、名古屋法務局の許可のもとに登記の申請書の調査を行い、支払の確認をしている。

4  (本件みなし脱会規定)

被告は、平成五年以前に、定額会費につき、被告会則二一条二項に「会員が前項の会費を六月分滞納し、本会から一定期日を定めて納入すべき旨の催告を受けたにもかかわらずその期日までに滞納会費を納入しないときは、当該会員は、その翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。」との規定を設けていた。

被告は、平成五年五月二九日、右規定を被告会則二一条の二第一項とし、同条二項として「本会は、前条第二項の事件数割による特別会費について、毎年一二月三一日を基準日と定めて会員の前暦年中の納入額を翌年三月三一日に確定し、未納額があるときは、一定期日を定めて納入を催告する。この場合、当該会員が催告を受けた指定の期日からなお四月間これを納入しないときは、その期日の翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。」との規定を新設することを決議した。

右の改正規定は司法書士法一五条七号、一五条の二により法務大臣の認可を必要とするものであるところ、精算規定の不備を指摘され、その後被告は、そのころ連合会と法務省の間で行われていた司法書士会会則基準についての検討結果に則り改めて会則の改正を行い、右改正についての認可申請を行うとともに、前記の平成五年改正規定についての認可申請を取り下げた。

新しく連合会が作成した司法書士会会則基準は、事件数割会費、みなし脱会規定等について「二一条 会員は、別紙第一第二項及び別紙第一第三項に定めるところにより、会費を納入しなければならない。二一条の二 会員は、別紙第一第二項第一号及び別紙第一第三項第一号に定める定額会費を六月分滞納し、本会から一定期日を定めて納入すべき旨の催告を受けたにもかかわらずその期日までに滞納会費を納入しないときは、その期日の翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。2 別紙第一第二項第二号及び別紙第一第三項第二号に定める事件数割会費については、本会が別紙第一第五項の定めるところにより精算し、不足額があるときは、会員に対し、一定期日を定めて納入を催告するものとする。この場合において、当該会員がその納入期日の翌日から四か月を経過してもこれを納入しないときは、四か月を経過した日の翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。別紙第一第二項(2) 事件数割会費は、一月から一二月までの一年間に嘱託を受けた登記、供託及び裁判事務の事件数に金 円を乗じた額とする。別紙第一第三項(2) 事件数割会費は、一月から一二月までの一年間に嘱託を受けた登記、供託及び裁判事務の事件数に金 円を乗じた額とする。」と規定するものであった。

連合会は法務省に対しその内容につき照会し、法務省はこれに対し、平成六年三月二三日、右基準に従い各司法書士会の会則変更認可申請をして差し支えない旨回答した(乙三三号証)。

被告はこれに従い、平成六年五月二八日の定時総会において、被告会則二一条の二を「会員は別紙第一第二項に定める定額会費を六月分滞納し、本会から一定期日を定めて納入すべき旨の催告を受けたにもかかわらずその期日までに滞納会費を納入しないときは、その期日の翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。2 別紙第一第四項に定める事件数割会費については、本会が別紙第一第八項の定めるところにより精算し、不足額があるときは、会員に対し、一定期日を定めて納入を催告するものとする。この場合において、当該会員がその納入期日の翌日から四か月を経過してもこれを納入しないときは、四か月を経過した日の翌日から会員である資格を失い、本会を脱会したものとみなす。」に改正し、さらに別紙第一第九項に「会則第二一条の二により会員資格を失った者は、脱会後すみやかに滞納会費を納入しなければならない。」と定め、同第一〇項に「前項の者が、再び入会しようとするときは、入会と同時に入会金及び滞納会費を納入しなければならない。」と規定した(甲一号証)。

右の決議にあたっては、被告の会員総数六八一名に対し、四七五名が出席(委任状による出席が二九一名)し、賛成多数により承認された。

右改正規定(本件みなし脱会規定)は、平成六年一一月一八日法務大臣により認可され、同日施行された。

5  (本件特別会費及び本件事件数割会費の目的、使途)

(一)  昭和四〇年に特別会費の徴収が始まった当初の目的は、連合会の事務所建設資金の被告割当分、被告共済資金の拠出及び被告会館建設資金の調達であり、平成二年一〇月一日施行の被告共済規程六条には、特別会費のうち四分の一が共済事業に充てられることが明記され(乙六号証)、同日施行の被告印紙台紙規則六条には、特別会費は被告共済運営資金に四分の一、被告会館建設資金に四分の二、その他は連合会会則三二条二項の会費及び同四〇条一項二号の特別会費、特別会費管理費用、総会の決議による一般会計への繰入れに充当されると規定された(乙七号証)。

その後、平成四年一月一日施行の被告印紙台紙規則により、特別会費の使途につき、右の被告共済運営資金の割合を七分の一以内、被告会館建設資金の割合を七分の五以上とする改正がなされた(乙八号証)。

(二)  本件特別会費及び本件事件数割会費の収入合計は、平成二年度が八六七八万二二五四円、平成三年度が一億四二九三万四六一五円、平成四年度が一億六七二五万一四五二円、平成五年度が一億九七五八万〇一四七円、平成六年度が二億〇〇四〇万七八六三円、平成七年度が二億八五七七万〇七四一円、平成八年度が二億三一三五万一九九六円であり、主要な使途は、被告会館建設費、被告共済運営資金、連合会特別会費、連合会共済負担金であり、他に特別会費管理費用、事件数割会費管理費用、一般会計への繰入れ(平成二年度に九二五万円が広報費の一部に充当され、平成三年度に九五〇万円が広報費の一部に充当された。)に支出された。

被告会館建設費には、それぞれ右総額のうち、平成二年度に四一・七パーセントが、平成三年度に六二・五パーセントが、平成四年度に七六・〇パーセントが、平成五年度に六九・八パーセントが、平成六年度に七一・九パーセントが、平成七年度に六八・五パーセントが、平成八年度に七〇・一パーセントが支出され、共済運営資金には、同じくそれぞれ右総額のうち、平成二年度に二〇・八パーセントが、平成三年度に二〇・三パーセントが、平成四年度に一三・九パーセントが、平成五年度に一三・六パーセントが、平成六年度に一四・四パーセントが、平成七年度に一三・七パーセントが、平成八年度に一四・〇パーセントが支出された。

(三)  被告は、右支出により、名古屋市熱田区新尾頭<番地略>に敷地面積八〇〇・五五平方メートル、建築面積七〇二・九六平方メートル、鉄筋八階建の新会館を建設し、右新会館は平成九年四月に竣工した。

被告は、平成九年四月二一日、昭和四九年から使用した名古屋市東区主税町<番地略>の法務総合ビル五階部分から新会館に事務所を移転し、新会館は、被告の事務所、市民相談室、図書資料室及び会議室等に使用されている。

(四)  なお、平成五年には、被告の調査の結果、四〇数名の印紙台紙未貼付及び旧台紙の使用等の不備が発見された。

平成八年度には調査の結果三件の印紙台紙未貼付者が発見され、綱紀委員会に調査が依頼され、このうち二名については現在会費未納額の調査中であり、一名については平成九年五月三〇日、未納額について請求し、同年六月五日支払われた。

6  (他会の状況など)

(一)  連合会は、各司法書士会から普通会費の他に特別会費を徴収している。

即ち、昭和五九年一〇月一日以降平成六年五月三一日までの連合会会則四〇条は、(1)経常の費用に充てるための別紙第一による普通会費(別紙第一 普通会費の月額は、毎月一日現在の司法書士会の会員一人につき金三二〇〇円の割合による額とする。)(2)会館建設の費用に充てるための別紙第二による特別会費(別紙第二 特別会費の月額は、毎月一日現在の司法書士会の会員一人につき金三〇〇円の割合による額(会員数割額)並びに毎月一日現在の司法書士会の会員が前暦年中に嘱託を受けた登記、供託及び裁判事務の事件の総数の一二分の一に金一〇円を乗じて得た額(事件数割額)の合計額とする。)の徴収について規定し、平成六年六月一日以降現在に至るまでの会則は右条項に加え、四〇条(3)で研修事業の費用に充てるための別紙第三による特別会費(別紙第三 特別会費の月額は、毎月一日現在の司法書士会の会員が前暦年中に嘱託を受けた登記、供託及び裁判事務の事件の総数の一二分の一に金二〇円を乗じて得た額(事件数割額)とする。)の徴収について定める(乙二七号証)。

(二)  被告における事件数割の徴収方法による特別会費制度は、右の連合会会則施行に先立つ時期に、事件数割の計算方法による金額を連合会の会館建設費として拠出することを求められたことに始まるものであるが、その後連合会では、モデル会則である司法書士会会則基準を改正し、前記のとおり、みなし脱会規定に関する見解を法務省に求めるなどしてきた。結果として全国の五〇会の司法書士会すべてが事件数割額による特別会費制度を持ち、これを会館建設、共済への拠出、経常経費への拠出、連合会への拠出などにあてている。それらの会費額は、事件一件あたり一〇円から四五〇円である。

みなし脱会制度も、定額会費については五〇会全てに存在し、事件数割会費については四三会に存在し、このうち三八会が滞納会費を納めれば再入会できるとの精算規定を設けている。

7  (原告の支払)

原告は、被告の請求に従い、平成七年一二月一三日に平成四年度から平成六年度までの未納特別会費一八五二万三〇五〇円を、平成八年五月三一日に平成七年度分の事件数割会費五九八万六七五〇円を、平成九年六月一〇日に平成八年度分の事件数割会費六〇一万三三五〇円を、平成一〇年八月七日に平成九年度分の事件数割会費六〇二万三八五〇円を支払った。

三  本件特別会費及び本件事件数割会費の効力について

1  (被告における会費の平等について)

原告は、被告会員間の会費負担は平等でなければならず、ことに被告が強制加入団体であって(司法書士法六条、六条の二、一五条の五、一九条一項)、被告に加入しなければ、司法書士としての業務を行うことができないのであるから、その会費負担の平等は厳格に求められ、頭割りの定額負担による形式的平等でなければならないこと、したがって、本件特別会費及び本件事件数割会費は不平等な取扱いとして憲法一四条及び民法九〇条に違反し、無効である旨を主張するものである。

もとより、被告会員間の会費負担は平等でなければならず、被告が右のとおり強制加入団体であることにも鑑みると、その平等な取扱いが厳格に運用されなければならないことは言うまでもないところと考えられる。

しかし、被告における会費負担の平等な取扱いの具体的な方法、内容のいかんは、強制加入団体としての被告の属性を考慮に入れても、必ずしも原告が主張するように頭割りによる均一の定額会費でなければ不平等で許されないと解すべき理由はなく、被告の団体としての自治の範囲内において、被告及び会員の業務の内容、性質、会費の使途目的その他の事情を考慮して、その目的及び手段が合理的であって、実質的に平等と評価しうる会費の負担方法を定めることが許されると解すべきである。

被告は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的として設立された法人であり(司法書士法一四条二項、甲一号証の被告会則二条)、その会費の負担については、被告の前記の設立目的に沿った業務活動によってもたらされる会員各自に対する各種便益の供与や、その活動によって司法書士業務一般が円滑に確保され拡充されるという諸々の効果の点をも考慮して検討することが相当である。この観点からは、より多くの業務を行った会員は、被告の右の業務活動による効果をより多く享受したものとして、自己の業務量に応じた会費を負担するとの考えにも合理性がないとは言えない。

調査嘱託の結果によれば、被告と同様に強制加入団体である(弁護士法八条、九条、三六条、税理士法一八条、二一条、四九条の六、弁理士法六条)名古屋弁護士会、名古屋税理士会及び名古屋弁理士会においては、会員ごとに負担額が異なる会費制度を取っていないことが認められる(ただし、名古屋弁護士会においては、五〇年以上弁護士である会員について会費を免除しており、また、名古屋弁理士においては、弁理士登録後満五〇年に達した会員及び弁理士登録後満二五年を経過し、かつ年齢満八〇歳に達した会員について会費を免除している。)。

しかし、これらの団体の会員の業務と被告の業務を比較検討して見ると、弁護士の業務は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うこと並びに弁理士及び税理士の事務を行うことであり(弁護士法三条)、税理士の業務は、他人の求めに応じ、租税に関する税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うこと並びに税理士業務に付随して財務書類の作成、会計書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を行うことであり(税理士法二条)、弁理士の業務は、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願に関し特許庁に対しなすべき事項及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する異議申立て又は裁定に関し通商産業大臣に対しなすべき事項の代理並びにこれらの事項に関する鑑定その他の事務を行うことである(弁理士法一条)が、これらに対して、司法書士の業務は、他人の嘱託を受けて、登記又は供託に関する手続について代理すること、裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成すること、法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること、そしてこれらに付随する業務を行うことであるところ(司法書士法二条の他、司法書士報酬規定(別紙(一))、甲七号証)、右の司法書士の業務と弁護士、税理士及び弁理士の業務の性質及び内容を対比してみると、例えば弁護士の訴訟事務等が、通常、相当の期間にわたって発展的に進行していく性質の事務であって、その規模や難易、事務量は事件ごとの格差が大きく、取り扱った事件数と業務量の相関関係が希薄であるのに対し、司法書士の業務は、登記や供託の手続等それ自体で完結する手続の代理業務が中心となるもので、取り扱った事件の数によってその業務量を把握することが相対的に容易であるということができる。

右のような司法書士の一般的な業務の性質に鑑みれば、司法書士会の会費の負担方法について、会員各自の取り扱った事件数から推認できる業務量に着目し、それを基準にして一定部分の会費負担を定めることも、合理的で実質的に平等な方法と認める余地があるというべきである。

2  (目的の合理性について)

本件特別会費及び本件事件数割会費の使途、目的は、前記二5に述べたとおりであって、被告の新会館建設及び共済の運営、連合会への拠出金の負担に充てられている。

(一)  (新会館建設)

このうち、被告の新会館建設のための支出が最も多くの割合を占めているが、司法書士会も前記の設立目的に沿った業務活動を行うため、団体としての規模に応じた事務所等の物的施設を備える必要があることは当然であって(司法書士法一五条一号もそれを予定する規定である。)、被告の新会館の建設は、その目的の範囲に属する事柄というべきである。したがって、その構成員である会員らが会費によってその費用を賄うことには合理性がある。

(二)  (共済制度)

司法書士法一四条二項は、司法書士会の目的を、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことと規定しており、乙二九号証によれば、被告の共済制度は、会員の福祉の増進を図ることを目的とし(被告共済規定一条)、被告会員は共済事業に参加し(同二条)、会員の拠出金、寄附金、資金の管理運用によって生じた利益が共済に充てられ(同六条)、会員に対して死亡給付金、交通障害給付金、交通入院給付金、脱会給付金、傷病見舞金、災害見舞金が支給される(同七条)ことが規定されている。

このような被告における共済制度の目的及び機能は、会員の生活の安定に寄与し、会員に対する福祉に資すものであって、司法書士の品位を保持するとの司法書士会の目的に沿うものであるから、会費をもって共済運営資金に充てることにも合理性がある。

(三)  (連合会への支出)

連合会は、司法書士法一七条一項によってその設立が規定されており、その目的は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、司法書士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務を行い、司法書士の登録に関する事務を行うことである(同条二項)。そして、連合会の事務所の建設及び研修事業等の活動のため、被告がその負担分の支出をすることもその目的の範囲内にあると認められるから、会費をもって右の支出に当てることにも合理性がある。

3  (手段の合理性について)

(一)  (適用事件の選択について)

(1)<1> 原告は、本件事件数割会費の適用事件の選択が不合理であると主張しているので検討する。

司法書士の業務は、前記のとおり司法書士法二条によって「一 登記又は供託に関する手続について代理すること。二 裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成すること。三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。」と定められているところ、被告は、会則別紙第一第七項によって事件数割会費の適用事件を「(1)登記(公共嘱託登記を含む)及び供託。ただし、(司法書士相互間の)復代理を除くこととし、申請書類の作成のみの場合を含む。(2)審査請求 (3)裁判事務(司法書士報酬規定の裁判所等に提出する書類の作成等の事件のうち基本報酬が適用される事件)(4)国籍に関する書類の作成」と規定している(甲一号証)。

両者を比較してみるに、被告会則が定める事件数割会費の適用事件は、登記及び供託に関する復代理を除くこと、裁判所に提出する書類のうち文案を要しないものを除くことを除いて、ほぼ司法書士法二条に明記された司法書士の取り扱う事件に相当するものである。

また、司法書士報酬規定(司法書士法一五条六号に基づく被告会則九五条に定める規定、別紙(一))と対比してみると、適用事件は、同規定に表示される業務のうちの、〔[1]〕登記又は供託に関する申請のうちの復代理を除くもの、審査請求又は抵当証券の交付の手続の代理、〔[2]〕裁判所等に提出する書類の作成等のうちの基本報酬の適用のあるもの、〔[3]〕その他の書類の作成のうちの(1)国籍に関する書類の作成であって、同規定の大部分の事件がこれに該当するものとなっている。

さらに、被告会員は、被告会則八六条によって、連合会の定める付録第一一号様式(甲一三号証の一、二、乙三号証)により、処理した事件の総数及び報酬の総額を被告会長に報告することが定められているが、右業務報告の内容を司法書士報酬規定と比較すると、〔[3]〕その他の書類の作成が、国籍に関する書類の作成、乙号事件(登記簿(地図を含む。)または申請書等付属書類の閲覧(登記の申請手続の代理または申請書類の作成もしくは申請行為の代理に関する場合は請求書の作成報酬のみに限る。)、登記事項要約および謄本、抄本、登記事項証明、印鑑証明の交付申請について一請求を一件として記載する。)とされている他は右規定と同様の分類となっており、結局、右報告事件の大部分が適用事件に相当するものと認められる。

そして、被告会員は、被告会則八五条及び被告事件簿規則(乙二号証)により、連合会が定める付録第一〇号様式によって事件簿を作成しなければならず、それに記載を要する事件は、登記に関する手続の代理(書類の作成を含む。)、供託に関する手続の代理(書類の作成を含む。)、登記または供託に関する審査請求の手続についての代理(書類の作成を含む。)、裁判所および検察庁に提出する書類の作成(文案を要しない書類の作成を除く。)、国籍に関する書類の作成、公共嘱託登記とされているから、事件簿に記載すべき事件は、登記に関する復代理を含む点を除き、適用事件に含まれることになる。

<2> 乙三一号証(平成二年度の前記業務報告に基づく連合会の集計資料)及び甲二七号証(原告の照会に対する被告の回答)によれば、平成二年度の被告会員における不動産登記件数は四七万六四五六件、財団の登記の件数は五四四件、抵当証券の交付は一三〇件、商業又は法人の登記は五万六七八〇件、公共嘱託登記は一万〇八六三件、供託は三八五件、審査請求は一件、裁判所に提出する書類のうち基本報酬が適用される事件は一五〇九件、裁判所に提出する書類のうちその他の書類は一四八〇件、国籍に関する書類の作成は一一件、その他の事件は三〇万二四三二件であり、これによれば、適用事件は、五四万六六七九件で六四・三パーセント(なお、登記、供託に関する復代理を含むものと思われる。)、非適用事件は、三〇万三九一二件で三五・七パーセントである。そして、適用事件による報酬総額は、一〇〇億四六一九万〇三四二円で九五・八パーセント、非適用事件による報酬総額は、四億三九三一万〇九八八円で四・二パーセントである。

また、右甲二七号証によれば、平成九年度の被告会員の業務報告書による適用事件と非適用事件の割合等は、適用事件が六三・四パーセント、非適用事件が三六・六パーセントであり、会員は、全体としてみると、報酬額の九五・八パーセントを適用事件から、四・二パーセントを非適用事件から得ていることが認められる。

<3> 以上の検討によれば、被告の事件数割会費の適用事件は、司法書士法二条に明記され、司法書士の主要な業務であるいわゆる法定業務を主たる対象としており、その運用の実情としても、被告に所属する司法書士が報酬を得ている主要な事件が対象となっていることが明らかである。

(2)<1> 原告は、適用事件の範囲が不明確である例として抵当証券の交付手続の代理を挙げている。

しかし、乙二六号証によれば、この問題に関する被告の見解は、法務省の見解と同旨で、抵当証券の交付手続は、抵当権者がその登記を管轄する登記所に自ら又は代理人により出頭して申請し、登記官がこれを交付することによりなされ(抵当証券法一条一項、三項、一一条)、登記官がこれを交付したときは職権により抵当権設定登記にその旨を付記しなければならない(不動産登記法一二九条、一三〇条)のであるから、同交付申請は、必然的に登記手続を伴うものであり、抵当証券交付手続の代理は、司法書士法二条一号の「登記又は供託に関する手続について代理すること。」に該当し、被告会則別紙第一第七項の(1)「登記」に該当するというものであり、司法書士報酬規定にも、「〔[1]〕登記又は供託に関する申請、審査請求又は、抵当証券の交付の手続の代理」欄のうちに登記手続の一つの分類として抵当証券の交付に関する報酬欄を定めている。

そして、右乙二六号証によれば、現実の運用も右の見解に従って行われていることが認められ、右の点に関する取扱が不明確であることは認められない。

<2> また、原告は、司法書士法二条が定める法定業務には、同条に明文化されている業務の他、これらに付随する業務も含まれるものであるから、法定業務のうちの一部を選択して適用事件とし、所有権移転登記の申請義務者の保証業務、公正証書作成代理業務、立会業務などを非適用事件としている現行会則は不合理であると主張する。

しかし、仮にいわゆる法定業務には、司法書士法二条に明記された事件の他に、これに付随する業務が含まれるとした場合でも、その多くは法定業務に付随してなされる業務と推認されるから、例外的に付随的な業務が適用事件に含まれないことがあるとしても、前記の選択が直ちに不合理であることにはならない。

また、甲八号証によれば、司法書士の登記の立会、保証書作成などは、司法書士法二条に明記された業務と比較して、なお司法書士の業務として確立される途上にある付随業務と捉えられており、その報酬については依頼者との個別の合意によるなど適正な取扱いがなされるよう検討されている段階にあるものと認められるから、これらを非適用事件とする選択が不合理であるとは認められない。

<3> さらに、原告は、適用事件から司法書士間の復代理による事件が除外されている点を不合理であると主張するのであるが、依頼者の嘱託にかかる事件の数に着目して、実質的な事件の件数によることを相当とした被告の選択が不合理とは解されない。

(二)  (被告による事件数の把握と会費の未納について)

本件特別会費及び本件事件数割会費の適用事件数の把握及び調査は、前記二3に判示した方法によって行われており、これによって若干の未納者等があることが発見されたことは前記二5(四)に判示したとおりである。右の事実に鑑みれば、本件特別会費及び本件事件数割会費の制度が、被告による調査方法等の裏付けもなく、粗雑なものであって、会費の公平な徴収制度として不備であるとは認め難いというべきである。

(三)  (結果の不合理性について)

(1) 原告は、被告会員が取り扱う事件は様々であって、その中に占める適用事件の割合も各会員によって異なるのであるから、事件数割会費は会員の負担に不平等をもたらすと主張する。そして、前掲甲二七号証によれば、被告の調査の結果によっても、適用事件が一〇〇パーセントの会員も、また非適用事件が一〇〇パーセントの会員もあったことが認められるから、右の調査結果は、原告の右の主張を裏付けるかのごとくである。

しかしながら、これら適用事件の割合の平均的な数値からかけ離れた会員の例は、六〇〇名から七〇〇名前後に及ぶ被告会員(乙三六号証)中の僅かな一部の事例であって、その事情としては、開業して間がないとか、合同事務所を営んでいるなどの個々の事情があり得ることは、弁論の全趣旨によっても容易に推認できるところであり、事件数割会費制度の運営が基本的に困難であるとの実態を窺わせるほどの資料は見あたらない。

(2)<1> 原告の特別会費及び事件数割会費額が年間約六〇〇万円に上ることについては当事者間に争いがない。

一方、乙二〇号証の一、三六号証によれば、平成六年度の被告会員一人当たりの事件数割会費の平均額は二九万四一九二円(印紙台紙による収入総額は二億〇〇三四万四九〇〇円(雑収入を除く)、会員総数六八一名)であるから、原告が他の大半の被告会員に比べ、多額の事件数割会費を納めていることは明らかである。

<2> しかし、乙三一号証、三六号証によれば、平成二年度の報告事件についての被告会員の報酬平均額は一六四八万六六三七円であるのに対し(報酬総額一〇四億八五五〇万一三三〇円、会員総数六三六名)、甲二八号証によれば、同年度の原告の報告事件による報酬総額は二億〇二三七万〇七〇〇円で、右平均報酬額の約一二倍であることが認められ、原告の事件数割会費が相対的に多額であるのは、処理事件数及び報酬額が多いことによるものである。

<3> また、甲一五号証、二八号証、乙一〇号証の三及び三一号証によれば、平成二年度の被告会員の適用事件の総数は五四万六六七九件、同年度の原告の適用事件数は一万五三九〇件で、右総数の二・八パーセントに当たり、これに対し、同年度の被告における特別会費総額は八五二五万〇〇〇〇円(ただし平成二年一〇月一日から平成三年三月三一日まで)、原告の特別会費は約四〇〇万円で、右総額の約四・七パーセントであることが認められる。

また、甲三号証、五号証、一七号証、一九号証、二六号証、乙一六号証の一、一八号証の一、二〇号証の一、二二号証の一及び二四号証の一によれば、被告名古屋中央支部においては、平成三年度の事件総数が二七万五四六八件、平成四年度の事件総数が二四万六一二九件であって、被告会員における処理事件総数に大きな変動がないことが推測され、一方、原告の適用事件数も平成四年度が一万七六五九件、平成五年度が一万八二六七件、平成六年度が一万六九九七件、平成七年度が一万七一〇五件、平成八年度が一万七一八一件、平成九年度が一万七二一一件であり、およそ一万七〇〇〇件から一万八〇〇〇件で推移しており、右総数に占める割合に大きな変動はないことが推測される。

そして被告の特別会費及び事件数割会費による収入(雑収入を除く)は、平成四年度が一億六七一五万六七〇〇円、平成五年度が一億九七五三万四六〇〇円、平成六年度が二億〇〇三四万四九〇〇円、平成七年度が二億八五七一万四二五〇円、平成八年度が二億三一二六万〇四〇〇円であること、一方、原告の特別会費、事件数割会費負担額、これが被告における右の総額に占める割合は、平成四年度が六一八万〇六五〇円で三・七パーセント、平成五年度が六三九万三四五〇円で三・二パーセント、平成六年度が五九四万八九五〇円で三・〇パーセント、平成七年度が五九八万六七五〇円で二・一パーセント、平成八年度が六〇一万三三五〇円で二・六パーセント、平成九年度が六〇二万三八五〇円であることが認められる。

これらを総合してみるに、原告の適用事件は、各年度の被告の適用事件総数の概ね三パーセント程度で推移し、一方、原告の負担する特別会費及び事件数割会費も概ね被告の特別会費及び事件数割会費による収入総額の三パーセント程度で推移していることが推認され、原告の負担額が処理事件数から見て不合理に多額であるとは窺われない。

<4> さらに、甲二七号証、二八号証によれば、被告会員についての適用事件が報告事件に占める割合の平均は、平成二年度が概ね六四・三パーセント、平成九年度が六三・四パーセントであるのに対し、原告の平成二年度の適用事件が報告事件数に占める割合は、概ね六九・三パーセントであり、平均より突出して多いとは認められない。

報酬の面からみても、被告において適用事件による報酬が報告事件による報酬に占める割合の平均は、平成二年度、平成九年度とも九五・八パーセントであるのに対し、原告の平成二年度の右割合は九六・六パーセントであって、原告の処理事件にとりたてて特色があるとは認められない。

<5> 以上の検討によってみると、本件特別会費及び本件事件数割会費が、原告にのみ不合理な多額の負担をもたらしているとは認め難いと言うべきである。

(3) 乙三一号証によれば、被告会員の平成二年度における適用事件一件当たりの平均報酬額は、不動産登記事件で一万八四二二円、財団の登記事件で二万一三五〇円、抵当証券の交付事件で四万五四四四円、商業又は法人登記事件で一万八九七一円、供託事件で四七五一円、審査請求事件で一万三〇〇〇円、裁判所等に提出する書類の作成等につき、基本報酬の事件一件の平均報酬が二万五八三八円、国籍に関する書類の作成事件が一三万三八四五円、公共嘱託登記が一万二一五二円であったことが認められる。

右の報酬額と対比してみるときも、一件あたり三五〇円の本件事件数割会費の負担が、不当に高額であるとは認め難い。

(四)  原告は、本件特別会費及び本件事件数割会費が、被告会員間に、できるだけ非適用事件を取り扱って、登記業務等の適用事件を軽んじる傾向を生じさせる旨主張するのであるが、被告会員の処理事件の実態が原告の右主張のように推移していることを窺わせる証拠は見あたらない。

(五)  (本件みなし脱会規定について)

(1) 事件数割会費を支払わなかった会員は、被告会則二一条の二第二項により、普通会費を支払わなかった場合と同様、被告を脱会したものと見なされる。そして、司法書士法一九条一項は、司法書士会に入会している司法書士でない者の司法書士業務を禁止しているから、みなし脱会となっている間、当該司法書士は司法書士の業務を行うことができない。もっとも、司法書士は、同法六条により、連合会に登録することを要するところ、みなし脱会になったことそれ自体は、同法六条の八所定の登録取消事由(業務を廃止したとき、死亡したとき、司法書士となる資格を有しないことが判明したとき、同法第四条各号の一(欠格事由)に該当するに至ったとき)のいずれにも該当しないため、被告を脱会したとみなされる者も、なお連合会には登録されている状態となる。(もっとも、当該司法書士が二年以上業務を行わない場合には、連合会は、同法六条の九一項一号により、登録を取り消すことができる。)

いずれにせよ、強制加入団体である被告からのみなし脱会は、その状態においては司法書士の業務を行うことができないという重大な効果をもたらすものである。

(2) しかし、会費の不払は、被告にとってもその経済的基盤を揺るがすもので、その存立にかかわる重大な事柄であり、会員にとっては、その支払義務は会員として基本的な義務というべきであるから、被告が会費の不払に対して一定の不利益措置をもって臨み、もって会費の支払を確保する手段を定めることも、合理的な範囲内においては許されることと解すべきである。

そこで、被告は、会則別紙第一第一〇項に、みなし脱会となった者が、再び入会しようとするときは、入会と同時に入会金及び滞納会費を納入しなければならない旨の精算規定を設け、みなし脱会となった者に再入会の機会を与えていること、そして、みなし脱会となった者も、前記のとおり司法書士としての資格を失うものではなく、連合会における登録にも異動がないから、被告への再入会によって司法書士としての業務を再開することが可能であることを考慮すると、本件みなし脱会規定は、事件数割会費の支払確保の目的のために、過剰に過酷な不利益措置を定めたものとは認められない。もとより、それは、管轄地方法務局長等の権限とされ(司法書士法一二条)、司法書士会には与えられていない会員に対する懲戒処分にも当たらないと言うべきである。

4  (結論)

以上に検討したところによれば、被告の本件特別会費及び本件事件数割会費の制度は、会員に頭割りの均一な会費とは異なる個別の会費負担をもたらすものであるが、その徴収目的、方法及びその確保の手段は、いずれも被告及び会員の業務の性質等に照らして合理性があり、実質的な会費負担の平等が図られているものと解することができ、それが原告主張のように、不合理で不平等、不備で不当な制度として憲法一四条、民法九〇条に違反し無効であるとは認められない。

三  結論

以上のとおりであって、原告の本訴請求は、いずれも理由がないからこれらを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 中村直文 裁判官 藤田敏 裁判官真鍋麻子は、転補につき署名押印できない。裁判長裁判官 中村直文)

別紙(一) 司法書士報酬規定<省略>

別紙(二) 一般会費及び事件数割(特別)会費の納付状況(毎決算期基準)<省略>

別紙(三) 司法書士会入会金・会費額一覧表<省略>

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