大判例

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名古屋地方裁判所 平成8年(行ウ)13号 判決

原告

浅野郁郎

被告

(愛知県名古屋給与事務所長) 水谷良夫

(名古屋市立円上中学校長) 岡田絜

(名古屋市立中学校長) 野口光正

右三名訴訟代理人弁護士

大場民男

事実及び理由

第四 当裁判所の判断

一  旅費支出行為(旅費プール制)の違法確認請求について

本件訴えは、原告が愛知県の住民として、地方自治法二四二条の二第一項に基づき提起しているものであるが、同項に基づき訴えをもって請求することができるのは、同項一号ないし四号に掲げられている類型の請求でなければならないところ、本件における旅費支出行為の違法確認請求は、いずれの類型にも該当しない。

また、〔証拠略〕によると、本件におけるプール金は、県費負担職員がした正規の出張につき旅費条例に基づき支給を受けた旅費のうち所定額を超える部分を拠出したものであり、正規の受領手続を経た後、別途プール用の預金口座において保管されていたものであることが認められるから、プール金は、もはや、公金ということはできず、プール金からの支出行為をもって住民訴訟の対象となる公金の支出行為とみることはでない。

したがって、本件訴え中旅費支出行為(旅費プール制)の違法確認請求に係る部分は、不適法である。

二  金員の給付請求について

右に判示したように本件プール金は、公金とはいえないから、プール金に係る金員の支出、繰越し、保管等は、住民訴訟の対象となる財務会計上の行為には当たらない。したがって、プール金の支出、管理等をしたことをもって被告岡田、被告野口が地方自治法二四二条の二第一項四号前段の当該職員に当たるとすることはできない。

次に、被告水谷の行った旅費の支出負担行為及び支出命令は、財務会計上の行為に当たるが、〔証拠略〕によると、原告は、本件監査請求において、被告水谷が給与事務所長として行った多数の財務会計上の行為のうち、どの行為が違法であるのかについて、個別具体的に明らかにしていなかったことが認められ、本訴においても、個別具体的に明らかにしない。

そうすると、被告水谷が当該職員に当たること、被告水谷の行った財務会計上の行為が違法であることを前提とする請求は、適法な監査請求を経ておらず、また、本訴においても財務会計上の行為の特定がなされていないことになる。

したがって、本件訴え中金員の給付を求める請求に係る部分も、不適法である。

(なお、前示のように、プール金は、県費負担教職員が実際に行った旅行について旅費条例に基づき正規の手続により支給を受けた旅費から拠出されたものであるから、原告の指摘するように、そのプール金からの支出あるいはプール金の管理に問題があるとしても、被告水谷の行った旅費の支出負担行為及び支出命令によって県に財産上の損害が発生したとする余地はない。また、〔証拠略〕によると、円上中学校では、平成七年度においても当初はプール制を実施する予定であったが、名古屋市教育委員会の指導により実施しないこととし、前年度からの繰越金は、平成七年一一月一六日の職員打ち合せにおいて、平成五年度及び平成六年度においてプール制により拠出した旅費額の当該県費負担職員への返納等に充当することが決定され、同月二一日に精算されたことが認められるので、本件においては、被告らが不当に利得をしているとする余地もない。)

第五 総括

よって、本件訴えを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 森義之 岩松浩之)

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