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名古屋地方裁判所 平成9年(ワ)4036号 判決 1999年4月30日

原告

武吉輝幸

ほか三名

被告

関野雅文

主文

一  被告は、原告武吉輝幸に対し金一三二八万三一七一円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告武吉千里に対し金三三三万七五五八円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告は、原告武吉保明に対し金二二万四三八〇円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

四  被告は、原告武吉美和に対し金一三万一三八〇円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

五  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

六  訴訟費用はこれを六分し、その一を被告の負担とし、その余を原告らの負担とする。

七  この判決は第一ないし第四項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告は、原告武吉輝幸に対し金八八一六万六〇五〇円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告武吉千里に対し金四三二万一二三四円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告は、原告武吉保明に対し金四五万一七八〇円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

四  被告は、原告武吉美和に対し金一六万六三八〇円及びこれに対する平成五年一一月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、原告らが乗車中の車両に被告運転車両が衝突し、原告らが傷害を負ったとして、原告らが被告に対し自動車損害賠償保障法三条に基づき損害賠償を請求した事案である。

一  争いのない事実等

1  左記交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。

(一) 日時 平成五年一一月一三日午後四時〇〇分ころ

(二) 場所 愛知県愛知郡長久手町大字熊張字茨ケ廻間一五三三番地一先道路上(県道力石・名古屋路線)

(三) 第一車両 普通乗用自動車(練馬五二め一一二)

運転者 被告

(四) 第二車両 普通乗用自動車(岐阜五四ほ五五八)

運転者 原告武吉輝幸(以下「原告輝幸」という。)

同乗者 原告武吉千里(以下「原告千里」という。)、同武吉保明(以下「原告保明」という。)、同武吉美和(以下「原告美和」という。)

(五) 事故の態様 被告が第一車両を運転中、反対車線に滑走させ対向車両である第二車両に正面衝突し、第二車両に乗車中の原告らが傷害を負った。

2  被告は、第一車両を所有し運行の用に供していたもので自動車損害賠償保障法三条の責任がある。

3(一)  原告輝幸は、本件事故により右股関節脱臼骨折、下顎・口腔内挫創、頭部・腹部挫傷の傷害を受けた(甲七の11、一〇八)。そしてその後、治療の過程で四肢蜂窩織炎、左下肢接触皮膚炎二次感染となり(甲二二二、二六一)、また右大腿骨骨頭壊死となり(甲二二一、二二二)これらについても治療を受けた。その内容は次のとおりである。

(1) 公立陶生病院整形外科 平成五年一一月一三日から平成六年三月一九日まで及び平成七年一一月二七日から平成八年三月二三日まで入院(合計二四五日間)、平成六年三月二〇日から平成八年七月一七日まで通院(実日数二五日間)(甲三の二、二六九)

(2) 公立陶生病院皮膚科 平成六年九月二七日から同月三〇日まで入院(四日間)、平成六年一〇月一日から平成七年六月一五日まで通院(実日数三六日間)(甲二四八、二五三、弁論の全趣旨)

(3) 公立陶生病院放射線科 平成六年五月一三日から平成七年一一月一七日まで通院(実日数八日間、放射線科は予約の日と検査の日と毎回二日を要した。)(甲二二四ないし二三六)

(二)  原告輝幸は、平成八年七月一七日症状固定と診断され、自動車保険料率算定会のいわゆる事前認定では、自動車損害賠償保障法施行令別表八級七号に該当するとされた(甲三の1、2、二六九)。

4  原告千里は、本件事故により頭部打撲、胸部・両下肢・両上肢打撲、腹部打撲、頭頸部挫傷、左肩打撲、胸骨骨折、胸腹部・両下肢挫傷、頸部挫傷の傷害を受けた(甲七の12、三一六、三二八)。そして原告千里は、本件事故後次のとおり通院して治療を受けた(ただし、後記のとおり治療の相当性については争いがある。)。

(一) 公立陶生病院脳神経外科 平成五年一一月一三日から同月一五日まで通院(実日数三日間)(甲三〇八ないし三一六)

(二) 公立陶生病院整形外科 平成五年一一月一五日から平成八年二月一五日まで通院(実日数二八日間)(甲三一九ないし三二一)

(三) 公立陶生病院眼科 平成五年一二月三日通院(実日数一日間)(甲三〇五)

(四) 眼科杉田病院 平成六年二月一六日通院(実日数一日間)(甲三八三の2、三八四)

(五) 名古屋大学医学部附属病院整形外科 平成八年二月八日から同年三月六日まで通院(実日数四日間)(甲三八八)

(六) 名古屋徳洲会総合病院整形外科 平成八年三月二七日から平成九年一〇月一八日まで通院(実日数七一日間)(甲三四〇の1、2、三四一ないし三五〇、弁論の全趣旨)

5  原告保明は、本件事故により左上腕骨内顆骨折、脳震盪症の傷害を受けた(甲七の14)。そして原告保明は、本件事故日である平成五年一一月一三日から平成六年一月四日まで(実日数七日間)公立陶生病院脳神経外科、整形外科に通院して治療を受けた(甲三三二ないし三三九)。

6  原告美和は、本件事故により左膝挫傷の傷害を受けた(甲七の13)。そして原告美和は、本件事故日である平成五年一一月一三日から同月二六日まで(実日数四日間)公立陶生病院整形外科に通院して治療を受けた(甲三二九)。

7  既払金 一九七七万六三二四円

本件事故につき被告側が契約している保険会社から右金額が支払われ、原告らは本訴では右金額の支払は請求していない。

(一) 原告輝幸分 合計一九三四万三一〇九円(治療費等六四八万五八九五円(弁論の全趣旨)、休業損害一〇一二万七四八八円、賞与減額分二五三万五〇〇〇円、松葉杖、T字杖代一九万四七二六円(弁論の全趣旨))

(二) 原告千里分 治療費二六万三七八五円(公立陶生病院脳神経外科、整形外科、眼科の平成五年一一月一三日から平成六年一一月一一日までの分)

(三) 原告保明分 治療費一四万一〇六五円

(四) 原告美和分 治療費二万八三六五円

二  争点

1  原告輝幸、同千里、同美和の傷害、後遺障害の程度

2  原告らの損害額

第三争点に対する判断

一  争点1について(原告輝幸分)

原告輝幸の入通院の経緯、後遺障害の程度は前記のとおりであるが、証拠(甲一、二二一、三五二、三五三、原告武吉輝幸本人)によると、原告輝幸は前記のとおり右大腿骨骨頭壊死となったことから、公立陶生病院整形外科において平成七年一二月五日人工骨頭置換術の手術を受けたこと、ところで右置換術を受けると今後、遅くとも二〇年後には耐用年数の関係で再手術を要すること、原告輝幸については、同人は昭和二七年一〇月一六日生まれであり、六三歳となる平成二七年一二月ころ再手術が必要となることが認められる。

二  争点1について(原告千里分)

原告千里の通院の経緯は前記のとおりであるが、前記争いのない事実等及び証拠(甲三一九、三九六、乙一)によると、原告千里は平成六年一一月一一日には軽い症状は残るものの、既に直前数か月の治療では特段の改善がみられない状態となったことから、公立陶生病院整形外科の医師は症状固定と判断したことが認められる。そうすると、前記のとおりその後も原告千里は整形外科の通院を継続してはいるが、右は固定後の症状と考えられるべきである(ただし、前記認定の経緯からすると自動車損害賠償保障法施行令別表所定の各等級に該当する程度の後遺障害には至らないものと認められる。)。なお、これによると公立陶生病院整形外科の実通院日数は一九日となる(甲三一九ないし三二一)。

また、原告千里はその後他の病院の眼科に通院し、治療を受けているが、前記のとおり原告千里は公立陶生病院においても事故直後に眼科に通院しており、証拠(甲三〇五ないし三〇七)及び弁論の全趣旨によると格別事故による異状は認められないとして格別治療を継続することはなかったことが認められ、前記の他の病院の眼科における治療は本件事故と因果関係ある治療とは認められない。

三  争点1について(原告美和分)

原告美和は、公立陶生病院整形外科での治療期間につき、平成五年一二月四日まで通院した旨を主張するが、これを認めるに足りる証拠はなく、かえって前記争いのない事実等記載のとおり本件事故日である平成五年一一月一三日から同月二六日まで(実日数四日間)であったことが認められる。

四  争点2について(原告輝幸分)

1  付添看護費(請求額四三万一七四〇円) 〇円

前記のとおり、原告輝幸は公立陶生病院に入院したが、証拠(甲二七二、二七五、二七八、三五五)によると同病院はいわゆる完全看護の病院であって、原告輝幸につき格別付添人を付けるようにとの指示はされなかったことが認められる。したがって、本訴において被告に対し右金額を請求するのは失当である。

2  入院雑費(請求額三七万三五〇〇円) 二九万八八〇〇円

原告輝幸の入院期間は合計二四九日であったところ入院雑費として一日当たり一二〇〇円を要したものと認められるから、その合計は頭書金額となる。

3  入通院交通費(請求額三五万一一二〇円) 二〇万円

証拠(甲三九三)及び弁論の全趣旨によると、原告輝幸は公立陶生病院への入通院に際し頭書金額を要したことが認められる。しかしこのうちにはタクシー等も使用したことがあることが認められる。そこで、入通院期間、タクシー使用の必要性に照らすと、右金額の約三分の二相当である頭書金額を原告輝幸の入通院交通費として認めるのが相当である。

4  歩行補助杖購入費(請求額一三万六六五三円) 一三万六六四六円

証拠(甲三五二、三五三、三八〇の1、2)及び弁論の全趣旨によると、原告輝幸は歩行補助杖(杖及びT字杖)を必要とすること、その単価は一万八九八九円であり、その耐用年数は三年であること、これを原告輝幸の負担で購入したのが平成八年一一月(前記のとおり原告輝幸は昭和二七年一〇月一六日生まれであるから当時四四歳)(ただし一部は同年五月に購入)で今後平均余命である三四年間使用する必要があることが認められる。これによると頭書金額となる。

18,989×(1+0.8695+0.7692+0.6896+0.6250+0.5714+0.5263+0.4878+0.4545+0.4255+0.4000+0.3773)=136,646

5  診断書料(請求額同じ) 九〇九〇円

証拠(甲三五五)及び弁論の全趣旨によると、原告輝幸は本件事故後勤務先での勤務を再開するため、また勤務先において症状にあった職場に配置替えをしてもらうため等につき勤務先に対し診断書を提出したこと、これに要する費用は頭書金額であり、右については被告は事故との因果関係を否定し支払を拒絶していることが認められる。

そこで判断するに、提出の理由が右のとおりであるとすると、本件事故と因果関係ある支出と考えられ、したがって右も本件事故による損害と認めるのが相当である。

6  医師謝礼(請求額二〇万円) 〇円

原告輝幸は右金額を請求するが、被告が負担をするのを相当とする金額とは認められない。

7  将来の定期検診に伴う損害(請求額二四〇万円) 〇円

証拠(甲三五三、三五五)及び弁論の全趣旨によると、前記のとおり原告輝幸は人工骨頭置換術の施術を受けたが、今後年に二回程度の定期検診をすることが必要とされること、しかし右については健康保険等による補助がされること、もっとも定期検診に伴い休業損害は発生することが認められる。そうすると、右事情は後記後遺障害慰謝料の算定の際に一要素として考慮をするのが相当である。

8  将来の再手術に伴う損害(請求額五六〇万円) 五〇万円

前記認定のとおり人工骨頭置換術については、原告輝幸が六三歳になったころ再手術を要することが認められる。したがってこれに伴い入院治療を要すると考えられるところ、証拠(甲四の1、三五三)によると、原告輝幸は本件事故に伴い身体障害者四級に認定されたこと、前記再手術に要する治療費は約五〇〇万円であるが、健康保険、身体障害者福祉法に基づく更生医療給付等から給付金等が支給されることが認められる。もっとも再手術については単に治療費のみならず入院交通費、休業損害、入院慰謝料が発生すると考えられるが、他方、右金額については年五パーセントの割合で減価して現在価格を求める必要があり、これによると、その現在価格は頭書金額となると認めるのが相当である。

9  自宅改造費(請求額三〇万円) 二〇万円

証拠(甲三五五)及び弁論の全趣旨によると、原告輝幸の前記の状態に照らすと少なくとも頭書金額相当の自宅改造は要するものと認められる。

10  休業損害(請求額九七万〇〇三〇円) 二三万八六三五円

原告輝幸の請求額は、欠勤により生じた損害額一二七二万五一九二円、有給休暇減失による損害額九〇万七三二六円の合計一三六三万二五一八円から前記争いのない既払額一二六六万二四八八円を差し引いた額を主張するものである。

ところで証拠(甲六の1ないし7)によると、原告輝幸は本件事故により勤務先を平成五年一一月一五日から平成八年五月二〇日までの間に七三八日(休日及び有給休暇を含む。)欠勤したこと、原告輝幸の事故前の俸給は一か月当たり平均四二万七四六九円であったことが認められるから、これによると賞与を除く休業損害は右金額の二四・二五月分相当である一〇三六万六一二三円となる。

また証拠(甲六の8ないし13)によると、本件事故による賞与の減額分は二五三万五〇〇〇円であることが認められる。

そうすると、本件事故による休業損害は右合計額である一二九〇万一一二三円と認めるのが相当であり、前記既払金との差額は頭書金額となる。

なお、原告輝幸の請求は、昇給が見込まれるところこれがされなかったことを前提に、またその見込まれる昇給率を従前の昇給率と同一として主張するものであり、右については確実な裏付けを欠くものとして失当といわねばならない。

11  傷害慰謝料(請求額七〇〇万円) 二七〇万円

前記傷害の程度、入通院期間、治療内容等のほか、本件事故後の被告の対応等本件に現れた諸般の事情を考慮すると、本件による傷害慰謝料は頭書金額をもって相当とする。

12  後遺障害逸失利益(請求額五一三七万八九一七円) 〇円

前記のとおり、原告輝幸については前記の後遺障害が残り、いわゆる事前認定において自動車損害賠償保障法施行令別表八級七号に該当するとされたが、証拠(乙二、調査嘱託(日立製作所中部支社))によると、本件事故後格別に減収はないことが認められ、したがって後遺障害を理由として逸失利益を認めることはできない。もっとも右は勤務先の理解のほか、原告輝幸の努力による部分も大きいものと解されるが、右については慰謝料を算定する一要素として考慮するのが相当である。

13  後遺障害慰謝料(請求額一一〇〇万円) 八〇〇万円

前記のとおり原告輝幸はいわゆる事前認定において自動車損害賠償保障法施行令別表八級七号に該当するとされており、その他前記のとおり将来の定期検診に伴う損害、後遺障害逸失利益につき判断した事情等本件に現れた諸般の事情も考慮すると、本件事故に伴う後遺障害慰謝料は頭書金額をもって相当とする。

14  弁護士費用(請求額八〇一万五〇〇〇円) 一〇〇万円

本訴請求の認容額、事案の難易等を考慮すると、本件において被告の負担すべき弁護士費用としては頭書金額をもって相当とする。

15  合計(請求額八八一六万六〇五〇円) 一三二八万三一七一円

以上の合計は頭書金額となる。

五  争点2について(原告千里分)

1  治療費(請求額九万七〇〇五円) 〇円

前記のとおり、原告千里については平成六年一一月一一日までの公立陶生病院各科における治療をもって本件事故と相当因果関係ある治療と認めるべきところ、右期間の治療費が既払となっていることは当事者間に争いがない。

2  通院付添費(請求額三万一三四〇円) 〇円

原告千里の通院につき付添いを要するとの医師の指示があったことを認めるに足りる証拠はなく、本件事故により被告の負担すべき損害とは認められない。

3  通院交通費(請求額九万〇六六〇円) 三万円

原告千里は右金額を請求するところ、弁論の全趣旨によると、右金額の約三分の一相当が本件事故と相当因果関係のある通院交通費であることが認められる。

4  眼鏡、補装具購入費(請求額五万五一〇四円) 〇円

原告千里は本件事故により眼鏡、T字杖、ホットパックを必要とした旨主張するが、前記のとおり公立陶生病院眼科において格別の異状はなかったことが認められ、またT字杖、ホットパックを必要とした経緯は本件全証拠によっても明らかではない。したがって右については本件事故により被告の負担すべき損害とは認められない。

5  診断書料(請求額二万〇〇五五円) 〇円

前記のとおり、原告千里は公立陶生病院以外の他の病院にも通院しており、その請求する診断書料がどの病院に係るものか明らかではなく、また、公立陶生病院における平成六年一一月一一日までのものであっても診断書を必要とした経緯が明らかではなく、右についても本件事故により被告の負担すべき損害とは認められない。

6  休業損害(請求額一九三万四〇七〇円) 一六〇万七五五八円

原告千里については前記のとおり平成五年一一月一三日から平成六年一一月一一日までの公立陶生病院各科における治療をもって本件事故と相当因果関係ある治療と認めるべきところ、その通院日数等を考慮し、本件事故時である平成五年(平成六年版)賃金センサス第一巻第一表産業計企業規模計学歴計三五~三九歳(証拠(甲一)によると、原告千里は本件事故当時三七歳であったことが認められる。)女子労働者年間平均賃金三五〇万七四〇〇円を基本とし、本件事故後三か月間についてはその三分の二、その後の三か月間についてはその二分の一、その余の六か月間についてはその三分の一を休業損害として認めるのが相当である。そして、これによると頭書金額となる。

3,507,400÷12×(3×2÷3+3÷2+6÷3)=1,607,558

7  傷害慰謝料(請求額一七〇万円) 一四〇万円

前記傷害の程度、通院期間、実通院日数、治療内容のほか、前記のとおり原告千里につき自動車損害賠償保障法施行令別表所定の各等級に該当するような後遺障害が残ったとは認められないが、現実にその後も他の病院に通院するなどの状態が認められること、前記原告輝幸につき判断したところの本件事故後の被告の対応、本件事故後通院等のため運転免許を取得せざるを得なくなったこと(証拠(甲三五五、三七六、三七七の1ないし4、原告武吉千里本人)によって認める。)その他本件に現れた諸般の事情を考慮すると、本件による傷害慰謝料は頭書金額をもって相当とする。

8  弁護士費用(請求額三九万三〇〇〇円) 三〇万円

本訴請求の認容額、事案の難易等を考慮すると、本件において被告の負担すべき弁護士費用としては頭書金額をもって相当とする。

9  合計(請求額四三二万一二三四円) 三三三万七五五八円

以上の合計は頭書金額となる。

六  争点2について(原告保明分)

1  通院付添費(請求額一四万六四〇〇円) 〇円

原告保明の通院付添いの必要性についてもこれを認めるに足りる証拠はない。

2  通院交通費(請求額同じ) 四三八〇円

弁論の全趣旨によると頭書金額を要したことが認められる。

3  傷害慰謝料(請求額二六万円) 二〇万円

前記傷害の程度、通院期間、治療内容等の事情を考慮すると、本件による傷害慰謝料は頭書金額をもって相当とする。

4  弁護士費用(請求額四万一〇〇〇円) 二万円

本訴請求の認容額、事案の難易等を考慮すると、本件において被告の負担すべき弁護士費用としては頭書金額をもって相当とする。

5  合計(請求額四五万一七八〇円) 二二万四三八〇円

以上の合計は頭書金額となる。

七  争点2について(原告美和分)

1  通院交通費(請求額同じ) 一三八〇円

弁論の全趣旨によると頭書金額を要したことが認められる。

2  傷害慰謝料(請求額一五万円) 一二万円

前記傷害の程度、通院期間、治療内容等の事情を考慮すると、本件による傷害慰謝料は頭書金額をもって相当とする。

3  弁護士費用(請求額一万五〇〇〇円) 一万円

本訴請求の認容額、事案の難易等を考慮すると、本件において被告の負担すべき弁護士費用としては頭書金額をもって相当とする。

4  合計(請求額一六万六三八〇円) 一三万一三八〇円

以上の合計は頭書金額となる。

第四結論

よって、原告らの本訴請求は、被告に対し前記各損害金合計及びこれに対する本件事故の日である平成五年一一月一三日から各完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余はいずれも理由がないからこれを棄却し、主文のとおり判決する。

(裁判官 北澤章功)

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