名古屋地方裁判所 昭和37年(ワ)876号 判決 1962年7月21日
原告 合資会社材平商店
右代表者代表社員 加藤徳三郎
右訴訟代理人弁護士 中条忠直
被告 合資会社 竹屋洋品店
右代表者無限責任社員 竹内泰郎
被告 竹内泰郎
被告 竹内敏夫
被告 中島峰子
主文
被告等は原告に対し各自金十五万円及びこれに対する昭和三十六年十二月二十日以降右完済に至るまで年六分の割合による金員を支払うべし。
訴訟費用は被告等の負担とする。
この判決は原告において被告等に対し夫れ夫れ金三万円の担保を供するときは仮に執行することができる。
事実及び理由
原告代理人は主文第一、二項同旨の判決並に仮執行の宣言を求め、請求の原因として、被告合資会社竹屋洋品店は昭和三十六年十一月二十五日被告竹内敏夫に対し金額金十五万円、満期昭和三十六年十二月二十日、支払地振出地共に半田市、支払場所半田信用金庫乙川支店なる約束手形一通を振出し、被告竹内敏夫は被告中島峰子に、被告中島峰子は訴外東新建設株式会社に、同訴外人は原告に右約束手形をいずれも拒絶証書作成義務免除の上順次裏書譲渡し、原告は現在これが所持人である。よつて原告は右手形を右満期に右支払場所において呈示した。
しかして被告会社はその財産をもつてその債務を完済することができないから、被告竹内泰郎はこれが無限責任社員として被告会社の債務につき弁済の責に任ずべき義務がある。よつて原告は振出人である被告会社、裏書人である被告竹内敏夫、同中島峰子、被告会社の無限責任社員である竹内泰郎に対し各自右約束手形金金十五万円及びこれに対する右満期である昭和三十六年十二月二十日以降右完済に至るまで手形法所定年六分の割合による利息の支払を求めるため本訴請求に及ぶ。と述べ、証拠として甲第一号証を提出した。
被告会社代表者兼被告竹内泰郎は、原告の請求を棄却する、との判決を求め、答弁として被告竹内泰郎は被告会社の無限責任社員、被告竹内敏夫は同有限責任社員であるが、被告竹内泰郎はただ名義のみを貸し、被告竹内敏夫が被告会社の実質上の仕事をなし、右約束手形も同被告がこれを振出したもので、被告会社及び被告竹内泰郎にはその責任なく、仮に然らずとするも被告会社及び被告竹内泰郎は手許不如意のためその支払に応じ難い。と述べ、甲第一号証の成立を否認した。
仍つて案ずるに弁論の全趣旨により真正の成立を認め得べき甲第一号証並びに弁論の全趣旨によれば、被告会社の有限責任社員たる被告竹内敏夫は自己を被告会社の代表社員として、昭和三十六年十一月二十五日被告竹内敏夫に宛て金額金十五万円、満期同年十二月二十日、振出地支払地共に半田市、支払場所半田信用金庫乙川支店なる被告会社名義の約束手形一通を振出したことが認められ、被告竹内泰郎が被告会社の無限責任社員であることは、被告会社並びに同被告の自認するところであり、弁論の全趣旨によれば、被告会社がその財産をもつてその債務の完済をすることのできないことを認めることができ、又被告会社及び被告竹内泰郎は被告会社の有限責任社員である被告竹内敏夫にその業務を実質的に一任し、同被告をして被告会社の取引をなさしめていたことは、被告会社及び被告竹内泰郎の自認するところであるので、被告会社及び被告竹内泰郎は、被告竹内敏夫の振出した右約束手形金の支払をなすべき義務があり、手許不如意の事由をもつては、これが支払を拒む理由となし得ない。
次に被告竹内敏夫、被告中島峰子は適式の呼出を受けながら最初になすべき口頭弁論の期日に出頭しないので、原告主張の請求の原因たる事実を明らかに争わず自白したものと看做すべく、叙上認定の各事実によれば、被告等は原告に対し各自右約束手形金金十五万円及びこれに対する右満期たる昭和三十六年十二月二十日以降右完済に至るまで手形法所定年六分の割合による利息を支払うべき義務のあることが明らかであるから、原告の本訴請求を全部正当として認容し、民事訴訟法第八十九条、第九十三条第一項本文、第百九十六条第一項により主文の如く判決する。
(判事 小沢三朗)