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名古屋地方裁判所 昭和40年(ワ)1027号 判決 1968年1月13日

原告 櫟木久助 外一名

被告 森田徳次郎 外一名

被告補助参加人 愛知県知事

訴訟代理人 松崎康夫 外四名

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は、原告らの負担とする。

事  実 <省略>

理由

(原告久助の被告森田に対する請求について)

原告久助は一号土地が原告久助の所有に属していた旨主張するか、その所有権取得原因事実を具体的に主張立証(一号土地が原告久助の所有であつたことは、甲第一号証の記載のみをもつてしては認定できないこと当然である。)しないから、その他の点について判断するまでもなく、原告久助の被告森田に対する本訴請求は失当である。

(原告友三郎の被告西川に対する請求について)

二号土地が原告友三郎の所有に属していたこと、国が自創法第三条に基づいて昭和二三年一〇月二日二号土地を原告友三郎から買収し、その旨の登記を了し、次いで、農地法第三六条に基づいて昭和三〇年一一月一日二号土地を被告西川に売り渡し、その旨の登記を了したことは、当事者、参加人間に争いがない。

そこで、本件買収処分について判断する。

まず、二号土地が自創法による買収の対象となる土地であつたか否かについて考えるのに、二号土地について昭和一〇年頃から区画整理が施行され、昭和二一年頃これが完了して知事の換地処分(地目は田)の認可があつたことは、当事者、参加人間に争いがないが、土地が区画整理施行地域に編入され、区画整理が完了して換地処分を受けたからといつてその区域内の農地が直ちに買収不適地となるのではなく、知事が指定(自創法第五条第四号)し、または農業委員会が「近く土地の使用目的を変更するのが相当な土地」と認めて指定(同条第五号)し、はじめて該農地が買収除外地となるべきものであるところ、本件については右各指定を認めえないばかりか、<証拠省略>を総合すると、二号土地について右換地後本件買収当時も被告西川が従前通り耕作権に基づいて耕作し、周辺土地もまた農地の現況を呈していたことが認められ、その当時二号土地の非農地への高度な転化性が存在したことは認めるに足りる確証がない以上、二号土地は自創法第三条にいう買収の対象となる農地であり、本件買収処分には、この点に関する違法はない。

また、<証拠省略>を総合すると、原告友三郎がすでに本件買収令書の半片をなす買収対価の受領に関する委任状を提出して昭和二四年一〇月三日株式会社日本勧業銀行から本件買収対価全額を受領していること、したがつて、原告友三郎においてすでに自創法第九条第二項所定の事項が記載されている二号土地についての買収令書の交付を受けていることを認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。なお、かりに該令書において買収目的地の表示について地番、地積に多少の誤記(二三番を一三番と、一畝二七歩を二畝四歩と各誤記)がされ、訂正されないままに交付されたとしても、<証拠省略>を総合すると、二号土地は前示のとおり換地処分を受けたものであるところ、原告友三郎において買収当時被買収物件が二号土地であることを着取できる事情にあつたことを認めることができないから、右の表示をもつて買収目的地が買収令書において特定されていたと解するのに妨げがないものというべきであるから、本件買収令書の交付については何らの違法性を見出しえない。

したがつて、本件買収処分は実体的にも形式的にも有効であり、該処分の無効を前提とする原告友三郎の被告西川に対する本訴請求は理由がない。

よつて、原告らの被告らに対する本訴各請求はいずれも失当として棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条および九三条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 山田正武 井野三郎 日高千之)

目録<省略>

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