名古屋地方裁判所 昭和42年(行ウ)4号 判決 1967年5月19日
原告 山田勝郎
被告 農林大臣
訴訟代理人 川本権祐 外三名
主文
原告の訴えを却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 <省略>
理由
当裁判所は農地法第八〇条第一項所定の「認定」は次の理由により独立の行政処分ではないものと判断する。即ち右「認定」は同条所定の「売り払い」「所管換え」「所属替え」の要件の判断であり、そうした処分をする前提としての行政庁内部の行為にすぎず右「認定」により買収前の農地の所有者またはその一般承継人その他の者に対し被買収農地についてなんらかの具体的権利義務を与えたり課したりするものではないと解される。もつとも農地法施行令第一七条は認定土地についてその旧所有者等に通知をすべき旨、定めてはいるがこれは旧所有者等に対し買受申込書の提出の機会を与えるとともに買受意思の有無を確知するためにされるたんなる通知であつて最終の処分である売り払いに関する事務処理を円滑に運営して行くための行政手続上の措置にすぎないものというべく右通知がされることをもつて右「認定」が行政処分であると解することはできない。以上のとおり右「認定」は独立の行政処分でないから、本訴は行政事件訴訟法第三条第五項所定の不作為の違法確認の訴えには当らないし、他にかかる訴えを許すべきものと解すべき根拠もない(かく解しても農地法第八〇条の解釈上被買収者は売払適格地については農林大臣のその旨の認定の有無にかかわらず売払申請権を有するものと解せられるから被買収者の救済に欠けることにはならない)。
結局、本件訴えは不適法として却下を免れない。
よつて訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 西川正世 元吉麗子 三関幸男)
目録<省略>