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名古屋地方裁判所 昭和47年(わ)2165号 判決 1976年3月17日

本店の所在地

名古屋市東区主税町二丁目八番地

法人の名称

愛章住宅株式会社

代表者の住居

名古屋市千種区見附町一丁目三五番地

(同公簿上の住所 名古屋市東区白壁町一丁目七番地)

代表者の氏名

代表取締役 前川博俊

本籍

名古屋市北区深田町三丁目四〇番地

住居

同市千種区見附町一丁目三五番地

会社役員

前川博俊

昭和三年三月二七日生

本籍・住居

名古屋市千種区田代町字瓶入五番地の四

無職(元会社員)

加藤隆史

昭和三年一〇月二四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

(検察官 平良格出席)

主文

1  被告人愛章住宅株式会社を罰金七〇〇万円に、

被告人前川博俊を懲役一年に、

被告人加藤隆史を罰金二〇〇万円に

それぞれ処する。

2  被告人加藤隆史において、同被告人に対する右罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

3  被告人前川博俊に対し、この裁判確定の日より三年間右懲役刑の執行を猶予する。

4  訴訟費用は全部被告人三名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人愛章住宅株式会社(以下、「被告会社」という。)は、名古屋市東区主税町二丁目八番地の中野ビル内に事務所を置き(旧本店所在地は、名古屋市東区白壁町一丁目七番地、昭和四二年七月前川商事株式会社として設立、昭和四四年一月現商号に変更)、土地、建物の売買及び仲介並びにボーリング場の経営などを事業目的とし、当初から主として木造分譲住宅の建設販売などを営み、昭和四五年一二月からは同市南区元塩町内など二か所に相次いでボーリング場を開設したほか、レストランやサウナ浴場を開設するなどしてこれら各種の事業を手広く営んでいたもの、被告人前川博俊は、被告会社設立以来その代表取締役として業務全般を統括掌理しているもの、被告人加藤隆史は昭和四四年二月ころ被告人前川博俊の主宰する中部永大ハウス販売株式会社に入社して経理事務を担当し、その後被告会社の経理事務も担当するようになり、昭和四五年一一月ころからは被告会社の総務部長として被告人前川博俊の指揮のもとに経理事務一切を掌理していたものであるが、被告人前川博俊及び同加藤隆史は、被告会社の経営するボーリング場の支配人田中充及び同元支配人竹市孝治らと共謀のうえ、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、被告会社の昭和四六年四月一日より昭和四七年三月三一日までの事業年度における所得金額が五、九一四万二、一四二円であつて、これに対する法人税額が二、一四七万二、一〇〇円であるのに拘らず、その間売上げの一部を除外し、これによつて得た金員を架空名義の預金として所得の一部を秘匿するなどしたうえ、昭和四七年五月二九日、所轄の同市東区主税町所在名古屋東税務署において、同税務署長に対し、その所得が零である旨の過少の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正の行為により、右事業年度における右同額の法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

(註) 以下、検察官に対まる供述調書を「検調」、大蔵事務官に対する質問てん末書を「てん末書」と各略称する。

一、被告人前川博俊及び同加藤隆史の当公判廷における各供述

一、被告人前川博俊の各検調及びてん末書(但し、同被告人及び被告会社に対する関係で証拠とする。)

一、被告人加藤隆史の各検調及び各てん末書(但し、同被告人及び被告会社に対する関係で証拠とする。)

一、証人鷲野盛一の当公判廷における各供述

一、第四回公判調書中の証人大坪範一の供述記載部分(速記録)

一、第九回公判調書中の証人鷲野盛一の供述記載部分(速記録)

一、第一〇回公判調書中の証人竹市孝治の供述記載部分(速記録)

一、田中岩男、木村慶子、田中すみ子、森田稔、高橋邦夫、河原正五、谷準一郎、杉本篤治、入山謙之、加納光信、中川宏衛(但し、その第八項中終りから一〇行目以下の部分を除く。)水谷高徳、小寺道子、杉浦周子、斉藤りう、前川よし、竹上博美、竹市あい子、加藤正武及び田中充の各検調

一、杉浦太、田中岩男、田中すみ子、高橋邦夫、杉本篤治、岡田親扶、阿部福松、木村行治、杉浦周子、斉藤りう、浅川多嘉子、前川一枝及び加藤正武の各てん末書

一、大蔵事務官作成の「脱税額計算書」、「証明書」及び「調査報告書」と題する各書面

一、榊原俊夫及び柴田縫三作成の各証明書(普通預金元帳等の各写添付のもの)

一、和具幹夫、判治馨及び古田重幸作成の各上申書

一、小塚昭夫作成の鑑定書

一、登記官作成の昭和五〇年九月一七日付登記簿謄本

一、押収してある「サンボウル関係書類」綴一綴(昭和四八年押第一六三号の一)、同「一人別源泉徴収簿」綴二綴(同押号の二及び三)、同「サンボウル禀議書」綴一綴(同押号の四)、同「サンボウル売上日報」綴三綴(同押号の五ないし七)、同「愛章関係書類」綴一綴(同押号の八)、同「給料支払明細書及び領収書」綴一綴(同押号の九)、同手帳一冊(同押号の一〇)、同「ゲーム料等集計メモ」綴一綴(同押号の一一)、同「ボーリング売上日報」綴一綴(同押号の一二)、同元帳三冊(同押号の一三ないし一五)及び同「給料支払明細書等綴」一綴(同押号の一六)

(法令の適用)

一、被告人前川博俊及び同加藤隆史の判示所為につき、刑法六〇条、法人税法一五九条

一、被告会社につき、法人税法一六四条一項(一五九条)

一、(刑種の選択)被告人前川博俊につき、所定刑中懲役刑を選択

被告人加藤隆史につき、所定刑中罰金刑を選択

一、(労役場留置)被告人加藤隆史につき、刑法一八条

一、(懲役刑の執行猶予)被告人前川博俊につき、同法二五条一項

一、(訴訟費用の負担)、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 川瀬勝一)

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